第390話 友好の裏側で
「うぇぇ……気持ち悪いぃぃ、自己治癒……」
おはようございます。演武大会の後に行われた送別会で飲みすぎました。
バルシャニアの騎士達だけでなく、守備隊の皆さんからもお酒を勧められ、断わりきれずに飲んだ報いですね。
まぁ、僕の場合は自己治癒を掛ければ回復しますけど、クラウスさんとか今日は使い物にならないんじゃないですかね。
僕が治癒魔術を掛けてやれば楽になるでしょうが、マリアンヌさんから怒られそうなのでやめておきます。
それにしても、ヴォルザードの守備隊とバルシャニアの騎士達が、こんなに短い滞在期間で意気投合しているのには驚きました。
共に国を思い、民を愛する人達ですから、通じ合う部分が多いのかもしれませんね。
そればかりか、バルシャニアの騎士達は積極的に街に出て、ヴォルザードの住民達とも交流を続けていたそうです。
まぁ本人達にしてみれば、長年敵対関係にあったリーゼンブルグを越え、更に魔の森も越えた先にある異国に行く機会など、普通では考えられない事です。
それだけに、家族や友人、知人への土産話にと、ヴォルザードの街を見て歩いていたようです。
当然、僕のマイホームの建設現場の見学にも来ました。
一般の方の立ち入りはお断りしていますが、バルシャニアの皆さんには内部も見てもらっています。
建物にも驚いたようですが、それよりも庭で昼寝をしているネロとフラムの姿に心底驚いていたそうです。
そう言えば、工事を担当してくれているハーマンさん達も最初はビビりまくりでしたが、最近では休憩時間などにフラムとお喋りをしていたりします。
フラムは人懐っこい性格ですけど、あの巨体と普通に会話している皆さんも大したものだと思ってしまいます。
工事の資材の運搬などは、見物に現れたコボルト隊が手伝ったりしているそうで、昼の休憩の時などは一緒にくつろいでいたりするそうです。
まぁ、うちの眷属達は強化する時にデフォルメしているから魔物感は薄まっていますし、本物の魔物と交流しようなんて気にはならないでしょう。
でも、メイサちゃんぐらいの歳になれば理解出来るでしょうが、もっと小さい子供達は魔物のコボルトも優しいものだと勘違いしそうなので、あまり交流はさせないようにはしています。
コボルトやギガウルフ、ストームキャットをモフれるのは、魔物使いだからと思わせておかないと、事故が起こっては困りますからね。
「あれ? そう言えば、ゴブリンの群れってどうなったんだろう?」
『ケント様、奴らでしたらヴォルザードから遠征した五人組のパーティーが討伐しましたぞ』
「そうなんだ、どんな感じで討伐してた?」
『まぁ、一言で言うならば力押しですな。上位種がいるであろうという見込みは知らされておりましたから、少し苦戦しているようなフリをして、ボスが姿を現したところで一気に叩くという感じですな』
「そっか、うちの居残り組でも何とかなったかな?」
『問題無く討伐出来たでしょうな。ユースケが足を引っ張らなければ……』
「ははっ、そうだね。もう、ホント八木は……まぁ、あの性格は死ぬまで直らないんだろうな」
ざっとシャワーを浴びて食事を済ませたら、今朝はお嫁さん四人と一緒に出掛けます。
向かう先は、勿論守備隊の訓練場で、バルシャニアの騎士達を送還するためです。
「あぁぁ……ケント、もう少しゆっくりしていけ……」
「はぁ、見送るヴォルザードの領主がその様では、示しが付きませんよ」
「うっせぇ、そう思うなら、さっさと治癒魔術を掛けやがれ! ぐぁ、頭が……」
自分の怒鳴り声で頭を抱えるって、もうグダグダも良いところですね。
マリアンヌさんに視線を向けると、軽く溜息をついた後で仕方がないといった表情で頷きました。
許可が出たので治癒魔術を掛けると、クラウスさんはアイロンを掛けたワイシャツみたいにシャキっとしました。
「おぉ、楽になったぜ。さすがSランクは伊達じゃねぇな」
「お父様、後で請求書を回させていただきますね」
「リーチェ? 昔は、お父様、お父様って俺の後を付いて歩いていたのに……これも全部ケント、お前の……」
「はいはい、僕のせいで構いませんから、二日酔いが治ったなら、威厳のある挨拶をお願いしますよ」
「ちっ、わーてるよ」
二日酔いは治ったとはいえ、髪はボサボサで無精ひげは伸びている、ここが領主の館じゃなかったら工事現場のオッサンだと言われても納得しちゃいますよ。
というか、バルシャニアの騎士達は大丈夫なのかな。
送別会の最後の方では、食堂のテーブルに突っ伏してた人もいたような気がする。
いくら体力自慢の騎士達でも、まだ回復していないかもしれませんね。
クラウスさんは自分の二日酔いを理由に、ゆっくりしていけなんて言ってたけど、言葉通りに少し行くのを遅らせた方が良いのかもしれません。
まぁ、どうしてもグダグダだったら、僕が治癒魔術を掛けるしかないでしょうね。
予定の時間ギリギリに守備隊の訓練場に到着すると、既にバルシャニアの騎士達も見送るヴォルザードの守備隊も集合していました。
バルシャニアの騎士達は、帝都グリャーエフに戻る者と国境の街チョウスクに行く者とで二つのグループに分かれています。
送還術を使うので、突然の景色の変化で馬が驚いて暴れないように、全員が下馬した状態です。
一方、ヴォルザードの守備隊員は、鎧の胴金だけを付けた簡略武装での見送りです。
バルシャニアの騎士もヴォルザードの守備隊員も、さすがは鍛え上げられたエリート集団とあってシャキっと……してなさそうです。
見るからに顔色の悪い人が何人も見受けられますし、そもそも近くに行くと酒臭い。
守備隊の人達が胴金だけを付けているのは、フル装備にしてしまうと重くて動けなくなるからじゃないかと思ってしまいます。
その騎士達と守備隊員達を見下ろす台に、クラウスさんは厳しい表情で上がりました。
クラウスさんの表情を見て、バルシャニアの騎士達は歯を食いしばって姿勢を改めています。
「バルシャニアの精鋭達、そして我がヴォルザードの勇士達……楽にして構わないぜ」
クラウスさんが表情を緩めると、訓練場の張り詰めていた空気も緩みました。
「バルシャニアは遠い。この俺でさえ一番東端のチョウスクすら拝んだ事が無い。今回、皇女殿下の輿入れという機会を得て親交を深めたが、再び顔を合わせることは恐らく無いだろう。だが、我々の民を思う気持ちは一つだ」
一旦言葉を切ったクラウスさんは、再び表情を引き締めて騎士や守備隊員を見回した。
「ヴォルザードは、バルシャニアとリーゼンブルグの国交正常化に全力で協力する。そして、ランズヘルトとリーゼンブルグの友好関係樹立に向けて動き出す!」
「おぉぉ……」
突如表明されたリーゼンブルグとの関係改善を耳にして、守備隊員達からはどよめきが洩れた。
「今、表情を緩めた奴ら……これから俺が話す内容を肝に銘じておけ。ヴォルザードは平和に見えるだろう、バルシャニアの騎士達が通ってきたリーゼンブルグも平和に見えただろう。だがな、そんなものは薄っぺらな表面だけだ!」
クラウスさんの厳しい言葉に、整列した騎士や守備隊員だけでなく、参列している僕も背筋が伸びる思いです。
「この一年ほどの間に、どんな事が起こったのか良く思い出してみろ。ヴォルザードではオーガやオークの大量発生、ゴブリンの極大発生、その影には四頭ものサラマンダーの襲来、グリフォンも現れ、ダンジョンでも異変が起きた。バルシャニアにもギガースが現れたそうだよな。それも一頭じゃなく三頭もだ。これが普通の状態だと思うか? 今現在もランズヘルト国内ではイロスーン大森林の通行が止められたままだ!」
クラウスさんが言葉を切ると、訓練場は水を打ったように静まり返っています。
昨日の朝からのお祭り騒ぎの余韻など、綺麗さっぱりと吹き飛んでしまいました。
「ここに、ケントという男がいる。見ての通り、外見はそこらのガキにしか見えないが、どれほどの力を秘めているのかは、ここにいる全員が理解しているだろう。ケントの存在が無ければ、ヴォルザードの街は無くなっていたかもしれん。バルシャニアもギガースに蹂躙されていたかもしれん。俺らの平和はケントによって守られたと言っても過言じゃない」
いやぁ、そんなに持ち上げられると照れちゃいますし、後が怖いですよ。
「ケント頼みの平和の上で、俺達が惰眠を貪っているなんて許されると思うか? この先、ケントだけでは対処できない事態が起こらないなんて言い切れるのか? 答えは否だ! 俺達に人間同士で争っている暇なんか無い!」
力強く言い切ったクラウスさんの表情には、平和への決意が刻まれています。
さっきまで二日酔いで苦しんでいた人とは思えませんよ。
「今、ケントに南の大陸の調査に乗り出してもらっている。まだ始めたばかりだが、その報告を聞く度に頭が痛くなるほどだ。俺たちが、これまでに遭遇した事の無い強力な魔物が当たり前のように暮らし、人間は生活を営めない世界。その南の大陸とこちら側が、空間の歪みによって繋がっている恐れがある。場合によっては、街のすぐ近くに、見たことも無い魔物が現れる可能性だってある。だからこそ、我々は手を携え、国を守り、街を守り、民を守らなきゃならん」
話を止めたクラウスさんは、突然台から下りて、バルシャニアの騎士達に歩み寄りました。
「バルシャニアの精鋭達よ。俺に力を貸して欲しい、この危機を知らせ、人と人が協力する大切さを広めて欲しい、頼む!」
クラウスさんは騎士達に向けて深く頭を下げて見せました。
騎士達の間にざわめきが起こり、直後に隊長であるエラストがクラウスさんに話し掛けました。
「頭をお上げ下さい、領主殿。あなたの思い、確かに受け取りました。そして、お誓いいたします。その思いをバルシャニアに持ち帰り、手を携える大切さを必ずや広めていくと!」
言葉を切ったエラストが硬く握った右の拳を高く掲げると、他の騎士達もそれに習い、一斉に力強く胸を叩き、天を指差して叫びました。
「バルシャニアの誇りにかけて!」
百人の騎士達の唱和が、訓練場の空気をビリビリと震わせました。
やっべぇ、何回見ても格好良いし、今日は正装に身を固めた騎士達なので余計に迫力があります。
初めてみた守備隊の隊員達も圧倒されているようですし、中には涙を拭っている者もいます。
「ありがとう、バルシャニア騎士の思い、確かに受け取った。貴君らと再び会えずとも、我らの思いは共にある」
クラウスさんは整列したバルシャニアの騎士に歩み寄り、一人一人と固い握手を交わしました。
ここから先は、僕の出番です。
グリャーエフの王宮とチョウスクの兵舎には、昨日のうちに連絡は済ませてあります。
どちらにも、騎士五十人と騎馬を送還するだけの場所を空けておいてもらう事になっています。
念のために僕が先乗りして送還する場所には、マルト、ミルト、ムルト、ヘルトに目印役として立ってもらいました。
「では、最初にチョウスクに向かわれる皆さんからお送りいたします。長旅、本当にお疲れ様でした」
騎士の皆さんの前に立つ僕の横にはセラフィマが並んでいます。
「皆の苦労に心から感謝します。私はケント様と幸せになります。バルシャニアを頼みますね」
「セラフィマ様に敬礼!」
チョウスク組を束ねる隊長が敬礼を捧げ、頷いたところで送還術を発動しました。
一瞬にして、五十人の騎士と騎馬が掻き消えました。
『全員到着……問題なし……』
「ありがとう、フレッド。セラ、みんな無事に到着したそうだよ」
「はい、ありがとうございます」
続いて、グリャーエフに向かう一団を送還します。
こちらのまとめ役は隊長のエラストです。
「エラストさん、色々とお世話になりました」
「とんでもございません。こちらこそ、ダビーラ砂漠のオアシスの件ではお世話になりっぱなしですし、リーゼンブルグ国内の道の造成、それに王都アルダロスを目前にした地でオレニッタを差し入れて下った折の誓い、決して忘れません」
「皆さん、どうかお元気で。僕はあちこちフラフラしていますから、またお会いする事もあるでしょう。その時を楽しみにしています」
「はい、ケント様もお元気で、セラフィマ様をお願いいたします」
敬礼を捧げる騎士達を見送るセラフィマの目には涙が浮かんでいます。
送還術を発動し、騎士達が姿を消すとセラフィマは少し肩を落としたように見えたので、ギューっと強く抱きしめました。
『グリャーエフにも無事到着……問題なし……』
「セラ、みんな無事にグリャーエフに帰ったよ。それと、僕はセラを離さないからね」
「ケント様……私も決して離れません」
セラフィマを抱きしめていたら、右から唯香、左からマノン、後ろからベアトリーチェに抱き付かれました。
「私たちも忘れないでね」
「僕も離れないよ」
「私はベッドの上でギューっと……」
「リーチェ……」
何だか最近ベアトリーチェがボケ担当のようになってるけど、みんな僕の大事なお嫁さんですよ。
「うん! ううん! 折角俺がバルシャニアの騎士に気合いを入れて空気を引き締めたのに、お前はちょっとは場所を弁えろ」
「す、すみません……」
お嫁さんに囲まれて、ふにゅふにゅんやぷにぷにを堪能していたら、クラウスさんに怒られました。
確かに、守備隊の皆さんからジト目で睨まれちゃってますね。
「えっと……ヴォルザードはリーゼンブルグと友好関係樹立に向けて動くんですね?」
「動くが、今すぐという話じゃねぇよ」
クラウスさんは、ニヤリと口元を緩めて見せました。
はぁ……そうだよね、やるとは言ったけど、何時までとは言ってない。
ヴォルザードの義理の父親が、そういう人だって散々経験してきたのに……。
「俺はなぁ、別にヴォルザードがリーゼンブルグに組み込まれちまっても構わないって思ってる」
「えぇぇ……本気で言ってるんですか?」
クラウスさんの爆弾発言に、僕だけでなくマリアンヌさんを始めとした守備隊の皆さんも唖然としています。
「勿論、住民の生活が維持されるならばだ。街の仕組み、物の流れ、人の幸せが維持されるなら、どこの国だって構わねぇだろう。ヴォルザードはヴォルザードだ」
「それは、そうかもしれませんが……領主クビになっちゃうかもしれませんよ」
「構わねぇぞ。領主をクビになったところで、娘婿が食わしてくれるだろうし、面倒な仕事から解放されるなら大歓迎だ」
「はぁ……そうですよね。クラウスさんは、美味い飯と美味い酒があれば十分ですもんね」
「そういう事だ、それに良い女……は間に合ってるな」
そうそう、うっかり口を滑らすと後が怖いですよ。
「でも、街の皆さんは抵抗あるんじゃないですか?」
「そりゃそうだろう。だから、国の枠組みも今まで通りを目指すが、例えそうなったところで浮足立つなって話だ。まぁ、詳しい話は後でしてやる。とりあえず、人間同士で争ってるような余裕はねぇぞ! 全員肝に銘じておけ!」
クラウスさんは守備隊の皆さんに業務に戻るように、僕らにはギルドの執務室に付いて来るように命じました。
ギルドの執務室に着くとクラウスさんは、応接セットの三人掛けのソファーに僕らを座らせ、自分は一人掛けのソファーに腰を落ち着けました。
「まぁ適当に座れ。リーチェ、お茶を淹れてくれ」
「クラウスさん、話ってヴォルザードのリーゼンブルグ編入についてですか?」
「そうだが、そう急くな。今すぐどうこうって話じゃねぇよ」
リーチェが淹れてくれたお茶が配られ、一息ついたところでクラウスさんは話し始めました。
「さっきも話した通り、ケントには南の大陸の調査をやってもらっている。その内容は、ここにいる者ならば耳にしているだろう」
僕は勿論、一日の出来事を話している四人のお嫁さん達も頷きました。
「複数の属性魔法を使う魔物、強力な毒や酸を使う魔物……どいつもこいつも俺達の手には負えない奴らばっかりだ。そんな連中が、南の大陸の火山活動次第では、こっちに渡って来るかもしれねぇ。もしそんな事態が起こったら、ヴォルザードはどうなると思う?」
「僕と眷属が守るつもりではいますが、最悪の場合には街が滅んでしまうかと……」
「そうだな。それに街が残ったとしても、どこの街とも行き来が出来ずに孤立するかもしれない。その場合、ケント以外の戦力と考えると、現実的に手を貸してくれそうな戦力はマールブルグにしか存在していない」
クラウスさんはテーブルの上に地図を広げて、指差してみせた。
「もし魔の森が溢れるようにして魔物が増えた場合、ヴォルザードを回り込むようにしてダンジョンの裏手からイロスーン大森林へと通って行くだろう。当然、西側に広がっている森の中からも北上を続けるだろうし、北の街道が安全に通れなくなればヴォルザードは孤立する」
ヴォルザードに通じる道は、魔の森を抜ける道と、リバレー峠へ通じている二本しかありません。
魔の森の中の魔物が増え、更に北の街道の通行が脅かされるようになれば、ヴォルザードは魔物によって孤立してしまいます。
「僕や眷属がいる限り……」
「そんな事は分かってる。だが、五十年先、百年先にそんな事態が起こったら、誰が助けてくれるんだ? 実際、リバレー峠で魔物が溢れた時、その状況になりかけた。今回はケントが何とかしてくれたが、あれと同じ状況が起こった時、ヴォルザードは何処に助けを求めるべきだ?」
「それは、マールブルグじゃないんですか?」
「マールブルグとラストック、どっちが近い?」
「あっ……」
魔物の危険度が同じだとすれば、ラストックに向かう方が急な峠も無いし、距離も短くて済みます。
「それで、リーゼンブルグへの編入なんて話が出たんですね?」
「だから、これは今すぐどうこうという話じゃねぇ。ただな、ケント」
「何でしょう?」
「お前、カミラ・リーゼンブルグを嫁に取れ。駄目なら、アンジェをリーゼンブルグに嫁入りさせる」
将来のヴォルザードのために、クラウスさんは何としてもリーゼンブルグと縁を結んでおくつもりのようです。
「えぇぇ……それって政略結婚ってやつですよね?」
「勿論そうだ。将来、ヴォルザードがリーゼンブルグに編入される事になっても、王族の血を引くものがいるのと、いないのとでは待遇は大きく変わるはずだ」
「でも、そうだとしたら、アンジェリーナさんが輿入れするのは効果が弱いような……」
「そうだ。だからケント、お前なんだ。嫌ならば、バルディーニとの縁談も考えるぞ」
「それは駄目です」
「ならば、お前がカミラを確実に嫁にしろ」
「クラウスさん、バルシャニアの皆さんが帰還するのを待ってました?」
「別に知られても構わないが、バルシャニアとすればリーゼンブルグの抑えとしてヴォルザードを活用したいと思っているのだろうし、皇女殿下を輿入れさせた直後に聞いたら気分も良くなかろう。いずれは話が伝わるだろうが、これでも少しは配慮したんだぜ」
これは暗に唯香を納得させろ、日本とリーゼンブルグのトラブルに決着を付けろと言われているのでしょう。
セラフィマの輿入れも終わりましたし、賠償の問題はそろそろ片付けないといけませんよね。
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