瑞々しい文体

初めまして。

全編通して一気に拝読しました。
個人的に感じたままを一筆啓上。

主人公のスタートラインからして、我々にとっては未来、という設定が興味深く感じました。
そして世界観の作り込み方も、入念になさったのだろうと感じられました。

ただ、それだけに設定が伝わりきらぬまま終わった印象があり、そこを残念に思います。
例えば、『地球と火星の人口の割合』。
どちらにどれだけ、そもそも未来にどれだけの人口があったのかが解らなかった。
それが解れば、人口密度などで街中の寂れ具合が表現できたのではないかと思います。

他には『時間の流れる感覚』が、時に急すぎて認識が追い付かない場面がいくつかあったと感じます。
具体的な時間の表記、これが省かれる事で、いささか混乱しました。

それと『終わる世界』でありながら、学校に通う事や、進学といった要素に対し、必要性がそこまで感じられなかった。
勿論学校で調べ物や、心理学的アプローチの学習をしたのは、必要で理由も明確でしたので、そういうツールとしてはとてもいい使い所だったと思います。

台詞回しは軽妙で、くすっと笑わせる部分があり、センスがあるんだなぁと感じ入りました。

最後に、これはあら探しではなく、『もっとこういう所が細かく読みたかった!』という願望です。
きっと次回作の構想を練られておられる事でしょう。
楽しみにしております。