Act.28 大天使ミカエル
「天使の像ではありましたが、先ほどの物よりも大きかった気がします」
「なんか、あのおっさんも攻撃してたけどまったく効いてなかったからな。ここで途方に暮れてたんだ」
(どういうことだ?・・・・神の使徒とやらは慈悲深いんじゃないのか?)
ニコラスを含める残った4人は、4つ目の文について考え始めた。
・神の使徒は慈悲深く、汝らの信心に免じ、神への面会をお許しになるだろう。
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1時間ほど経った。しだいに全員の集中力が切れ始め、ファビアンは貧乏ゆすりを始めた。
「おい、なんか思いついたんじゃねえの?」
「・・・・いや、今回はまったくわからん」
ニコラスにもお手上げだった。そもそもここまで来て合格なら4つ目の文はいらないはずだ。それなのに、ある。
(・・・・・こうなったら行くしかないよな)
「俺は行ってみる。着いてきたい奴は着いてこい」
相変わらずぶっきらぼうにつぶやいたニコラスは、唯一の道を歩き出した。後ろからは、シオンだけだがついてきた。
「よかったのか?」
「ええ。彼らに教授位は渡したくありませんから」
欲にまみれているセリフではあったが、不思議と不快感はなかった。変な男だと思いながら、ニコラスはタバコを右手に1本持った。
道は目測で100mほどあり、半分ほど歩いた時だった。いきなり地面が割れて、天使像が現れた。こちらは黄道十二宮の天使ではないようだった。
手には短剣を持ち、背中には立派な翼が生えている。シオンが手袋のようなものを手早く装着したのが、横目でもわかった。
警戒するシオンの前で、ニコラスはまったくといっていいほどに動揺していなかった。ジト目で見上げる天使の顔は不気味に口が耳まで裂けており、歪な笑みを浮かべていた。
(・・・こいつ、敵意がない)
「
緊張感に耐えかねたのか、シオンが魔法を放った。瞬間、天使像の眼があやしく光る。
「っ、横に飛べ!」
ニコラスが叫び、2人は道から外れるようにして倒れ込んだ。さっきまで立っていたところにはぽっかりと穴が開いており、煙が残っていた。
「なっ!、こ、こんな魔法、知らないぞ・・・・・」
シオンが驚愕の声を上げている。対して、ニコラスは冷静に天使像を眺めていた。
(今の、雷か?・・・・・てことは、この天使は)
「大天使ミカエル」
「え?」
「この天使の名前だよ。大天使ミカエルの怒りの
※次回更新 6月29日 21:00
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