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第566話 F級の僕は、曹悠然とダンジョンに潜る
第566話 F級の僕は、曹悠然とダンジョンに潜る
6月21日 日曜日E6
「私は彼等とは関係ありません」
彼女の返答を聞いてから、僕はスキル的にも能力的にも、彼女の言葉の真偽を判断する
まあしかし、今まで繰り返してきた“経験”から考えれば、あの“襲撃者”達が
さて……
時間ももったいないし、早くティーナさんと連絡を取りたいし、ここは単刀直入に切り出してみよう。
「ところで、僕に話が有るんですよね?」
「……疑わないのですか?」
「疑うとは?」
「私は否定しましたが、可能性の一つとして、あなたの襲撃者達と繋がっていてもおかしくはないですよね?」
彼女のその物言いに、僕は少し苦笑してしまった。
どうやら彼女の用心深さ――言い換えれば、疑い深い性格――は筋金入りのようだ。
だけど僕は、彼女ほどには“用心深く”はないし、今、その必要性も感じていない。
「彼等はいきなり襲ってきましたが、
「ですがあなたを無理矢理この車に引き込み、外部との連絡手段を取り上げましたよ?」
自分でそう口にする所を見ると、実は案外、根は良い人なのかもしれない。
若干、場違いな感想を
「動画に関して、僕と話したいってメッセージ、送ってきましたよね? 今、そのお話、聞かせてもらってもいいですか?」
「申し訳ありません。邪魔が入ると面倒なので、このまま、あなたと静かに話せる場所までご案内させて下さい」
仕方ない。
もっと直接的な聞き方に変えよう。
「QZZ」
僕が唐突に口にしたその単語を耳にしたであろう曹悠然の眉が、
僕はそのまま言葉を続けた。
「
「……それはそうした情報をどこからか入手なさった、と言う事でしょうか? それとも、スキルか何かを使って察知したのでしょうか?」
う~ん、やっぱりこの手の警戒心の強過ぎる――僕にとって、という修飾子は付くけれど――相手は、いちいち話しにくい。
それはともかく、車は前回までと同様、どうやら南に向かって走っているようだった。
と言う事は、このまま走って行けば、前回までと同様、千切れ飛んだ高圧電線が襲って来るか、カーナビが火を噴くか、とにかく途中で何かのアクシデントが発生し、結局、
例えそうなるとしても、今回は、必ず彼女の話を聞き出しておきたい。
僕は彼女の質問を無視して、用件のみ伝える事にした。
「『
しかしその顔には、
「……奇妙ですね」
「奇妙、ですか?」
「あなたは本当に、私の知る中村隆さんでしょうか?」
「どうして急にそんな質問を?」
「先程からあなたは、
それはまあ、“3度目”ともなれば、最初程慌てる事も無いわけで。
とは言え、“
「私達が収集した情報を分析したところ、あなたは能力は高いけれども、臨機応変な対応力には欠ける、という結果が得られていたはずです」
それは前回も聞いたけれど、客観的に見れば正しい評価だろう。
「ですが今のあなたは、非常に明確に、最適解と思われる提案をしてきています。もしかして……」
「この今の状況、既に体験済み……だったのでしょうか?」
一瞬、なんと答えようか考えたけれど、僕はとにかく、最短距離を突っ走る事にした。
「そうです。実はあなたの車にこうして乗り込むのも、僕の記憶の上ではこれが“3回目”になります。そして前回、つまり“2回目”の時、あなた自身の口から、今、恐らく僕に起こっている事象を説明出来そうな材料を提供する用意が有る、と言われました」
僕の隣で曹悠然が明らかに息を飲んだ。
「
そして彼女は車を減速させ、左に寄せて停車した。
彼女が右のポケットからスマホを取り出した。
そしてそれを操作しようとし始めたので、僕は一応、声を掛けてみた。
「ご存知かもしれませんが、
彼女が僕に視線を向けて来た。
「つまり、今日あなたが行った
どさくさまぎれに、自分が盗聴していた事も告白してくれてはいるけれど。
「まあ、そんなところです」
彼女がスマホの操作をしつつ、言葉を返してきた。
「ご安心下さい。今更盗聴されても問題は有りませんから」
ん?
どういう意味だろう?
言葉の意味を頭の中で反芻し直している内に、どうやらスマホの操作が終わったらしい
「では行きましょう」
どうやらスマホを使用して、手近で予約の入っていないダンジョンを見付けたらしい彼女が、再び車を発進させた。
数分後、僕等が乗った車は、住宅街からは少し離れた林間の駐車場に到着していた。
車の停車位置から数m程の場所に、陽炎のように揺らめくゲートが見えた。
あのゲートの向こう側には、僕も何度か
僕は
「僕が先に降ります。
彼女が
駐車場に他に停まっている車は無く、周囲に他の人の気配も感じられない。
一応僕は、上空にも視線を向けてみた。
ティーナさんのドローン含めて、怪しい飛行物体は確認出来ない。
僕は運転席側のドアに近付くと、
そしてスモークが貼られ、内部の様子がさっぱり分からない窓を軽くノックした。
ドアが開き、僕の展開した
そして彼女は僕の左腕に自分の腕を絡めてきた。
期せずして彼女の柔らかい身体を押し付けられる形になった僕の鼓動が、一気に跳ね上がった。
「ちょ、ちょっと!? 近過ぎですよ?」
しかし彼女の方はそんな僕の様子を気にする風もなく、周囲に鋭い視線を向けながら問い掛けてきた。
「あなたの
防御半径?
つまり、どれ位離れたら
え~と、目算だと……
「多分、半径2m位は大丈夫ですよ」
ですから、そんなにくっついてこなくても大丈夫です。
そんな僕の心の声は当然届くはずもなく、
「分かりました。ではこのまま
こうして僕は、正体不明(?)の中国の情報機関の女性と腕を組んだまま、鹿畑第一ダンジョンに続くゲートを潜り抜ける事になった。
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