アンダーグラウンド
そんなこんなで無事、高校にも入学出来ました。
英語はABCから習うような馬鹿な女子高で動物園と対して変わりありませんでした。
高校生活は普通に過ごしましたが、一番最初に仲良くなった友達が入学したての自己紹介カードに『将来の夢はキャバ嬢でーす❤』と書くようなちょっと頭のネジが飛んでいる子で、その子のおかげでだいぶ高校生活は楽しませてもらいました。
そんなこんなで高校時代、夏休みにはっちゃけて金髪に染めました。調子に乗ってました。私は夏休みに悪い友達がたくさん出来ました。
ただただ男女含んだ知り合いで待ち合わせ場所を決めている訳でもないのに繁華街に集まり、何をする訳でもなくただコンビニで売っている紙パックのお茶を片手にボーッと黄昏て過ごし、家に帰るのも3日に1回くらい。眠くなったらタピオカ屋さんに駆け込んで寝るという単なる営業妨害をしていました。
俗に言うDQNでした。
ただ単に、年齢も性別も問わないみんなで集まるってことが楽しかったです。その中でも特に仲がいい友達がいました。それがさやかちゃん。
そんな堕落している生活を夏休みはしていたので、初体験を高校一年生の夏休みに呆気なく処女を付き合ってもない方に捧げてしまいました。
相手の自宅で五歳年上で周りの知り合いにドラえもんの声に似てる!と言われるような方でした。
初めてを捧げたので、捧げた後は暫く私も特別な思いを募らせましたが後に告白というものをされた時にはドラえもんに好意というものはありませんでした。
最中に痛いと泣き叫んだら『俺だって痛い!我慢して!』と言われましたが今になって思うのはお前が痛いのは絶対にない。
そんなドラえもんに初体験を捧げた四日後に、さやかちゃんから『20:00にいつものところに来て』と連絡が入りました。
待ち合わせの連絡が入ることは珍しい事です。
さやかちゃんから来た連絡のまま、私はその待ち合わせ場所に向かいました。
さやかちゃんは安定のお茶のパックを持ちストローを咥えながら
『私の友達の舞の知り合いの先輩が一緒に飲みたがってるらしくてお金も持ってるらしいからちょっと一緒に軽く飲も〜!お小遣い貰えるかも!』
と目が¥の形になりながら、嬉しそうな口調で言ってきました。
当時、働いてなく自宅にもあまり帰らなかった私達は下心丸出しで声掛けてきたおじさんを引っ掛けて飲み食いをし、適当に理由をつけて解散してお腹を満たしていた為、飲食+お小遣いとなるとそれはもうパチンコでいう確変モードで、脳内でキュイキュイキュイーン!という音が即座になり、断る理由もないので誘いに乗りました。
今思えば、本当に怖いもの知らずだな。
そして、底辺がやることである。
さやかちゃんの誘いに乗り、その知り合いの先輩と待ち合わせした訳ですが、恐らく30後半〜40代くらいの細身で馬顔の大人の男性と小太りの20代後半くらいの男性が私たちの目の前に現れました。
予想していた知り合いの先輩にしては凄く大人だな…と思いつつも、車に乗ってまずは山に行き景色を楽しみましたが、心の中ではどこか先輩の対応に違和感を感じましたし、食いしん坊な私はアレ?ご飯は?という気持ちでした。
山で景色を堪能した後は、繁華街に戻り謎の建物の中に入りました。
先輩方はちょっと待っててとどこかに消えていきましたが、その建物の風景は椅子とテーブルが並んでいて煌びやかなシャンデリアがあり、明らかにお店ですが、誰もいないのでそれがまた不気味でした。
その時には私もさやかちゃんも顔は確実に引き攣っていたと思います。
『これやばくない?そっと抜け出せる雰囲気じゃないよね』
と険しい顔をしてさやかちゃんが耳打ちしてくるから尚更に怖くなりましたし、異様な雰囲気を感じ取ったのは私だけではないんだ。と感じ、心拍数が上がったのも覚えています。
「お待たせー」と先輩達が威勢のいい声を出し、その言葉と共に持ってきたのはテキーラとテキーラのショットグラスのみでした。
「今からゲームするよ!」
先輩が再度、威勢のいい声でノリノリで言いましたが、先輩の後ろにいた後輩らしき若いお兄さんはどう見ても顔が笑っていないのを感じられました。
それを他所にゲームをした訳ですが、ゲームの内容は一回負ける事にテキーラのショットを一気するといった内容でした。
ゲームの内容は確か山手線ゲームだとか指スマだとかそんな内容だったと思います。
ですが、どう考えてもおかしいくらいに、私とさやかちゃんは負けていました。
しかし酔って潰れてはならない、と思い必死に意識を保ってました。テキーラの瓶もほぼほぼ無くなるくらいには飲んだことは覚えています。
ひたすらにゲームをしていた訳ですが、唯一途中話した覚えている会話内容としては、先輩はキャバクラの店長をしている。との事で、今いる建物は自分のお店との事。
それでシャンデリアがあるのだと分かりましたが、太ももを撫でてきながら語るものなので頭の中は『早くここから、立ち去りたい』この思いで一心でした。ちなみにこのちょっとお話してる最中に水をくれました。
しかし急に意識が飛んでしまったようで、意識が戻った時には煌びやかな室内とは一変、照明が消された真っ暗でシャンデリアが薄暗く煌めいていて、私の上で先輩が必死に腰を振っていました。
意識が戻った事に気づいたのか、口を押さえ込まれ先輩は果てました。
その後『絶対誰にも言わないでね』と優しい言い方ですが圧をかける感じで言い、その場から先輩は立ち去った事を曖昧ですが覚えています。
悲しい。悔しい。だとかそういう感情以前に、私はまた意識が遠くなりまた再度眠りにつきました。
目が覚め、起き上がった時には先輩達は居ませんでした。ここはどこ?となりましたが頭上にあるシャンデリアを確認したのちに、自分のはしたない姿を見て昨日の先輩との事実を再確認しました。
着ていたコリラックマの着ぐるみは脱げていて、下着がずり下がり、つけまつ毛も取れかけ、テーブルの上にはテキーラショットが散乱していたはずなのに綺麗に片付けられており、少し離れたところにさやかちゃんは寝ていて。
寝ているさやかちゃんの身体を揺すり
「おはよ。なんか先輩達居なくなっちゃったよ、帰ろ〜」と平然なふりをして、私はさやかちゃんを起こしました。
店を出て外に出たらすでに日は昇っており、室内も暑かったですが外はより一層とムンムンと暑くて
横断歩道のピポピポ!の音を聞いていたらなんだか急に切なくなって悔しくて悲しくてしょうがなくて。
見慣れた風景を眺めていたらどんどんと二重に見えてきて、普通に話すことも声が震えて話せなくなってしまい、人前で大声で初めて泣きました。
そっとさやかちゃんも抱きしめてくれましたがさやかちゃんも
「……怖かったぁ!!」
と次第に安心したのか、さやかちゃんも一緒に泣き始めましたが、きっと意味合いは違うのでしょう。
コリラックマの着ぐるみを着た私とプーさんの着ぐるみを着てたさやかちゃん。熊と熊が抱きしめあって大声で泣いていた光景はさぞかし訳アリにしか見えなかったでしょう。
その日は大人しく家に帰りました。
滅多に家に帰らなかったものなので久しぶりに帰ると「おかえり〜」ではなく「久しぶり〜」と、からかって言ってくるお母さんのニコニコ笑顔を見ると胸が一気に痛くなりましたが、いつもと変わらぬように必死に笑顔を作り「ただいま〜」と言い、その日は何もする気が起きずにただただ自分の部屋に一日中こもりました。
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