第191話 報告行脚
アーブル・カルヴァインを殴り倒した後、砕けた拳に全力で自己治癒を掛けたので、痛みは程無くして引きました。
幸いにして、指の動きにも問題は無いようです。
『強烈な打撃でしたが、改良の余地がございますな』
『ケント様……詰めが甘い……』
「分かってるよ。もう目茶目茶痛かったんだからさ」
アーブルの手下どもが放棄した武器は、コボルト隊のみんなが回収を終えていました。
更に、腰帯剣みたいな武器などを隠していないように、パンツ一枚の格好にしてダンスホールから追い出して、騎士団に引渡します。
アーブルとネストルの二人も、ネロ達にビビりながらもダンスホールに入った騎士達に引き取ってもらいました。
アーブル達を片付けたら、眷族のみんなを労う番ですよね。
「よーし、みんな、おいで……おわぁ、ちょ、ちょ、ほあぁぁぁ……」
ネロにゼータ達に、コボルト隊も加わって、もう何が何だか、どっちが上で、どっちが下かも分からなくなるほどモフモフの荒波に揉みくちゃにされちゃってます。
満足した眷族から順番に影の空間へと戻って行き、最後に残った僕は、ダンスホールに大の字になって力尽きました。
「ぐへぇぇ……無茶だった。やっぱり、みんな一緒には無茶だった……がくっ」
『ケント様、議事の間で何やら騒ぎが起きているようですぞ』
「えっ? まだアーブルの残党が居たとか?」
『騎士団長が……自害しようとしたみたい……』
影移動を使って議事の間に戻ると、腹部に刃物が刺さった状態で、騎士団長が倒れていました。
「カミラ、どうなってるの?」
「魔王様、騎士団長が不始末を詫びると申して……」
足早に近付いていくと、まだ騎士団長には意識がありました。
「ま、魔王殿か……相すまぬが、カミラ様を……」
「ちょっと黙ってろ!」
騎士団長の腹から短剣を無造作に抜き取り、強力な治癒魔法を掛けました。
これも身体強化魔法の鍛練のおかげなんでしょうか、これまで以上に集中して治癒魔法が掛けられるようになったみたいです。
「な、何をなさる。ワシは不始末の責任を……」
「ふざけるな。急に国王が死んで、王子もゴロゴロ死んでる状態、リーゼンブルグが危機的な状態だって、あんた自分で言ったばかりだろう。死んで楽しようとしてんじゃねぇよ」
治癒魔法を掛け終えた後で、騎士団長の横っ面を張り倒しました。
「不始末の責任を取るって言うなら、カミラを支えて、この国を立て直してみせろ。そのために命を使え。僕みたいなガキにでも分かる心得違いしてんな!」
「め、面目ない……」
騎士団長の治療を終えて立ち上がると、議事の間に居る全ての人の視線が僕に向けられていました。
「グライスナー侯爵、僕はリーゼンブルグの葬儀の習慣などを全く知りません。カミラが即位するまでの後見をお願い出来ますか?」
「無論だ。私だけでなく、全てのリーゼンブルグ貴族が一団となって支えると約束しよう」
「お願いします」
グライスナー侯爵、サルエール伯爵、近衛騎士隊長のマグダロス、オズワルドとも握手を交わしました。
「カミラ」
「魔王様、本当にありがとうございました」
「うん、僕としては賠償の話も進めたいところだけれど、まずは、国王をしっかりと弔い、アーブル達の処罰を行って、リーゼンブルグを立て直す事に専念して」
「はい、畏まりました」
「それと、これまで通りにハルトを連絡役として置いておくから、緊急の時には遠慮せずに知らせて」
「ありがとうございます」
「じゃあ、僕は護衛の依頼の最中だから、これで戻らせてもらうよ。また折にふれて訪ねてくるからさ」
闇の盾を出して帰ろうとすると、率先して跪いたカミラに倣い、全員が跪いて臣下の礼を示しました。
心地良いような、後が怖いような複雑な気持ちを抱えて、影の空間へと潜りました。
『うむうむ、これにてリーゼンブルグはケント様の支配下となったも同然ですな』
『ケント様が……即位する日も近い……』
「いやいや、僕はヴォルザードで平々凡々に暮すんだからね」
『ぶはははは、バルシャニアの皇女を豪邸に迎える方は、平々凡々ではありませぬぞ』
『ケント様は……間違いなく規格外……』
「はぁ……僕は普通で良いんだけどなぁ……フレッド、ちょっとカミラの周囲を見ておいて、どういう風に事態が動いていくのか把握しておきたいから」
『了解……任せて……』
日一日と普通の生活からは遠ざかっていると思いつつも、僕は平穏を目指すのだと心に誓いながらヴォルザード家の馬車へと戻りました。
馬車は、日が傾きかけた道を軽快に進んでいました。
どうやら何事も無かったように見えます。
もうそろそろ、今夜の宿を取る集落が見えてくる頃でしょうかね。
馬車の中では、アウグストさんは相変わらず分厚い本に目を落し、バルディーニは夢の中、アンジェリーナさんはフィオネさんとお喋りに興じているようです。
「ただいま戻りました」
「おかえりなさい、ケント」
「早速ですまんが、どのような状況だったか聞かせてくれるか?」
折角、アンジェおねえちゃんが、ハグ&良い子良い子のコラボレーションを発動してくれたのに、無粋な男ですねぇ。
「はい、少々予想外の出来事が起こりましたが、叛乱分子は一応片付ける事が出来ました」
アーブル・カルヴァイン辺境伯爵の手で、リーゼンブルグの国王、アレクシス・リーゼンブルグが斬殺された事。
アーブルと宰相の陰謀を暴き、騎士団長の誤解を解いた事。
アーブルを叩きのめし、王城に入り込んでいたアーブルの勢力を一掃した事などを報告しました。
身体強化の程度を間違えて、拳が砕けた件は省略させていただきましたよ。
「リーゼンブルグ国王が斬殺とは……ケント、悪いが直ちに父上に報告に行ってもらいたい。次代の国王となる者たちとケントに面識があるとしても、ヴォルザードが直接の係わり合いを持っている訳ではない。父上なりの対応が必要となるはずだから、情報は早ければ早い方が良い」
「分かりました、ちょっとヴォルザードまで行って来ます。こちらの警護は先程の状態を維持しておきますので、ご安心下さい」
確かに、これまで余り友好的な関係ではなかったとは言え、魔の森を挟んだ隣国の最高権力者が死去したとなれば、領主として色々な対応が必要となるでしょう。
それは分かるんだけど、僕とアンジェお姉ちゃんを遠ざけようとしてるんじゃない?
ヴォルザードに戻ってギルドの執務室を覗くと、クラウスさんはベアトリーチェと一緒に、書類の決裁を行っているようでした。
「ケントです。失礼します」
「どうした、何かあったのか?」
「はい、リーゼンブルグの国王、アレクシス・リーゼンブルグが殺害されました」
「何だと、確かに死亡したのか?」
「はい、首を切断されたので、間違いありません」
クラウスさんに、王城の議事の間で起こった一連の出来事に付いて説明しました。
「では、カミラ・リーゼンブルグの足を引っ張る最大の敵は、これで始末を終えたんだな?」
「おそらくですが、現状で対抗勢力となりそうな人物や団体に関する情報はありません」
「よし、良く知らせてくれたな。現状では友好的な交流は無いが、この先の状況は分からねぇ。俺としては、可能な限り友好的で、かつ有利な状況を作りたいと思っている。その為には情報で後手を踏む事だけは避けたい。これからは、リーゼンブルグに関して知り得た情報はなるべく早く伝えてくれ」
クラウスさんは、今後のリーゼンブルグとの交流についても考え始めているようです。
「それで、今回の件でヴォルザードはどう動くのですか?」
「そいつは、相手の出方次第だな。国王死去なんていう重大な事柄を、例えケントとの繋がりがあるにしても、相手からの知らせが届く前に、こちらから何かするのは変だろう。それじゃあ、オタクの内情を探ってますって宣言するようなもんだ」
「なるほど、それもそうですね。では、対応はリーゼンブルグから正式な使者が到着してから……ってことですね?」
「まぁ、そういう事だ。ところで、アウグスト達の護衛はどうなっている?」
「バステンを隊長として、アンデッド・リザードマンのザーエ達を戦力に置いてありますし、万が一の時の連絡役にコボルト二頭も同行させています」
「よし、それならば問題は無いな。ケント、リーゼンブルグの件、レーゼにも知らせて来い。勿論、本部ギルドの職員などには喋るなよ。レーゼに直接もしくはラウを通じて伝えろ。いいな?」
「分かりました。行って来るね、リーチェ」
「ケント様、お気を付けて……」
リーチェをギュっと抱き締めてから、再び影に潜って、今度はバッケンハイムに逆戻りです。
バッケンハイムの本部ギルドへと戻り、人目の無い廊下から表に出ました。
休み明けの夕方とあって、ギルドの中は依頼や仕事の完了を報告する人で、ごった返しています。
カウンターの受付の数もヴォルザードの倍以上ありそうですが、それでも混雑度は倍という感じで、何処へ行けばマスター・レーゼへの面会を申し込めるのかも分かりません。
そもそも、どこの列に並べば良いのかも分からず、ウロウロしていたら突き飛ばされてしまいました。
「ふぎゃ……痛たたぁ……」
「ガキがウロウロしてんじゃねぇ、邪魔だ!」
僕を突き飛ばした大柄な中年の男性は、さっさと自分の目的の列へと並びました。
ウロウロしていた僕も悪いとは思うけど、ちょっと感じ悪いよなぁ……っと思っていると、ドスの効いたハスキーな声が響きました。
「おい、そこのお前、バッケンハイムの評判を落とすような事してんじゃねぇ……戻って来て少年に詫びろ……」
声の主は、ネイビーブルーのベリーショート、世紀末ひゃっは――な感じの黒革のジャケットとパンツ、足元はゴツい編み上げブーツに身を包んだ冒険者でした。
引き締まった腰には大振りの剣、肩には大きな皮袋を背負っています。
身長は180センチ近くあるでしょうか、マッチョな体型で一瞬男性かと思ってしまいましたが、ダイナマイトな胸部装甲が、紛れも無く女性だと主張しています。
「んだと手前ぇ、謝れだ……うっ、お、鬼喰らい……」
「聞えたようだな……」
中年の男性は、女冒険者を知っているらしく、顎で謝るように催促されると、ゴクリと喉を鳴らして唾を飲み込んだ後で僕に向き直りました。
「悪かったな坊主、ちょっと急いでたもんでな、勘弁してくれ」
「いえ、僕も勝手が分からずウロウロしてましたから……」
中年の男性は、僕に頭を下げた後、女冒険者へと視線を戻して頷き返されると、急いで列へと戻って行きました。
「すまんな少年、年末も近付いて、みんな気が急いているのだ」
「いえ……あっ、ありがとうございます」
尻餅を付いたままの僕に、女冒険者は手を差し出して、引き起こしてくれました。
「ふふっ、冒険者の卵といったところかな?」
「えっ? まぁ、そんな感じです……」
女冒険者の手は指こそ細いですが、手の平の皮は固く、関節には剣ダコが出来ています。
ラウさんとの特訓で少しナイフを使った格闘をしたぐらいで、この所、自分で剣を振る機会が少なくなっていた僕の手とは大違いです。
手の平の感じだけで判断されれば、ヒヨっ子冒険者と思われるでしょうね。
「それで、君はギルドにどんな用事で来たのかね?」
「ギルドの方に面会したいのですが、どこで申し込んだら良いのか分からなくて……」
「そうか、ならば私と一緒に来なさい、職員に頼んでやろう」
「良いんですか? ありがとうございます」
鬼喰らいと呼ばれた女冒険者は、一番奥にある混雑していないカウンターへと歩み寄りました。
「おかえりなさい、グラシエラさん。もう終わっちゃいました?」
「あぁ、この程度の仕事ならね……」
鬼喰らいと呼ばれていた女冒険者は、グラシエラというらしく、ギルドの職員にも顔が売れているようです。
グラシエラは、肩に担いでいた皮袋を、少し低めのカウンターへと乗せました。
何かの採集依頼なんでしょうか、ギルドの女性職員が皮袋の口を開いた途端、血の臭いが漂いました。
「はい、確かにオーガ二頭の討伐を確認いたしました。報酬は口座に振り込みで宜しいでしょうか?」
「そうだな……五千ヘルトを現金で、残りは口座に頼む」
「かしこまりました。では書類にサインをお願いいたします。ただ今、現金をお持ちしますね」
「あぁ、ちょっと待った。この少年が、ギルドの職員と面会したいそうなんだが、頼めるかな?」
「職員に面会ですか、どなたです?」
「えっと……マスター・レーゼにお会いしたいのですが……」
レーゼさんの名前を出した途端、グラシエラさんもギルドの職員さんも、怪訝な表情を浮かべました。
「ごめんね坊や、マスターはお忙しい方だから、簡単には会えないのよ」
ギルドの職員さんの顔には、世間知らずの子供に迷惑しています……みたいな困惑した表情が浮かんでいます。
まぁ、ある程度は、予想出来た反応ですね。
「ですよねぇ……でしたら、リタさんに取り次いでいただけませんか?」
「リタさん、ですか……?」
レーゼさんには取り次いでもらえないだろうと予想していたので、駄目ならばリタさんをお願いしようと思っていたのですが、どうやら難しそうな感じですね。
ギルドの職員さんが心底困ったという表情を浮かべた時、グラシエラさんが声を張り上げました。
「おーいリタ! リタ! こっちこっち、ちょっと良いか?」
僕の目線では見えませんが、どうやら奥にリタさんが居るらしく、グラシエラさんが高く掲げた手を振って呼び寄せてくれました。
待つ事暫し、少し不機嫌そうな表情のリタさんが現れました。
「どうしたの、シェラ。今は忙しい……えっ、ケントさん?」
「お忙しいところ申し訳ありません。少し急ぎでマスター・レーゼにお会いしたいのですが……」
「緊急でございますか?」
「緊急……という程ではありませんが、なるべく早くお伝えしたい事があります」
「分かりました、どうぞ、こちらへ……シェラ、ありがとう、後でね……」
リタさんは、僕をカウンターの中へと招き入れると、グラシエラさんに軽く手をあげました。
「あの、ありがとうございました。助かりました」
頭を下げた僕に、グラシエラさんは笑顔で軽く手を上げました。
顔は笑顔ですけど、目が獲物を狙う肉食獣みたいに光ってますね。
リタさんに案内されながら、職員用の通路を進んで行きました。
「グラシエラさんは、腕利きみたいですね」
「ええ、二ヶ月程前にAランクに昇格したばかりですが、バッケンハイムでは五本の指に入る冒険者です」
「鬼喰らい……とか呼ばれてましたけど……」
「オーガを目の仇にしているので、口の悪い連中からは、そんな風に呼ばれていますが、バッケンハイムをこよなく愛している真面目な冒険者ですよ」
「はい、おかげで僕も助かりました」
「こちらの部屋で、お待ちいただけますか、ただ今マスター・レーゼに取り次いでまいります」
「ありがとうございます」
案内された部屋は、職員用の面談ルームなのでしょうか、シンプルなソファーとテーブルが置かれていました。
ソファーに腰を下ろすと、すかさずムルトが出て来てソファーに寝転んで、おなかを撫でろと要求してきます。
「まったく甘えん坊なんだから……」
一しきり撫でてやったら、連絡役に残してきたマルトと交代させます。
マルトを撫で終え、更に交代させたミルトをモフっていると部屋の扉が開き、ラウさんを伴ったレーゼさんが、妖艶な笑みを浮かべながら入って来ました。
「どうしたケント、もう我が恋しくなったのかぇ?」
「リーゼンブルグ国王、アレクシス・リーゼンブルグが死去いたしました」
レーゼさんは表情を引き締めると、ラウさんに廊下の警戒を命じ、話の続きを促しました。
「詳しい話を聞かせてくれりょ」
「はい、今日の午後、アルダロスの王城、議事の間において、第三王女カミラ・リーゼンブルグとアーブル・カルヴァイン辺境伯爵が、国王臨席の下で王位継承について互いの主張を戦わせる予定でした」
会合の冒頭に起こった惨劇から、アーブルを叩き伏せるまでの経緯を語る間、レーゼさんは何度か確認を入れながら事態を把握しました。
一通りの話を聞き終えたレーゼさんは、ソファーに深く座り直し、腕組をして暫し目を閉じて考えをまとめているようでした。
「なるほど……愚王に相応しい最期じゃな」
「愚王……?」
「バッケンハイムでも、行商人などからの情報を元にして、リーゼンブルグの分析は行っておるぇ。アレクシス・リーゼンブルグが良い王だという話は、一つとして聞いた事が無いのぉ……いや、そうではないな、宰相にとっては都合の良い王であったのであろう」
まぁ、僕が王城を初めて訪れた時も、昼間から若い女性を侍らせ、風呂で酒を飲んでいましたからね。
あれが賢王であるはずが無いですね。
「それでは、リーゼンブルグはカミラ王女の下に立て直しを行うのじゃな?」
「はい、一番の問題は西部の砂漠化だと思いますが、これまで無駄な派閥争いのために殆ど対策が行われていなかったようですが、そちらも国が主導して行うはずです」
「ランズヘルトへの侵略は……どうじゃ?」
「人のやる事ですので、絶対は無いのでしょうが、現時点では殆ど無いと思っていただいて結構ですし、万が一の場合には、僕と眷族総出で撃退します」
「頼もしいのぉ……確かにケント達がおれば、魔の森を超えての侵略など叶わぬであろうな。戦力、情報の速さ、Sランクでも足りぬかもしれんのぉ……ケントに比肩する冒険者は、ランズヘルトには居らぬぇ」
今回、僕が知らせた情報は、レーゼさんの手によって、バッケンハイムの領主を始めとして、他の街の領主にもギルドのネットワークを使って知らせられるそうです。
「ケントよ、そなたの抱えている問題が解決したならば、我に声を掛けてくれりょ」
「えぇぇ……それって、まさか……」
「ふふふふ……伴侶とするのは何時にても構わぬが、そうではなしに、そなたには旅をしてもらいたい」
「旅ですか?」
「そうじゃ、ランズヘルトを隅から隅まで旅をして、主要な街や集落に瞬時に移動出来るようにして置いて貰いたい」
「連絡要員という事ですか?」
「そうじゃ、鳥や早馬、テイムした魔物を使ったとしても、そなたよりも速く移動出来るものは居らぬ。他国の侵略、グリフォンのごとき強力な魔物、天変地異……今すぐ起こる訳ではないが、備えておけるならば備えをするのが当然というものじゃろう」
「そうですね。ヴォルザードはランズヘルトの一員であり、ランズヘルトが栄えれば、自ずとヴォルザードも栄える。僕の抱える問題が片付き次第、連絡網の構築を考えます」
「ふふふふ……良いのぉ、やはり我が見初めただけの事はある」
ソファーに深く腰を下ろしていたレーゼさんが、腕組みをしたままで身を乗り出してきました。
「ご、ご、護衛の依頼の最中なので、失礼します!」
このままでは、オタマジャクシがヘビに飲まれてしまいそうなので、闇の盾を出して逃げ込みました。
「くっくっくっ、ケントよ、次に来る時は、我の寝所に忍んで参れ……」
それは、もっと大人になってからにしまーす!
変な汗を拭いながら、ヴォルザード家一行の下へと急いで戻りました。
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