ホワイトチョコ
生ハムを一枚ずつ捲る作業
祖父母の話になります。
冒頭に書いてあったお話にはなりますが、私の家自体は特別お金持ちでもなかったのです。
お父さんの方のおじいちゃん。所謂、祖父が国に携わるお堅いお仕事をしていた事もあったので良いお洋服も着れましたし、良いところにも連れて行ってもらいました。
なので私はお嬢様と言うよりは、祖父がお金持ちなだけで私のおうち自体はお嬢様ではないのです。
しかし、私は祖父が幼い時から大嫌いでした。
小さい時から遠くの栃木の方に住んでる従姉妹と何かと比べられ、おもちゃを買ってもらったところで『これは従姉妹にあげるために買ったんだ』と意地悪の笑みをして私に言うものなので小さい時から泣かされていましたし、小学生の後半には完全に泊まりにも行きませんでした。
小学三年生の時点で泊まりに行っても途中で祖父母の家を脱走して歩いて自宅に帰ろうとしたくらいには嫌いでした。
そんな祖父は見た目でもわかるレベルでの糖尿病で、太りすぎて身体も動かせなくなり、私が高校生くらいの時に働けなくなりました。暫くは個室病棟に入院していました。
そして、祖父には俗に言う愛人という存在の方がいたみたいです。十年以上の長い関係だったと聞いています。
例の愛人の方は、保険会社で勤めてましたが祖父の知り合いを愛人に紹介し、契約数を上げ、愛人の仕事の実績に関して祖父はだいぶ尽くしていたようでした。
仕事とはまた別で、お金を渡してたりもしていたようですが祖父が太りすぎて働けなくなったので愛人契約するお金も無くなったようです。
それから祖父の愛人も自然消滅で消えてしまい、しかし手元に残ったお金は少なく、祖父母は所謂“貧乏”に成り果てました。
では、祖母は好きだったのか?と聞かれると、祖父と比べたらまだマシといった感じでした。好きでも嫌いでもありませんでした。
しかし今となっては、誰かに復讐が出来るとしたら誰にする?と聞かれたら、迷わずに祖母の名をあげることでしょう。
今では、祖父よりも祖母の方が嫌いです。
そんな祖母の口癖は『大人になったら働いてお金を稼ぐのよ』、『高校生になったらお父さんお母さんにお金を渡すのよ』といったものでした。
祖父が太りすぎて働けなくなった時からお金に対しての執着は増していっていたのも目に見えて分かりました。『高校卒業したら就職して私の面倒を見てね』と面倒の要求をしてくるようになり、会う度に毎回言われてました。
この“面倒を見てね”の意味は金銭面で面倒を見てね、の意味だと思います。
しかし、日本舞踊、生け花の先生をしてた事もあり、見た目は本当に可愛らしい愛嬌のあるおばあちゃんでした。見た目だけは。
そんなそんな祖父母でした。
今後も祖母は色々と爪痕を残してくれますが、今回は祖父母のエピソードをちょっとだけお話しましょう。
太りすぎて動けなくなった祖父は暫く、個室の病棟で確かに入院していました。ですが、祖父の収入源も消えたのでお金も苦しく、祖父母の元の自宅に戻ることになりました。
しかし自宅に戻ったところでナースの方もいません、自動で動くベッドもありません、祖父は身体を思うように動かせません。お手洗いにも行くことができません、お風呂にも上手くいくことも出来ません。
そのため、祖母はお風呂場に祖父を置きっぱなしにしました。排泄物を垂れ流し状態にし、そのような環境の中で食事を与え、祖父をお風呂場で生活をさせていたみたいです。
……そして、これは後日談になりますが、祖父はお風呂場という狭い空間で寝返りも打てなかったため、お風呂場のタイルと祖父の皮膚がくっついてしまいました。
これはさすがにどうだろうという事で、お風呂場から寝室に移動させることを祖母からお母さんに頼まれて祖母と共に祖父を運んだようですが、祖父は言葉にならない悲鳴をあげ、その際に皮膚を持ってかれ生肉が見えていただとか。
祖母がしている事というのは拷問と何ら変わらないです。
まるで、何枚にも重なっている生ハムを捲るかのようにゆっくりとゆっくりと一部の皮膚を持っていったのでしょう。
私は、祖父も祖母も嫌いです。
祖母に関してはもっと理由があるのですが、とりあえず嫌いです憎いです殺したいくらいです。
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