第174話 夜の目抜き通り

 クラウスさんの屋敷で夕食もご馳走になり、マノンを家まで送った後、守備隊の宿舎まで委員長と一緒に歩きました。

 日が落ちると凍えるぐらい寒くなってきましたが、指を絡めるように手を握り、ぴったりと身を寄せている委員長の温もりで、心は満たされています。


「ねぇ唯香、僕って歪んでるのかな?」

「えっ、歪んでいる? 健人が?」

「うん……」


 肩に寄り掛かっていた頭を起こして、少し不思議そうな顔で僕を見ている委員長に、クラウスさんと高城さんの会話について話しました。


「そんな風には考えた事は無かったけど、言われてみると少し同感した部分もあるかも……」

「例えば、どの辺り?」

「自分を省みないで、他人の為に必死で働くところとか……少し危なっかしいと言うか、心配になる時があるから、そういう心理的な歪みが影響しているのかなぁ……とは思う」

「そうか……うん、自分でもそんな気はする」


 ヴォルザードに辿り着いた時、守備隊のカルツさんや、下宿のアマンダさんやメイサちゃんに、暖かく迎え入れてもらえていなかったら、僕はラストックの駐屯地へと戻っていたかもしれません。


 ヴォルザードに自分の居場所を見つけた後も、同級生を助け出すために奔走したのは、仲間はずれのままで居たくないという思いからだったのかもしれません。


「健人は、後悔してるの?」

「えっ、後悔って、何が?」

「私達、三人と将来結婚するって約束した事を後悔してるのかなぁ……って思ったから」

「する訳無いじゃん。三人とも、僕には勿体無いぐらい美人だし、性格も良いし、頭も良いし……唯香こそ、僕を選んだ事を後悔して……」

「しないよ。する訳無い!」


 委員長が声を強めたので、道行く人が何事かと振り返りました。


「ラストックに居た頃、どれだけ私が絶望的な気持ちでいたか。健人が訪ねて来てくれて、どれだけ心の支えになっていたか、言葉では表せないぐらい感謝してるんだよ」

「唯香……ありがとう」

「もう、お礼を言うのは私の方だよ、健人、ありがとう」


 足を止めて、委員長を抱き締めようとしたら、ラインハルトに声を掛けられました。


『ケント様、フレイムハウンドの連中ですぞ』

「えっ、分かった……唯香、僕の後ろに居て」

「どうしたの?」

「うん、ちょっとね……」


 10メートル程先に、並んで歩いてくる四人の男の姿があります。

 委員長を庇うように前に出ると、向こうもこちらに気が付いたらしく足を止めています。


 獅子獣人のバルトロを真ん中に、左に髭面の犬獣人オレステ、右には巨漢の坊主頭のジャルマが控えています。

そして面倒な事に、オレステの隣に鷹山の姿がありました。


 急に三人が足を止めたので、一人で歩き続けて先に行く格好になり、鷹山は慌てて振り返り、そこでただならぬ気配を感じたのか、僕の方を振り返りました。

 バルトロは、射殺さんばかりの視線で僕を睨み付け、オレステとジャルマの二人はニヤニヤした笑いを浮かべています。


 鷹山は、僕とフレイムハウンドの三人を交互に見比べた後で、声を掛けて来ました。


「よぉ、国分……どうかしたのか?」

「鷹山、どうしてフレイムハウンドの連中と一緒に居るの?」

「この前のグリフォン退治の時に一緒になってさ、見所があるからパーティーに入らないかって誘われて、いきなり決めるのが不安なら、お試しで何日か一緒に仕事してみないかって言われて、それで……」

「鷹山、その話は断わって」

「えっ、何でだよ。みんな親切にしてくれるぜ」

「そいつらは、自分の身が危うくなったら、手下を平気で囮に使う奴らだからね」

「えっ……」


 ギョっとした鷹山が振り向くと、オレステが大袈裟に手を広げて否定しました。


「おいおい、人聞きの悪い事を言わないでくれるかなぁ……俺達は、才能ある有望な若手を育てようとしているだけだぜ」

「がははは、そうじゃそうじゃ、オレステの言う通りじゃな。何の証拠があって、そんな言い掛かりをつけとるのかのぉ」


 巨漢のジャルマも周囲に集まり始めた野次馬に聞えるように、胴間声を張り上げています。

 それを聞いていたバルトロも、歯を剥き出しにして笑みを浮かべると、一歩前へと踏み出しました。


「確か、ケントとかぬかしたな。街中で、公然と俺達を罵倒してくれたんだ、キッチリ落とし前を付けてもらうぜ」

「落とし前ねぇ……またリボンでも結んであげましょうか?」

「手前ぇ……舐めた口利いてんじゃねぇぞ!」


 顔を真っ赤にして怒鳴り散らすバルトロの横で、オレステとジャルマは必死に笑いを堪えてプルプルしてますね。


「そう言えば、スカベンジャーの大群に追い掛けられて、ダンジョンの奥に閉じ込められてたそうですね。僕らが退治しなかったら、どうやって地上まで戻るつもりだったんですか?」

「て、手前らの手なんか借りなくても、無事に地上まで戻って来られたに決まってんだろう。それより、証拠も無しに俺らを罵倒したんだ、その責任をどう取るつもりだ?」

「本当の事を話しただけですから、責任なんて取るつもりはありませんよ」

「馬鹿め。冒険者にとって評判は飯の種に直結する。それを証拠も無しに貶めたんだ。俺らがギルドに訴え出れば、最悪街から追放措置になるんだぜ、それでも良いのか?」

「それは困ります……って言ったら、どうするつもりですか?」

「決まってる……」


 バルトロは、手の平を上に向け、親指と人差し指で輪を作ってみせました。


「証拠も無しに、俺らを侮辱した償いとして、一人五万ヘルト、全部で十五万ヘルトで勘弁してやる」

「それは、ギルドが皆さんの話を信用すれば……の話しですよね」

「Aランク冒険者パーティーの言う事と、ガキの言う事、どちらをギルドが信用するのか試してみるか?」

「そうですね、いわく有りげな冒険者パーティーと、ヴォルザードを拠点とするSランク冒険者の言うこと、どちらを信じてもらえるか、試してみますか?」

「何ぃ……Sランクだと?」

「あれ、ご存知じゃありませんでした? 冒険者のくせに情報に疎いですねぇ。街の女の子でも知ってますよ」


 バルトロは、オレステとジャルマに視線を向けますが、二人とも首を捻っています。

 大方ダンジョンから戻って来ても、酒びたりの生活でも続けていたんでしょうね。

 鷹山もSランク昇格の話は聞いていなかったようです。


「国分、Sランクって、本当なのか?」

「本当だよ。別にランクアップなんかしても面倒事が増えるだけだから、Bランク程度でも良かったんだけどね」

「グリフォン相手の戦いの前半は、殆ど国分の戦力だったんだろ?」

「そうだよ。うちの眷属も着々とレベルアップしてるから、そちらの三人じゃ歯が立たないと思うよ」


 フレイムハウンドの三人に視線を戻すと、今度はオレステとジャルマも険しい表情で睨んでいますね。


「ガキ、あんまり調子に乗ってんじゃねぇぞ。いくらお前の魔物が強力でも、こんな街中で……おわぁ、な、何だ!」


 バルトロの話の腰を折るように、影の中から忍び寄ったマルトが膝カックンを食らわすと、野次馬達からどっと笑いが起こりました。


「こんな街中で、何ですか?」

「くそガキ……」

「まぁ待てバルトロ、そんなに熱くなんなよ。何しろ相手はSランクの冒険者様だってから、俺達凡人じゃあ相手にならんだろう」

「オレステ、こんなガキに舐められたままでいろって言うのか!」

「だから熱くなるなって」


 すっかり頭に血が上っているバルトロに較べて、オレステとジャマルは冷静で、またニヤニヤした笑いを浮かべているのが不気味ですね。


「バルトロ、確かに、このガキはSランクに昇格したのかもしれねぇが、冒険者としての経験値まですぐにランクアップする訳じゃねぇだろう」

「それがどうした」

「つまり、このガキでは教えられない冒険者としの知識や経験を、俺たちは山ほど持ち合わせているって事だ。なぁ、シューイチ、そう思わないか?」


 オレステが鷹山に話を振った途端、バルトロもニヤリと嫌な笑みを浮かべました。


「えっ、お、俺っすか? それは……経験なら皆さんの方がありますよ……ね」

「当然だ。これまでいくつもの街を渡り歩き、数々の依頼をこなして来たんだぜ。Sランクだか何だか知らねぇが、ぽっと出の小僧なんかにゃ分からない冒険者の経験ってやつを知りたいとは思わないのか?」

「それは……知りたいですけど……」


 鷹山は、オレステと僕の顔を見比べて迷っているようです。


「鷹山、もう一人の身体じゃないんだよ。もし鷹山が居なくなったら、シーリアさん達はどうするんだよ」

「うっ、そうだよな……」

「なんでぇ、なんでぇ、もう女の尻に敷かれてるのか? そんなんで一丁前の男って言えんのかよ?」

「べ、別に、尻に敷かれてるわけじゃないですよ」


 いや、間違いなく尻に敷かれてたし、それを気にしてるよね。

 てか、やっすい挑発に乗りすぎでしょ。


「シューイチ、一人前の男なら、自分の進む道は自分で決めて、女には黙ってついて来いって言うもんだぜ」

「そ、そういうもんですかね?」

「当たり前だろうが、お前、股ぐらに男の印をぶら下げてんだろう? 自分の生き方は、自分で決めろ」


 鷹山は、オレステに頷いてから、僕に向き直りました。

 うん、もうだいぶ影響を受けちゃってるみたいだね。


「国分、俺は……」

「鷹山、あの人たち、一人も結婚してないからね。嫁を貰った事もない人の生き方は、参考にならないんじゃない?」

「あっ……」


 鷹山が振り返ると、オレステは顔を歪めて舌打ちしてみせました。


「ちっ、ガキが余計な事言ってんじゃねぇよ」

「明日をも知れぬ冒険者家業の皆さんと、可愛い嫁が家で待っている鷹山とでは、生き方が違いますからね」

「全く気に入らねぇガキだな。バルトロ、ジャルマ、行こうぜ。胸糞悪いから飲みなおしだ」

「ほほぅ、オレステでも分が悪いとは、食えない小僧じゃな」

「けっ、行くぞジャルマ」


 フレイムハウンドの三人は、鷹山を捨て置いて、元来た道を引き返して行きました。


「国分、フレイムハウンドと何かあったのか?」

「うん、前にちょっと揉めてね、アマンダさんの店にも手を出して来たから、絞めてやったんだ」

「絞めるって、なにやったんだよ」

「和解の手紙を出して、訪ねていっただけだよ」


 フレイムハウンドとの一件を話すと、鷹山だけでなく委員長にも呆れられてしまいました。


「もう健人、あんまり危ない事はしないでよ」

「分かってるよ、あの時は、メイサちゃんにまで暴力を振るわれそうになったから、僕も頭に来てたんだ」

「そっか、それじゃあ仕方無いか」

「鷹山、冒険者としての経験を積みたかったら、ギルドのドノバンさんに相談しなよ。僕からも口添えしておくからさ」

「やっぱり、あの三人はヤバいか?」

「ちょっと信用出来ないね」


 フレイムハウンドの連中が、サラマンダーを討伐した時に臨時パーティーを組んだ水使いの魔術士の話をすると、鷹山も考え直したようでした。


「異世界に来て、強力な火属性の魔法も手に入れたし、正直言って冒険者への憧れがある。それに、城壁工事だけじゃ三人の生活費には足り無いしな」

「シーリアさんやフローチェさんにも、時間がある時に働いてもらったら? その方が街にも早く馴染めるんじゃないの?」

「フローチェさんは大丈夫だと思うけど、シーリアはちょっと……」

「えっ、どこか体調が悪いとか? それならこれから……」

「いや、そうじゃなくて、病気とかじゃなくて……なっ」

「えっ、もしかして……もしかして?」

「あ、あぁ、できたみたいだ……」


 鷹山は、照れ臭そうに頭を掻いています。


「ねぇ健人、出来たみたいって、まさか赤ちゃん?」

「さぁ? 僕じゃなくて鷹山に聞いて。どうなの?」


 鷹山は真っ赤な顔で、無言で何度も頷いています。


「きゃぁぁぁ……おめでとう……だよね」

「どうかなぁ、鷹山の稼ぎじゃ……痛っ」

「そんな事言わないの、おめでとうでしょ」

「はい、そうだね。鷹山、おめでとう。しっかりしろよ、パパ」

「ありがとう。正直、すんごい不安なんだけど、シーリアの方がもっと不安だろうから、俺がしっかりしないとな」

「そうかぁ……それじゃあ、もう少し稼ぎの良い仕事を見つけないとだな」

「健人、ドノバンさんか、クラウスさんに頼んであげれば?」

「そうだね。明日、ギルドに鉄筋の搬入があるから、その時にでも聞いてみるよ」

「本当か? すまん国分、恩に着るよ」


 鷹山は、両手を合わせて僕を拝んでみせました。


「まぁ、ぶっちゃけ鷹山はどうでも良いんだけど、シーリアさんとフローチェさんが大変だからね」

「どうでも良いって……」

「鷹山、借金払ったの誰だか忘れたんじゃないだろうね」

「うっ、忘れてないよ。いつか払うから、そう言うなよ」

「まぁ、借金の件もどうでも良いけど、一家の大黒柱として頑張ってよ」

「分かってる。それは言われなくても、俺の命に掛けてでもシーリアとフローチェさん、それに生まれてくる子供は守ってみせるよ」


 フレイムハウンドとは関わらないように、もう一度念押しし、明日ギルドで待ち合わせる約束をして、家に帰る鷹山とは別れました。

 再び、守備隊の宿舎を目指して歩き出すと、委員長はさっきよりも強く僕の腕を抱え込みました。


「唯香……寒いの?」

「ねぇ、健人……」

「なにかな?」

「私も、欲しいな……」

「えっ、欲しいって……えぇぇぇ!」

「嫌かな?」

「い、嫌ではないけど……その、唯香のご両親には、まだ挨拶もしていないから……」

「そうか……そうだよね。でもいいなぁ……」

「あのね、唯香。クラウスさんに、ヴォルザードが新年を迎える前に、唯香のご両親に挨拶して来いって言われちゃったんだ」


 クラウスさんに、ヴォルザードでは守ってやる、日本では守ってやれないと言われた事も話して、挨拶に行きたいと伝えました。


「いきなり訊ねて行っても失礼だろうから、何時が良いか聞いてもらえないかな?」

「うーん……そうだよね。何時までも先延ばしも出来ないもんね」


 ちょっと沈んだ委員長の声が、ご両親が僕に好印象を抱いていない事を物語っているようでした。

 少しの間、二人とも無言で歩き続け、守備隊の門が見えて来た辺りで委員長が口を開きました。


「あのね健人。うちは、父も母も妹も反対してるの」

「家族全員って事?」

「うん……」


 委員長の家は、両親と妹、そして委員長の四人家族で、父親は僕との結婚そして異世界での暮しに反対。


 母親は、異世界での暮らしについては容認してくれているそうですが、僕との結婚は反対。

 妹は、僕との結婚は良いけど、異世界暮らしに反対しているそうです。


「まぁ妹の反対は、気にしなくても良いんだけどね……」

「どういう事? 出来ればみんなに賛成してもらいたいんだけど……」

「妹は、私がヴォルザードに移住しちゃうと、両親の老後の世話を押し付けられそうだから反対してるだけだから」

「なるほど、でも、それも今は良いけど、将来的には切実な問題にならない?」

「うん、まぁそうなんだけどね」


 それにしても困りましたねぇ……まさか家族全員が反対とは思っていませんでした。


「家とは連絡を取っているんだよね?」

「うん、お母さんとは……でも、前みたいに上手く話せていないかなぁ……」

「結婚に反対している理由って、やっぱり四人もお嫁さんがいるからだよね?」

「うん……そうなんだけどね……」


 なんだか委員長には、まだ話せていない事がありそうです、


「もしかして、僕の両親の事かな?」

「うん……ごめんなさい」

「ううん、唯香が謝る事じゃないよ。実際に起こった事だからね」


 委員長の両親が結婚に反対している理由は、四人も嫁が居る事に加えて、僕の両親が起こした事件が原因のようです。


「健人と結婚しても、いずれ他の女性に心を奪われて、私が捨てられると思っているみたい」

「そっか……」


 僕の父さんは、別の女性に心を奪われたと言うよりも、最初から母さんに愛情を感じていなかった、ちょっと特殊な状況なんだけど、それは日本のマスコミでは報道されていないようです。


 両親の事件は、単純に父さんの浮気に逆上した母さんが起こしたと思われているので、僕も浮気をするだろうと思われているのでしょうね。

 委員長に父さんの事を話そうか、少し迷ってしまいました。


「健人? ごめん、やっぱり御両親の事は言われたくないよね」

「うーん……と言うか、うん、やっぱり話しておくね」


 迷いましたが、父さんからの手紙の内容を委員長に伝える事にします。

 少し話が長くなりそうなので、影収納から箱と毛布を取り出して、宿舎の壁に寄り掛かりながら話しました。


 一緒に毛布に包まった時には、ニコニコしていた委員長でしたが、話が進むほどにポロポロと涙を溢れさせました。


「そんなの酷い……酷過ぎるよ。健人はもっと怒らなきゃ駄目だよ」

「うん、そうなのかもしれないけど、父さんからの手紙を読んだ時に、妙に納得しちゃって、あぁ、やっぱりか……って感じの方が大きかったんだ。それに、クラウスさんやドノバンさん、靴屋のマルセルさん、リーブル農園のブルーノさんみたいに、父親やお爺ちゃんみたいな人と知り合えたから、今はとっても幸せなんだ」

「健人は強いね。私だったら耐えられないと思う」

「僕は実の父親とは良い関係を築けなかったけど、これから知り合う人たちとは出来るだけ良い関係を築いていきたいと思ってる。勿論、唯香のご両親もそうだよ」

「でも、うちのお父さん、結構頑固だから……」

「それでも、僕が唯香を選んで、唯香も僕を選んでくれたのだから、キチンと向き合わないと駄目だよね。あっ、そうだ……これはまだ確実な話じゃないんだけど……」


 委員長に魔法陣を使った魔法と、人が使う魔法の関係を話し、もしかすると全属性を手に入れれば、召喚魔法が使えるようになるかもしれないと伝えました。


「それって、こっちに居る人を日本から召喚出来るかもしれない……って事なの?」

「うーん……まだ分からないけど、そうなれば良いなぁ……とは思ってる」

「それが出来るようになれば、私も光属性の魔法を手放さなくても日本に戻れるのかな?」

「それも、実験してみないと何とも言えないかな」

「そっか、でも不確定な事で話は出来ないよね」

「そうだね。現状では、唯香は日本に戻れないという前提で話をしてもらうしかないかな。家族を呼ぶ事は何時でも可能だからね」

「そっか、お父さん達を呼ぶ事は出来るんだよね。そっか、そっか……」

「唯香?」

「うん、ちょっと両親と話をしてみるよ。場合によっては、健人に迎えに行ってもらうかもしれないけど、大丈夫かな?」

「それは大丈夫だけど、魔力付与の方法だけは説明しておいてね」

「分かった、じゃあ、健人を両親に紹介するのは、もう少し話をしてからで良い?」

「うん、唯香にばかり負担を掛けてゴメンね」

「そんなの気にしなくていいよ。私達二人のためなんだから」

「うん、そうだね。ありがとう唯香」

「健人……」


 委員長をギュっと抱き締めました。

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