第231話 処罰
階段を一段降りるごとに空気が澱み、饐えたような臭いが強まっていきます。
地下へと降りて行く螺旋階段には、所々に魔道具の明かりが灯されていますが、たぶん普通の人にとっては薄暗く感じられる程度の明るさでしょう。
ですが、闇属性のおかげで夜目が利く僕にとっては十分すぎる明るさで、隣を歩くカミラが臭気に眉をひそめたのも見て取れました。
アーブル・カルヴァインは、再度の脱獄を防ぐために、重罪人を繋ぐ地下牢へと放り込まれているそうです。
地下牢から地上へと上がる階段は、この一本の他にはありません。
牢の前に二人、階段の上に二人、階段へと通じる廊下に六名の兵士が配され、更に何か異常が起こった際に即応出来るように、十名の兵士が詰所に待機していました。
階段の下からは、動物のような呻き声と鋭い鞭の音が響いて来ます。
高さにすると二階分ぐらい降りた所には頑丈な鉄格子が設けられていて、閂を開けて踏み入った先には幅二メートルほどの廊下が続いていました。
奥行きは二十メートルぐらいありそうで、思ったよりも広い空間が広がっているようです。
バシィィィィィン!
「ぐぅおぉぉぉぉぉ……」
「そろそろ吐いて楽になった方が良いんじゃないか??」
「だ、誰が話すものか……」
バシィィィィィン!
「がぁあぁぁぁぁ……糞ったれ……」
「強情な奴め……」
廊下と鉄格子で隔てられた地下牢の中には、尋問を担当する騎士二名と罪人が一人。
アーブルだと前もって知らされていなければ、繋がれている罪人が誰なのか分からなかったでしょう。
アーブルは、肘の先で切断された右腕と無事な左腕を頭の後ろで拘束され、天井から縄で吊るされていました。
足は跪いた状態で固定され、倒れる事すら許されない状態です。
最初に捕らえられた時は、貴族としての扱いを受けていたようですが、今回は着衣すら許されず、ずっとこの姿勢で拘束され尋問をされているそうです。
身体は鞭の跡で埋め尽くされ、皮膚が破れた所からは血が滲んでいますが、手当てを受けた様子はありません。
顔面も殴打されたらしく、左目は晴れ上がった瞼で塞がっているように見えます。
かろうじて見えているらしい右目が、牢の外に立つ僕らを捉えると、狂気を含んだ光を宿しました。
「魔王! この糞ガキが、殺してやる、ぶっ殺してやる! ぐあぁぁぁぁぁ!」
アーブルは、拘束している皮のベルトを引き千切らんばかりに暴れ、兵士に鞭を食らっても止まろうとしませんでした。
「くそっ、くそっ、くそがぁぁぁ! 貴様さえ居なければ、この国は俺のものになっていたはずだ。余計なチョッカイ出しやがって、苦労知らずの糞ガキが! がぁぁぁぁぁ!」
尋問を担当している兵士から立て続けに鞭を振るわれ、最後は鳩尾に蹴りを食らい、アーブルは血の混じった胃液を吐き、グッタリと動きを止めました。
脇腹や鳩尾の辺りは既に何度も殴打されたのでしょう、青黒く変色しています。
投げ掛けられた質問に対してアーブルは、断固として回答を拒否しているようですが、尋問を担当している騎士達も回答を期待していないようです。
当初、見せしめのための公開処刑を行うという考えもあったそうですが、アーブルの死を伏せる事で、カルヴァイン領の暴発を防ぐ方針へと切り替えたそうです。
そして、アーブルには貴族としての尊厳は勿論、人しての尊厳すら奪い、獄死させるという決定が下されました。
力を誇り、力による支配を目指した男の人生を、最も屈辱的に終わらせる事が、多くの仲間を失った騎士団の復讐なのでしょう。
「アーブルさん、爆剤はキリアから取り寄せたんですよね?」
「ふん……そんな事……話すとでも……思っているのか?」
アーブルは息も絶え絶えという様子ですが、まだ心は折れていないようです。
俯いていた視線を上げると、口の端に笑みさえ浮かべてみせました。
「キリア民国は鉱物資源が豊富な国だと聞きました。爆剤は固い岩盤を爆破して、採掘を容易にするための物なんですよね?」
「ふん、どこからか聞きこんで来たのか……」
「いいえ、僕の世界では、この程度のことは常識の範囲ですよ」
「僕の世界……?」
「あれ、聞いてないんですか? 僕はカミラによって召喚された異世界人ですよ」
「下らん戯言を……」
「まぁ、信じなくても構いませんけど、議事の間でアーブルさんの過去の姿を映し出したのは、僕の世界の道具だったんですよ」
「だったら何だ……終わったことに……興味など無い」
リーゼンブルグから見れば異世界である日本の技術について話題を振れば、少しは食いついてくるかと思ったのですが、アーブルはまるで興味を示しませんでした。
「じゃあ、カルヴァイン領についてならどうです?」
「ふっふっふっ、俺様を捕らえても、まだ……ごふぅ……掌握出来ていないのだろう」
「まぁ、今の時期は雪に閉ざされてしまうそうですし……」
「ふははは……春になって雪が解けても、カルヴァイン領はカルヴァイン領のままだ。貴様らなんぞの……手には負えぬさ」
「どうすれば良いですかね?」
「簡単だ……ごふっ……俺様を帰せば良いだけだ……」
「帰りたいですか?」
「ふん、帰すつもりなど……無いのだろう……」
「これから先の領地のことは、気になりませんか?」
「俺の居ない……カルヴァイン領など……どうなろうと知ったことか……」
「領民の暮らしとかも気になりませんか?」
「ふははは……ごふっ、がふっ……領民なんぞ……俺様に尽くすための……存在だ。俺が……俺が案じるんじゃない……奴らが俺を案じるのだ……」
事前にカミラから聞いたカルヴァイン領の様子は、アーブルを頂点とした一部の者が富を独占する社会で、貧富の差も激しいそうです。
アーブルが処刑されたという話が伝われば、すぐに派閥争いが始まると予想されています。
獄死させると決まったものの、アーブルの死後、いかにして領地を治めていくのかが、課題として残っているそうです。
財政的に逼迫している元第一王子派のサルエール伯爵などは、あわよくば領地替えでカルヴァイン領を手に入れようと画策しているそうですが、鉱山の元締め共をまとめるだけの手腕は無いそうです。
「アーブルさん、脱走したように見せ掛けた後、何処に潜んでたんですか?」
「ふん、未来の王が……王城に暮らすのは当然だろう」
「でも、誰かに匿ってもらっていたんですよね?」
「さぁな……ごふっ、ごふごふっ……」
咳き込んだ後で顔を上げ、ニヤリと笑ってみせたアーブルの前歯は、鮮血に染まっています。
それを見届けた後で、カミラに尋ねました。
「協力者の特定は進んでいないの?」
「アーブルは何も話しておりませんが、一緒に捕らえられた騎士が口を割りました」
「誰がアーブルを匿っていたの?」
カミラは一瞬だけ躊躇した後で、協力者の名前を口にしました。
「第三王妃、メアリーヌ・リーゼンブルグ、私の母です」
「ふははははは! そうだ、俺を匿っていたのは貴様の母親メアリーヌだ。がふっ、ごふぅ、がぁぁぁ……」
「止めよ! 好きに話させよ」
アーブルに蹴りを入れた兵士をカミラが止めると、アーブルは暫く咳き込んだ後で、ユラリと頭をもたげました。
「ごふっ……あの淫売女はどうしてる。真昼間から若い女を侍らせていても……牡として役に立たなくなった……愚王の代わりに、この俺様が……女としての喜びをたっぷりと……教えてやったからな。今頃は……見境無く男漁りをして……いるんじゃないのか? げふっ……カミラ、お前も素直に……がふっ……俺様のものになっていれば……母親と一緒に天にも昇る……心地にしてやったのになぁ! ガっ……ぐはっ……うがぁぁぁぁ……」
カミラの目配せを受けた兵士が鞭と蹴りを見舞い、強制的にアーブルを黙らせました。
ガックリと気を失ったアーブルは、兵士に桶で水を浴びせ掛けられ、強制的に目を覚まさせられました。
床に零れた水が薄っすらと赤く染まるほど、アーブルの全身は傷だらけです。
見ている前で息を引き取ったとしても不思議ではありません。
「はぁ……はぁ……ガキぃ……お前、勝ったつもりでいるだろう」
ガックリと首を折り、視線すら向けず、荒い呼吸の合い間にアーブルが話し掛けてきました。
「はぁ……はぁ……せいぜい調子に乗っているがいい……手前も……俺様と一緒だ」
幽鬼のごとく頭をもたげたアーブルは、引き攣るような笑みを浮かべました。
「力を持つ者は……妬まれ……疎まれ……俺のように……破滅させられるのさ、ふっふっ、がふっ、ごふっ……」
激しく咳き込んだアーブルは、吐き出した血反吐で顎から首筋を赤く染め、それでも取り憑かれたように視線を上げてきます。
アーブルと視線が合った瞬間に、僕は深く頭を下げました。
「忠告ありがとうございます。貴方のようにならないように、貴方の悪行を心に刻んでおきます」
理解出来ない物を見るように、動きを止めたアーブルに言葉を続けます。
「貴方は有能な人だった。才覚があり、力も手に入れた。でも貴方は、自分の力を自分のために、他者を陥れるために使ったから破滅したんだ。だから、僕は自分の力をみんなのために使う。周囲の人を助け、共に栄えるために使う。アーブル・カルヴァイン、僕は貴方を忘れない。貴方という存在を覚えている限り、僕が道を踏み外す事は無い」
「く、糞ガキがぁ! がふっげふっ……貴様なんぞに、貴様なんぞに……ごふっ……」
「さようなら、アーブル・カルヴァイン。もう会うことも無いでしょう」
カミラを促して地上に戻ろうとする僕をアーブルが呼び止めました。
「待て、待て、糞ガキ! ごふっ……ここから出せば、術士に関して……教えてやる」
「結構です。闇属性術士に関しては、本人に直接聞きますから。では……」
「待て! 待て、話は終わって……ごふぅ……待て、待て、糞ガキ! がぁぁぁぁぁ!」
背中越しに鞭の音とアーブルの呻き声を聞きながら、螺旋階段を上りました。
地上へと戻り、澱んだ空気から開放されると、身体にへばり付いていた怨念のようなものも晴れたように感じます。
地下牢では、これまでにも何人もの罪人が獄死を遂げてきたそうですから、あるいは本当に怨みや呪いが充満していたのかもしれません。
カミラと一緒に次に向かった場所は、闇属性術士が収監されている牢でした。
以前、アーブルが押し込められていた場所で、こちらにも悪臭がこもっていました。
牢の中には、闇属性の術士の他に、その弟も一緒に収監されています。
僕が術士の刺青には呪術的な意味があるかもしれない、無闇に近付くのは危険だと言ったので、呪いを怖れた騎士達が世話役として引っ張ってきたそうです。
カミラと共に牢の前に立った僕を見て、術士と弟は床に平伏しました。
「その格好だと話がし難いから頭を上げてくれるかな?」
「はっ、畏まりました、魔王様」
どうやら収監された後で、色々と吹き込まれたようで、弟の方はブルブルと震えています。
今後の状況も考え、話の中身を聞かれないように人払いをした上で、廊下は闇の盾で塞ぎました。
呪術的な脅威に備えるという理由を付けたので、カミラにも離れてもらいました。
尋問の内容は、後で聞かせるつもりです。
「まず、名前から聞かせてもらえるかな?」
「はい、私の名はマルツェラ、弟はルジェクと申します」
「早速だけど、アーブルに使われて捕らえられるまでの経緯を教えてくれるかな?」
「畏まりました」
マルツェラとルジェクは、バルシャニアの西隣の国、フェルシアーヌ皇国の北方に住むブロネツクという少数山岳民族だそうです。
ブロネツクには闇属性の術士が多く生まれるそうで、闇属性を持つ者は数えで十五歳になると、男女を問わず顔と両腕に刺青を施されるそうです。
刺青には闇属性との親和性を深め、魔力を高める意味があると言われているそうですが、マルツェラ自身は効果に対して懐疑的なようです。
「ご存知の通り、私はブースターに頼らなければ多くのアンデッドを使役する事が出来ません。私だけでなく、部族の者も平時に使役出来るアンデッドの数には限りがございます。刺青は風習として残されているものですが、効果は無いと思っております」
「そうなの? それだけの刺青だと入れるだけでも大変そうだし、何か効果があるのかと思っていたんだけど」
「もし、魔力を高める効果があるとすれば、闇属性の適性を持たない者にも施されるでしょう」
刺青は、髪を剃り上げた頭皮にまで施されているそうです。
「いくら畏怖や尊敬の対象とされようとも、刺青を施される痛みは酷いものですし、何よりも効果が実感できません」
「じゃあ、消せるものならば消してしまいたい?」
「勿論です。私にとっては忌まわしい存在でしかありません」
ブロネツクでは、闇属性の術士は畏怖の対象となっているそうですが、それを差し引いても刺青を施される痛みや不気味な外観コンプレックスを抱えていたそうです。
「他の属性の娘達と違い、闇属性の娘には自由は与えられません。いずれ闇属性の男の下へと嫁がされ、闇属性の子供が生まれるように子作りを強制されるのです」
「分かった。それで、フェルシアーヌに居たマルツェラさんが、どうしてリーゼンブルグに来る事になったの?」
「それは……弟の治療が切っ掛けでした」
ブロネツクには闇属性を持つ者が多く生まれる反面、光属性の持ち主が殆ど生まれないそうです。
弟のルジェクは、生まれつき身体が弱く、治療を受けさせたくとも治癒士に掛かるには遠く離れた街まで行かなくてはなりませんでした。
その為には、多くの日数と費用が掛かり、自給自足に近い生活を営むマルツェラの家では諦めるしかなかったそうです。
「ある日、キリア民国の男が闇属性の術士を雇いたいと村を訪れました。術士の男性は部族の誇りであり、一家の働き手でもあるので村を離れる訳にはいきません。そこで私が弟の治療を条件にキリアに行く事になったのです」
「なるほど、でもキリアとヨーゲセンの戦の話を聞くと、術士が一人だとは思えないんだけど」
「はい、私の後に、部族の男性術士が何名か連れて来られました」
キリアは、ブロネツクの村に大量の穀物や物資を持ち込み、生活を豊かにする引き換えとして術士の男達のスカウトに成功したのだそうです。
男性術士の数が揃ってきたので、魔力の弱いマルツェラはお払い箱に近い状態になっていたそうで、アーブルから依頼を受けたキリアの手でリーゼンブルグに送られる事になったそうです。
「幸いにして弟の体調は良くなりましたが、その弟を人質に取られてしまって逆らう術がございませんでした」
ルジェクは顔を俯けて、ポロポロと涙を流しています。
自分の存在が、姉に罪を犯させる原因になったと思っているのでしょう。
「魔王様、多くの騎士の命を奪った私が許されるなどとは思っておりません。ですが、どうか弟の命だけはお救い下さい。その為ならば、どのような責め苦を与えられようと、どんな辱めを受けようと、どんなに惨い方法で処刑されようと一切の不平は申しません」
「姉ちゃん! そんなの駄目だよ。僕も一緒に死ぬ!」
「バカな事を言うな。罪は私が背負って行く。お前は私の分まで生きるのだ」
「嫌だ、嫌だ! 死んじゃ嫌だよ。姉ちゃん、お姉ちゃぁぁぁん!」
ルジェクは、マルツェラにしがみ付き、身を捩って号泣し始めました。
「マルツェラさん、さっきの言葉に嘘偽りはありませんね?」
「はい、弟が助かるのであれば、どのような処分も受け入れます」
「では、ベッドに横になって下さい。そして、良いと言うまで目を閉じている事、決して声を上げない事、出来ますか?」
「……分かりました」
マルツェラは立ち上がって大きく一つ息をつくと、ベッドに横たわりました。
闇の盾を使って、牢の中へと足を踏み入れると、ルジェクが両手を広げて立ち塞がりました。
「させない。例え貴方が魔王であろうとも、姉ちゃんに酷い事なんかさせない!」
「ラインハルト、ルジェクを縛り上げて。ついでに目隠しと猿轡もお願いね」
『了解ですぞ』
影から姿を現したラインハルトの手によって、ルジェクは抵抗する間もなく縛り上げられました。
「やめろ! 姉ちゃんに触る……むがぁ、むがぁぁぁ……」
「大丈夫、ルジェクに手荒な真似をするつもりはありません。さぁ、ベッドに仰向けになって、目を閉じて下さい」
「承知した……」
マルツェラは、ベッドに横たわり固く目を閉じました。
「では決して目を開けないように」
「わ、分かった……」
マルツェラの声は弱々しく震えています。
頬に触れると、ビクリと震えて硬直しましたが、頬から頭へと撫で回していくと目が見開かれました。
「目を閉じて……」
マルツェラは、再び目を閉じましたが、ブルブルと身体が震えています。
一度離した手を、指先から腕、二の腕へと滑らせて行きます。
治癒魔術を使いながら撫でていくと、ホワイトボードの文字を消すように刺青は消えていきました。
「目を開いていいですよ」
「そ、そんな……信じられない……」
「ラインハルト、ルジェクの拘束を解いてあげて」
『了解ですぞ』
「姉ちゃ……嘘っ……」
「嘘じゃないよ。僕は魔王だからね」
ラインハルトが拘束を解くと、ルジェクは飛び起きて、直後に固まりました。
まぁ、染み一つない透き通るような白い頬を取り戻したマルツェラを見れば、固まっちゃうのも無理ないよね。
マルツェラも刺青の消えた両手を見詰め、動きを止めたままです。
「どうして……どうしてですか?」
「うーん……僕がそうしたかったから、かな? ほら、僕、魔王だし、やりたい事やっちゃうし」
マルツェラとルジェクは、再び僕に向かって平伏しました。
「うん、話し難いから顔を上げて」
「はい、あの……それで私はこれからどうなるのでしょうか。もしや、刺青を消したのはリーゼンブルグの騎士達が、安心して私を辱められる……」
「そんな手の込んだ嫌がらせとかやらないからね」
「失礼いたしました」
「二人には、ヴォルザードに行ってもらう」
「ヴォルザード……ですか?」
「刺青が消えて、部族の古い因習から解き放たれ、これからは二人で新しい生活をしてもらう」
「そんな、ですが私の犯した罪は……」
「リーゼンブルグの連中には、二人は処刑した上でアンデッドとして未来永劫酷使し続けると言っておくよ」
「ですが、もし私が生きているとバレたら……」
「バレないでしょ。今こうして向かい合っていても、別人にしか見えないし」
「あっ……」
そう言えば、鏡が無いから刺青が消えた顔をマルツェラ自身は見ていないんですよね。
「ルジェクは、成長していけば面変わりして分からなくなるし、マルツェラさんは今でも別人だし、問題無いでしょ」
「では、私は生きていけるのですか……?」
「うん、でも罪の意識を忘れずに、人のためになる生き方を探してくれるかな」
「人のため……ですか?」
「何でもかんでも自分を犠牲にしろって事じゃなくて、自分も周囲の人達も一緒に幸せになる生き方をしてもらいたい」
「自分も周囲の人達も……分かりました。上手く出来るかどうか分かりませんが、精一杯生きていきます」
「じゃあ、ちゃちゃっと送っちゃおうかねぇ……」
マルツェラとルジェクは、送還術を使ってクラウスさんの御屋敷まで送り届けました。
事情を話して、ギルドの営業が再開するまでの間、保護してもらえるように頼みました。
さて、リーゼンブルグに戻ってカミラに事情を話しますかね。
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