第199話 槍ゴーレム

 ネロやゼータ達を使ってギガースの反応を確かめた後、一旦ヴォルザードに帰り、クラウスさんに現状を報告しました。


「ギガースだと? この前のグリフォンにしても、例を見ない規模の極大発生にしても、どうなっていやがるんだ」

「そこまでは分かりませんが、バルシャニアは苦戦している状態ですし、このままギガースが縄張りを築いてしまうのは拙い気がします」

「確かにそうだ。他の魔物が海を渡って来るのかは分からんが、魔物の版図が広がれば、当然人間の住む場所が奪われる。今はバルシャニアの問題だが、街一つを壊滅させちまうような魔物となれば、リーゼンブルグを経てヴォルザードにまで影響が及ばないという保証は無い。バルシャニアに協力して討伐しちまえ」

「はい、バルシャニアからも要請されていますので、強力な攻撃手段を考えます」


 護衛の仕事に戻ろうとしたら、ベアトリーチェがスッと身を寄せてハグしてきました。

 おぅ、セラフィマと較べてしまったからかもしれませんが、ベアトリーチェが育ってる気がしますね。


「ケント様、お気を付けて……」

「うん、僕は影の中から攻撃するから大丈夫だよ。行って来るね」


 ベアトリーチェと、頬を寄せ合うように抱き合ってから影に潜り、護衛の仕事に戻りました。

 グレゴリエの予測では、ギガースが土のドームを食べ尽くすには、まだ一週間ほどは掛かるはずなので、隷属のボーラが出来上がる前に移動を始めるとは考え難いでしょう。


 移動する心配が無いとなれば、あとは、どうやって仕留めるかです。

 ゼータ達が威嚇している時に、闇の盾を体内に展開しての直接攻撃も試みましたが、グリフォンと同様にギガースの魔力が強いからなのか、土属性の魔術を纏っているからなのか、思うように盾が展開できませんでした。


 グリフォンの時には、ザーエ達に投槍で攻撃させましたが、岩のように固いギガースの皮膚を貫き、致命的なダメージを与えるのには威力が足りないかもしれません。


「うーん……やっぱりミサイルかな?」

『ミサイルとは、どのような武器なのですかな?』

「簡単に言うと、爆剤を使った巨大な槍みたいな感じかな」


 護衛の依頼に戻り、その日の宿へ到着した後、バステンに留守番を頼んで、ギガースを一撃で倒せるような武器を準備するために、僕らは魔の森の特訓場へと移動してきました。


『ですがケント様、爆剤はここにはありませんぞ。もしや日本から運んで来るおつもりですかな?』

「ううん、日本で大量の火薬を手に入れるには許可が必要だし、生憎と僕は取扱いの資格を持って無いからね」

『では、どうなさるおつもりですかな?』


 ラインハルトの質問の答えだとばかりに、僕は夜空を指差しました。

 もうこちらに来て、毎日のように見ているけど、それでも圧倒されるような満天の星空です。


『空……ですかな?』

「そう、遥か上空から槍を降らせて、串刺しにしてやろうと思うんだ」


 作戦は至って簡単です。重く、丈夫な槍を作り、自由落下の勢いでドーンといっちゃおうと思っています。


『まるで『断罪の槍』……ケント様は、いよいよ神の領域……』

「神って……えっと、その『断罪の槍』って何なの?」

『人の手には負えない強大な魔物が現れた時、大神官が天に祈りを捧げると、天から巨大な槍が落ちて来て、一撃で魔物を倒した……という古い古い言い伝えがあります』


 ラインハルトによると、『断罪の槍』の話は、いわゆる神話レベルの言い伝えだそうで、リーゼンブルグ王国が出来るよりも遥かに昔の話で、実際にあった話なのかどうかも分からないそうです。


「その『断罪の槍』って、どんな形をしていたのかな?」

『さぁ、言い伝えでは、矢を太く長くしたような形で、中程に二枚、後に四枚の羽が付いていたそうです』


 ラインハルトが地面に線を引いて、『断罪の槍』の形を書いてくれたのですが、これって巡航ミサイルにしか見えないんですけど。


「そうか……でも、僕の場合は上から落すから、羽根は後の四枚だけで良いかな」


 上空から真っ直ぐに突き刺さるように、形としてはダーツの矢をイメージしています。

 先端を尖らせて槍状にして重みを付け、後はバランスを取るための羽を付けます。


「とりあえず、模型を作って実験してみよう」


 実際に使う槍は、ギガースの討伐用なので、長さは10メートルぐらい、一番太い部分は1メートルぐらいになる予定です。

 本物の100分の1スケールの模型を土属性魔術で作り、硬化の魔術も掛けておきます。


 出来上がった模型を放り上げてみると、先端の重み、後部の羽のおかげで、真っ直ぐ槍の部分を下にして落ちて来て、地面に刺さりました。


「じゃあ、次はこれを上空から落してみるね」


 150メートルぐらい上空に闇の盾を出して、影の空間経由で模型の槍を落してみます。


『ケント様……流されて行った……』

「うん、どこか行っちゃったね……」


 上空の風に流されて、槍は東の方へと流されて行ってしまいました。

 今は150メートルぐらい上空から落したのですが、本番では上空3キロぐらいから落そうと思っているので、今のままでは命中させるのは無理でしょう。


「でも大丈夫、こんな事もあろうかと、ちゃんと対策は考えてあるんだよ」


 再び土属性魔術を使い、槍の模型を作りました。

 形としては、最初のものと殆ど変わらないのですが、軸となる部分に関節が二つ仕込んであります。


「ジャジャーン! 槍ゴーレム!」

『ほほう、考えましたなケント様。その軸の部分を動かして、落ちる方向を操作するのですな』

「そうだよ。90度ずらして二つ関節を付けたから、これで自由に向きを変えられるよ」


 手で持った状態で試してみると、関節部分はスムーズに、思った通りに動きます。

 今度は先程よりも高く、上空200メートルぐらいの場所から落下させました。


『ケント様……どこかに飛んで行った……』

「うん、そうだね……良く考えたら、手から離れちゃうと、グルグル回転しちゃって、どっちに動かせば良いのか全く分からなくなるんだ」


 こっちだろうと思って動かしたら、全く逆方向だったようで、槍の模型は風に流されて行ってしまいました。

 自由落下誘導式で、万事解決のはずだったのですが、想定が甘すぎました。


『ケント様、闇の盾を使われれば宜しいのでは?』

「闇の盾……?」

『上空に槍を送るのは、影空間を通して、上空に出した闇の盾からですな? だったら……』

「そうか、落ちて来た所に闇の盾を出して、ギガースの頭の上に出した別の闇の盾から、勢いを殺さずに外に出せば良いんだ」


 今度は風に流されにくいように、50分の1サイズの槍を作って、上空200メートルから落としました。

 倍の大きさにしたので、最初よりも重たくなっているはずですが、上空100メートル付近で強い西風が吹いているようで、槍は東へ流されて行きます。

 流されていく具合を見極めて、直径10メートルほどの闇の盾でキャッチし、訓練場の上5メートルほどの位置に出した同じく直径10メートルほどの闇の盾から射出します。

 ザシュっという音と共に、槍は根元近くまで地面に埋まりました。


「よし! これなら大丈夫でしょう」

『ケント様……これじゃ駄目……』

「えっ、どうして? 威力も問題無いと思うけど……」

『盾が大きすぎる……これじゃ命中しない……』

「あっ! そうか……そうだよね」


 50分の1サイズの模型をキャッチするのに、直径10メートルの盾を使っていたら、本番では盾の直径は500メートルになってしまいます。

 直径500メートルの範囲で、何処に落ちるのかも分からないのでは、ギガースどころかバルシャニア兵に当たってしまうおそれすらあります。


 ギガースに確実に当てるには、実際に使う闇の盾の直径を3メートル程度、出来れば1メートルぐらいにしたい。

 そのためには、模型を捕らえて通過させる闇の盾は、直径2~6センチにしなくてはならず、模型の槍がギリギリ通過できる大きさにする必要があります。


 いきなり、そんな小さな闇の盾を通過させるのは無理ですから、直径50センチ程度で試してみたのですが、全然槍を捕まえられません。

 やっと捕らえたと思ったら、盾の縁に接触して、槍がバラバラになってしまいました。


「うーん……簡単に考えていたけど、思っていた以上に難しいや」

『ケント様、バルシャニアの兵に撤収してもらって。オークを殲滅した時のように岩を降らせるというのはどうですかな?』

「うーん……今回のギガース討伐は、バルシャニアが主役だと思うんだよね。隷属のボーラを手に入れられるように助力したけど、やっぱりバルシャニア兵士は、自分達の手で討伐したいだろうし、駄目だったとしても、やれるだけの事はやったと思ってもらいたいんだ」


 今回、ギガースによってライネフの街が壊滅しています。

 バルシャニアの人達は、その仇を討ちたいと強く思っているはずです。


 隷属のボーラは運ぶけれど、出来ることならば、バルシャニアの人達の手でギガースを仕留めてもらいたい。

 僕が準備するのは、バルシャニアの人達が万策尽きた時に、ギガースを逃がさない、生き残らせないための手段です。


「槍じゃにゃくて、ネロにゃら確実に狙ったところに飛び出せるにゃ」

「えっ? あぁ、そうか! その手があるか!」

「にゃ? やっぱりネロの出番かにゃ?」

「ううん、ネロには別の仕事をしてもらわないといけないから、やっぱり槍は準備するよ。命中させる方法も思いついたしね」


 ネロのヒントを元にして、もう一度50分の1スケールの槍の模型を作り、訓練場の地面に三重丸の的を描き、そこを狙って上空500メートルから槍を落としました。

 槍は的のど真ん中に突き刺さり、後の羽まで地面に埋もれました。


『さすがケント様……もはや神の領域……』

「一応、模型では大丈夫そうだけど、出来れば本番と同じ物を用意してテストしておきたいかな……」


 本番用の槍は、全長約10メートル、一番太い部分で直径約1メートル、後方に四枚の尾翼を付けた巨大なダーツの矢という感じです。

 材料は土ですが、土属性のゼータ達に全力で硬化の魔術を掛けてもらってあります。

 重さは、たぶん軽く10トン以上あるんじゃないですかね。


『ケント様、これでテストをなさるのですか?』

「うん、そのつもりだけど」

『ここでは周囲への影響が大き過ぎる気がしますな。いっそ、オークの死骸を処理しに行った海岸で試してみてはいかがでしょう?』

「そうだね、あっちのほうが見通しも良さそうだしね」


 出来上がった槍を影収納へと運び込み、オークの死骸を片付けに行った海岸へと移動しました。

 海岸に移動してみると、やはり強い西風が吹いています。

 これでは、重たい槍だとしても、東側に流される計算をしないと失敗しそうですね。


『ケント様、的はどういたします?』

「そうだねぇ……あの大きな流木でいいかな」


 崖の上から見下ろした砂浜に、手頃な流木が打ち上げられています。

 もう一度手順を確認して、イメージトレーニングをしてからテストに臨みました。


 的となる流木の位置を確認して、その上空15メートルほどに闇の盾を出す準備を整えておきます。

 影の空間に置いた槍の下に、別の闇の盾を展開し、遥か上空と繋げて投下。


 猛スピードで落下してきた槍を闇の盾でキャッチした直後、凄まじい衝撃音と共に地面が揺れ、空からは吹き上がった砂が降り注いできます。

 慌てて影の空間へと退避して、待つ事暫し、恐る恐る表に出て崖の下を覗いてみると、直径50メートル以上ありそうなクレーターが出来ていました。


「うわっ、これだとギガースも粉々になっちゃうよ」

『ぶははは、さすがはケント様、魔王の名に相応しい威力ですな』

『もはや魔王ではなく……魔神と名乗った方が良い感じ……』

「いやいや、王でも荷が重すぎるのに、神とか絶対無理だからね」

『ケント様、どうやら狙いはピッタリのようですな』

「そうだね、ギガースにも命中させられる目途が立ったよ」


 小さな闇の盾から射出するためのヒントは、ネロの一言でした。

 まずは、土属性のゴーレムとして槍を作り、接続を解除。


 次に闇属性のゴーレムとして魔力リンクを繋ぎ、的の上の闇の盾から召喚する。

 この方法であれば、どれだけ大きな闇の盾で受け止めても、小さな闇の盾から射出出来るという訳です。


 あとは、威力の調整をするために、投下する高さや、槍自体の大きさや重さを調整し、どうにか満足出来る物が完成しました。


『さぁケント様、明日はリバレー峠越えです。そろそろ戻ってお休みくだされ』

「そうだね、山賊は出ないと思うけど、油断は大敵だからね」


 バルシャニアにギガースの偵察に行った翌日は、いよいよリバレー峠越えの日です。

 バッケンハイムに来た時には、キャビンを引いていたのはギガウルフのブランでしたし、山賊の討伐を終えた後は、日本に福沢、神林両選手の治療に行っていたので、僕にとっては初めての峠越えになります。


 リバレー峠は、ランズへルトの主要都市とヴォルザード、そしてリーゼンブルグ王国を結ぶ要衝です。

 道はよく整備されていますが、切り立った崖を切り開いている場所や曲がりくねった道が続く上り坂は、馬車を引く馬にとっては厳しい道です。


 どの程度のペースで峠道を上るのか、馬の息遣いや汗のかき方を注意深く観察して決めねばならず、御者にとっては腕の見せ所です。

 峠のあちこちには、馬を止めて休ませるスペースが作られているのですが、峠道だけにあまり大きな場所が取れず、止められる馬車の数には限りがあります。


 そのために、予定していた場所で休息が取れす、それが後に響いて馬車が立ち往生してしまう場合もあるそうです。


「ヨハネスさん、馬が厳しくなったら言って下さい。荷物を僕の影収納に移して軽くする事も出来ますし、鷹山は自分の足で走らせますから」

「分かった、今は問題無いが、アクシデントが起こった場合には頼むよ」

「鷹山は、アクシデントが無くても走らせて構いませんからね」


 ヨハネスさんと緊急時の相談をしていると、キャビンの窓が開いて鷹山が顔を出しました。


「国分、聞こえてるからな、てか、簡単に移動が出来る、お前が降りろよ」

「何言ってるの? 護衛の指揮を執る僕が居なかったら困るでしょう?」

「いや、眷属が居てくれれば、別に国分は……」

「必要なの! すっごく必要だからね」


 まったく、僕を眷属のみんなのオマケみたいに言うのは止めてくれないかな。

 ちょーっと、ちょーっとだけ、そんな自覚が無くも無いんだからさ。


 ヨハネスさんは、馬の様子を観察しながら、早め早めに休息を入れながら馬車を走らせ、

ヴォルザード家の馬車は順調にリバレー峠を上りきりました。

峠の頂上近くにある休息場で、少し長めの昼の休憩を取ります。


「ほら鷹山、仕事の時間だよ。馬に水と飼い葉をあげてね」

「国分、お前も今日は座ってただけだろう、働けよ」

「何言ってるんだよ。キャビンでヌクヌクしていたくせに」


 今日は、昨日とは打って変わって雲一つ無い青空が広がっているのですが、峠道を上がって来たからか、空気はピーンと張り詰めたような冷たさです。


「うわぁ……絶景ですね」

「ケント、向こうがヴォルザードの方向だぞ」


 休息場からは、遠くの景色が良く見え、アウグストさんが指差す方向には、牧草地や耕作地と思われる場所が広がり、その向こう側に黒くさえ見える緑のベルト地帯が魔の森なのでしょう。


「さすがにヴォルザードの街までは見えないが、夜中にこの休息所で過ごした冒険者の話によると、仄かに見える灯りでヴォルザードの位置が分かるそうだ」

「なるほど、周りが真っ暗だから街の灯りが目立つんですね。今度、見に来てみます」

「そうか、ケントは一度訪れた場所ならば、簡単に来られるのだな。それは羨ましいな」

「夜の海とかも凄いですよ。ビックリするような魚が居ますから」


 以前目撃した巨大魚の話をすると、アウグストさんは興味を惹かれたようです。


「本当に、そんな魚が居るのだとしたら、見てみたいものだな」

「大量に魔物を討伐して、その死骸の処理をする時ならば……あぁ、でも海岸まで行くのが大変ですもんね」


 アウグストさんが海岸まで辿り着くには、ヴォルザードから魔の森を通り抜け、川を渡ってリーゼンブルグに入り、更に道無き道を延々と進まなければなりません。

 ヴォルザードの領主の跡取りですから、気軽に他国に行くというのも難しいでしょう。


 やはり、領主一族というのは、色々なしがらみに縛られていると感じますね。

 ここまでは順調に峠越えをしてきたヴォルザード家の馬車ですが、昼の休憩を終えて走り出して間もなく足止めされる事となりました。

 僕らよりも早く休息を終えて、先行したはずの馬車が戻って来たのです。


「おーい! この先、大きな落石があって通れないぞ。ありゃあ一日や二日じゃ無理だな。早めに引き返さないと、今夜の宿にあぶれるぞ」

「分かった。情報、感謝する」


 ヨハネスさんが手を挙げて合図すると、戻って来た馬車は、後ろの馬車にも声を掛けながら来た道を戻って行きました。

 その後ろからも馬車が戻って来て、全然通れそうもないと言い残して、引き返して行きました。


「ヨハネスさん、落石の手前まで進んでもらえますかね」

「どうするつもりだ? まさか、道を復旧させる気なのか?」

「それは状況次第ですが、うちの眷属は優秀ですからね」

「やっぱり国分は要らないんじゃないか?」

「鷹山、うるさいよ!」


 自分だって馬の世話をする程度で、護衛らしい事は何もしていないのに、ホント余計な事を言うようになったよね。

 落石の現場は、山肌に入り込むようなカーブの奥で、落石や土砂によって30メートルぐらいに渡って道が埋まっています。


 道の下は、カーブの内側に幅15メートルほどの斜面が続いた後、沢に向かって高さ40メートルほどの急な崖です。

 一番大きな落石は、高さが10メートル以上もあり、岩肌が剥がれて倒れ込んで来たのでしょう。


「これは……確かに一日二日じゃ通れるようにはならないぞ」

「いえいえ、ヨハネスさん、うちには土木工事のエキスパートも揃っていますからね」

『ケント様……馬車が巻き込まれている……』

「えっ……あぁ、本当だ!」


 落石に巻き込まれたらしい馬車が一台、かろうじて斜面の端に引っ掛かっています。

 馬とキャビンを繋ぐ連結部分は壊れ、馬の姿はありませんし、御者台に乗っていた人も投げ出されてしまったのでしょう。


 紋章があしらわれた高価に見えるキャビンもあちこちが壊れていて、右側を下にして横倒しになり、かろうじて車輪が木の根に引っ掛かっているようです。

 崖崩れの向こう側でも気付いた人が居るようですが、あちら側は切り立った崖になっていて、上から覗き込む事しか出来ないようです。


「ラインハルト、支えて!」

『了解ですぞ』


 とりあえず、馬車の下側に闇の盾を出し、そこからラインハルトに馬車を支えてもらいました。

 影に潜って馬車の中を覗くと、男性が二人、気を失って倒れていました。

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