第14話 作戦の最終段階

 アシダー党からの協力は完全に予想外だった。真夜中だったが、近所の空き地に緊急で集まって話し合った。


 結論としては、SNSでデータが送られてきたという報告が多数来ていることから嘘ではないのだろう。そして、火星側を劣勢に立たせることが先決だ考えたのだろうということになった。


 思わぬ進展だが、これは工業の発展に大きく役立った。現に、工業発展は著しく加速した。


 アシダー党は大きな後ろ盾だ。これで地球上のほとんどが俺たちの協力者になってくれた。


 あと少しで俺らの計画も終わる。


 紗耶香と一緒にいる口実がある期間もあともう少しということだ。




 地球上の工業の回復、発展は関係者じゃない俺達でも感じられるほどになった。


 「最近工業の発展を感じる機会が増えてきたな。」

 「えぇ。プラスチックも、衣服もすべての品質が上がって、値段が安くなったしね。」


 確かにそうだ。来た当初は俺が暮らしてた世界より圧倒的に物価が高かったが、最近は圧倒的にこっちの世界の方が物価が低い。


 輸入みたいにこっちの世界の物を持って帰れればいいのにななんて考えるほどだ。



 予想よりもアシダー党のおかげで早く発展してきたので次の作戦に移ることにした。

 

 「ここまで発展してきたなら次のステップに進んでもいいんじゃないか?」

 「確かに。じゃあもう投稿してしまいましょう。」


 

 計画を始めたときにあった緊張感はいい意味で、もうない。


 “最近工業の発展をとても身近に感じることができるようになってきました。本当に皆さん協力ありがとうございます。しかし、発展しただけでは自己満足に過ぎません。皆さんに最後のお願いです。地球の発展がわかるような投稿をSNSにして火星側にアピールしましょう。これが成功すれば、あともう少しで終わります。”


 

 この投稿を皮切りに火星側に地球の発展をアピールするような投稿が爆発的に増えた。


 “街角にあったゴミ箱むちゃくちゃ最新!#地球の発展”


 “AIロボットの発表会に行ってきた。発展しすぎて怖いくらい!これで火星なんかこわくない。#地球の発展”


 “海辺の港がマジヤバイ!さっきから物資が輸入されたり、輸出されたり忙しそう。#地球の発展”


 “The Earth technology is better than the Mars technology!#Earth development”


  どんどん投稿が増えていって火星に移住していた市民たちもこの投稿を目にするようになった。


 

 かなりの影響力だったせいで火星から前のものとは比べ物にならないほどの圧力を受けた。


 アカウントも数個凍結された。


 そしてすべてに終止符を打つような返信が火星側から来た。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る