第9話 お嬢様の依頼

 高子の依頼をこなし、好き勝手やっていたらいつの間にか時が過ぎていた。依頼はたいていメール等での連絡なのだが、塾の帰り。家につくと高子がいた。

「え、どうした? 中に入っててもよかったんじゃないのか?」

「今日は依頼に来たの」

「うん?」

 普段ならメールで済ますのにわざわざ何でだ。

「性転換薬って作れる?」

「え!? いや、多分、作れると思う。けど、何で急に?」

 メールに残したくないからだろうか。

「何かあった時のために」

 まあ、最近は何かと物騒だ。別に過去を知っての事ではないが。

「いいよ」

「ありがと」


 後日。

 思っていたよりも時間はかかったが完成した。

 効果は確認済みだが誰も彼もに効果があるかまでは分からない。まあ、薬ってそんなもんだろう。

「ホイ」

「ありがと」

「あと、これも」

「何? もう1つ? でも、別物?」

「ああ、こりゃもとに戻すやつだ。だけど、そもそも効くかは分からん。サンプル数はどうしても足りない。足りなさすぎる。効果の長さも分からん。けど、一応効いたから大丈夫だ」

「分かった。ありがと」

「おう」

 不審者に悩まされているのだろうか。それなら大理をつければって四六時中って訳にもいかないか。

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