第186話 日本の危機?

 マールブルグ家の検分を待つ間、少し時間が出来たので、影収納からスマホを出して電源を入れてみると、アプリに鈴木さんからのメッセージが届いていました。

 メッセージを開いてみると、ぎょっとする内容が綴られていました。


『出来るだけ早く日本に戻って下さい。詳しい内容は、こちらにいらした時に説明させていただきます。よろしくお願いいたします、日本の危機です』


 ランズヘルトでは、すっかり明るくなっていますが、日本はまだ真夜中のはずです。

 スマホの時計で確認すると、まだ四時にもなっていないのに、通話の着信音が鳴り響きました。勿論、電話の主は鈴木さんです。


「も、もしもし……」

「国分さん、朝早くから申し訳ございません。日本に戻って来る事は可能ですか?」

「えっと……ちょっと待って下さい。レーゼさん、ちょっと日本に戻って来ても構いませんか?」

「なんじゃい、人気者じゃのぉ……構わんぞぇ。その代わり、ちゃんと戻って来ないとシューイチがどうなるか分からんぞぇ」

「はい、鷹山は……好きにしてもらって結構ですので、ちょっと行って来ます」

「おいっ! 国分、お前、自分だけラウさんの特訓から逃げようって魂胆だろう!」

「な、何を言ってるのかなぁ……ボク、ワカラナイヨー……」

「なんで、そんなに棒読みなんだよ」

「あー……煩い、煩い、日本の危機なんだから仕方無いだろう。バステン、レーゼさんの護衛、兼、目印役をお願い出来る?」

『了解しました、ケント様』

「もしもし、鈴木さん、これからすぐ戻ります」

「はい、私もすぐ向かいますので、よろしくお願いします」


 スマホの向こうからは、何やらガタガタする音や、衣擦れの音が聞えてましたけど、この時間じゃ電車も動いてませんよね。

 鈴木さん、大丈夫なんですかねぇ。


 と言うか、鈴木さんが対策室に詰めていないなら、そんなに切迫した事態ではないのでしょうか。


 自衛隊練馬駐屯地の対策室へと移動すると、朝の4時前だというのに煌々と明かりが灯されていました。

 ですが、室内にいるのは当直らしい自衛官の方だけのようです。

 前回の教訓を生かして、今回は名乗ってから表に出ましょうかね。


「おはようございます、国分健人、出頭いたしました!」

「はっ! おはようございます。ご苦労様です!」


 ビシっと敬礼を決めた自衛官の正面に、闇の盾を出して表に出て、きっちりと頭を下げて挨拶しました。


「朝早くからすみません、何だか日本の危機みたいですけど、何があったんですか?」

「はっ? 日本の危機でありますか?」

「えっ、違うんですか?」

「日本の……あぁ、そうです、日本の危機であります!」


 えっと……日本の危機だと言ってるんですが、当直の方の目が笑ってるのは何ででしょうね。


「その日本の危機って、切迫した事態ではないんですか?」

「切迫……しております。はい、急を要すると思われます」

「そう、ですか……とりあえず、僕は何をすれば良いのでしょうかね?」

「それは……担当者に直接伺っていただけますか?」

「そう、ですよね。切迫している……?」

「はい、切迫しております」


 うーん……切迫していると言いながら、やっぱり目が笑ってる気がします。

 コーヒーを淹れていただいたので、ソファーに腰を下ろして待っていると、ひょこっとマルトが頭を出して来て、撫でてあげると気持ち良さそうに目を細めて戻って行きました。


 と思ったら、今度はムルトが頭を出し、同じように撫でてあげると戻っていきます。

 次はミルト、またマルト、次はムルト、またミルト、どうやら魔素のない日本は居心地が悪いけど、それでも構ってもらいたいようです。


 またマルト、次はムルト、次は……鼻っ? 大きな鼻を突き出して来たのはゼータでした。はいはい、撫でて欲しいのね。

 うん、ちょっとしっとりしていて、これはこれで、なかなかの手触り。


 マルト達にゼータ達も加わって、六頭を順番に撫で撫でしてると、小走りな足音が聞えて鈴木さんが姿を見せました。

 慌てて家を飛び出して来たのか、いつものカッチリした感じではなくて、遅刻寸前に教室に駆け込んできた中学生みたいですね。


「はぁはぁ……おはようございます、国分さん」

「お、おはようございます……」


 走って来たからか、それとも起き抜けだからか、髪があちこち跳ねていて、目も少々逝っちゃってて、鬼気迫る感じですね。


「あの……日本の危機って……」

「一大事です! 是非とも、国分さんの御力を貸してください!」

「でも、そんなに切迫した感じには……」

「とんでもない。事は急を要します」

「えっと……それで、何が起きてるんですか?」

「茜ちゃんが、怪我をしてしまいました」

「はっ? 今、何て……」

「だから、茜ちゃんが怪我をしてしまったのです」

「はぁ……?」


 高城さんの一件で、どこかの国と揉めているとか、どこかの国で内戦が勃発したとかいう話だと思っていたので、鈴木さんの言葉が理解出来ず、目が点になってしまいました。


「国分さん、今の状況が分かってるんですか?」

「いえ、全然分かりません」

「はぁ……国分さん、あなたはそれでも日本人ですか?」

「いえ、もう半分以上はヴォルザード人かと……」

「ふざけている場合じゃありません! 真面目にやって下さい」

「めちゃめちゃ真面目にやってます。茜ちゃんって誰っ?」


 僕の言葉を聞いた鈴木さんは、目を真ん丸に見開くと、深い深い溜め息をつきながら視線を落し、あり得ないとばかりに首を左右に振りました。

 いや、当直の自衛官さんが、笑いを堪えて悶絶してるんですけど……


「福沢茜、日本を代表する女子フィギュアスケート選手をご存知無いと言うのですか?」

「あぁぁ……スケートの……はいはい、知ってます……って言ってもテレビで見るだけですけど」

「その福沢茜選手が、怪我をしてしまったんですよ!」

「そうなんですか……可哀相ですね。でも、それが日本の危機と、どう繋がるんですか?」

「国分さん、こんな簡単な事も説明しなくちゃいけないのですか?」

「はぁ……基本的なことからお願いします」

「分かりました。幼稚園児にでも分かるように、基礎の基礎からお話ししましょう。そもそもフィギュアスケートという競技は……」

「えぇぇ、そこからぁ?」


 鈴木さんの説明を要約すると、日本の女子フィギュアスケートのエース、福沢茜選手が、四大陸選手権の練習中に転倒して怪我をしてしまったそうです。

 福沢選手は、来月行われる世界選手権にも出場予定でしたが、今回の怪我で出場が危ぶまれているようです。


「いいですか、国分さん。疲労骨折が判明した神林選手に続いて、エースの福沢選手まで欠場してしまう事になれば、三枠確保は間違いないと言われていた来年の冬季オリンピックの出場枠が、二枠になってしまうかもしれないんですよ! 日本の危機です!」

「もしかして、僕に福沢選手の治療をしろと?」

「その通りです。治癒魔法が使える国分さんなら、この危機から日本を救えるはずです!」


 うん、鈴木さんが、フィギュアオタの駄目な人なのは、よーく分かりました。


「でも、鈴木さん、それなら神林選手の治療もした方が良くないですか?」

「えっ、国分さん、骨折も治せるんですか?」

「はい、戦闘講習で鎖骨とか腕とか折られたのも治してますよ」

「本当ですか! ちょっと待って下さいね」


 鈴木さんは、スマホを取り出すと、慌しく連絡を取り始めました。

 どうやら神林選手が国内に滞在しているのか確認をしているようです。


「すみません、折り返し連絡が来ますので、少しお待ち下さい」


 て言うか、まだ朝の5時前なんだけど、色々と大丈夫なんでしょうかね。

 更に、鈴木さんは何ヶ所かに電話を掛けて、調整を行っているようです。

 そして案の定、返事が来たのは三十分以上経ってからでした。


「国分さん、神林選手も国内に滞在されているそうなので、治療をお願い出来ますか?」

「それは構いませんけど、治療はここでやるんですかね?」

「いえ、国分さんには、これから移動していただきます」


 自信たっぷりに頷いてみせる鈴木さんに、物凄く嫌な予感を感じてしまうのは、気のせいでしょうかね。

 鈴木さんから渡されたのは、一枚の地図でした。


「国分さんは、この近辺であれば、人目に付かずに移動する事は可能ですよね?」

「はい、それは可能ですが……ここは?」

「これは、ここ練馬駐屯地から川越街道を挟んだ向かい側にある自衛隊の宿舎です。この一室に、今日のようなケースを想定して、国分さんが変装して移動するための部屋を準備してございます。とりあえず、この部屋で移動していただき、スタッフの指示に従っていただけますか?」

「はぁ……分かりました。部屋の中に直接移動しちゃって良いんですよね?」

「はい、出来れば、玄関あたりで声を掛けていただけると助かります」

「分かりました……」


 何だか良く分かりませんが、地図に描いてある、練馬北町宿舎F棟202号室へと移動しました。

 影の中から様子を窺うと、何やらバタバタと準備を進めている感じです。

 部屋の中に直接出ようかと思ったのですが、日本では靴を脱がないと駄目ですよね。

 なので、玄関に出て声を掛けました。


「おはようございます、国分健人です。あの、こちらの部屋でよろしいのでしょうか?」

「はい、おはようございます。バックアップ・スタッフの木村です。どうぞ、上がってください」

「はい、おじゃまします……」


 玄関から見える風景は、普通のマンションという感じでしたが、本来リビングであろう場所は、理容室か何かのスタジオのように改装されていました。


「国分さん、どうぞこちらに……」


 勧められたのは、床屋とか美容院にあるような椅子で、正面には鏡とシンクが設えられています。


「もしかして、あちらに行かれてから一度も散髪していらっしゃらないのですか?」

「はい、床屋がどこにあるのかも知りませんし、なかなか探して行く暇も無いもので……」

「では、どうしましょう……一応、週刊誌に載った写真とは別人に見えるように……と言われてますが」

「えーっと……お任せします。出来るだけ格好良くして下さい」

「分かりました。では、少し短めで、手間の掛からない形にしますね」


 木村さんに散髪してもらい、黒縁の伊達メガネ、服装も光が丘中学校の制服とは色が違うブレザーの制服にダッフルコート、エナメルのスポーツバックを肩から掛けると、そこらで良く見かける高校生といった感じになりました。


 うん、ちょっと垢抜けた感じなので、これは国分健人っぽくないですね。

 着ていた服は、預かると言われましたが、まとめて影収納に放り込んでおきました。


「じゃあ、階段を下りた先の駐車場に白いワゴン車が停まっていますので、そちらのスタッフと一緒に移動をお願いします」

「分かりました、色々お世話になりました」


 用意してもらったスニーカーを履いて玄関を出ると、なんだか日本の生活だなぁと思ってしまいます。


 階段を下りて行くと、白いワンボックス車が待っていて、運転席の人に会釈をすると後のドアが開きました。

 そうですよね、日本だと電動のドアとか当たり前ですもんね。


「おはようございます。国分です、よろしくお願いします」

「どうぞ、どちらでもお好きな席に……あっ、一応シートベルトをお願いしますね」

「分かりました……って、ん、これか……」


 シートベルトを締め終えると、車は滑るように走り出しました。

 うん、やっぱり日本の車の方が断然静かですし、揺れませんね。


 でも、風情というか、異世界感みたいなのは無いですね。

 車は、まだ渋滞が始まっていない都内の道をスイスイと進んで行きます。


 皇居を回り、銀座を抜けて、晴海通りを築地で左に曲がった先の大きな病院が目的地のようです。

 病院の前では、僕が着替えている間に先回りした鈴木さんが出迎えてくれました。


「一瞬、誰か分かりませんでしたよ」

「自分でも変な感じですからね」

「どうぞ、こちらです。私と並んで普通に歩いて下さい」

「普通って……」

「マスコミが押し掛けていますので、普通に……お願いします」


 病院の周囲には、マスコミの車が押し掛けていて、レポーターが朝の情報番組の準備をしているようです。

 一般外来が始まる前の時間なのに、かえって怪しまれないかと思いましたが、関係者でないと分かると、マスコミの皆さんは興味を失うようです。


 それに大きな病院なので、この時間でも人の出入りが普通にありますね。

 鈴木さんに案内されてエレベーターに乗り、外科病棟まで上がりました。


 福沢選手は、四大陸選手権の行われていた台北から帰国後、空港から直接病院へ入り、入院しているそうです。

 エレベーターを降りると、関係者と思われる方が出迎えてくれました。


「湯川さん、こちらが国分健人さんです。国分さん、こちらはスケート連盟の湯川理事です」

「湯川です、朝早くから御足労いただき、ありがとうございます」

「はじめまして、国分です」

「早速ですが、お願いできますか?」

「はい」


 湯川さんの案内で、廊下を進むと、医師と思える白衣の男性が病室の前に立ち、こちらを厳しい表情で見詰めていました。

 湯川理事が、福沢選手の主治医だと教えてくれました。


「坂口先生、おはようございます」

「おはようございます。湯川さん、こちらの方々は?」

「内閣官房の鈴木さんと……国分さんです」

「何か、怪しげな治療を依頼したとお聞きしたのですが、病院内で許可を得ずに治療行為をされては困ります」

「おっしゃられる事は、十分に分かっておりますが、私どもとしましても、藁にもすがる思いなのです」

「怪しげな治療と称する行為を行って、福沢選手の選手生命が脅かされるような事態になったら、どう責任を取るおつもりですか?」


 まぁ、予想はしていましたけど、歓迎はされませんよねぇ。

 病室の前で、坂口医師と湯川理事が、馬鹿丁寧な口調の押し問答を始めてしまいました。


「鈴木さん、僕、帰っていいですかね?」

「何言ってるんですか、駄目に決まってるじゃないですか」

「でも、歓迎されてませんよ」

「はぁ……分かりました」


 少し離れた場所から、二人の押し問答を眺めていたのですが、鈴木さんは溜め息を一つつくと、二人の間に割って入りました。


「福沢選手、ご本人に決めていただきましょう」

「しかし、うちの病院内で……」

「こちらの病院は、患者さんの意思を尊重して下さらないのですか? 説明を聞いて、その上で本人が治癒魔法による治療を望むならば、それを尊重すべきです」

「いいでしょう。まずは本人の意思を確認いたしましょう」


 坂口医師を先頭にして病室を訪れると、そこにはテレビで良く見る福沢選手とコーチの姿がありましたが、福沢選手の右膝は、厳重に固定されている状態でした。

 MRIなども用いた診断の結果は、右膝前十字靭帯断裂、内側半月坂損傷で、再建手術が必要というものでした。


「医師の立場から言わせていただくが、怪しげな治療を行って怪我の状態が悪化して、選手生命が危険に晒されるような事態にならないか大変危惧しています。今の時点で手術を行えば、ギリギリでオリンピックに間に合う可能性があります。勿論、時間的にはかなり厳しいものがありますが、希望はあります」


 先に意見を述べた坂口医師は、言葉を切ると僕の方に向き直りました。

 病室にいる全員の視線が僕に集まりました。


「どうした、何とか言いたまえ」

「そう言われても……正直に言って、医学的な事とか全然分かりませんし、ぶっちゃけ絶対治りますなんて保証も出来ません。それでも、上手くいけば、今ここで治りますよ」

「話にならんな……帰りたまえ」


 うわぁ、虫けらでも見るような目ですね。

 まぁ、異世界行ってから色々あって、この手の扱いにも慣れてますけどね。


 前十字靭帯の手術を行った場合、氷上練習に復帰出来るまでに半年ほどの時間が必要だそうで、オリンピックを目指すには、本当にギリギリのタイミングのようです。

 福沢選手は、山村コーチと十分ほど相談した後で、僕の治療を希望しました。


「もし本当に治るのであれば、来月の世界選手権にも出場して、オリンピックの出場枠獲得にも貢献したいので……お願いします」

「分かりました。坂口先生、僕がおかしな事をしないか、立ち会っていただけますか?」

「無論だ、主治医としての務めは果たさせてもらう」


 坂口医師も立会いの下で、まずは膝を固定している装具を外してもらいました。

 福沢選手は、フィギュアスケートの選手としては、ちょっとポッチャリしているので、もしかしたら、それで膝に負担が掛かったのかもしれ……うわぁ、凄い目で睨まれてますね。


 太腿から膝、ふくらはぎへと、両手の平で包み込むようにして、意識を集中しながら撫でてくると、さすがに一流のスポーツ選手とあって、素晴らしい筋肉なのが分かりました。


 反面、膝の周囲には炎症が広がっていて、意識を集中すると靭帯が断裂しているのが分かります。

 何で分かる、何で治ると聞かれても、全く答えられないのですが、治せるものは治してしまうのが僕の流儀ですからね。


 膝を包み込むようにして、十五分ほど治癒魔法を流し込むと、断裂も炎症も、綺麗さっぱり無くなりました。


「えっと、どうですかね。他にも痛いところがあれば治療しておきますが……」

「えっ、嘘っ……」


 恐る恐る膝を曲げ伸ばしした福沢選手は、信じられないという表情でコーチと顔を見合わせました。


「痛くない。違和感も全く……嘘みたい! あの、左の足首もお願いしてもいいですか?」

「はい、構いませんよ。じゃあ全部やっときますか」


 この後、三十分ほどの時間を掛けて、両足と背中から腰の筋肉と関節、靭帯などのケアを行いました。


 治療後、ベッドから下りた福沢選手は、ジャンプしての二回転ターンを軽々と決めてみせ、そのまま弾むような足取りで駆け寄ってくると、ギューってハグしてきました。


「ありがとう、こんなに何処にも痛みも違和感も感じないのは、本当に久しぶりです」

「そ、それは、良かったですぅ……」


 山村コーチと湯川理事、それに鈴木さんは握手を交わして喜んでいます。

 そして、一人だけ憮然としている人が居ますね。


「馬鹿な……あり得ん……なぜだ!」

「うーん……それを聞かれちゃっても困るんですよね。正直、自分でも分かってないので説明のしようが無いんです」

「細胞の再生能力を上げるのか? いや、側副靭帯なら修復するが十字靭帯では回復はしないし……」

「ごめんなさい、研究のモルモットになるのはお断りしますよ」


 坂口医師の目の色が変わったので、先に釘を刺させていただきました。

 獲物を逃がして残念そうな坂口医師の横から、鈴木さんが手招きをしています。


「さあ国分さん、東京駅に向かいますよ」

「へっ? 東京駅ですか?」

「はい、神林選手は名古屋に滞在していますので、新幹線で移動します。湯川理事、あちらへの連絡をお願いできますか?」

「はい、名古屋駅に連盟のスタッフを迎えに行かせます。国分さん、よろしくお願いしますね」

「は、はい……」

「さあ国分さん、行きますよ」

「えぇぇ……」


 この後、鈴木さんに引き摺られるようにして東京駅へと連行され、のぞみのグリーン車に押し込まれて名古屋へ移動。

 神林選手の所属する大学の施設で、疲労骨折の治療をさせられました。

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