第29話 調査結果を聞く

 サカエラのおじさんは、次の日の夜には、メモの人物について調べ上げていた。


「親戚だというのは、本当みたいだねぇ」


 渋い顔で語るサカエラのおじさん。

 夕飯を終えると、私たちはサロンへと移動した。おじさんたちは、コーヒーを、私は、ミルクたっぷりのカフェオレを手にしている。


「正確には、この男はメリンダの従兄にあたるのかな」


 私の祖父にあたる人が、元々はマイア―ル伯爵家の長男だったらしい。

 しかし、祖父は跡を継がなかったらしい。今、私が平民であることでも、祖父は伯爵家から出奔でもしたのだろう。

 しかし、今ではマイア―ル家が男爵に降格しているということは、曾祖父か祖父の兄弟が何かやらかしたらしい、とのこと。だからこそ、知り合いの貴族の方でも知っていたとか。

 ……何をやらかしたのかは、聞かないでおこう。


「このマイア―ル男爵は、降格しているのにもかかわらず、今ではそこそこの資産家になっている。どうも、領地に新たな鉱山が見つかったらしい。その割に、メリンダが両親を亡くして一人になった時には、まったく援助もしなかったけど」


 サカエラのおじさんは、母の子供の頃からの知り合いのようで、母が苦労してた時期を知っている。それだからなのか、あまりいい感情がないようだ。


「しかし、なぜ今頃なのだ? メリンダが亡くなって、もう2年以上だぞ」


 そしてエルドおじさんは、普段見せない、ちょっと怒った顔をしている。


「わからん……とりあえず、もう一度向こうから接触してくるのを待つか」


 天井を睨みつけるサカエラのおじさん。

 下手に自分から行く方が、相手の思惑がわからない以上、危険ということらしい。


「……私はむしろ、どうやって、私にたどりついたのかが気になりますけど」


 だって学校生活では、できるだけ目立たないようにしてきた。

 友人らしい友人もいない。特に貴族とは関わらないようにしてきた。

 ……今、目の前には国王陛下がいらっしゃるけど。


「……可能性としては、もともと存在は知っていたが、接触するほどではなかったか」


 メモを睨み付けるエルドおじさん。


「男爵たちとは関係ない、第三者が関与しているか」

「第三者って?」

「私に関わる誰かとか」


 思わずキョトンとしてしまう。


「なんで?」

「おやおや、レイは忘れたのかい? 君がイレーナに私の隠し子と誤解されたことを」

「だって、それだって、誤解は解けたでしょ?」

「ああ。でも、それは、我々身内の中でだけだよ」


 エルドおじさんは、コーヒーカップをテーブルに置いて、私をジッと見る。

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