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本を返却し、2人の所に急いで戻った。そして、2人とともに食堂に向かった。
医学部の食堂は、看護学科棟の隣に建てられている。お昼なので、たくさんの人でいっぱいになっていた。
学生だけでなく、教員や附属病院の職員も見えた。私たちは、列に並び、それぞれの食事を選ぶと、1つのテーブルに集まった。
案の定、みんながこちらに注目していたわけだけど、ノエルとヴェス王子は、慣れているのか、なんともない様子で、食べていた。
「それでさっき会った時は浮かない顔をしていたが、どうしたんだ??」
「えーと」
「クラスメイトから距離を置かれたとか??」
向かいに座るヴェス王子は、カツ丼を食べながら、尋ねてくる。
この世界って日本食あるんだ。隣にいるノエルは、ちゃんぽんを食べていた。ちなみに私は、軽いものがいいと思ったので、レタスとハムと卵のサンドウィッチ。
「はい。私が貴族であることが、気に食わないと思っている方がいらっしゃって……」
貴族出身なんて生まれた時からなんだから、私にはどうしようもないのよね。
すると、ヴェス王子は、お箸を持つ手を止め、何かを思い出すかのように上を見る。
「あー。僕も初期にあったなぁ」
「ん?? 俺はなかったぞ」
「ノエルは圧がすごいし、君は、困ったことがあったら、積極的に自分から話しかけにいく人だからね」
「確かにそうだな」
「僕は、第1王子だからと理由で、かなり距離置かれていたし、お遊びで来たんじゃないかとか言われたときもあった」
そんなこと言うんだ。
「でも、僕が必死に頑張って勉強していると、みんな徐々に『アイツ、本気で来ているんだ』て思うようになったらしい。ね、ノエル??」
「ああ。俺はヴェスが遊びで来ているのかと思った。よく愚痴ってたな」
あの時は悪かったな、とノエルは、ヴェス王子に謝る。
言ってたの、ノエルかい。
まぁ、私もクローディアスがこんなところにいたら、遊び半分で来たのだろうなと思うかもしれないけど。
「だから、ルナメアさんも頑張ってたら、みんな君の努力を認めてくれる。1年生って分からないことだらけだし、不安もある。そのうち、打ち解けてくるさ」
ヴェス王子は、安心させるかのようにニコリと笑う。
「そういや、解剖の方、大丈夫??」
「解剖ですか?? あ、はい。先生の書くペースが早くて、ノートを取るのがとても大変ですけど、なんとかやってます」
「気を付けて。その先生、医学部では『留年シューター』って言われているから」
「『留年シューター』??」
私が首を傾げると、兄ノエルが説明してくれた。
「名前の通り、その先生のテストで留年させられるんだ。俺たち医学科は、2年生頃にその先生の授業がある」
「今年だ」
「その先生、本当にガンガン落としていくから。それにこの学部は他のところと違って、必修科目の単位を落とせば、容赦なく留年行き。お互いに頑張ろうね」
ふぇー。留年は嫌だな。
看護師として働くのが、1年遅れちゃう。
よし。それなら、もっと解剖の勉強をしておこう。
そうして、兄ノエルとヴェス王子とともに、私はためになる昼休みを過ごしたのだった。
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