第347話 賠償の行方
クラーケンの魔石の競りが終ると、落札した蒼い髪の女性は席を立ち、ギルドの職員らしい女性に案内されて移動していきました。
スレンダーな体型で背が高く、すっと踏み出す足の運びがファッションモデルを連想します。
これから、落札に関する確認などの手続きがあるそうです。
「カミラ、あの女性は?」
「申し訳ございません。私とは面識の無い者かと……」
どうやら落札した女性は貴族ではないようです。
そこへギルドマスターのクデニーヌさんが話し掛けてきました。
「魔王様、先程の女性ですが、ルツィエという宝石商を営む者でございます」
「宝石商か、こちらも加工して販売するつもりか」
クデニーヌさんの話によると、ルツィエの家は老舗の宝石商で、王家への献上品も過去に何度も納めているそうです。
元々大きな店ではあったのですが、先代の店主が体調を崩し、ルツィエが店を仕切るようになってから更に大きく発展したそうです。
「店が繁盛したのは、何か理由があるんですか?」
「端的に申し上げるならば、デザインでございます」
カエルやトカゲ、カタツムリなどは、こちらの世界では宝飾品のデザインとしては使われていなかったそうですが、ルツィエは大胆かつユーモラスな造形で取り入れ、注目を集めることに成功したそうです。
「ルツィエの店の商品は、単純にユニークなだけでなく、非常に手の込んだ作りになっております。一見するとジョークのような物ですが、手に取って確かめると素人目にも非常に繊細な作りであると気付かされます。そのギャップが受けて、もはや一つのブランドとして確立されています」
どこの世界でも一緒ですが、ヒットした商品は真似される運命にありますが、ルツィエは自社製品のクオリティを極限まで上げることで、他社には真似の出来ない商品を作り上げたようです。
実際、婚約者から送られたアクセサリが、一目見ただけでも分かる偽物で、それが原因で婚約を破棄するような事態も起こったそうです。
「まぁ、一目で見て偽物だと分かるような物を贈られたら、その程度の愛情しか感じていないとか、その程度の目利きしか出来ないとか、色々と思われちゃうんでしょうね」
「はい、おっしゃる通りでして、贈った側は使用人に買い求めてくるように言い付け、自分では実物を確認していなかったそうです。使用人にしてみれば、本物と偽物の差額を手に入れたかったようで、アクセサリーを納めた翌朝には姿を消していたそうです」
「偽物だと発覚すると、分かっていたんでしょうね」
ルツィエの店は、このユニークな商品で高い技術を証明した形となり、ベーシックなアクセサリーでも売り上げを伸ばしているらしいです。
ルツィエが、いわゆるやり手の女社長だというのはわかりましたが、問題はクラーケンの魔石を横から掻っ攫われたカンベルグです。
途中まで競り合っていた老齢の男性の正体は知りませんが、カンベルグに関しては色々と裏がありそうな人物です。
一応、正当な手順での落札ですが、モラル的にはどうなんだと考えてしまう展開でした。
「クデニーヌさん、あのカンベルグという人に、メッセージを届けることはできますか?」
「メッセージですか? 魔王様からと言い添えてでしょうか?」
「はい、オークションの結果は残念でしたが、お力を落とさず……みたいな感じでお願いしたいのですが」
「かしこまりました。ケルステン子爵が会場にいる間にお届けいたします」
クデニーヌさんは、すぐに控えていたギルドの職員を呼んで、カンベルグにメッセージを届けるように手配してくれました。
クデニーヌさんの様子を見守りながら、カミラが少し心配そうな声で訊ねてきました。
「魔王様、カンベルグが何かしでかすとお考えですか?」
「さぁ、僕はカンベルグという人が、どんな性格なのか知らないから、危険性に付いても未知数だとしか言えないけど、予防的な措置は講じておけるからね」
「ありがとうございます。本来であれば、私がすべき事でした」
ギルドの職員にメッセージの件を伝えに行っていたクデニーヌさんは、貴賓席へと戻ってくると僕に訊ねました。
「魔王様、落札されたクラーケンの魔石の代金ですが、お支払方法はいかがいたしますか?」
「と言うと、幾つか選択できるんですか?」
「はい、一つはギルドの会員口座に預金としてお預かりする方法で、もう一つは、リーゼンブルグの通貨、もしくは、ランズヘルトの通貨でのお支払。金品や奴隷との交換も出来ますが、いかがいたしますか?」
「それは、金との交換も可能ということなの?」
「はい、可能でございますが、三億ブルグ分の金を用意いたしますまでに数日のご猶予をいただけますか?」
「それは構わないから、全額を金で準備してもらえるかな?」
「かしこまりました。それでは、すぐに手配いたします」
再びクデニーヌさんが席を外している間に、カミラに考えていた計画を打ち明けました。
「カミラ、このオークションで稼いだ金だけど、日本に賠償金として持ち込むつもりだから、金が用意出来た時点で、また日本へのメッセージを撮影するからね」
僕としては、一日でも早く召喚に関わる問題を解決してしまいたいと思っていたのですが、カミラから返ってきた答えは意外なものでした。
「魔王様、申し訳ございませんが、その話はお受けしかねます」
「えっ、どうして……今回の分を合わせれば、賠償を完了できるかもしれないんだよ」
「それは、存じ上げています。ですが、魔王様の用意して下さった金品に頼ってしまっては、私達の責任を果たしたことになりません。それでは……それでは、魔王様のお側にいることを許してもらえません」
たぶん、カミラの脳裏にはラストックに居た頃の唯香の顔が浮かんでいると思います。
召喚された僕らの中で、一番接する機会が多く、一番怒りをぶつけていたのが唯香です。
それに僕も、唯香の許しが得られなければ一緒にはいられないと、明言もしてきました。
「魔王様、賠償の品は近々用意いたします」
「賠償の品って、金で約63コラッドだよ」
梶川さんに計算してもらった賠償額は約50億円、当時の相場で約1トンの純金に相当します。
そんな膨大な金が、一体どこにあったと言うのでしょう。
「まさか……汚職のお金?」
「はい、商人達が汚職で得た利益を自主返納という形で回収いたしました。これを賠償に当てようと思っています」
「でも、そのお金はリーゼンブルグを立て直すために使うんじゃ……」
「勿論そのつもりでおりますし、何よりも召喚によって被害に遭われた方や、そのご家族への賠償を済ませなければ、魔王様の祖国と良好な関係を取り戻せません。魔王様が暮らしていらした世界は、こちらの世界よりも文明の発達した世界でございます。これからリーゼンブルグが正しく発展していくためには、多くの経験を持つ世界からの助言は欠かせません。なので、この機会に金銭的な補償だけでも済ませておきたいと考えております」
確かに、カミラの言う事には一理あります。
こちらの世界は、地球で言うところの産業革命前の文明レベルです。
ここから地球と同じ発展の道を辿るとすれば、大気汚染などの環境問題も当然起こってしまうでしょう。
今、地球でも環境と経済発展の両立について、世界規模で議論が行われています。
リーゼンブルグの現状から、地球の最先端に一気に進むのは、相当な無理があるとは思いますが、そこに有用な技術があるのに、あえて問題がある古い技術を使う必要も無いでしょう。
リーゼンブルグを健全に、かつどこよりも早く発展させることを考えるならば、日本と友好関係を取り戻す事は何よりも重要だと考えるべきでしょう。
「分かった。でもブルグを金に変換する目途は立ってるの?」
「いえ、それはこれからなのですが……」
「クデニーヌさん、先程の支払の件なのですが、少し待ってもらってもよろしいでしょうか?」
「はい、それは勿論構いませんが……何か問題でも?」
「詳しい説明は今は省きますが、リーゼンブルグはある問題によって、僕らの国に対して多額の賠償責任を抱えています。両国間には通貨の流通が無いので、支払いには金を使う予定なんです」
「なるほど、魔王様へのお支払と、その賠償金、両方を金で集めようとすると相場が乱れるとお考えなのですね?」
「はい、その通りです」
さすがは商工ギルドのマスターです。
僕への支払い三億ブルグ、日本への賠償金として約1トンの純金、片方だけでも十分に相場に影響が出そうですし、それが両方となると金の相場が暴沸しそうな気がします。
「僕への支払は、ギルドの口座への積み立ての形で構いませんので、カミラが賠償に使う金を集める方を優先して下さい」
「かしこまりました。カミラ様のお力になれるように、商工ギルドとして万全を期す所存です」
王家にも、何らかのコネクションはあるでしょうし、民間を統轄する商工ギルドの協力が得られれば、賠償に使う金の手配は出来るでしょう。
次の帰還作業が終われば、日本への帰還を望んでいる人は全員帰還を終えます。
ようやく、ようやく、あの忌まわしい召喚という出来事に、一つの区切りが付けられそうな気がします。
ただ、校舎の崩壊に巻き込まれて亡くなった人は戻ってきませんし、こちらの世界で命を落とした人も戻ってきません。
その中でも、衰弱死した後、魔の森でゴブリンの餌にされてしまった船山と、グリフォンを撮影しようとして攫われてしまった三田の二人は、遺体も戻ってきません。
いくら死んだと言われても、遺体が無ければ遺族は死を受け入れられないでしょう。
そういえば、船山の父親はどうしているのでしょう。
日本政府は、異世界召喚に関わる話を沈静化させたい方針みたいですし、マスコミの関心も薄れてきているようです。
僕が船山の父親だったとしたら、世間から疎外されているように感じるかもしれない。
そんな事を考えていると、セラフィマが声を掛けてきました。
「ケント様、どうかされましたか?」
「うん、先は長いなぁ……って思ってた」
「ケント様は、カミラ様とも結婚なさるおつもりなのですね?」
「うん、そのつもりだけど、今は無理……セラは反対する?」
「私は……」
セラフィマは、一旦言葉を切ってカミラに視線を向けた後、話を続けました。
てか、自分の胸元と見比べ……いえ、何でもないです。
「私はケント様を独占したいと思っています。ですが、それが無理なのも十分に承知しております」
セラフィマは、タブレットを使って唯香、マノン、ベアトリーチェとビデオレターのやり取りをしている事を明かしました。
カミラにとっては初耳だったようで、少し悔しそうな表情を浮かべています。
「正直に申し上げて、最初にケント様に婚姻を申し込んだのは、バルシャニア皇族としての務めを果たそうという思いの方が大きかったと思います。ですが、今はケント様の人となりに触れて、心よりお慕いしております。私情を優先するのであれば、ケント様と二人きりの生活をしたいと思いますが、バルシャニア、リーゼンブルグ、そしてランズヘルトの関係を考えるのであれば、カミラ様の輿入れを反対する理由はございません」
静かで落ち着いたセラフィマの口調には、バルシャニア皇女としての誇りが感じられます。
「私は、リーゼンブルグを思うあまり、間違った考えに囚われ、魔王様やご友人、その家族、祖国に多大な迷惑を掛けてしまった。力を欲し、力を怖れ、無力と勘違いして魔王様を死地に送り込むようなことまでしでかした。それなのに、魔王様はリーゼンブルグの民を思い、我々の過ちを正し、力を貸して下さった。私は、魔王様の恩義に報いるために、この身も心も全てを捧げてお仕えすると誓った。
魔王様の祖国への賠償を終え、リーゼンブルグを立て直し、王位を弟に譲った後は、残りの人生の全てを魔王様に捧げるつもりだ」
セラフィマが絡めた腕にキュっと力を込め、カミラは僕の右手を包み込むようにして握り、二人とも熱っぽい視線を向けてきます。
いいよね、これまで頑張ってきたんだもん、両手に花でもいいよね。
「僕は、日本への賠償、リーゼンブルグの立て直しを手伝って、カミラをヴォルザードに迎えようと思ってる。いいよね、セラ」
「はい、私はケント様のお考えに従います」
ヴォルザードに戻ったら、唯香、マノン、ベアトリーチェにも改めてカミラの話をして、許可を貰い、出来ればビデオレターで交流してもらいたいと思っています。
というか影の空間では、ハルトとヒルトが既に相談を始めているようです。
「魔王様、セラフィマ様は明日アルダロスを出立なさいますので、今宵は送別の晩餐会を予定しております。ご出席いただけませんか?」
「晩餐会かぁ……堅苦しい席は苦手だし、テーブルマナーとか全く分からないんだけど……」
「ご懸念にはおよびません。席は、今と同じように整えますし、相対する席にも顔見知りの者を並べます」
「うーん……着る物も無いんだけど……」
「こちらで用意いたします」
「じゃあ、ちょっとだけ……」
「ありがとうございます」
クラーケンの魔石の競りも終ったし、オークションを最後まで見物していると遅くなりそうだから、カミラとセラフィマも王城へ戻るそうです。
僕にも一緒に馬車に乗ってほしいと言われたが、アルダロスの人達に魔王として顔を曝すと、後々街歩きがしづらくなりそうだから断わりました。
商工ギルド近くの焼き鳥屋にも、また気軽に行きたいしね。
カミラとセラフィマは馬車で移動し、僕は影を伝って移動して王城で合流しました。
王城では、大勢の侍女に迎えられました。
一旦、セラフィマとカミラに合流しましたが、二人とも晩餐会の準備があるそうなので、また別行動となります。
そのままの格好で良いのでは、なんて思ってしまいますが、そうもいかないのでしょう。
僕は、王族が着ていたお古を貸してもらいます。
お古と言っても、王族の場合には作ったは良いが一度も袖を通していないものもあるそうで、そうしたものが保管されているそうです。
ちょっと見せてもらいましたが、貸衣装屋かと思うほど、ずらーっと服が並んでいました。
「えぇぇ……これ全部、作ったまんまで使われていないの?」
「はい、ですが王族の皆様には、新しい服を作っていただかないと、出入りの業者が困りますので……」
なるほど、これも公共事業の一環という訳ですね。
それでも、捨ててしまうのは勿体ないから保管してあるそうで、今日着た衣装は、そのまま持って帰って良いそうです。
寸法を測ってもらい、丁度良いサイズの服を持ってきてくれたのですが、どれもこれもジ・王族という感じですね。
なるべく地味な色合いのものを選びましたが、これに着替えると馬鹿王子に見えませんかね。
『いえいえ、ケント様でしたら、お似合いだと思いますぞ』
『本当にぃ……?』
『勿論、本心でございますぞ』
まぁ、面白がっているようには感じませんが、ラインハルトの場合、眷族の贔屓目が入っていそうなので、話半分ぐらいに聞いておきましょう。
晩餐会は夜からなので、それまでは別室で休憩させてもらって、時間になったら着替えることにしました。
「魔王様、それでは御入浴をなされてはいかがでしょう?」
淹れてもらったお茶を飲んでいたら、入浴を勧められたのですが、バルシャニアの時のようなガチムチな世話役とかいないだろうね。
「んー……うん、そうさせてもらおうかな」
「では、御案内いたします」
案内されたのは、ちょくちょく忍び込んでいる後宮の風呂場ではなく、男性王族が使っている大浴場でした。
「えーっと、僕の眷族が一緒に入るから、世話役は要らないからね」
「かしこまりました、ごゆるりとどうぞ……」
警戒していたガチムチの世話役も、ほんのちょっとだけ期待したウフーンな世話役も抜きで、大浴場を貸切です。
そう言えば、ここって愚王と呼ばれた前の王様が、昼間から女性を侍らせて酒飲んでたところだよね。
「このお湯って、僕のために用意されてたのかな?」
使われなかった衣装は律儀に取っておくような倹約ぶりなのに、お湯が勿体無いと思わないのかな……なんて考えちゃうのは小市民的な発想なんでしょうね。
広い湯船に浸かって、手足を伸ばして寛いでいると、影の空間から出て来たマルト達が犬掻きで泳ぎ始めました。
「なかなか良い湯ですね、主様」
「うわぁ……サヘルか、脅かさないでよ」
「すみません」
目を閉じていたら、急に真横からサヘルに声を掛けられてビックリしちゃいました。
「サンドリザードマンにはお湯に浸かる習慣とか無いと思うけど、気持ち良い?」
「はい、とても……」
お湯に浸かったサヘルを撫でてあげると、くーくーと喉を鳴らして目を細めています。
それにしても、このお湯に濡れてシットリとした鱗の手触りが、何とも言えず気持ち良いですね。
肩とか背中とかも撫でてあげると、サヘルはスリスリと頭を擦りつけて甘えてきました。
それは良いんだけど、ツルンとしてフニュっと柔らかい膨らみが当たってくるんですけど。
このままでは、いけない気持ちがムクムクと湧き上がって来そうだと、ちょっと焦っていたら声を掛けられました。
「魔王様、失礼いたします」
「ひゃい! だ、誰っ? って、ディートヘルム……」
「お邪魔してもよろしいですか?」
「えっと、眷族も一緒だけど良いかな?」
「勿論、結構です」
カミラの弟ディートヘルムは、ずーっと弱い毒を盛られ続けていたために、物心付く頃から病弱だと思われてきました。
僕が治癒魔法を掛けたから、今はもう健康そのものですが、やはり線は細いですね。
サラサラ金髪の整った風貌で、抜けるように白い肌、もう婦女子の皆さんなら鼻血ものですね。
「主様、斬りますか?」
「いやいや、駄目だよ、何で斬ろうとするの」
「いえ、何となく……」
「もう、何となくとかで斬りつけたりしちゃ駄目だからね」
「分かりました……」
掛け湯を終えたディートヘルムは、サヘルを避けるように僕の右側へと腰を下ろして湯に浸かりました。
男同士の裸の付き合い、いずれディートヘルムとは義理の兄弟になるのですから、こうした機会は増えるかもしれませんね。
そう言えば、妹ポジションには不動のメイサちゃんが控えていますが、弟ポジションに付くと思われたマノンの弟ハミルは相変わらずですし、これはディートヘルムがレギュラーを奪いそうですね。
「魔王様とこうして一緒に入浴するのは初めてです」
「そうだね。身体の調子はどう?」
「はい、おかげ様で魔王様に治療していただいてからは、病気一つしておりません」
「そうか、それは良かった。ディートヘルムには、いずれカミラの後を継いで王様になってもらわないといけないからね」
「魔王様は、姉上を嫁に迎えるおつもりなのですね」
「うん、そのつもりでいる。いずれ僕がディートヘルムの義理のお兄さんになるんだけど、嫌かな?」
「嫌……ではございませんが……」
ディートヘルムは、僕から視線を外して俯きました。
そのまま少しの間考え込んでいましたが、意を決したように顔を上げたディートヘルムの瞳は潤んでいます。
「ディートヘルム……?」
「わ、私も魔王様のお側に置いていただけませんか?」
「えっ、なに言ってるの……?」
「魔王様、お慕いしております」
「わっ、ちょっ!」
突然、ディートヘルムが抱き付いてきました。
さすが王族とあって髪からは良い匂いがして、でもやっぱり身体が固い。
「主様、斬りますか?」
「駄目、駄目、これでも未来の王様なんだから、ちょっ、ディートヘルム、どこ触って!」
「わふぅ、御主人様、うちもまぜて!」
「うちも、うちも!」
「主殿、失礼いたします」
「えっ、ゼータ?」
「兄貴、俺っちも混ざっていいっすかね?」
「にゃー、ネロは騒がしいのは苦手にゃ」
「ちょっ待って、らめぇぇぇぇ!」
晩餐会の前に、ゆっくりお湯に浸かるはずが、ヘットヘトにさせられちゃいました。
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