Act.21 第一の暗号


 「・・・・・・・」


 (正直、コンスタンスばあさんのこと出されなきゃ放っておくつもりだったんだが、あの人の機嫌は損ねたくないからな)


 めんどくさそうに、紙を見直した。最初の文面について考え始める。


 ・古代の記録は、人間最古の発見とともに星の形を示し、


 (星そのものの形は占星術で使わないだろうし、星の形ってな星座か? あとは、古代の記録と人間最古の発見だな)


 考えてみたものの、部屋には石柱くらいしかないし、天井にも星しかない。


 (魔法はわからんし。・・・・古代の記録っていうと、神話か?、いや違うな。文意が広すぎる)


 ファビアンは石柱の1つを蹴り飛ばしており、ラッドは静かに考えている。シオンとルイズは石柱の魔法陣を調べているようだった。


 (・・・・・・古代の記録って意味か、これ。てなると石版とか紙になるけど。まさか、この紙のこと指してんじゃないだろうな)


 ありえないとは思いつつも、それぐらしか思いつかなかったので次の「人類最古の発見」という言葉を考え始めた。


 しばらく皆が頭を抱えていると、またシオンが全体に向かって協力を持ちかけた。せめて、この部屋の謎を解くまでは協力しようというものだった。


 ファビアンはすぐに賛成し、ラッドも少し悩んだあと、賛成した。なぜかルイズは一言も発しなかったが、シオンの味方であることは明白だ。


 ちなみに、ニコラスには声がかからなかった。


 魔法師というのは、得てして魔術師を下に見る傾向がある。発動時間が短く、威力も高い魔法のほうが魔術よりも上だと認識しているからだろう。


 (ま、俺がいても役には立たないだろうし。でだ、「人類最古の発見」か)


 魔法関係の知識では、圧倒的に彼らのほうが上だ。となると、別の切り口が必要になる。食事のことかと思い、ふと昨日の夕食を思い出していると、ある物が意識に引っかかった。


 (・・・・火か? 人類最古の発見。火の発見とその使用だ)


 まだ確定ではないが、「古代の記録」の解釈も合わせると、


 ・紙は火とともに、星座を示す


 ニコラスはタバコ用のライターを取り出すと、隅のほうにしゃがんで紙をあぶった。古典的ではあるが、あぶり出しかと考えたのだ。


 数秒火を当てていると、文面が書かれた裏側に紋様が浮かんできた。


 「♒」


 「・・・・・宝瓶宮ほうへいきゅうか」


 「♒」、この記号は黄道十二星座の水瓶座を現し、黄道十二宮の宝瓶宮を指す記号だ。


 さっそく水瓶座の下にある石柱に近づこうとして、立ち止まった。


 (・・・・こいつらどうしよう)


 ※次回更新 6月22日 21:00

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