Act.23 石柱
「ど、どうやって正しい石柱を当てたの⁉」
ルイズの甲高い声が部屋に響き渡る。相変わらずジト目でそれをつまらなそうに眺めたニコラスは、無視して石柱に向き直った。
「ちょ、ちょっと! 監督役のあなたが謎解きしてどうするのよ!。だいt」
「黙れ」
短く言い放ち、ニコラスは地面に吸い込まれるように降下していく石柱を眺めている。中からは少しずつ、なにかの石像が現れ始めていた。
「・・・・・ニコラスさん。よかったら我々にもあなたがわかったことを教えてもらえませんか?」
「そうだぞ、チビ。魔術師ごときが立場をわきまえろよ」
シオンが優しく提案し、ファビアンがそれを台無しにしていた。めんどくさそうに振り向いたニコラスは渋々口を開いた。
「古代の記録は、その紙。発見が火。星の形が星座。紙をあぶり出しすればわかる」
ニコラスが答えを口にしたとたん、全員がわき目もふらずにあぶり出しを始めた。ニコラスは、そんな彼らから視線を石柱に戻した。
(だいぶ出てきたな。・・・・・・天使像か、これ)
石柱の中から出てきたのは、天使の像であった。石像ながらも青みがかっており、胸元には水瓶を抱えている。
「ガムビエル・・・・・・
ガムビエル。黄道十二宮を守護しているとも、支配しているとも言われる黄道十二宮の天使の一人で、宝瓶宮をつかさどっている。
「おい、」
石像を調べようと一歩踏み出したニコラスに、野太く、無粋な声がかかった。今度はなんだと振り返ると、全員が紙を握り締めたまま立ち尽くしていた。
(なんで魔法陣を起動させないんだ?、こいつら。バカなのか)
「い、いえ。あの、その・・・・・」
ルイズがしどろもどろになる中、ラッドが口を開いた。シオンは恥ずかしそうに下を向いている。
「え~、我々にはこの記号の意味がわからないんだが・・・・・」
「・・・・・・は?」
「じいさんの声が聞こえてたろうよ。早く教えろ。この記号はどこの星座だ」
呆けているニコラスの目の前に、尊大な態度のファビアンが紙を差し出した。
「・・・・・あんたら、魔法師だろ」
「俺にそんな学があるように見えるかよ」
ファビアンがふてくされたように言った。まじまじとファビアンの顔を見つめたニコラスが、失笑しながら首を振った。
「てめえ!」
「ほら紙出せよ。見てやる」
「え、いいのか?」
ファビアンを含め、他の参加者も驚いている。まさか、承諾してもらえるとは思っていなかったのだろう。
「いい。ただし、俺が嘘ついてるかもしれないけどな」
(こいつら、からかい甲斐があるなあ)
※次回更新 6月24日 21:00
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