第6話 彼女

僕には、8年間、一緒に暮らしている彼女がいる。

牧番小屋でもいつも一緒。


これまで、いろいろなところを転々として来たが、何処に行くにもいつも一緒。

寂しがり屋で可愛い彼女だ。


先週から、なんだか元気がなく、食欲もない。

身体に力が入らないらしい。


診察してもらうなら、実家近くのかかりつけ医がいい。

もう、ずっと診てもらっているので、彼女の身体の弱いところも把握している。そして、何より、僕も彼女もその先生を信頼している。


近くの親戚にお願いして、実家まで送ってもらった。


診察後、緊急手術。

子宮に、膿が溜まっているらしい。

このままでは、命が危ないということで、子宮摘出。


彼女さえ元気になってくれれば、他には何もいらない。


殺風景な牧番小屋がこんなに寂しいと思ったのは、初めてだ。

ここ2日、外は暴風雨と濃霧。

孤独感が更に増す。寂しくて涙が出そうだ。


彼女の手術は成功し、もう、軽く歩くくらいはできるらしい。


来週には休みがとれるので、実家に帰り、病院で詳しい話を聞けるようだ。


また、牧番小屋で一緒に暮らせるかな?


彼女はボーダーコリーの女の子。8歳になる。

僕のかけがえのない相方だ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る