第五幕


 第五幕



 イスタンブールの新市街の中心的な施設である、タクスィム広場。そのタクスィム広場から程近い街路沿いに建つホテル・エルサレムの最上階の一室に、アデーレとクンツの二人は軟禁されていた。

「ねえクンツ、いつになったら、あたし達はお外に出られるの?」

「もう暫くの辛抱だよ、アデーレ。辛抱していれば、必ず私達の仲間が助けに来てくれる筈ですから。それまでは、我慢していなさい」

「うん、あたし、我慢する」

 決して高級とは言えないホテルの狭苦しい客室の簡素なベッドの上で、不安げなアデーレとクンツは肩を寄せ合いながら、母国語であるドイツ語でもって互いを励まし合う。そしてそんな二人を、客室の出入り口を塞ぐように置かれた椅子に座る一人の女性が無言のまま睨み据え、片時も眼を離す事無く監視し続けていた。その女性はブルネットの髪を短く刈った若い女性であり、大きな絆創膏が貼られた下顎に浮かぶ青痣が痛むのか、眉間に深い皺を寄せて不機嫌さを隠そうともしない。

「なあ、そこのキミ」

 クンツが、ブルネットの髪の女性にドイツ訛りの英語で尋ねる。

「私達は、これからどこに連れて行かれるんだい? ここから逃がしてくれとまでは言わないから、せめてそのくらいの事は教えてくれてもいいだろう?」

 しかしブルネットの髪の女性はクンツを睨み据えたまま、一切の返答を拒んだ。ちなみに彼女は、三日前の深夜にイェニカプ港でアデーレの母親を騙ってバーバラに殴打された女性と同一人物であり、下顎に浮かぶ青痣はその際に負った傷である。

「英語が理解出来ないって訳じゃないんだろう?」

 クンツの問いに、やはりブルネットの髪の女性は答えない。

「ねえクンツ、あたし、お腹空いちゃった」

「なあキミ、どうやらアデーレがお腹を空かせているらしいんだ。お菓子か何か、簡単に食べられる物を分けてもらえないかい?」

 無駄だと理解しながらも、クンツは再度、ブルネットの髪の女性に要求した。すると彼女は椅子から腰を上げ、キャビネットの上に置かれていた近所のドラッグストアの紙袋を漁ると、中からビスケットの紙箱を取り出す。そしてそのビスケットの紙箱を、無言のままクンツに投げ渡した。

「ありがとう」

 クンツは一応の礼を言い、紙箱の中から取り出した数枚のビスケットをアデーレに与えると、彼女はそれを食べて空腹を紛らわせる。そしてそんなアデーレの痛ましい姿を横眼で眺めながら、クンツはこのホテルからの脱出計画について考えを巡らせていた。

「……」

 ホテルの客室内に限定するならば、ブルネットの髪の女性以外に、アデーレとクンツの二人を睨み据える監視役は存在しない。しかし客室の外、つまりホテルの廊下やロビーに眼を移せば話は別で、数人の武装した男達が警戒状態を維持しながら建屋内の各所に配置されている事をクンツは知っている。狭所での戦闘に長けた人間ならともかく、丸腰の彼一人の技量のみでもって、しかも小さなアデーレが一緒では、ここから逃げ出す事はほぼ不可能としか考えられない。

「やはり駄目か……」

 クンツがそう呟いて諦め掛けた次の瞬間、一発の銃声が階下で鳴り響いた。そしてその一発を皮切りに、断続的な銃撃戦の音と気配とがホテルの廊下を徐々に移動しながら、次第にこちらへと近付いて来る。

「こちらא《アレフ》1 、どうした? 何があった? 応答せよ!」

 監視役であるブルネットの髪の女性が初めて口を開き、彼女の耳に装着されたイヤホン型の無線通信機に向かって、ヘブライ語でもって状況を確認しようと試みた。しかし通信機の向こうの仲間達も混乱しているらしく、どうにも要領を得ない返答が耳に届くばかりで、如何ともし難い。

 やがて五分と経たぬ内に、銃声の発生源は、アデーレとクンツが囚われているホテルの最上階に到達した。すると銃声に混じって、女性の声による奇妙な歌が聞こえて来る。


 スパムスパムスパムスパム♪

 スパムスパムスパムスパム♪

 スパムスパーム♪スパムスパーム♪

 スパムスパーム♪スパムスパーム♪


 アメリカ合衆国のホーメル食品が製造する豚挽き肉の缶詰を意味する『スパム』を陽気な節に合わせて連呼するその歌は、往年のコメディ番組『空飛ぶモンティ・パイソン』の挿入歌の一つであり、俗に言う『スパムメール』の語源ともなった『スパムの歌』であった。

「こちらא《アレフ》1 ! 応答せよ! 応答せよ!」

 混乱するブルネットの髪の女性を他所に、銃声と歌声、それにホテルの廊下を悠々と歩く一際大きな足音は接近し続ける。すると唐突に銃声と歌声が止んだかと思えば、それとほぼ同時に、アデーレとクンツが囚われている部屋の前で足音もまた止んだ。部屋の中に留まった三人全員が、薄いドア一枚隔てたホテルの廊下に、歌声と足音の主の気配を感じ取る。そしてブルネットの髪の女性は、ジャケットの下に隠されていたショルダーホルスターからベレッタ拳銃を抜くと、閉じたままのドアに向かってそれを構えた。

「何者だ! 姿を現せ!」

 ベレッタ拳銃を構えたブルネットの髪の女性の言葉に呼応するかのように、ゆっくりとドアが開く。すると果たして、ホテルの廊下に立っていたのは、両手にモーゼル拳銃を構えた褐色の肌のバーバラだった。

「よう、また会ったな。顎の具合はどうだ?」

 猟奇的にほくそ笑みながらそう言ったバーバラは、横目でちらりとベッドの上に視線を移し、アデーレとクンツが無事である事を確認する。

「またお前か!」

 恨みを込めた怒号混じりに、ブルネットの髪の女性はバーバラに銃口を向けたベレッタ拳銃の引き金を引き絞った。すると続け様に数発の.22LR弾の弾頭が射出され、金色に輝く真鍮製の空薬莢が次々に宙を舞う。しかしバーバラは身を翻し、射出された全ての弾頭を紙一重のタイミングでもって回避すると、一瞬にしてブルネットの髪の女性に詰め寄った。そして左手に握ったモーゼル拳銃の銃口を彼女の眉間にぴたりと押し当て、両者の形勢は完全に逆転する。

「くっ……」

 ブルネットの髪の女性は銃口を眉間に押し当てられたまま歯噛みし、動く事が出来ない。

「子供の眼の前だ。特別に殺さないでおいてやるから、感謝しな」

 ほくそ笑みながらそう言ったバーバラはモーゼル拳銃の引き金を引く代わりに、煉瓦の様に硬い右の拳でもって、ブルネットの髪の女性の下顎を殴り抜いた。彼女がバーバラに殴られるのは、イェニカプ港での一件に続いて、これが都合二度目である。そして前回に引き続き、骨が砕けんばかりの人並み外れた膂力でもって下顎を殴り抜かれたブルネットの髪の女性は白眼を剥くと、まるで糸が切れた操り人形の様にその場に昏倒した。彼女の手を離れたベレッタ拳銃がホテルの床の上をからからと転がり、バーバラはそれを拾い上げる。

「やっぱりベレッタM70か。こりゃこいつらの正体は、決まったも同然だな」

 意味深な口調でもってそう言うと、バーバラは拾い上げたベレッタ拳銃を、ホテルの客室のトイレの便器の中に無造作に放り捨てた。ちなみに前回のベレッタ拳銃はバーバラの手によってマルマラ海に投げ捨てられたので、これは新たに支給された別の拳銃である。

「バーバラ!」

 簡素なベッドから床へと降り立ったアデーレが、バーバラの名を呼びながら彼女に抱き付いた。

「ようアデーレ、無事か? バーバラお姉ちゃんが助けに来てやったぞ。さあ、こんな狭くて汚い安ホテルなんかとは、とっととおさらばだ」

 そう言ったバーバラはアデーレを抱きかかえると、腕の中の彼女に命令する。

「アデーレ、廊下には怖いお化けがいっぱい居るから、あたしと一緒にホテルを出るまで眼を瞑っていろ。いいな?」

「うん!」

 命令されたアデーレはバーバラに抱きかかえられながら、ギュッと固く眼を瞑った。

「クンツ、置いて行かれたくなかったら、あたしの尻にぴったりついて来い。遅れるなよ、この童貞の早漏野郎め」

「ああ、だが済まないが、ちょっとだけ待ってくれ」

 アデーレを抱きかかえたバーバラに向かってそう言うと、クンツはホテルの床に突っ伏したまま昏倒しているブルネットの髪の女性の胸元をごそごそとまさぐる。

「何だ? 気を失ってんのをいい事に、その女の乳でも揉んでんのか? ただの童貞かと思ったら、とんだ変態野郎だな!」

「まさか! この女性に取り上げられたこれを、取り戻していただけです!」

 心外だとでも言いたげにそう抗言したクンツの手には、彼の私物らしき古惚けたルガー拳銃が握られていた。どうやらアデーレと共にこのホテルまで拉致されて来る際に没収されたその拳銃を、この機会を見逃さずにわざわざ回収したらしい。

「そんなカビと錆だらけのオンボロ拳銃、放っておけよな」

「そうは行きません! これは今は亡き祖父が私に残してくれた、大事な形見なんですから!」

 クンツはそう言って、骨董品同然のルガー拳銃をジャケットの内ポケットに収めた。

「分かった分かった、好きにしろ、このフケ専の近親相姦野郎め」

 呆れ顔のバーバラはアデーレを抱きかかえたまま、改めて客室を後にする。そして彼女らがホテルの廊下に一歩踏み出してみれば、そこは真っ赤な鮮血と灰色の脳漿にまみれた幾つもの死体がごろごろと転がる、死屍累々の地獄絵図が展開されていた。どうやらそれらのダークスーツに身を包んだ死体はブルネットの髪の女性の仲間達であり、アデーレとクンツを救出するべく憂さ晴らしも兼ねた殴り込みを敢行したバーバラによって、敢え無く一方的な虐殺の憂き目に遭ったらしい。

「ああ、糞、お気に入りのブーツが汚れたらどうしてくれるよ」

 死体の山を築いた本人であるバーバラが、忌々しそうに毒突いた。そしてこの凄惨な光景、即ち、まるで肉屋の解体現場の様な血と肉に染まった無慈悲極まりない光景こそ、彼女が『肉屋』と呼ばれる所以である。

「いいかアデーレ、しっかり眼を瞑ってろよ」

 血生臭い死臭が漂うホテルの廊下を闊歩するように歩きつつ、バーバラが改めて、抱きかかえたアデーレに命令した。しかし命令されたアデーレはついつい好奇心に負け、そっと薄眼を開けてしまう。すると脳天が吹き飛ばされた死体の山こそ眼にしなかったものの、真っ赤な血飛沫に染まったホテルの床と壁とが視界に飛び込んで来たので、彼女は慌てて眼を瞑り直した。そして彼女ら二人の背後を、やはり死体を見慣れていないクンツが、鮮血と脳漿とを踏んで靴を汚してしまわないように爪先立ちになりながら付き従う。

「アデーレ、もう眼を開けてもいいぞ」

 やがてエレベーターで階下に下って無人のロビーを抜け、ホテル・エルサレムを後にしたバーバラが、アデーレに眼を開ける事を許可した。許可されたアデーレは恐る恐る眼を開けると、もう怖いお化けも凄惨な死体も近くに転がっていない事を確認し、ホッと胸を撫で下ろす。

「さあ、帰るぞ。クンツ、お前も特別に後ろに乗せてやるから、一緒に家まで来い。言っておくが、どさくさに紛れてあたしの乳を揉んだりなんかしたら、その時は躊躇無くぶっ殺すからな」

 ホテルの前に停めてあったZ900RSに、アデーレを抱きかかえたまま跨ったバーバラが、クンツに警告した。

「あ、ああ、分かった。気を付けよう」

 警告されたクンツはバーバラの背後のタンデムシートに跨ると、乳房に触れないように細心の注意を払いながら彼女の胴に腕を回し、身体を密着させる。

「おいクンツ、あんまりくっ付くな。男に触れられているだけでも虫唾が走るってのに、そんなに密着されたら吐き気がする」

「済まない。だが、今は我慢してくれ。バイクの二人乗りなんて初めての経験なんで、どうにも勝手が分からないんだ」

「ったく、しょうがねえなあ。これだから男は嫌いなんだ」

 ぶつぶつと愚痴を漏らしながら、バーバラはイグニッションキーを回して愛車のエンジンを始動させた。ハンドルを握る彼女とアデーレ、それにクンツの三人を乗せたZ900RSは、夕闇が迫りつつあるイスタンブールの街を駆け抜ける。そして新市街のカラキョイ地区を経由してガラタ橋を渡り、旧市街のエミニョニュ地区へと至ると、やがてバーバラの自宅であるアパートメントの前でZ900RSは停車した。

「ただいま、エマ。ベッドは温めておいてくれたかい?」

 アデーレとクンツを背後に従えながら帰宅したバーバラは、玄関まで出迎えに来てくれたエマと熱い抱擁を交わす。

「お帰り、バーバラ。良かった、アデーレも無事だったみたいだね」

 そう言ったエマは膝を曲げて身を屈め、小さなアデーレとも熱い抱擁を交わしたが、男であるクンツは敢えて無視した。てっきり自分もまた抱擁してもらえると思っていたクンツは拍子抜けし、所在無げにその場に立ち尽くす。そして家主であるバーバラと彼女に救出されたアデーレとクンツ、それに留守を任されていたエマを加えた四人はアパートメントのリビングへと移動すると、革張りのソファに腰を落ち着けた。

「さて、クンツ」

 キッチンの冷蔵庫から取り出したエフェスビールをぐびぐびと一息に飲み下し、喉を潤し終えたバーバラは、改めてクンツに尋ねる。

「一体、アデーレとお前は何者なんだ? それに、お前らを拉致した連中の正体も知りたい。一介の素人が金で雇ったならず者にしては練度が高過ぎるし、装備も不審だ。そろそろ本当の事を話さないと、力尽くで聞き出す事になるぞ? ん?」

「それは……」

 バーバラに尋ねられたクンツは言葉を濁し、もごもごと口篭った。そして彼は意味深な視線でもって、隣に座るアデーレをちらりと見遣る。どうやら彼女の前では、全ての真相を口にする事ははばかられるらしい。

「なあエマ、済まないが、アデーレと一緒に寝室で遊んでやっててくれるか?」

「うん、分かった。それじゃあアデーレ、バーバラとクンツはこれから大人のお話があるから、それが終わるまではあたしと一緒に寝室で遊んでようね? スマホで面白い動画も観れるよ?」

 クンツの意図を察したバーバラの要請を受け、エマはアデーレを連れて寝室へと足を向ける。

「猫ちゃんも一緒でいい?」

「いいよ、スィヤフも一緒に遊ぼうね」

 黒猫のスィヤフを胸に抱きかかえたアデーレは、エマと共にリビングを後にした。そして二人が寝室に姿を消したのを確認してから、クンツは重い口を開く。

「まず初めに白状しますと、私とアデーレとは実の親子ではありません。私は彼女の母方の叔父で、彼女は私の妹の娘、つまり姪です。そして私自身は未だ独身であり、離婚した妻と言う女性も実際には存在しません。真っ赤な嘘です。これらの虚偽の説明を繰り返した件に関しては、率直に謝罪させていただきます。申し訳ありませんでした」

「まあ、そりゃそうだろうな。あたしもエマも、そのくらいの事には気付いていたさ。なにせ、血の繋がった実の父親を名前ファーストネームで呼び捨てにする幼い娘なんて、傍から見たら不自然に決まってる」

 バーバラがそう言うと、クンツは決まりが悪そうにぽりぽりと頭を掻いた。どうやら自分が吐いた嘘がこうも簡単に看破されていたとは、思ってもみなかったらしい。なんとも純朴と言うか純粋と言うか、とにかく単純な男である。

「だとすると、まずは何からお話ししましょうか?」

「まずは、お前の所属と階級を言え。捕らえた捕虜を尋問する際に最初に尋ねる、最も基本的な質問だ」

 二人きりのリビングで、バーバラが高圧的な口調でもってクンツに尋ねた。

「そうですね、それではお聞きしますが、あなたは『ODESSA《オデッサ》』と言う単語の意味はご存知ですか?」

「ウクライナの都市名だ。確か、映画『戦艦ポチョムキン』の舞台になった街だな。いくらあたしでも、そのくらいは知っている」

「いえ、残念ながら、そのオデッサではありません。英語で表記した際の綴りは同じですが、私が言うところのオデッサとは『Organisation der ehemaligen SS-Angehörigen』の略称で、第二次世界大戦終結直後に結成された、ナチ党の元親衛隊員の国外逃亡を手助けする組織の事です」

 ナチ党と聞いたバーバラの眉間に皺が寄り、怪訝そうにクンツを睨む。

「クンツ・エルメンライヒと言う私の名前と、私とアデーレとがアルゼンチンに住んでいたと言うのは紛れもない事実です。ですが、二人ともドイツで生まれ育った訳ではありません。より正確に言うならば、私達の両親や祖父母が終戦直後にドイツからアルゼンチンへと移住した、ドイツ系アルゼンチン人です」

「つまり、その両親や祖父母と言うのが……」

「ええ、そうです。先程述べたオデッサによって国外逃亡を手助けされた元ナチ党の親衛隊員であり、今もなお戦犯として国際指名手配されているものですから、その子孫である私達が素性を明かせなかった事をご理解ください」

「なるほど、まあ、お前らが素性を明かせなかった理由はだいたい理解出来た。しかし国際指名手配されているのは、あくまでも第二次世界大戦中にナチ党の親衛隊員だったお前らの先祖だろう? だとしたら、法的には何の罪も無い筈のお前やアデーレが、そこまで神経質になる必要はあるのか? 第一、当の先祖本人が未だ生きていたとしても、もう百歳近いよぼよぼで死に掛けのミイラだろうに」

 バーバラはそう言うと、干涸びて皺だらけのミイラになったナチ党の親衛隊員を想像しながらほくそ笑んだ。だがそんな彼女に、クンツはより深刻そうな表情と声色でもって告白する。

「そうですね、拉致されたのが私だけでしたら、その理屈も通じるでしょう。私の祖父はナチ党の党員で親衛隊の高級将校でしたが、その孫である私自身は一介のドイツ系アルゼンチン人に過ぎませんからね。ですが、アデーレは違います」

「違う? 何がだ?」

「彼女の本当の名前は、アデーレ・ヒトラー。かつて国家社会主義ドイツ労働者党、いわゆるナチ党の党首を務め、第三帝国の偉大なる指導者だったアドルフ・ヒトラー総統閣下の孫娘です」

 予期せぬクンツの告白を耳にしたバーバラは、手を叩きながらげらげらと声を上げて笑い出した。そしてひとしきり笑い終えると、今度は一転、まるで小馬鹿にするような眼差しと口調でもってクンツを問い質す。

「見え透いた嘘吐いてんじゃねえぞ、この童貞インポ野郎が。いくら学が無いあたしだって、ヒトラーには息子も娘も居なかった事くらいは知ってるからな」

「ええ、確かにあなたの仰る通り、総統閣下とその恋人であり妻でもあったエヴァ・ブラウン様との間には、ご子息もご息女も誕生されてはおりません。残念ながら生前のお二方は、子宝には恵まれませんでした。ですが、総統閣下が他の女性とも関係を持っていたとしたら、話は別です」

「ほう?」

 真剣な面持ちで語り始めたクンツの言葉に、バーバラが興味を示した。

「アンゲリカ・ラウバルと言う名の女性をご存知ですか?」

「いや、知らん」

「アンゲリカ様は総統閣下の腹違いの姉上の娘、つまり、総統閣下の実の姪にあたる女性です。そして生前の総統閣下は、近しい血縁者の中でも特にアンゲリカ様に眼を掛け、いたく寵愛されておりました。それはもう叔父と姪との関係を超越していると言っても過言ではなく、一時は彼女が他の男性と懇意にならないように、閣下の第二の邸宅であるベルクホーフの別荘に半ば強制的に住まわせていた程です」

「それで、その後、二人はどうなった?」

 バーバラが問うと、クンツは深い溜息を漏らしながらかぶりを振る。

「そして遂に、総統閣下とアンゲリカ様とは、本当に一線を越えてしまわれました。一つ屋根の下に暮らす叔父と姪と言う、まさに親子も同然の親密な関係でありながら、男女の契りを交わしてしまわれたのです。しかもその禁断の行為の結果としてアンゲリカ様は懐妊され、やがて十月十日後に、一人の男児を出産されました」

「ふうん、あたしが聞いた話ではヒトラーは種無しかインポテンツだったらしいが、その説は事実に反するって訳か」

 男性器に見立てた中指を切断する下品なジェスチャーと共に、バーバラが尋ねた。

「まさに、仰る通りです。確かに総統閣下は第一次世界大戦に従軍した際に左鼠径部を負傷され、それが原因で生殖機能を失ったとも言われていますが、実際には子孫を残す事が可能でした。しかし閣下のご子息であられるアダム・ヒトラー様は、その生まれの不幸以外にも、多くの問題を抱えておられたのです」

「つまり?」

 問い質すバーバラに、クンツは問い返す。

「……お尋ねしますが、あなたは『T4作戦』と言う作戦名に聞き覚えは?」

「聞き覚えはあるが、詳しくは覚えてないな」

「T4作戦は、第二次世界大戦の戦前から戦中に掛けてナチ党の主導によって行われた、安楽死政策の俗称です。社会ダーウィニズムに端を発する優生学的な見地から、ドイツ領内の各種障害者や同性愛者などの劣等分子を『生存するに値しない命』と規定し、一酸化炭素による組織的なガス殺が実行されました。現代の先進国の倫理観に照らし合わせれば、決して許されない蛮行です」

「遺伝子に問題がある障害者だけでなく、同性愛者も劣等分子扱いか。だとしたら、あたしやエマもその『生存するに値しない命』とやらに含まれるな。それで、そのT4作戦とやらが、ヒトラーの息子とどう関係する?」

 答えを知り得た上で、バーバラは底意地が悪そうににやにやとほくそ笑みながら身を乗り出し、敢えてクンツに尋ねた。

「総統閣下の一粒種のご子息であられるアダム様は、不幸にも、生まれながらにして重度の知的障害と発達障害を患っておられました。しかも先天的に全ての四肢が欠損し、他者に介助してもらわなければベッドから起き上がる事すらままならない、やはり重度の身体障害者でもあられたのです」

「だから、そのアダムとか言うヒトラーの息子の存在は世間に公表されなかったと」

「慙愧の念に堪えませんが、仕方の無い事だったんです。T4作戦で多くの無辜の民の命を奪っておきながら、その作戦の実行を命じられた総統閣下ご自身のご子息が障害者だと言う事実が国民の知るところとなれば、閣下と党の権威は地に落ちかねません。しかもアダム様は近親相姦の結果として生まれた私生児ですから、尚更です」

 沈痛な面持ちでそう言ったクンツは、再びかぶりを振る。

「悩み抜かれた末に、総統閣下はアダム様を、人里離れたベルクホーフの別荘の一室に隠匿する事を決定されました。やろうと思えばアダム様の存在そのものを闇から闇へと葬り去る事も可能だったのでしょうが、たとえ不肖の息子であっても、愛する我が子に処刑宣告を下す事は出来なかったのです」

「なるほどねえ、歴史に名を残す世紀の独裁者も、所詮は人の親だったって訳か」

 皮肉混じりにそう言ったバーバラは、やはり手を叩きながらげらげらと声を上げて笑った。するとそんな彼女の姿を憮然とした表情で見据えつつ、クンツは語り続ける。

「そうこうしている内に、やがて独ソ戦を契機にヨーロッパでの戦況が悪化すると、私の祖父は親衛隊全国指導者と全ドイツ警察長官を兼任するハインリヒ・ヒムラーにより、アダム様を連れて南米大陸に亡命せよとの極秘指令を下達されました。そして終戦直後のどさくさに紛れて、先に述べたオデッサの手を借り、祖父とその指揮下にあった親衛隊員らはアダム様をアルゼンチンへと移住させたのです」

「だとすると、アンゲリカとか言うアダムの母親はどうした? 一緒にアルゼンチンに亡命したのか?」

「いえ、アンゲリカ様は大戦勃発の七年も前の1931年に、ミュンヘンのご自宅で拳銃自殺されました。自殺の動機には諸説ありますが、我々親衛隊は、アンゲリカ様ご自身とアダム様の将来を悲観して衝動的に命を絶ったものと理解しております」

「近親相姦で生まれた私生児で、先天性の重度の障害者で、おまけにあたしと同じ孤児と来たか。こりゃまたヘレン・ケラーも真っ青の見事な三重苦だな、おい」

「僭越ながら、笑い事ではありませんよ」

 クンツは嗜めるが、バーバラは意に介さない。

「それで? 戦後にアルゼンチンに移住してから、そのアダムとやらはどうなった?」

「祖父とその部下らはサンタ・ロサと言う小都市の郊外で古い邸宅を買い取り、そこで共同生活を営みながら、サトウキビ農場の農場主とその使用人に身をやつしました。当時はヨーロッパでの戦火と混乱を逃れて入植する白人移住者も珍しくなかったため、誰にも怪しまれる事無く、現地の風俗風習に溶け込めたと聞いています。おかげで戦犯として当局から追われる身であった祖父も、一度たりとも逮捕も拘留もされないまま、彼の地で短い生涯を閉じました。そして今は亡き総統閣下の遺志を継いだ我々は、その邸宅の最上階の一室で、祖父の死後もアダム様に隠遁を強いたのです」

「つまり、死ぬまで屋根裏部屋に監禁してたって事だろ? 違うか?」

「聞こえは悪いですが、有り体に言ってしまえば、確かにその通りです。しかしアダム様は生まれつき四肢が欠損している上に、自分で自分の名前が理解出来ない程の知的障害と発達障害を患っておいででしたから、自由な外出を許可する訳には参りませんでした。いえ、そもそも外出を許可していたとしても、アダム様は自力で歩く事も車椅子の車輪を回す事も出来なかったでしょうから、その点においては我々は間違った選択をしたとは考えておりません」

「それはまた、随分とお前らに都合のいい解釈じゃないか。物は言いようとは、まさにこの事だな」

 バーバラは肩を竦めながらそう言って、わざとらしく呆れ返ってみせた。

「それでクンツ、いつになったらお前の昔話にアデーレが登場するんだ? 悪いが少しばかり会話の速度を上げてくれないと、おねむの時間になっちまうぜ?」

「分かりました。それでは詳細は省いて、時間を早送りさせていただきます」

 そう言ったクンツは一旦咳払いをして居住まいを正し、頭の中を整理すると、改めて会話を再開する。

「何事も無いまま大戦終結から半世紀近くが経過し、アルゼンチンでの農場の経営も軌道に乗っていた頃になって、共同生活を営む移民の夫婦の子として私が生まれました。そして更にその三年後に妹のヴァネッサもまた生まれたのですが、このヴァネッサが食わせ者だったのです」

「と言うと?」

「地元の高等学校を卒業後、ヴァネッサはサンタ・ロサの邸宅に残って、アダム様の身の回りの世話をするように命じられました。つまり要介助者である彼を二十四時間つきっきりで介助し、また同時に監視も怠らず、決して眼を離さずに護衛し続けろと言う過酷な命令です。そしてこの時点でアダム様は八十歳の誕生日も間近に迫った高齢者であり、健康状態は極めて良好であったとは言え、いつ何時天寿を全うされてもおかしくない年齢でした」

「重度の障害を抱えた子供の方が、拳銃自殺した親なんかよりも遥かに長生きしたって事か。皮肉なもんだねえ」

「そうですね、確かに皮肉なものです。しかしそんな折、ヴァネッサが妊娠している事が判明すると、事態は一転しました」

 こうべを垂れながら、クンツは眉間に深い皺を寄せた。

「お察しいただけるでしょうが、ヴァネッサのお腹の子の父親は、誰あろうアダム様その人だったのです。勿論この事実を知った我々親衛隊の間には激震が走り、邸宅内は大混乱に陥りました。そして問い詰められたヴァネッサの弁解によれば、アダム様が女も知らずに天に召されるのは余りにも不憫だからと同情した彼女は、自ら身体を捧げたと言うのです」

「主人の童貞を奪って差し上げるとは、なんともお優しい女神様じゃないか」

「そうは言いますが、実際にその場に居合わせた身としては、そんな悠長な事は言ってられませんでしたよ。まあしかし、何はともあれヴァネッサのお腹は日に日に大きくなり続け、翌年には彼女は一人の女の子を産みました。それが総統閣下の孫であると同時にアダム様の娘であり、私の姪でもある、アデーレ・ヒトラーです」

「なるほど。やたらと前置きが長かったが、ここでようやくアデーレの誕生だな」

「我々の懸念を他所に、幸いにも、アデーレは心身ともに先天性の障害を一切患ってはいない健常者でした。生まれたばかりの彼女の四肢が欠損していない事を確認した私の母は、安堵の余り、その場で気を失った程です」

「そりゃまあ、生まれて来た赤ん坊の祖母としてはホッとしたろうな」

「ええ、そうですね。そしてその後、アデーレはすくすくと順調に成長し続けました。とても元気で賢く、しかも可愛らしくも美しい淑女に育ってくれたと、彼女の叔父である私も自負しております」

 クンツはそう言って微笑むが、勘の良いバーバラは彼の言葉に、心からの本音を述べてはいないような一抹の違和感を覚える。

「一介の叔父に過ぎないお前ですらそれだけ喜ぶなら、アデーレの父親であるアダムともなれば、実の娘の誕生をもっとずっと喜んだんだろうな。そうだろう?」

「残念ながら、そうとは言い切れません。満足に幼児語も喋れない程の重度の知的障害者であったアダム様が、親子や家族と言う複雑な概念を理解出来たとは考えられないからです。しかも彼はアデーレが未だ乳飲み子だった頃に、我々親衛隊とその子孫達に見守られながら、老衰で亡くなられました。ですから最後の瞬間まで、小さく幼いアデーレが自分の実の娘であるとは認識しておられなかったでしょう」

「父方の家族は全滅か。と言う事は、母親のヴァネッサはどうした?」

「妹のヴァネッサもまた若くして患った乳癌が肺に転移し、アデーレが四歳の時に亡くなりました。そして彼女の死後、不肖の妹に代わって兄である私がアデーレの世話役を命じられ、現在に至ると言う訳です」

「ああ、これでやっとこさ、長く退屈な昔話が終わったと言う訳か」

 やれやれとでも言いたげなバーバラの態度と言葉に、クンツは思わず苦笑した。そして言わずもがな、ここからがむしろ本題である。

「総統閣下のご子息であられるアダム様が天寿を全うし、五体満足に生まれたアデーレが健やかに成長する姿を横目に見ながら、我々親衛隊とその家族はすっかり油断し切っていました。しかしその間隙を突いて、奴らは卑怯にも夜襲を仕掛けて来たのです。その奴らとは……」

「分かっている。モサドだろう?」

 クンツの気勢を制するかのように、バーバラが敵の正体を看破してみせた。

「やはり、お気付きでしたか」

「ああ、あたしだって素人じゃない。今時ベレッタM70なんて時代遅れの銃を使って、ヒトラーの子孫を拉致しようだなんて言うユニークな連中は、世界中探したってモサドくらいのものだろうさ」

 彼女らが言う『モサド』とは、世界有数の諜報機関として知られるイスラエル諜報特務庁の別名である。

「しかしそのモサドのユダヤ人どもが、どうして大戦終結からもうすぐ八十年が経とうって言う今頃になって、わざわざ戦犯でもないアデーレを拉致しにアルゼンチンまで足を運んだんだ?」

「申し訳ありませんが、その理由は、我々親衛隊にも分かりません。しかし理由の如何を問わず、果敢なる抵抗空しくアデーレが拉致されてしまった事は、疑いようのない事実です。我々の組織が時代の移り変わりに適応出来ずに弱体化してしまった点を差し引いても、やはりモサドは手強い相手でした。ですから私が親衛隊の代表として再びオデッサの力を借り、こうしてトルコまで彼女を救出しに馳せ参じたと言う訳です」

「その結果として自分も一緒に拉致されてちゃあ、ざまあねえな。まさしくミイラ取りがミイラになってんじゃねえか、この童貞インポ野郎め」

 バーバラは小馬鹿にするような口調でもってそう言うと、クンツを鼻で笑った。笑われたクンツは眼を逸らして頬を赤らめ、己の不甲斐無さに恥じ入るばかりである。

「さて、これで私が知っている事は全て話しました。もう何も、あなた方に隠している事はありません」

 そう言ったクンツはバーバラに向かって掌を広げて見せる事によって、全ての手の内を明かし終えた事をジェスチャーでもって示した。

「それで、これからお前とアデーレの二人はどうする気だ?」

「とりあえずオデッサと連絡を取り合い、家族が待つアルゼンチンに帰国する手筈を整えてもらおうかと考えています。そしてその後はモサドの手の届かないどこか他の国か地域を選別してから、組織の構成員で揃ってそこに亡命する事になるでしょう。生活環境が激変する事はアデーレの様な小さな子供にとっては過度なストレスになるかもしれませんが、致し方ありません」

 説明を終えたクンツに、バーバラは援助を申し出る。

「よし、分かった。それじゃあその帰国の手筈とやらが整うまでは、アデーレはこの部屋で匿っておいてやる。それと彼女の世話係としてお前も匿っておいてやらない事もないから、感謝しろ」

「本当ですか? ありがとうございます! 助かります!」

「こう言うのを乗り掛かった船と言うんだろうし、毒を食らわば皿までとも言うしな。この際だから、最後まで面倒見てやるさ」

 感謝の言葉を述べると同時に頭を下げるクンツをその場に残したまま、革張りのソファから腰を上げたバーバラはリビングを後にした。そしてアパートメントの廊下を渡り、寝室のドアを開けてベッドの上を見遣ると、膝の上に黒猫のスィヤフを乗せたアデーレがエマと共にすやすやと眠っているのが眼に留まる。どうやらスマートフォンで動画を鑑賞しながらバーバラとクンツの話が終わるのを待っている内に、二人揃って床に就いてしまったらしい。

「待ち切れずに寝ちまったか。まあ、無理も無い」

 そう独り言ちたバーバラはベッドの縁に腰を下ろし、すうすうと可愛らしい寝息を立てながら眠るエマとアデーレの艶やかな髪を優しく撫でてやってから腰を上げ、再びリビングへと取って返す。

「おいクンツ、あたしらはもう寝るぞ。お前もさっさと寝ろ」

 リビングに取って返したバーバラはクンツに向かってそう命じると、就寝の準備として身に纏った服を脱ぎ始めた。

「ええと、客間はどちらでしょうか?」

 デニムジーンズとキャミソールを脱いで下着姿になったバーバラにクンツは尋ねるが、彼女はさも当然とでも言いたげに、改めて命じる。

「何言ってやがる。お前はそのソファで寝るんだよ。あたしの家に、男を寝かせるためのベッドなんて存在しないからな」

 バーバラはそう言って、やはり底意地が悪そうにげらげらと笑った。そんな彼女の態度に、クンツは肩を竦めて途方に暮れる。


   ●


 バーバラとエマとアデーレ、それに黒猫のスィヤフの三人と一匹が寝室のクイーンサイズのベッドの上で同衾し、リビングのソファの上では身体を小さく丸めたクンツがようやく眠りに就いた頃、アルナヴトキョイ地区に新たに建造されたイスタンブール国際空港の滑走路に一機の旅客機が着陸した。そしてその旅客機から数人の男達が地上に降り立つと、空港のターミナルビル内の入国審査を待つ人の列に並ぶ。

「これだから、予定を繰り下げてでも直行便で送れと言ったんだ」

 入国審査の列に並ぶ男達の内の、先頭に立つ眼鏡を掛けた男性が背後を振り向きもせずに言った。清潔で仕立ての良いダークスーツに身を包み、小柄で細身の、やけに鼻が大きい禿げ頭の老人である。

「申し訳ありません。今日にでもテルアビブに送る予定だったのですが、二度にも渡って邪魔が入りました」

 老人のすぐ背後に並ぶ別の男性が、眉一つ動かさずに冷淡な口調で答えた。こちらは前に並ぶ老人とは対照的に、ラフなポロシャツにデニムジーンズ姿の、長身で体格の良い壮年の男性である。しかも彼は余りにも体格が良過ぎるため、着ているポロシャツの袖周りや胸周りが、瘤の様に盛り上がった筋肉の圧力でもって今にもはち切れそうになっていた。ちなみにテルアビブとはイスラエル第二の都市名であり、モサドの本庁舎はここに置かれている。

 やがて入国審査の列は進み、老人の順番が回って来ると、彼は事前に必要事項を記入した入国カードとイスラエルのパスポートを審査官の前に差し出した。

「入国の目的は?」

 いかにも現地人らしい肌の浅黒い中東系の審査官の問い掛けに、老人は答える。

「古い知り合いの孫に会いに来た」

 そう答えた老人の顔からは、喜怒哀楽の如何なる感情も読み取れない。

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