第7話 遭遇②
1
教授の家はルーヴィックが思っていたのとは違い、普通の家だった。
住宅街の中にある庭付きの一戸建て。
白い壁の二階建て。小さい印象は受けないが、大きくはない。
「教授ってのは、稼ぐもんだと思ってたぜ」
家を見上げながらルーヴィックはぼやく。
日も傾きかけているが、見渡すと周囲には誰一人いなかった。ちなみにヘンリーもまだ来ていない。
ルーヴィックは庭を突っ切り玄関をノックしようと手を上げるがやめた。玄関の前に立った途端に、雰囲気が変わるのを感じた。冬の寒さ以上に気温がストンと落ちた。外からではなく、体の内側から湧き上がるような寒気。吐き出される息は白く色を付ける。
彼は再度、周囲を見渡し誰もいないことを見ると、ノブを回した。
扉は微かな軋む音をさせながら抵抗なく開いた。
一歩足を踏み込めば、その感覚は一層強くなる。体中の毛が逆立ってくる。ルーヴィックは踏みしめるように一歩ずつ足を運びながらジャケットのボタンを外した。
彼の直感が悪魔の気配を感じる。ピリピリとした空気がルーヴィックの肌を刺す。まるで粘度の強い液体の中を進むかのように彼の体に纏わりつき、彼へ向けられる敵意の感情が一斉に襲いかかってきているようだ。
向こうも彼の侵入に気付いているのだ。
一段ずつ上がる階段の足音が、緊張を表すかのようにやけに響く。
二階へあがった瞬間。二階の部屋の扉が一斉に閉まった。
「面白い」
片方の口角を上げ、左脇のホルスターから銃を引き抜き、廊下を歩く。扉のノブを掴んでみるがピクリとも動かなかった。
「それで隠れたつもりかよ。ここまで臭ってくるぜ。タールや硫黄、煤の焦げた臭い。風呂に入った方がいいぜ。まぁ、そんなんじゃ、お前らの穢れは落ちそうにもないが……っ!」
突き当りの部屋へ向かい足を進めた瞬間。爆音と共に何かが扉を突き破りルーヴィックに襲いかかる。それは身を翻した彼をすれすれで掠めていき壁に激突。壁を破壊し炎を上げる。
「エクソシストか。忌々しゴミ虫が!」
扉の奥から声が聞こえてきた。低く務めているようだが、明らかに若い声だ。人の言葉が聞こえたのはそこまでで、その後は地獄語でブチブチと言っている。聞き取れたのは「ようやく見つけたのに」「ついてないぜ」などと言った言葉で、後はおそらく人の言葉では存在しないような罵りの言葉を連ねているのだろう。
連続して扉を突き破り、高速で火の玉(であろう)物が飛んでくるので、ルーヴィックはそばの扉を蹴破り中へ避難。火の玉は壁や柱を破壊し、火はみるみる間に広まっていく。
撃ってきた相手はまるでルーヴィックがどこにいるのか知っているかのように、避難してきた部屋に向かって撃ってくる。部屋を一つ挟んでいるにもかかわらず、いくつもの火の玉は壁を突き破ってくる。両手で頭を守り、身を伏せる彼の頭上を、すごい音を立てながら通り過ぎていく。部屋の中の物は弾け、抉れ、飛び散り、そして燃えていく。
「クッソ。弾切れって言葉を知らねぇのか!」
ルーヴィックが穴だらけになった壁に向かって悪態をつくと、まるでその言葉が天に通じたかのように攻撃が止む。
その隙を見逃すこともなく、ルーヴィックは即座に立ち上がると今や申し訳ない程度に立っている穴だらけの壁に体当たり。普通は突き破れないだろうが、脆くなった壁は彼の重みに耐えきれず崩れた。間の部屋も先ほどいた場所と、さして変わらない有様だ。見れば、奥の部屋へ通じる壁に開いた穴から覗く目と彼の目が合う。
慌てて炎を纏うライフルのような物を持ち上げ構える相手に対し、ルーヴィックはあらかじめ手に持っておいた聖水のアンプルを投げつける。アンプルは壁にぶつかり割れ、中身の水が飛び散った。周囲の炎は魔法のように一瞬にして消え去り、壁の穴を通じて相手にもしぶきが飛んだのだろう。「うわっ!」と短い悲鳴に似た声が聞こえてくる。
ルーヴィックは投げ込んだ勢いのまま火の消えた正面の壁に衝突。今まで攻撃していた相手とついに対面した。
そこは恐らくは家主、つまりは教授の書斎だったのだろう。立派な机に、大きな本棚がいくつもある。相手はよろよろと起き上がる所。
見た目はまだ若い男だ。魅惑的な瞳に、細い顔つきはまさに二枚目だろう。だが、先ほどの聖水を浴びたせいでその場所から煙が上がり、人の皮膚が爛れその奥に潜む醜い本性が姿を現す。
悪魔だ。
悪魔は飛び込んできたルーヴィックに驚きながら、手に持つ炎を纏うライフルを構えるがそれよりも先にルーヴィックがそれをはらい、悪魔の顔面を殴りつけ、しっかりとしたアンティーク調のテーブルの上に押さえつける。もがく相手にルーヴィックは首からかけた守護のペンダントを手に取り、祈りの言葉を口にしながら相手に押し付ける。
まるで焼けた鉄を押し付けられたように、悪魔の顔から煙が上がり悲鳴を上げる。口ごもるような声でわめく悪魔を何度か殴りつけて大人しくしてから、ルーヴィックは銃を相手に見えるように出した。
「さっき、ようやく見つけたのに、と言ってたな? 何を見つけた」
答える気が無い悪魔はルーヴィックの視線から逃れようと顔をそむけるが、それは許さない。
「ここでお前をすぐに地の底に帰してやってもいいが……」
銃を悪魔の頭に突き付けながら、くどいくらいにゆっくりと言う。
「まだダメだ。俺がするいくつかの質問に答えたら、お家に帰してやる」
「調子に乗るんじゃねぇぞ。エクソシスト。お前なんかに何も話すもんか」
「どうかな。それは、やり方次第だ」
若い悪魔の耳に付けられたピアスを掴み凄味をきかす。ピアスはハートに矢が刺さったような物。
「洒落たピアスだ」
捻じり上げると、痛みに悪魔が呻く。
「まずは自己紹介といくか? ルーヴィックだ。クソ野郎。はるばる海を越えて、お前らのために来てやったぜ。それで? お前の名は?」
キッと口を結んだままの悪魔に、溜息をつき銃を脇に置くと、ペンダントを押し付け魔除けの言葉を呟く。すると悪魔は苦しみだし悶えるも、ルーヴィックは一向に止める気配はない。それどころかより強く押さえつけ強く呪文を言う。
「貴様の名は?」
耐え切れず、悪魔が悪魔語で喚き始めた。内容は、いわば悪魔の祈りである。
「なぜカーター教授を殺した? ここで何をしていたんだ!」
続けざまに質問するも口を割る気配はなかった。痺れを切らした彼は、さらに乱暴に悪魔を扱い持ち物を検査する。すると、一つの指輪が出てくる。
「これはなんだ?」
美しい指輪。悪魔には似合わない。刻まれた文字は悪魔の言葉ではなく、逆の天使達が使う文字だ。悪魔は取り返そうともがいたが、聖水などで力が弱まっているせいもありルーヴィックに押さえつけられる。
「あぁ、この部屋を片付けるために来たわけではなさそうだな」
散らかっている室内は、ルーヴィック達が暴れたせいだけではない。指輪をチラつかせながら話していると、苦しんでいた悪魔の口元が緩み笑みを浮かべはじめる。
「お前らエクソシストは全てを把握していると思っているんだろうが、そんなのはウソだね。お前はただ景色を見ているだけ。本の表紙を見て、全てを知った気でいるのさ」
「かもな。だが、すぐに知れる。お前が教えてくれるからな」
「どうかな。人間風情が首を突っ込み過ぎたな」
「それは、いつものことだ。お前らの捻りのなさに飽きてきたぐらいだ」
「天使も殺した。たかが人間のお前を殺せないわけがないだろ?」
「モルエルを殺したのはお前じゃないだろ。奴はそんな雑魚じゃなかった」
「その通りだ」
その声は若い悪魔が出すにはあまりにも低い物だった。当然だ。若い悪魔の口から出ていないのだから。それは背後から聞こえてきた。
ルーヴィックは考えるよりも先に脇に置いた銃を手に振り向こうとしたが、意識を背後に向けた瞬間をついて下の若い悪魔が彼の銃を蹴り飛ばした。そして、チラつかせていた指輪を奪い、身を翻してルーヴィックの手から逃れる。が、ルーヴィックに悪魔を追う余裕はない。
咄嗟に銃を拾うのを諦め、腰に掛けている皮の道具入れから聖水のアンプルを取りだし振り返りざまに投げつける。見れば炎がすぐ目の前まで来ていた。炎は聖水とぶつかり勢いを弱めるも消えることはない。ルーヴィックは床を蹴り、机を乗り越えると、隣へ通じる扉に向かって走り扉を突き破る。すぐ後ろを炎が襲ってきていた。
隣の部屋に逃げ込んだルーヴィックに炎がいくつも放たれる。それは新たに来た悪魔の物もあれば、今までいたぶられていた若い悪魔が恨みとばかりに、彼の武器。炎を纏ったライフルを乱射していた。
「メーメン! あんな人間、さっさとブチ殺しちまおうぜ」
メーメンと呼ばれた新たに来た悪魔に対して若い悪魔が叫ぶが、それを手を軽く挙げて抑える。
「こんにちは。こうして会うのは初めてだ。ルーヴィック・ブルー」
メーメンが重々しい声で隣の部屋のルーヴィックに話しかける。この悪魔は若い方に比べて落ち着き、外見も年長。しっかりとした体格で頭は剃りあげられ左側の顔から頭にかけて蜘蛛の巣状のタトゥがあり、そこには同じくタトゥの蜘蛛が描かれている。しかし、その蜘蛛は不気味にも蜘蛛の巣を自在に動き回っていた。
「アメリカからわざわざ来るとはな」
「エクソシストは人材不足でね。はるばる来たんだ。少しぐらいは歓迎してくれよ。なぁメーメン」
部屋を挟んで会話をする。若い悪魔もライフルをまだ構えているが、発砲するのは止めていた。
「そうだな。自己紹介から始めるか? 俺の名は・・・・・・もういいよな。それでこっちの若い方がレオゼルだ」
余裕を感じられる言葉使いのメーメンは、明らかにレオゼルと呼ばれた若い悪魔以上の力を感じられた。おそらくはレオゼルよりも強いだろう。メーメンが話すごとに室内の空気が温度を下げる。
少し顔を出し自分の銃を確認した途端、レオゼルのライフルが火を噴く。銃は反対側の隅の方にある。
「どうしたよ! エクソシスト! さっきまでの威勢は」
レオゼルが反撃してこないルーヴィックに叫ぶ。
ルーヴィックは静かに目を閉じる。
反応のないルーヴィックに、レオゼルは落ち着きなく様子を見ようと歩み寄ってくる気配を感じたが、メーメンがそれを止める。
「どうして止めるんだ?」
口を尖らせ反論しながらもレオゼルはメーメンの制止を聞き、足を止める。
「噂では、奴はこういった状況の中で生き残ってきたと聞く」
「でも、今なら仕留められる」
「深追いをする必要はない。目的の物は我らの手の内にある。それに、奴は所詮人間だ。殺そうと思えば、いつだって殺せる」
メーメンが踵を返し引き返そうとした時、ルーヴィックは動く。まるで今まで力を溜めていたかのように、瞬時に静の状態から動へと切り替える。
メーメンに気を向けていたレオゼルも反応は少し遅れた。
ルーヴィックは腰のホルスターよりリボルバーの拳銃を引き抜くと腰元に構え、左手で撃鉄を起こしながら引き金を引く。ルーヴィックの射撃も相当速かったが、悪魔達の回避もそれに引けを取らないくらいに速かった。
即座にメーメンは身を逸らし回避、レオゼルも床に飛び込む形で回避する。
ルーヴィックは撃ち続けながらも、部屋の隅に転がる銃へ走る。悪魔達もそのことには気づいていた。ルーヴィックの銃弾と悪魔達の炎が近距離で交差する。
弾が尽き、滑り込むように床に転がるセミオートの銃を拾った瞬間。メーメンの掌より湧き立つように現れる炎がルーヴィックを襲う。すかさずコートを翻し覆うと、炎はコートに弾かれながらも衝撃でルーヴィックの体は回転しながら傍の本棚に激突した。
「炎を弾いた?」
「おそらくは祝福の言葉を刻んでいるんだ」
メーメンの言うとおりだ。悪魔対策は抜かりなど無い。悪魔の放つ炎は彼のコートを焼くことはできない。ただだからといって痛くないわけではない。
ルーヴィックはコートをはらい、反撃のため銃を向けるが、引き金をひく前。メーメンが床を力強く踏みつける。床は亀裂が入り、崩壊の音。
「マジか」
ルーヴィックは言葉を発するか発しないかのうちに床は崩れ、ルーヴィックも一緒に落ちた。地獄まで落ちるのではないかと思えたが、そんなことはなく一階の上品そうなソファの上に落ちた。だが、休むことなくルーヴィックは飛び起き、身を翻した。それは二階からの攻撃(主にレオゼル)を回避するため。先ほどまでいたソファはあっという間に無残な姿になった。
「レオゼル。行くぞ」
二階からメーメンの声が聞こえ、攻撃もやむ。
ルーヴィックは足音に耳を潜める。音からすると部屋を出て廊下へ出た所だ。彼は火の手が上がる中を走り、ドアを蹴破り奴らの前に出られるであろう階段を駆け上がろうとした。が、それに気づいたメーメンが炎を放ち階段を壊していた。爆風で少し吹き飛ばされる。二階の窓から飛んで逃げる気だ。
ルーヴィックのいる所からでは足音は聞こえても姿を捉えることはできない。一瞬、一秒が惜しい。あと数秒もすればメーメンとレオゼルは窓を突き破り逃げていく。
ルーヴィックは呼吸の速度を遅くした。肺の中の空気を全て吐き出すように。何度か繰り返し、集中力を高める。すると、周囲に感じられる空気が遅くなり始めた。燃え盛る炎も、聞こえる足音も、心音さえも。全身の神経が研ぎ澄まされ、まるで自分自身がその場自身になったように。音は周囲の空気を震わせ、その波を体で感じられた。
その感覚は一瞬の出来事。
ルーヴィックは銃を上げ、天井に向けて引き金をひいた。
弾丸は天井を貫き、二階へ。メーメンの後ろを付いて走っていたレオゼルの腕に命中した。弾丸の直撃で通路の壁にぶち当たりながらもよろけ、メーメンが突き破った窓から飛び出す。
悪魔達は逃げていくと同時に、家を包んでいた炎が消えていった。
レオゼルの悲鳴は一階のルーヴィックにも聞こえてきてが、仕留めきれなかったことも把握できていた。だが、収穫はあった。
ルーヴィックは銃をしまいながら、床に落ちている物を拾う。それは指輪だ。レオゼルが持っていたあの指輪だ。ルーヴィックの弾丸を受け、レオゼルの手から落ちたのだ。その指輪が何なのかはまだわからなかったが、悪魔達の狙いである以上は計画とやらの邪魔ができるうえに、少なからずまた出会うことになるだろう。
ルーヴィックは指輪を観察してからポケットにしまうと、何かが軋んでいる音に気付く。
「あぁ、マジか。勘弁してくれ」
何かではない。家全体が悲鳴のような軋みをさせている。
ルーヴィックが天を仰ぐようにぼやき、外へ避難しようと走り始めた時にはすでに家は崩壊し始め、とうとうカーター教授の家は音を立てて全壊した。
2
「ルーヴィック。教授について調べてきました」
ヘンリーがメモを見ながら、ルーヴィックに話始める。
「教授が調べていた物についてはいまいち把握できませんでしたけど、一応、新聞や本なんかは全部集めて家の方に運んでもらうことにしました。奥さんはすでに亡くなられていて、家族は息子のレイ・カーターさんだけです。兄妹もいません」
「そうか。二人で暮らしていたのか?」
「どうも、息子さんとは奥さんが亡くなられてから疎遠になっていて、半分絶縁状態でした。ロンドンにも住んでいないようですね」
「父親の死を聞いて戻って来たにしては動きが早い気がするな」
「えぇ、それもそのはず。数日前からこちらに戻ってきています。どうも、教授が息子を呼び寄せたとか……」
「まぁ、間違っても仲直りするだけってわけでもなさそうだな」
「そうですね。あまりにも時期が合いすぎますからね」
「仮に教授が死を覚悟していたとして、最期に唯一の家族である息子を呼び戻した理由は? 悔やまれる親子の関係の修復。遺言を伝える。だが、それならばわざわざ危険を冒してまで呼び寄せるだろうか?」
「こちらに来れば息子まで危険になりますからね」
「だが呼び寄せた。おそらくは最も信頼のおける存在を」
「電報や手紙ではできないことだったはずです」
「いや、むしろ言葉である必要はない。面と向かう必要があることだ。つまりは……」
「つまりは、何かを託すために。手渡しで渡さなければならないほどに大事な物」
「教授の息子は何かを持っている。その何かが、今回のカギになる。その息子に会おう」
ルーヴィックの言葉に、ヘンリーは返答に困った様子を見せる。
「あぁ~。それがですね……問題が」
「問題?」
「居場所が分からなくなりました」
「どうして?」
「先ほど、大学で悪魔が暴れました」
ヘンリーの話では、大学に二人の悪魔が現れ暴れたそうだ。目撃者によれば悪魔は若い男女二人を追いかけていたらしい。ただ、そこに現れたシスターによって追い返されたが、周囲は騒然となりパニック。追いかけられた男女も、シスターもその混乱の中で見失った。ヘンリーが情報を聞きつけ駆けつけた時には誰もいなかった。
「大学に来た奴らは、カーター教授の息子が持っているのを狙いに来たんだろう。だが、うまくはいかなかった。奴らよりも先に見つける必要があるな」
「そうですね。しかし、悪魔を追い払ったシスターも気になりますね。もしかしたら、彼らはシスターがついているのかもしれませんね……」
そこでヘンリーは視線をメモから逸らし、「しかし~」と言いながら足元に目をやる。
「よく、助かりましたね」
「あぁ、奇跡に近いな」
視線の先にはルーヴィックが腹這いになっていた。カーター教授の家であった瓦礫の小さな隙間に、下半身がすっぽりと嵌っている状態だった。
「そろそろ引っ張ってくれ」
ルーヴィックはヘンリーの助けを借りて瓦礫から抜け出すと、衣類に付いた埃をはらう。
「取りあえず、今日は遅いですから戻りましょう。あなたが派手にパーティをしてくれたので、警察がもうすぐ、すごい剣幕で来そうなので。さすがに私は畑違いですから、守ってあげられません」
「掃除が大変そうだな」
「本当に散らかすのうまいですよね」
「完璧な人間ってのも困りもんだろ?」
「欠陥だらけも考えものです」
口の減らない二人は、言い合いながらもそそくさとその場を立ち去っていった。
このすぐ後に、レイ・カーターがこの惨状を見て愕然としたのは言うまでもない。
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