第3話 うちの娘が……
「とりあえず、聞いて欲しい事がある。
手始めに、私の名前と身分を話してからの方が、飲み込みやすいと思ったので、自己紹介から行こうと思う。
私の名はゼノ・グレイス・ソードハート。
我等がネオライト王国の国土を、北、東、南、西、中央と5分割した時の南にあたる、南王国ソードハート領を統括する、ソードハート公爵家の18代当主だ。
ネオライト王国には4つしか公爵家がない。
そのため各公爵家と中央の王家が国土を5分割した領土を一つずつ、治めている。
私は部下には、尊敬されて居るらしく、南王国領の民達ともそれなりにいい関係を保って居る。
そんな私だが、一つ気がかりな事がある。
それは、来年で6歳になる、私の娘…シエル・テト・ソードハート(主人公)…についてだ。
銀の長い髪に、紅の瞳、人形のように整った顔立ち、その全てが妖精を連想させる可愛らしさを放っている。
魔力量も、恐ろしく多く、5歳の今、全盛期時の私より巨大な魔力を持っている。親としても大事に大事に育ててやりたいと思っている。
5歳の女の子なら恐らく、今が最も親に甘えたい時期であろうに、親に寄り付く所か一人で図書館に、篭って本を読んでいる。
最初の頃はメイド達があっちに居ないこっちに居ないと、大騒ぎになった。
自分で話しておいて、あれだか、そんなことどうでもいい。何より大事なのは……シエルが構ってくれないということだ!!
以前シエルに
「シエル、なぜその本に興味を持ったんだ?」
と試しに聞いてみた時に
「いえ、特に理由はありません。強いて言うなら、この国の経済情報を知っておきたいと思ったまでです。あぁ、すみません。お父様にとってはどうでもいいことですね…申し訳ありません。失礼します」
と言う風に完全にいなされでしまう。
私は…私は可愛い娘を見たいだけなのに……
くっ」
ちょうどゼノが鏡に向かってそんなことを言っていた時、図書館で本を読んでいたシエルは何かを感じとって、軽く怯えていた。
「えっ?何?なんなの?前世でも今世でも何もしてないよ…間違え祟りとかやだよ!?」
そのシエルの怯えた姿をみて3人のメイドが鼻血を出して倒れたということをその時はまだ誰も知らない……
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