Act.24 視線
「俺がウソついてたら魔法陣壊れるけど、いい?」
「「「「・・・・・・・・」」」」
ニコラスがふざけて言うと、魔法師たちはなんとも言えない表情を作った。無表情を保ったまま、彼らの様子を面白がったニコラスはファビアンの紙を受け取った。
書かれている記号は、「♎」。天秤座、十二宮で言えば天秤宮をさし、天使名は、ズリエル。
「天秤座」
「お、おう。サンキュ」
いまだにとまどっているファビアンに紙を投げ返し、参加者を見ると、全員が紙を差し出してきた。
(まあ、ここで止まられても困るの俺だし。いっか)
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全員の紙を見たところ、ルイズが処女宮、乙女座のハマリエル。ラッドが人馬宮、射手座のアドナキエル。シオンが双児宮、双子座のアムブリエル。
それぞれが石柱の魔法陣を起動させると、やはり中から天使の像が現れた。
「おお、これは見事・・・・」
ラッドが感嘆の声を上げた。その傍らで、ニコラスは2つ目の文について考えていた。
・星の形は魂の通貨によって神の使徒を示す
(星の形は星座だろ。んで、神の使徒ってのは天使か。てことは魂の通貨が血液ってことになるな)
魔法陣の作動条件を見つけてしまった時点で2つ目の文は意味をなさなくなっていた。次は3つ目の文だ。
・神の使徒は道と針を示し、汝らを神の住居へと導くだろう
周りを見れば、再び皆が頭を抱えていた。ルイズがちらちらとこちらを見てくるが、ニコラスは無視して紙に意識を戻した。
(神の使徒は天使だろうな。道はそのままだろうけど、針ってのはなんだ?・・・・・・方角か、時間か。まあ、どちらかだろう)
現れた天使像を調べながら、ニコラスは自分の世界に浸っていた。
(4つ目の文も考慮すると、たぶん紙の住居に行って、神とやらに会えば合格なんだろう。てことは、ここから移動するのか・・・・・?)
石像を調べてみたが、それらしい魔法的処理は施されていないように見えた。考えあぐねて周りの石像も遠目に観察してみる。
(方角だとしたら、指さすかなんかしてそうだけどな・・・・。時間だったら数字が隠されてるはずだし)
足元から頭にかけてじっくりと眺めていくと、なにか違和感を感じた。顔の部分に。
(・・・・・・・なんで瞳が前を見てないんだ?)
現れた5つの石像の瞳は、それぞれ同じ方向を向いていた。思わず声を上げそうになり、慌ててそっぽを向いた。
(あっぶねえ・・・・・。さて、どちらを向いてるんでしょうかね)
そおっと、うかがうように天使たちの視線の先を見た。
※次回更新 6月25日 21:00
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