第254話 ギリク排除計画

「それで、なんで八木が居るのかな?」

「ばーか、お前はホント馬鹿だな。こんなイベントをジャーナリストの俺様が取材しない訳がないだろう」

「つまり、邪魔しに来た訳だね」

「馬鹿、何を聞いてんだ、取材だ取材!」

「はいはい、俺様もギリクに喧嘩売ってやんぜ。キャーン言わせたるぜぇ……ってことだね?」

「ふざけんな! 俺様にはそんなつもりは毛頭無いからな。俺様は平和主義者なんだからな。冗談でもやめろよ、聞かれたらどうするつもりだ!」

「えーっ……でも、ミューエルさんが目的なんでしょ?」

「馬鹿! 俺は純粋に取材をだな……」

「じゃあ、八木は新旧コンビと前を歩いて、僕とミューエルさんが後から歩く形でもいいよね?」

「い、いや……ほら全体を見ないと取材にならないし、現地の方へのインタビューとかも必要じゃん」

「とか言って、単にミューエルさんと話がしたい、お近付きになりたい……でしょ?」

「だから、俺は純粋にだな……」

「じゃあ、ミューエルさんと仲良くなりたくないの?」

「それは……なりたいに決まってんだろ。ぶっちゃけあの胸……それに猫耳尻尾だぞ! 一度お願いしたいに決まってんだろう!」

「はいはい、八木の思いはきっと届くと思うよ」

「マジか!」

「うん、ギリクにね……」

「ふざけんな! 駄目だからな、絶対言うなよ!」


 ギリクを独り立ちさせる作戦(という名目でミューエルさんと仲良くなろう作戦)の朝、集合場所であるヴォルザードの北東門に行くと、新旧コンビと近藤の他に、八木の姿までありました。


 それと、話を聞かれちゃ拙いギリクも、路地の陰に潜んでるんだよね。

 念のために、マルト達に集合場所の周囲を捜索させたら、思った通りでした。


 魔術士が着るようなフード付きの長いローブを着こんでいるけど、後ろから見ると剣を背負っているし、何よりシルエットがギリクそのものです。

 そもそも無駄にデカい図体してるから、隠れたり変装したり出来るはずがないんだよね。


 僕らが話している場所からは、屋台を挟んでいるから見えないけど、たぶん身体強化を使って聞き耳を立てているのでしょう。

 良かったねぇ、八木。僕との会話は全部届いてるはずだよ。


「それにしても、三人とも、それどうしたの?」


 居残り三人組は、そろって左の腰に短剣を下げています。

 刃渡りが三十センチぐらい、持ち手と鞘を合わせると五十センチ弱ぐらいの短剣と言うよりも山刀みたいな感じです。


「どうしたのって、買ったんだよ」

「そうそう、俺と達也は、もっとデカい、ギリクの兄貴が背負ってるような剣が良いって言ったんだけど、近藤がね……」

「当たり前だろう、いきなり大剣とか扱えないし、手入れとか大変そうだし、討伐に行ける訳でもないし、価格も高いし、まずは実用重視だよ」

「なるほど、さすが近藤、堅実だね」


 三人は、短剣の他に防具も装備しています。

 革鎧をベースにして、要所要所に金属製のプレートが付いたタイプです。

 オートバイ用のプロテクターという感じです。


「八木は、何の準備も無し?」

「俺は討伐とかする訳じゃねぇし、必要ねぇだろう」

「でも、戦場カメラマンはちゃんとプロテクターとかヘルメット装備してんじゃん」

「国分だって装備してねぇじゃん」

「僕は危ないと思ったら影に潜って逃げるけど、八木は?」

「いやいや、だって国分の眷属が守ってくれんじゃないの?」

「ミューエルさんの護衛はするけど、なんで八木まで守らないといけないの?」

「お前、そんな冷たいこと言うなよ。友達だろう?」

「はぁ……甘え過ぎ。そんなんじゃ僕が居なかったら何も出来なくなっちゃうよ」

「まぁまぁ、そこは仕事が軌道に乗れば何とかなるって」

「ホント気楽って言うか、無計画と言うか……」


 八木のいつもの八木っぷりに呆れていたら、ミューエルさんがやって来ました。


「おはよう、みんな今日はよろしくね」

「おはようございます、ミューエルさん。和樹と達也は知ってますよね。彼は譲二、二人よりも頼りになりますから、それと……その他一名です」

「おい! 何だよその適当な扱いは」

「うふふふ、ちゃんと覚えてるよ。ユースケだよね? ユースケも冒険者志望なの?」

「おぉ、覚えてくれていただけましたか、私、ユースケ・ヤギは、ヴォルザードの生活をリポートする……」

「あぁ、中身の無い話が長くなるんで、そろそろ行きましょう」

「そうだね、出発しようか」

「酷いっ!」


 さすがミューエルさん、ちゃんと八木の扱いを分かってくれています。

 ヴォルザードの北東門は、魔の森とは反対側、マールブルグやバッケンハイムに向かう方向とあって、朝の時間は出発する人で賑わいます。


 居残り三人組と八木は、この時間に来たのは初めてらしく、物珍しそうに周囲を見回しています。


「ミューエルさん、今日はどの辺りに行くんですか?」

「今日は、ダンジョンに向かう途中にある池の近くだよ。水辺に生える薬草を採取します」


 旅する人、ダンジョンへ向かう人などと一緒に街道を進み始めた所で、ラインハルトが声を掛けてきました。


『ケント様、護衛の指導は宜しいのですかな?」

『そうだった。護衛を行う上での注意点とかは、どんどん言ってね。僕が伝えるから』

『了解ですぞ、では始めますかな……』


 護衛の仕事を行う上での心得などをラインハルトが僕に念話で伝え、それを僕が居残り三人組に伝えます。


「じゃあ、護衛のレクチャーを始めるから三人とも良く聞いてね。もう出発しちゃったけど、本来は、出発前にその日の行動予定を確認します」


 どこに行って、何を行うのか、誰と会うのか、何を持っていくのかなど、目的や場所によって護衛の方法、人数なども当然変わってきます。

 必要とあれば、事前に下調べをする場合もあるそうです。


 王族とか貴族の護衛などでは、賊が潜んでいそうな場所が無いか、魔物が出そうな場所は無いかなどをチェックするそうです。


「てか、薬草採取なんて、どこに草が生えてるか分からないのにコースとか決められないじゃん」

「新田、薬草は生えてる場所に目星をつけて採取に行くものだよ。ねぇミューエルさん」

「そうだよ。どの薬草が、どこに生えるのか知らないと、採取なんて出来ないよ。それと採取する時期によって効能が全然違っちゃうからね。ケントは良く知ってたね」

「はい、庭師の見習いをやった時に、教えてもらいました」

「そうか、マノンのお風呂を覗いた時だね」

「いや、あれはアクシデントと言いますか……」


 確かに、マノンがお風呂に入っている所を見ちゃったけど、あの時はマノンが女の子だと思っていなかったし、僕だけの責任じゃないよね。


「手前、国分、そんな美味しい思いしてやがるのか!」

「達也、処刑しよう、処刑だ」

「新旧コンビは、何を言い出してんだよ。そもそもマノンとは将来も約束してるし、とやかく言われることじゃないからね」

「てかよぉ、何で国分ごときが三人も可愛い嫁を貰えるんだよ。世の中間違ってるだろう!」

「あれっ? 八木は知らないのか……」

「何がだよ」

「お嫁さんは四人なんだけど……」

「はぁぁぁ? 何だそれ、聞いてないぞ、そんな話は! お父さん許しませんよ!」

「いや、八木は僕のお父さんじゃないし、セラフィマのお父さんには許しを貰ってるし」


 セラフィマの話をしたら、新旧コンビと八木にギャ―スカ文句を言われましたけど、もう輿入れの行列は出発しちゃってるもんね。

 三人に取り囲まれて、尋問だ、処刑だと騒いでいたら、近藤が声を潜めて呼び掛けてきました。


「おいっ、みんな気付いてるか……ずっと付けられてるぞ」


 右手の親指を立てて、背後を指し示す近藤に、新旧コンビとミューエルさんは溜息を洩らしました。


「何っ? 俺、何か変なこと言った?」

「いや、近藤が悪いんじゃないんだ。あれが問題のギリクなんだよ」


 街道に出れば、旅に出る人は先を急ぐもので、ノンビリ歩いている僕らはドンドン追い越されていました。


 ところが、ノンビリ歩いている僕らとペースを合わせて、付かず離れず、ローブの男が付いてきます。

 予想はしていたのでしょうが、ミューエルさんが頭を抱えています。


「はぁ……もう、やんなっちゃうよ」

「まぁ、予想はしていましたけど、これだと何日やっても変わらない気がしますね」

「そうなんだよねぇ……どうしたらいいんだろう……」


 以前、別の人に護衛を依頼した時も、このストーカー行為にミューエルさんが根負けした形だったそうです。


 確かに一週間やそこらでは諦めそうもないですねぇ。

 どうしたものかと考えていたら、近藤が呟きました。


「これは、ベタだけど国分が恋人のフリでもやるしかないんじゃないか?」

「馬鹿、何で国分なんだよ。他にも人材は居るだろう」

「だって、あいつ強いんだろう? 俺の女に手を出しやがって攻撃に、八木は対抗できるのか?」

「それは無理!」

「新旧コンビは?」

「いやぁ……直接対決は、なぁ?」

「だなぁ、ちっと無理だ」

「だったら国分しか居ないじゃん」

「いやいや、そんな見え透いた手を使ってもねぇ? ミューエルさん?」


 さすがに、こんなベタな作戦には乗って来ないかと思いきや、ミューエルさんにジーっと見られちゃってます。


「ケントは、私と恋人のフリをするのは嫌かな?」

「えっと……嫌、ではないですけど……上手くいかないと思いますよ」

「でも、他に良い方法とか、ある?」

「それは……思いつかないですけど」

「私はね、ギリクにもっと広い世界を見てもらいたいの。いつもいつも私の周りをウロウロしているだけじゃなくて、マールブルグやバッケンハイム、リーゼンブルグに行ったっていい。ヴォルザードだけで燻っていてほしくないの」

「あのぉ……込み入ったことを聞いちゃいますけど、ギリクさんと恋愛するとか……」

「無いわね。ギリクとは距離が近すぎるから、世話の焼ける弟にしか思えない。だって、こーんな小さい時から知ってるんだよ。ずっと、おねーたん、おねーたんってベッタリだったんだから」


 うわぁ……ミューエルさんにバッサリ切り捨てられちゃってるよ。

 そう言えば、姉からトラウマになるような仕打ちを受けて、幼少期を過ごしていたような話を聞きましたね。

 そんな頃からベッタリだと、さすがに鬱陶しいでしょうね。


「まぁ、昔は可愛い時期もあったのよ、昔はね……でも、今はあの図体で、あの中身でしょ、はぁ……」


 ギリクがケチョンケチョンに貶されるのは、本来楽しいはずなんですが、ここまで、しかもミューエルさんにフルボッコ状態だと、さすがに哀れに思えてきますね。


「国分、協力してやれば」

「俺らもギリクの兄貴は、あれじゃ駄目だと思う」


 一時期ツルんでいた新旧コンビからも言われては、一肌脱ぐしかないですかね。


「でも、急に恋人になりました……っていうのも変じゃない?」

「だったら、いつもよりも距離を縮めていけばいいんじゃないのか?」

「そうだね、ジョージの言うような感じでやってみようか」


 おぉぅ、ミューエルさんが腕を絡めてきて、密着度がぁ……。

 素晴らしい、居残り組みの世話なんて面倒だと思っていたけれど、こんな御褒美があるなら毎日だって頑張っちゃいますよ。


 てか、八木がもげろ、禿げろ、息絶えろ……とか、うるさいんですけど。

 それと、更に後方から突き刺さるような視線を感じますね。


 街道からダンジョンへ向かう道へ入ると、ミューエルさんは鉄の輪を束ねたものを取り出しました。


 大きめの輪に、五つほどの小さい輪が嵌っています。

 ミューエルさんは、左手で大きな輪を掴み、ガシャガシャと鳴らしながら歩いていきます。


「ミューエルさん、それ何ですか?」

「えっ、魔物避けだよ。ケント知らないの?」

「はい、初めて見ました」

「おいおい、国分、そんなんで俺らの指導が出来るのかよ」

「達也の言う通り、全くアテにならねぇな」

「そう言われても、もっと強力な魔物避けが居るから必要ないんだよねぇ……」

『ぶははは、申し訳ありません、ケント様。ワシらも魔物避けなど必要としなくなったので、すっかり失念しておりました』


 そらそうだよね、ラインハルト以上の魔物避けとか無いだろうしね。

 魔物避けの輪は、言うなれば熊避けの鈴みたいなものです。


 金属がぶつかり合う音を聞くと、剣などの武器を持っていると思い、魔物が寄ってきづらくなるそうです。

 ちょっと影の空間を覗いてみたら、マルトたちが微妙に嫌そうな顔をしていました。


 魔物避けの輪は、一つのグループで一人が持っていれば良いそうなので、ミューエルさんの代わりに新田が持って歩くことにしました。

 そうそう、ミューエルさんには、もっとギューっと腕を絡めていただきましょう。

 はぁぁ、幸せ……。


「ミューエルさん、薬草の採取って、毎日行くものなんですか?」

「ううん、今の時期は薬草が少ないから、週に一度で十分ね。春先になると、二日に一度。夏には毎日出掛けてくる感じね」

「夏場に採取して、それを干して乾燥させてから使うんですよね?」

「そうだけど、中には生のままで使う薬草もあるのよ」

「今日採取する薬草は、どちらのタイプですか?」

「乾燥させてから使うタイプだよ」


 ウラジロアシという薬草は、一年を通して育つそうですが、冬の時期に育つものの方が薬効が強いそうです。


 ミューエルさんが週明けのギルドに顔を出しているのは、師匠のコーリーさんの店で使う分以外に、ギルドに卸す分もついでに採取していくからです。

 その週の需要が高いものを採取して帰れば、それだけ実入りも良くなりますからね。


「今日は、ギルドに卸す分も採取するんですか?」

「うーん……今の時期は薬草の種類も限られちゃうから、生育の状態を見てからね」


 薬草の採取には、暗黙のルールがあるそうで、目的の薬草が五株生えているとしたら、必ず二株は取らずに残すそうです。

 そして、採取した跡がある場所では、採取は行わない。根こそぎ取り尽くすようなことは、絶対にしてはいけないそうです。


「資源の保護ですね?」

「そうだよ。薬草が育たなくなっちゃったら、薬が作れなくなっちゃうからね」

「畑で栽培とかは難しいんですか?」

「そうだね。やって出来ないことはないけど、薬効が薄れちゃうんだ」

「生育に適した環境じゃないと駄目なんですね」

「そういうこと。ギリクにもね、もっと成長するために環境を変えてもらいたいんだ」


 くぅ……ミューエルさんに、こんなに思われているのに恩知らずの犬っころめ。

 池の近くのウラジロアシの群生地には、昼前に到着できました。


 居残り三人組が周囲を警戒し、ミューエルさんと僕と八木で採集作業を行いました。

 最初、八木は労働を拒否したのですが、スマホだけもって手ぶらで来るアホですから、働かないなら昼飯抜きだと言い渡してやりました。


「八木、ちゃんとミューエルさんに教わった通りにやらないと、飯食わせないからね」

「うっさい、ちゃんとやってる! くそぉ、なぜジャーナリストの俺様が……」

「駆け出し記者は、体当たりリポートするもんじゃないの?」

「それにしたって地味なんだよ、地味! もっと読者を惹きつける華が無いと……」


 八木の視線は、ミューエルさんの胸元や腰の辺りを彷徨っています。


「八木、どこ見てるの? 君の行動もストーカーされてるって気付いた方がいいよ」

「げぇ、もっと早く言えよ……」


 池を隔てた岸辺の木に登り、じっとこちらを監視しているローブの男がいますからね。


 出発前の会話も聞かれているだろうし、八木の命運は既に三回ぐらいは尽きてそうだよね。

 採集したウラジロアシを束ね、根元を池に浸けてから昼食にします。


「おい国分、良く考えたらお前も手ぶらじゃないか。飯どうすんだよ、飯、飯!」

「あぁ、マジでウザいなぁ。僕が影に潜って移動できるって忘れたの?」

「あっ、そうか……いや、冗談だよ、そんな怒るなよ……」

「ちょっと待ってて、今行ってくるからさ」


 寒い屋外での作業なので、アマンダさんに暖かいスープのテイクアウトを頼んでおきました。

 これにはミューエルさんも大喜びです。


「この時期は雨が少ないから、外で火を使うのは怖いんだ」

「火事になると薬草も燃えちゃうからですか?」

「そうだよ。これから伸びるものまで駄目になっちゃったら大変だからね」


 熱々のスープには肉団子が入っていて、ボリューム満点です。


「はい、ケント、あーん……」

「えっ?」

「木に登ってる誰かに見せつけないとね」

「そうですね、あーん……あふっあふっ」


 ひゃっは――っ、ミューエルさんに、あーんしてもらったったーっ。


「和樹、作戦だと分かっていても、俺達の方がダメージを受けている気がするんだが」

「あぁ、達也よ。否定しない、全く否定しないぞ」


 ぶちぶちと新旧コンビが文句を言った時でした。


 メキメキメキィィィィ……


 大きな音を立てて、池の向こうで木が倒れていきます。

 さっきまで犬っころが登っていた木ですね。


「うわぁ……ミューエルさん、まだ続けます? 何か環境破壊とか、周囲に悪影響を振りまきそうですけど」

「はぁぁ……せっかく美味しい昼食を食べられて、良い気分だったのに台無しだよ」

「うーん……何か別の方法を考えないと駄目じゃないですかね?」

「なぁ、国分」

「近藤、何か良いアイデアが浮かんだ?」

「あのギリクって、冒険者のランクは何ランクなんだ?」

「ギリクは、私と同じDランクだよ」


 僕の代わりにミューエルさんが答えました。


「その冒険者ランクって、どうやったら上がるんです?」

「冒険者ランクは、そのものズバリ冒険者としての実績だよ」


 ギルドのランクは、ギルドで請け負った仕事や、持ち込んだ素材の量などの実績に応じて上がります。

 オークを何頭倒せば上がるとか、細かい基準はミューエルさんにも分からないそうです。


 ギリクの場合、常にミューエルさんと行動しているので、いくら腕っ節が強くても薬草の買い取り実績しか付かないので、ランクが上がっていかないそうです。

 それを聞いた近藤が提案してきました。


「じゃあさ、期限を設定して、それまでにCランクなりBランクに昇格出来なければ、本当に国分と結婚するって言ってやるのはどうだ? それならば、目標を達成するために他の仕事もやらないといけなくなるんじゃね?」

「さすが近藤、頭いいじゃん! どうですか、ミューエルさん」

「うん、それいいね! 確かに薬草採取だけだとギルドのランクは上がっていかないから、私と一緒にいたら目標達成できないもんね。うん、それでいこう!」


 近藤のアイデアのおかげでミューエルさんも機嫌を直して、食後のお茶を楽しんでいるとマルトがひょっこり顔を出し、来客を告げました。

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