第2話 シロテンシ宅急便

「あ、あの・・・」

「ん?どうしたクソ天使」

「だから私はソフィアスだ!」

「で、どうしたんだよ」

「あの、残り物でいいので少し食べ物を恵んでくれませんか・・・?」

「ふむ・・・」

「あ、あのぉ・・・」

「うん、いいぞ」

「え!?」

「ほれ」


「ありがとうございます!・・・・・・・ってこれって・・・」

「あぁ湿気でしなしなになったポテチだ。買ったのに食べるの忘れてて丁度捨てようとしてたからな」

「ほほはいへいはふはひっへらへはへん」

「おい、食いながらしゃべるなよ」

「おっと失礼。この際贅沢は言ってられないからありがたくいただく」


「天使でも腹は減るんだな」

「一体天使にどんなイメージを持ってるんだこの人間」

「そうだ、お前、確かこの前コンビニにつなげた、どこ○もドアみたいな穴作れただろ」

「あ、はい。できますよ」

「よし、クソ天使、わかってはいるだろうが、人間様の世界ではな、生きるには金が必要不可欠なんだよ」

「それくらいは知っている。あとクソ天使と呼ぶな、わたしは」

「そこでお前には働いてもらう」

「へ?でも私、特に何もできませんよ?」

「便利な穴があるじゃないか」

「あれと働くってどういう関係が・・・?」

「昔、海を越えた超大国の軍隊様はこういうものを作りました。インターネットを。そして今、それが急速に発展し人間様の世界では個人でもネットショップを開設できる時代なのだ」

「あぁ、人間はまだそんな前時代的なものを使っているんですね・・・」

「うっさい、で、どういうことかわかったか?」

「えっっといまいち話が見えてこなくて」

「つまりだ、ネットショップでものを売る、そして配送をその便利な穴を使って届ける、さて配送時間はどのくらいでしょう?」

「移動だけだと、かかって10秒かな」

「お、流石にわかるか」

「バカにしてます!?」

「うん、バカにしてる」

「うぅ・・・」

「配送時間だけならどこのネットショップにも負けない。あの世界の密林にも負けない速度で配送ができる」

「なるほど、配送コストが0だから、そこで儲ける、と。でもそんなの大丈夫なのですかね?」

「送料込みの値段で販売する。通常なら郵送になるが、即ほしいやつは+100円くらいで便利な穴を使って配送する。ま、こんな感じで良いんじゃねぇか?」

「あれ、肝心の商品ってどうするんです?」

「そこについては問題ない。俺の実家はそこそこ有名な菓子屋だからな、そいつを売ればいいだけの話。もともと、そろそろネットショップにも手を出そうと思っていたところだし」

「ふむふむ・・・」

「ま、利益の4割はお前にやるよ」

「え・・・」

「なんだ、少なかったか、仕方ないな、特別に2割にしてやるよ」

「いや、違います!って、減ってません!?ただあの程度の穴作るだけで4割も良いのでしょうか、と」

「じゃあ2割でいいか?」

「さ、3割!間を取って3割でどうでしょう?」

「あーいいよ」


「でも、まさかあなたが私に仕事を用意してくださるなんて思ってもいませんでした」

「あー、とりあえず働け、そして引っ越してほしいからな。ま、お小遣い程度だろうが」



━━━━━━━━数日後


「おいクソ天使、喜べ、初仕事だぞ」

「そういえば、具体的に私は何をすれば良いのです?」

「あれから考えた。お前の取り分を5割にする」

「えっ?」

「お前、羽だけ見えないようにはできるか?」

「あ、はいできますけど」

「よし、お前は羽を消して、体だけ誰にでも見えるようにしてお前が届けろ」

「わかった、でもなんで私の取り分を5割に・・・?」

「お前は顔はいい。めっちゃかわいい、それは俺が保証してやる。俺はお前が大嫌いだが」

「えぇ・・・褒めてるのか褒めてないのかどっちなんです・・・」

「普通に考えろ、どうせ届けてもらうなら、かわいいやつのほうがいいだろ?」

「そんなもんですかねぇ・・・」

「ま、そういうことだから半分はお前にやる。ショップの管理とかは俺がやるからもう半分は俺がもらうが」


「で、どこに届けたらいいですか?」

「あぁ、ここに」

「住所とかわからないんですけど・・・」

「え、どうやったらあの便利な穴開けるんだよ」

「地図があれば」

「そうか、ならネットにあるマップを使って確認しろ」

「わかった」



「それでは行ってきます」

「ん、こけるなよ。商品が台無しになる」

「大丈夫ですよ~っとうぉっと」

「その商品はお前より大事なものなんだ、絶対に落とすなよ」

「気をつけます」


「ただいまー」

「商品は無事だったか?」

「はい、ちゃんと渡してきましたよ。凄く驚いていましたけど」

「まぁ、密林ですら条件があって超最短でやっと2時間だからな。注文を受けてから10分程度で届くなんて本来ありえないからなぁ」


「ん、さっきの人だな、これ」

「どうしたんです?」

「店の評価が少し上がった」


『ここのお菓子は凄く美味しい!配達速度が異常に速かった。すごい。配達員の子もかわいかったし、また頼もうかな』


「ふ、計画通通り」

「うわぁ、人間ってこんな単純な生物だったんですか・・・」

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弱々天使ちゃん 諏訪野ヒロ @suwano-hiro

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