昼休み
「さっきの話の続きなんですけど」
「覗きの話か?言っておくが女同士でもその手の犯罪は成立するからな」
机をくっつけて、お互い向かい合う形で座っている
私の机の上にはお弁当が開かれてあり、藤ヶ谷君の机には購買で買ってきたパンが置かれている。因みに彼はこれでも食に関して大分マシになった方で、初めて一緒に食べた時はカロリーメイトとウイダーインゼリーだけでしたね
私の説得の賜物ですが、あれは今思い出しても衝撃的でした。それはさておき
「違います。私の着替えを覗きたいって言ったじゃないですか」
「そんなことは一言も言ってない」
「言いました、好きでもない奴の着替えなんて見て何が楽しいんだ、お前の着替えならまだしもって言いました」
「コピペって便利だよな」
「残念でした、今のは手打ちです。そうじゃなくて、藤ヶ谷君って私に気があると捉えていいのですか」
「めんどくさい女みたいなこと言い出したな。普段のめんどくささよりかは幾分かマシだけど」
「え、私って普段そんなに面倒ですか」
「面倒というより、鬱陶しい。少しは黙っていろと思う」
「えー、私って結構物静かでお淑やかですよ。深窓の令嬢ってやつですよ」
「そうだな、俺がいない時のお前は決して良い意味で使われない方のお淑やかだな、お前俺以外に友達いるのか、特に女子の友達。まぁそれは後で良いとして、俺といる時で三分以上黙っていたことあったか」
「さぁ、数えてないのでわかりませんが、流石にあるんじゃないですかね」
「俺の覚えている限りでは一度もない。何をそんなに喋ることがあるのか知らないが、お前は基本ずっと喋りっぱなしだ」
「でも、そんな私が嫌いじゃないんですよね。流石に私だって、好きでもない人の話を無視せずに聞かないことくらいわかりますよ」
「…さっきの質問と合わせて、好きに捉えればいい」
「はい、藤ヶ谷君は実は私のことが好きなんだけど、恥ずかしくてそれを表に出せない、ギャルゲーの主人公のような女の子の行動待ちの気質であると捉えますね」
「仮にも自分に好意を向けているかもしれない異性をそんな煽るか」
「惚れた弱みってやつですね」
「嫌いじゃないだけで別に惚れてもいない。さっきのお前の着替えならまだしも、という部分は、異性というよりは悪友の弱点を探りたいとかの意味合いが強いな」
「弱点ですか?」
「例えば下着のセンスが悪かったり、胸の大きさを気にしていたりとかな。それをネタに笑ってやろうって話だ」
「ふふん、残念ながら私結構下着のセンスはいいですし、スタイルもいいですよ」
「本当にセンスのないやつは、自分のセンスを自覚していないものだがな。スタイルは、まぁなんとなくわかっていたが」
「何なら上くらいでしたら見ていただいても構いませんよ」
体育の後特有の、普段よりも肌の露出が多い格好でありながら、さらに胸元のボタンを一つ開けた
ここで食べているものでも吹き出してくれたら可愛げがあるんですけど、藤ヶ谷君は淡々と、相も変らぬ覇気のない目で私を見ている
この男はきっとそういう感情をどこかに落してきたのだろう
「…私、藤ヶ谷君のそういうところ嫌いです」
「そうか、俺はお前のそういう、周りの目を気にしないところは好きだけどな」
まぁ、見られて減るもんじゃないですしね
ただ流石に、何の反応も示されないのは女として少しショックですね
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