第259話 ナシオス
イロスーン大森林で魔物の数が増えているのは確かですが、その原因を突き止めるのは容易ではなさそうです。
イロスーン大森林は、マールブルグとバッケンハイムの間に広がる森で、東西を突っ切り街道で通り抜けるだけでも、馬車で一日半も掛かります。
南北の長さは、その三、四倍もあるそうで、その中からフラムが出て来た洞窟を探すなんて至難の業です。
しかも、これだけ広い森全体で、魔物が増えているとすれば、洞窟が複数個所あるか、フラムが来る以前から南の大陸と繋がっていたと考えるべきでしょう。
『これは、指名依頼が来たとしても対処は難しそうだね』
『そうですな。いくら魔物を狩ったところで、大元の洞窟を何とかせねば、また同じ状況になるでしょう』
『その洞窟だって、一つとは限らないし、埋めても別のところに新しい洞窟が出来るかもしれないし、対処出来る気がしないよ』
『全く方法が無い訳ではございませんぞ』
『何か良い対策があるの?』
『少々現実離れしてしまいますが、道の両脇に深い堀を穿てば、危険度はかなり下げられますぞ』
『それはそうだろうけど、工事に膨大な費用と日数が掛かるんじゃない?』
『掛かるでしょうな』
たぶん、大森林を抜ける街道の端から端までは百キロ以上の距離があるはずです。
その両脇に、大型の魔物も防げる堀を穿つとなると、完成までにどれ位掛かるか想像も出来ません。
『堀が穿てないとしても、道路脇の草地の幅を広げるだけでも襲撃の危険性はグッと下がりますぞ』
『なるほど、急に襲い掛かられる心配が減るってことか』
イロスーン大森林を抜ける街道の両脇は、道と同じぐらいの幅で草地になっています。
この草地の幅を広げれば、見通しが良くなり、魔物に不意打ちされる心配は減るでしょう。
確かに安全策としては有効だとは思いますが、この話も、森林の伐採と整地にどれほどの時間が掛かるのか想像すら出来ません。
それでも、レーゼさんから依頼が来た場合の対策として、頭の中に入れておきましょう。
イロスーン大森林を偵察した翌朝、呼びに来たホルトと一緒に向かった先は、領主の館でした。
ギルドの執務室には向かわずに、ここから直接移動するようです。
「ケント、ブライヒベルグのギルドには行ったことがあるよな?」
「はい、先日のサラマンダーの一件をレーゼさんに知らせるために行きました」
「じゃあ、そのギルドの訓練場の隅で構わない、俺とアウグストを送ってくれ。あと、この鞄を預かっておいてくれるか?」
「分かりました」
ブライヒベルグのギルドを訪れると、朝の喧騒の時間だと思うのですが、人影疎らという感じです。
ギルドの造りは、どこの街でも似た感じで、裏には訓練場が設けられていますが、ここにも人影はありませんでした。
まぁ、邪魔が入らないのは良い事なので、早速二人を召喚しました。
「おっ、おぉ……もうブライヒベルグなのか」
「いや、分かっていても、いきなり景色が変わると戸惑うな」
クラウスさんも、アウグストさんも、日本語の知識を付与するのに召喚術は体験していますが、今回とは違い右から左程度の距離でした。
ヴォルザードからブライヒベルグ、馬車で移動すれば一週間以上かかる距離を一瞬ですから、戸惑いもあるのでしょう。
「よし、ケント。お前は影の中から護衛してくれ」
「それは、僕の姿を見られない方が良いってことですか?」
「その通りだ。切り札ってのは隠しておくもんだぜ」
「分かりました」
クラウスさんの言葉通りに、影の中から二人の様子を見守ります。
過去に何度か来ているのでしょう、クラウスさんは迷う素振りも見せずにギルドの中へと踏み込んで行きます。
そう言えば、クラウスさんは領主になる前は、冒険者として活動していたそうですから、その頃からブライヒベルグのギルドに出入りしているのかもしれません。
クラウスさんは、ギルドの中へと入ると、真っ直ぐにカウンターへと歩み寄りました。
「クラウス・ヴォルザードだ。ナシオスに面会したい、取り次いでくれ」
「は、はい、ただ今、少々お待ち下さい」
今日のクラウスさんは、いつもの冒険者崩れのような服装ではなく、貴族の旅装といった出で立ちですので、どことなく威厳が漂います。
てか、クラウスさん、ぜったいに自分好みの女性職員を選んで声を掛けましたよね。
ここ、真ん中よりも随分と右寄りですもん。
これは帰ったらマリアンヌさんに報告しないといけませんね。
「御案内いたします、どうぞこちらへ」
一旦、裏の職員スペースへと姿を消した女性職員が、カウンターの外へと出てきて二人を案内しました。
てか、クラウスさん、ぜったいお姉さんのお尻を見てますよね。
口元がニヘラって緩んでますよ。
うん、これもマリアンヌさんに報告しましょう。
「どうぞ、お掛けになってお待ち下さい。ただ今、お茶の支度をいたします」
「あぁ、面倒掛けて悪いな……」
クラウスさんは、奥のソファーにドッカリと腰を落ち着け、隣のソファーにアウグストさんも座りました。
『ケント様、覗き部屋がございますぞ』
クラウスさんが腰を下ろしたソファーから見て、左斜めまえに絵が掛けられています。
その裏側に、人が一人通れる程度の通路が作られていました。
通路には小さな明かりが灯されていますが、ギリギリ足元が見える程度の明るさです。
そこへ、足音を忍ばせて小柄な男が入って来ました。
絵が掛けられている壁へと歩み寄り、そっと壁の小窓を開けて覗き込むと、ちょっと驚いた顔を浮かべました。
男は、直ぐに窓を閉めると、再び足音を殺して通路から出て行きます。
隣の部屋のロッカーから外へ出ると、廊下を通り、クラウスさん達がいる部屋の扉を開きました。
「クラウス、一体どんな手品を使ったんだ? まさか自分で自分の護衛をしてきたとか言うなよ」
「いきなり訪ねてきて悪かったな、ナシオス。だが色々と急いだ方が良いように思ってな」
「あぁ、イロスーンの件だな。まぁ、座ってくれ……こちらがアウグストかい?」
「おっと、紹介が遅れてすまない、上の息子のアウグストだ」
「アウグストです、お見知りおきを」
「ナシオス・ブライヒベルグだ。よろしく頼む」
「こちらこそ、よろしくお願いいたします」
ナシオスは、アウグストさんと握手を交わすと、クラウスさんと向き合う席に腰を降ろしました。
ナシオス・ブライヒベルグは、クラウスさんよりも二十センチぐらい背が低く、くすんだブルーの髪は、頭頂部が薄くなっています。
歳はクラウスさんと同年代ぐらいに見えますが、にこやかな笑顔は、人当たりの柔らかさを感じさせます。
「さて、クラウス。君がここに居るのは、秘蔵っ子のケント・コクブのおかげかい?」
「まぁな、どうやって……までは明かせないが、ケントの力だ」
「まったく、つくづく幸運な男だな。それほどの才能が、向こうから転がり込んで来るなんて考えられんぞ」
「幸運か……まぁ、そうなのだろうが、ベアトリーチェを持っていかれることを考えると、さほど幸運とも思えねぇな」
「ふははは、そうか、親馬鹿の君が娘を差し出すほどとは……是非、一度会ってみたいものだな」
「悪いが、ケントはブライヒベルグには渡さないぞ」
「だろうな、さて本題に入るとするか」
ナシオスは、お茶で喉を湿らすと、表情を引き締めました。
「イロスーン大森林で魔物が増加している一件では、我々も大きな痛手を受けている……」
ブライヒベルグは商工業の街です。
ランズヘルト国内の多くの品物が集まり、ブライヒベルグで取り引きや加工が行われ、別の街へと運ばれていきます。
イロスーン大森林の通行が滞れば、マールブルグやヴォルザードの鉱石や素材が入って来ないし、穀物や生地などの品々が送れなくなる。
商取引の街にとっては、これ以上ないほどの痛手です。
「クラウス、君がこの場に居るという事は、我々の苦境を解消する手立てがあると言うことだな?」
「まぁ慌てるな、ナシオス。確かに、イロスーンの異変を回避する方法が無い訳ではないが、それは一人の人間の才能に頼る行為でもある……」
「ケント・コクブだな?」
「そうだが、一人の人間に国の経済の根幹を握らせるのは、望ましい状況ではないぞ」
「確かに、その通りだな。現状、これまでの倍近い冒険者が奮闘しているのに、その者達の働く場がなくなれば、暴動が起こったとしても不思議ではないな」
ブライヒベルグのギルドが閑散としていたのも、多くの冒険者が護衛の依頼を受けたり、護衛の仕事を手にいれようと街を離れているからだそうです。
「だがクラウス、君の言いたいことは理解出来るが、今のままでは護衛に費用が掛かり過ぎる。冒険者は潤うかもしれんが、貧困層の生活が立ち行かなくなるぞ」
「イロスーンの件は、短期間に解決出来る問題ではないと考えている。貧困層への手当てを含めて、各領地が対策を講じるしかなかろう」
「そうは言うが、ヴォルザードには問題解決の手段があり、課題は匙加減だけではないのか?」
「まぁ、その通りだが、いつまでもケント一人に依存する状況を続けていくつもりは無いぞ」
「そうか、ところでクラウス、異変の原因は何だと思っている? やはり、大森林のどこかに大規模なダンジョンが出現したと考えるべきか?」
「その件だが、詳しい経緯はバッケンハイムに問い合わせてもらうとして、空間が歪み、隣の大陸と繋がってしまっている洞窟があるらしい。まぁ、ある意味ダンジョンなのかもしれんがな」
「隣の大陸と繋がっているだと? 本当にそんな事が起こり得るのか?」
「俺も現物を目にした訳じゃないから、断言は出来んが、可能性は高いと睨んでいる」
「だが、洞窟が原因だとしても、どうやって探すのだ」
「問題はそこだな。いくらケントが優秀でも、探し出すのは困難だろうし、探し出したとしても、確実に対処出来ると決まった訳ではない」
「ふむ、つまりは根本的な解決は難しいという訳だな」
ナシオスは、腕組みをして考えを巡らせ始めました。
「問題は、鉄鉱石と銅鉱石か……」
ナシオスの洩らした言葉に、クラウスさんは頷いてみせました。
『どういう意味だろう?』
『ブライヒベルグから見て、イロスーン大森林の向こう側にある街は、マールブルグとヴォルザードの二つです。その内のヴォルザードに関しては、ケント様の力を使えば物品の流通には問題は生じません』
『なるほど、残る問題はマールブルグから買い付ける鉱石の値段が上がる事なんだね』
『そうなりますな』
ナシオスは、腕組みを解くとクラウスさんに尋ねました。
「ヴォルザードのダンジョンからは、どれぐらいの鉄鋼石が産出する?」
「残念ながら、ブライヒベルグを含め、四つの街を賄えるほどの量は産出しないぞ」
「だろうな。そもそも鉱石の類は、重量が嵩むから輸送費が掛かる。その上、今回の事態で護衛の費用が嵩むようになると……頭が痛いな」
「だろうな……」
「気安く言ってくれるな、マールブルグとの往来に支障をきたしていないから、そんな呑気な顔をしていられるが……」
「いや、そうでもないぜ、うちは取り引きそのものが出来なくなる可能性がある」
「なんだと、まさかリバレー峠でも何か起こっているのか?」
「いや、そうじゃねぇ。マールブルグの馬鹿息子共が、アンジェリーナを嫁によこせとか言って来やがってな」
「ほう、ふざけた話を寄越したから蹴飛ばしたか?」
「そういうことだ」
「くっくくく、それでどうするつもりなんだ? 本当に鉱石を止められたら困るんじゃないのか?」
「そこで、こいつだ……」
クラウスさんが取り出したのは、鉄筋を十センチほどに切ったものです。
「なんだ? 鉄か」
「あぁ、そうだ。そいつは見本として渡しておく」
「見本だと……どういう意味だ?」
「必要ならば融通する」
ナシオスは、クラウスさんの真意を探るようにジッと視線を向けて黙り込みました。
やがて手元の鉄筋とクラウスさんを交互に見た後で、席を立ちました。
廊下へ通じるドアを開け、通りかかった職員に言いつけました。
「ナチョを呼んでくれ、あぁ、急ぎだ」
小走りに去った職員を見送り、ナシオスは席に戻りました。
「見本として置いていくと言うくらいだ、こいつは普通のものとは違うのだろう?」
「俺の口から言ったところで、そっちで確かめないことには信じてもらえないだろう?」
「まぁ、そうだな……こいつは、どこで手に入れたものだ? まさか、リーゼンブルグか?」
「鑑定士を呼んだのだろう? そいつの見極めが終ってからでも良いだろう」
「どの程度の量がある?」
「四百……」
「四百コラッドか、だとすると……」
「おっと、その計算も後にした方が良いぜ」
「むっ、そうか、それほど純度が高いのか」
「そういうことだ」
応接室のドアがノックされ、鉱物の鑑定を行う鑑定士が入って来ました。
「ナチョ、こいつを見てくれ」
「これは、鉄ですね……」
ナチョと呼ばれた鑑定士は、鉄筋の切れ端を手にすると、鑑定を始め、すぐに大きく目を見開きました。
「ナシオス様、これはどこで精錬されたものですか? このような高純度の鉄を見るのは初めてです」
「そうか、こいつはブライヒベルグの存亡に関わるかもしれない話だ、他には洩らすな」
「畏まりました」
ナチョは、鉄筋をナシオスに戻すと一礼して退室して行きました。
人当たりの良さそうだったナシオスの顔には、今や一片の笑みもありません。
「つまり、精錬の手間、輸送の手間を上乗せした価格……いや違うな、精錬の純度が異なるのでは、それ以上の価格での取り引きを考えている訳だな?」
「話が早くて助かるぜ。ただ、マールブルグに暴走されるのも面倒だ」
「はぁ……マールブルグが暴走しない程度の流通も考えろと言うのか、全くどこまで俺に仕事を押し付けるつもりだ?」
「それじゃあ、そいつは必要無いのか?」
「待て待て、そうは言っていないだろう。全く貴様という男は……」
ナシオスが苦虫を噛み潰したような表情を浮かべると、クラウスさんは満面の笑みを浮かべてみせました。
「だがな、ナシオス。イロスーンの一件が、今まで以上に悪化するような事になれば、本当にマールブルグからの鉱石が止まるぞ」
「分かっている。だが、そうなったら、マールブルグは立ち行かなくなり、間違いなくヴォルザードにも影響が出るぞ」
「そうだな。ランズヘルトという国を存続させていくためにも、イロスーンの往来は何としても確保せねばならん」
「何か具体策があるのか?」
「そうだな、壁を作るか、堀を穿つか、何にせよ伐採から始めないと話にならんだろうな」
「国としての協議が必要か? それとも、まずはマールブルグとバッケンハイムにやらせるか?」
「国としてやるしかなかろう。だが、エーデリッヒのクソ爺が納得するかどうか……」
「納得させるしかなかろう。フェアリンゲンやリーベンシュタインには事前の根回しをしておく」
「会合は何時にする?」
「そうだな、あと二週間程は様子を見て、それから通達を出すから早くても一ヶ月後だな」
「分かった、予定を空けておこう」
それからクラウスさんとナシオスは、領主による会議の日程などについて、細々とした打ち合わせを重ねました。
いつの間にか、アウグストさんは、ノートを取り出して要点を書きとめています。
打ち合わせを終えると、ナシオスは大きく息を吐いて、ソファーに背中を預けました。
「クラウス、今夜は泊まっていくよな?」
「あぁ、そのつもりで仕事はドノバンに押し付けて来た」
「まったく、お前の周りにいる人間は災難だな。よし、俺は俺の仕事を片付けてくる。部屋の準備が出来たら案内させるから、それまでは待っていてくれ」
「いや、少し街を見て歩きたい、夕方までには戻る」
「そうか、ならば好きにしてくれ。年が明けてからは、景気もボチボチで治安もまぁまぁだ。問題は無いと思うが用心だけはしてくれ」
「そうだな……ケント、ちょっと出て来てくれ」
「なに? どこだ、どこにいる?」
クラウスさんの座っているソファーの横に闇の盾を出して、応接室へと踏み出しました。
「初めまして、ケント・コクブです」
「ふぅむ……闇属性の術士だと聞いていたが、ここまでか……ナシオス・ブライヒベルグだ」
「ブライヒベルグに譲り渡すことはできないが、貸し出す程度ならば考えるぜ」
「当然、金額は張るのだろう? 今のところは手を借りる用事は無いが、サラマンダーを手品のように消してみせるほどだと聞いている。ブライヒベルグで手に負えない事態が起こった時には、手を借りると思うので、よろしく頼む」
「こちらこそ、よろしくお願いします」
「ふむ……失礼ながら、拍子抜けするほど普通の少年に見えるな」
「はははは、俺やアウグストだって同じように思ってるぜ。だが、この俺がベアトリーチェを嫁がせるんだ、それだけでも分かるだろう」
「そうだな……じゃあ、クラウス、続きは夜に、一杯やりながらにしよう」
「了解だ」
クラウスさんと握手を交わし、ナシオスは自分の仕事へと戻って行きました。
「さてケント、預けておいた鞄は出せるか?」
「はい、ちょっと待って下さい」
旅行用のスーツケースを少し大きくしたぐらいの鞄を取り出すと、クラウスさんとアウグストさんは着替え始めました。
貴族っぽい衣装から、普段の冒険者スタイルに早変わりといった感じです。
アウグストさんも、同じような服装なんですが、何だかコスプレっぽい感じがしますね。
普段はキッチリした服装をされているので、見慣れないからだろうと思っていたら、クラウスさんも同じことを口にしました。
「駄目だな、アウグスト。変装しているようにしか見えねぇな」
「そう、でしょうか?」
「そうだよな? ケント」
「えっと……見慣れないせいもあるのかと……」
「いや、違うな、ちょっと脱げ、アウグスト」
クラウスさんは、折角着替えたアウグストさんから冒険者風の服を脱がせると、グチャグチャに丸めて揉みしだきました。
シャツも、ズボンも、上着もグチャグチャにしています。
「ほれ、着てみろ」
微妙な表情を浮かべていたアウグストさんですが、言われた通りに着替えると、なるほど冒険者っぽく見えてきました。
「まだだな……」
クラウスさんは、アウグストさんにチョイチョイっと手招きすると、髪の毛をグッチャグチャに乱しました。
なるほど、アウグストさんは、色々とキッチリし過ぎていたんですね。
これなら冒険者みたいに見えますね。
「どうだ、ケント。これなら下っ端冒険者に見えるだろう」
「下っ端かどうかは分かりませんが、冒険者に見えますね」
と言うか、クラウスさんが似合いすぎるんですよ。
「これからアウグストには、他の街にも足を伸ばしてもらうつもりだ。その時に、自由に街の様子を見てまわるには、こうした格好に慣れておく必要があるからな」
「分かりました。勉強になります」
「あとは、その言葉使いだな。まぁ、慣れないうちは無口キャラで通しておけ」
アウグストさんは、無言で頷いてみせました。
てか、ホント真面目ですよね。
クラウスさんとアウグストさんを足して二で割ったぐらいが丁度良いんじゃないですかね。
「よし、ケント。鞄を仕舞ってくれ。昼飯を食いに行くぞ」
「分かりました」
嬉々として街に繰り出そうとするクラウスさんに、アウグストさんと目線を交わして苦笑いを浮かべました。
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