第171話 ギルドの夜更け
ヴォルザードに戻ると、日はとっくに沈み、夜も更けていこうかという時間になっていました。
梶川さんと話し込んでいて、日本とヴォルザードの時差が広がっている事を、すっかり忘れていました。
グリフォンが討伐されたので、まだ街中にはお祭騒ぎの余韻が残っていますが、ギルドの職員スペースは静まり返り、ペンを走らせる音が聞えるほどです。
こんな時間にペンを使っている人なんて、セルフブラック企業の代表取締役、ドノバンさんしかいませんよね。
グリフォン騒ぎで、通常の業務は減っているのかもしれませんが、それにも増して討伐関連の書類が増えているのでしょう。
ドノバンさんの机の上には、良くぞ崩れないものだと感心するほど、書類が山になっています。
ちょっと声を掛けるのを躊躇ってしまいますが、鉄筋の搬入には鑑定担当のテベスさんが立ち会うと聞きましたので、明日の持ち込みにするべきか聞いておいた方が良いですよね。
「こんばんは、ドノバンさん」
「ケントか、こんな時間にどうした?」
「はい、久々に日本に戻ったので、色々と話し込んでいるうちに、時差が広がっているのを忘れてました」
影から出ながら事情を話すと、ドノバンさんは渋い笑みを浮かべました。
「ふふっ、そんなに遅くまで仕事がしたいなら、いくらでも仕事を回してやるぞ」
「と、とんでもないです。丁重にお断りいたします」
「ふん、まぁいい、鉄の受け入れの件だな?」
「はい、明日にした方が良いですよね?」
「お前が預かっておく事は可能なのか?」
「はい、それは問題ありません」
「そうか、ならば明後日にしろ」
「えっ、明日じゃないんですか?」
「お前は、俺に休日まで働けと言うつもりか?」
「えっ……あっ、明日は安息の曜日か」
「そうだ、お前も少しは休めよ」
「そうですよねぇ……こっちの一週間は日本の一週間と違うし、下宿先のアマンダさんの店は安息の曜日も営業するし、どうも感覚がズレちゃうんですよね」
「お前は、少しばかり働き過ぎだな。まぁ、ちょっとそこに座れ、茶の一杯も飲ませてやる」
「はぁ……」
僕よりも働き過ぎの人に言われても、まるで説得力がありませんし、お茶も自分が飲みたかっただけのような気もしますが、大人しくご馳走になっておきましょう。
ドノバンさんは、机の脇に置いてある魔道具のポットを使ってお湯を沸かしながら、また書類の山へ取り掛かりました。
「ケント……」
「はい、何でしょう?」
「お前は、こちらの世界に来る以前に、何人ぐらいの人の死に立ち会った?」
「人の死……ですか?」
「そうだ、違う言い方をするなら、何人ぐらいの死体を目にしてきた?」
「日本に居た頃は、病気で亡くなった祖母だけですね」
「そうか……ニホンという国は、良い国のようだな」
「はい、事故や病気、災害で亡くなる方はいますが、僕が居た世界の中でも安全な国の一つです」
ドノバンさんは、書類を次々と捲りながら、僕の話にも耳を傾けて頷いています。
もしや、ドノバンさんは聖徳太子の生まれ変わりなんでしょうかね。
「ケント……」
「ひゃい、な、何でしょう……」
「何を驚いている」
「いえ、ちょっと別の事を考えていたので……」
「そうか……それで、こちらの世界に来てから、何人ぐらいの死体を目にしてきた?」
「えっと……正確な人数は分かりませんが、二十人以上かと……」
こうして改めて考えてみると、あまりにも数が違い過ぎますね。
ここ最近だけでも、田山に三田、グリフォンにやられた守備隊員と冒険者、そしてアルフォンス・リーゼンブルグ第一王子と、五人の遺体を目にしています。
「ケント、人の死には慣れたか?」
「どうなんでしょうね。自分では良く分かりませんが、損傷の酷い遺体でなければ、目にしても動揺する事は無くなっているようにも感じます」
「高ランクの冒険者が、他の者達よりも高額な報酬を手に出来るのは、独自の技能を持っている事と、死の危険性がある場所へ足を踏み入れる機会が多いからだ」
確かに低ランクの冒険者は、魔物が大量発生した時でも迎撃よりも避難を優先させられますし、サラマンダーやグリフォンが居るような場所に足を踏み入れる機会など無いでしょう。
逆に、高ランクの冒険者として、そうした場所に出向けば、必然的に人の死に遭遇する機会は増えていくでしょうね。
「他人の死に動揺して、正確な判断が出来なくなるような奴は、いずれ自分の命も落すことになる。お前がこの先もSランクの冒険者として活動を続けていくのであれば、他人の死を目にしても最低限の冷静さまで失わないように気を付けろ」
「それが、人の死に慣れろって事なのでしょうか?」
「そうだ。おっ、湯が沸いたようだな……」
書類を捲る手を止めて、ドノバンさんは、慎重な手付きでお茶を淹れ始めました。
それは、儀式でも執り行っているかのようで、もしかすると、ドノバンさんの気分転換には大切な時間なのかもしれませんね。
「グリフォンを仕留めてくれた礼に、取っておきだ」
「ありがとございます。んっ、これは……」
カップを口元に運んだだけで、果実のような甘い香りが漂います。
そして、口に含むと、今度はドッシリとした茶葉の味わいが、口の中に広がっていきます。
香りは清純派、味わいは演技派の大御所といった感じでしょうか。
「これは、何と言うか、言葉を失う味わいですね」
「ふふん、そうだろう、そうだろう、淹れた人間の腕も良いからな」
ドノバンさんに、凄みのある笑顔を向けられてしまったら、いいえ違いますよ……なんて言えませんよね。
ドノバンさんは、椅子に深く座り直し、悠々と茶の味わいを堪能しています。
この
暫しの間、茶の味わいに浸っていたドノバンさんが、話を戻しました。
「高ランクの冒険者は、死と隣り合わせの場に出向く事が多い。だから人の死を目にする機会も増えるのだが、命を落すのは、自分と関係の薄い人間とは限らんぞ」
「でも、僕の場合は一緒に行動するのは眷族ばかりですし……」
「今はそうだが、この先もそうなるとは限らんぞ。お前も年齢を重ね、経験を積んでいけば、他の冒険者を率いる立場になるだろう。お前の能力が図抜けているのは分かっているが、だからと言って、周りに居る者達を絶対に守りきれるとは限らん。現にグリフォンには攫われているしな」
「確かに三田を攫われましたが、それは避難の指示に従っていなかったから……」
「そうだ。その通りだが、これから先も、お前の予想外の行動をとる奴は出て来る。そして、そういう奴らは簡単に死んじまったりする」
「つまり、自分と親しい人間の死にも慣れておけって事ですか?」
「まぁ、そういう事だが、そうした状況が慣れるほどに何度もあったら困るだろう。だから、親しい者が命を落すことがあっても、冷静さを失わないように覚悟は決めておけ」
「ドノバンさんが言ってる事は何となく分かりますけど、覚悟を決めておけるかどうかは……あまり自信が無いですね」
あまり仲が良くは無かった船山が死んだと聞いた時にも、かなり動揺しましたし、冷静さを欠いてラインハルトに制止されました。
あの時に較べれば、田山や三田が亡くなった時には、比較的冷静に行動できていたとは思います。
ですが、もっと親しい間柄の人、例えば、委員長やマノン、ベアトリーチェなどが殺されるような事態になったら、間違いなく激高して暴走するでしょう。
アマンダさんや、メイサちゃん、メリーヌさんでも、冷静さを保てる自信はありません。
「ドノバンさんは、どうやって覚悟を決めたんですか?」
「俺か? 俺は……失敗から学んだ」
「ドノバンさんでも失敗する事があるんですね」
「当たり前だ。俺がお前ぐらいの歳の頃は、今のギリクよりも調子に乗った小僧だったな」
初心者相手の戦闘講習でも参加者のチェックを怠らない、手抜きをしないドノバンさんが、犬っころより調子に乗っていたというのが上手くイメージ出来ませんね。
「当時、俺は学術都市バッケンハイムを拠点として、Cランクに上がったばかりの小僧だった。気のあった野郎二人とパーティーの真似事をして依頼をこなしていてな。そんな俺達に誘いを掛けてきたパーティーがあった……」
十七、八のドノバンさん達に声を掛けて来たのは、二十代後半の男性七人のパーティーだったそうです。
活きの良い若手は嫌いじゃねぇ……経験積みながら、少し上のランクの仕事を覗いてみろと言われて、そのパーティーと組んで依頼をこなす事になったそうです。
Aランク一名、Bランク四名、Cランク二名のパーティーだけに、当時のドノバンさん達では受けられない高いランクの依頼も引き受ける事が出来たそうです。
「依頼は郊外の集落に現れるオーガの討伐で、想定される数は四頭から八頭、Aランクの依頼だった。Cランクの俺らでは、誰かAランクの人間と組まない限り、受ける事すら出来ない依頼だ。オーガとやり合ってみたい気持ちが強かったし、二つ返事で了承した」
バッケンハイムから馬車で二日ほどの集落は、付近で度々目撃されているオーガの群れに神経を尖らせて、周囲に柵を築いて守りを固めていました。
ドノバンさん達は、若手の三人と、ベテランパーティーを分割した2チーム計3チームに分かれて集落の周辺を調査する事にしたそうです。
3チームに分かれても、必ず声が届き、姿の見える範囲で行動するように、くどい程に言い付けられていたそうです。
ですが、その指示はドノバンさん達を欺くためのものでした。
「襲って来たオーガは四頭、今の俺ならば一人でも何とかするだろうが、当時は一対一では勝ち目が無い状態だった。すぐにベテランの連中に声を掛けたが、なかなか助けに来てくれない。最初は、俺達に経験を積ませるためかとも思ったが、仲間が手傷を負って更に状況は悪くなっても、助けてくれる素振りすら見せなかった。その時になって、ようやく騙されて、囮に使われたのだと気付いたのさ」
後になって知ったそうですが、ベテラン連中は、自分達だけ魔物が嫌うという薬草の粉を振り撒いていたそうです。
有望な若手を囮に使うなんて、聞いているだけでも腹が立ってきますが、当時を思い出しているドノバンさんが浮かべたのは、怒りの表情ではなく相手の策略を見抜けなかった後悔の表情でした。
「恥も外聞も無く、ベテラン達の所へと逃げれば良かったのだろう。だが、仲間の一人がやられて、頭に血が上っちまって、逃げるという選択肢を考えられなくなった」
「でも、ドノバンさんが、ここに居るって事は、助かったって事ですよね?」
「そうだ。二人目の仲間もやられ、俺がやられるのも時間の問題だった。そこに偶然通りかかった一人の冒険者が、それこそ魔法みたいな剣さばきでオーガ四頭を瞬殺してくれたのさ。それが当時Sランク冒険者として名をはせていた、今はマスター・レーゼの護衛をしているラウさんだった」
ラウさんの剣が閃く度に、オーガの腕が宙に舞い、首が地面に転がったそうです。
てかさ、ラウさんってSランクの冒険者だったの? そういう事は会った時に言っておいてほしいよね。
ラウさんは、襲い掛って来た七人の冒険者も返り討ち、ただし、殺したのではなく、足の腱を斬り、逃走出来ない状態にしたのだそうです。
ドノバンさんも手傷を負って、フラフラの状態でしたが、自分達を騙した冒険者に斬り掛かろうとして、ラウさんに殴られて強制的に止められたそうです。
「冒険者ってのは、全てを自分で背負う商売だ。例え騙されたとしても、オーガ相手に対処出来なかったのは、自分達が未熟だったからだと言われてな、返す言葉が無かった。俺は、あの時の失敗から、親しい者が倒れたとしても冷静さを失ってはならないと学んだ。一人目の仲間が倒れた時ならば、まだ逃げられる可能性があったし、もう一人の仲間まで失わなくて済んだかもしれんからな」
ラウさんは、ベテラン冒険者達からギルドのカードを回収して、ドノバンさんを担いで集落まで戻ったそうです。
ギルドのカードを回収したのは、経緯を報告して処分してもらうためだそうで、一対七で主張し合おうとも、Sランク冒険者の発言力は大きく、七人の言い分が通る事はありません。
その後、七人がどうなったかドノバンさんも知らないそうですが、ギルド経由で仕事を受けるには、処分を受け入れる必要があり、処分を回避するには、またFランクから登録するしかありません。
「でも、Fランクからやり直せば何の処分も無しとか、ちょっと変じゃないですか?」
「よく考えてみろ、二十代の後半にもなってFランクの冒険者など、その歳まで働かずにグウタラしていた奴か、処分を免れるために新規登録をした奴ぐらいのものだぞ」
「なるほど……過去に何かをやらかした者ですって、自分で言ってるようなものですね」
「そういう事だ」
その後、ドノバンさんは、ストーカーのごとくラウさんに付きまとい、冒険者としての心構えなど、色々な事を学ばせてもらったそうです。
僕にとっては今この時こそが、冒険者としての学びの時なんでしょうね。
「ケント、これからも冒険者として活動していくならば、人の死には慣れておく必要があるが、無関心にはなるなよ」
「無関心……ですか?」
「そうだ。慣れるのと無関心になるのは、似ているようだが違う」
確かに違いがあるのでしょうが、どう違うのだと問われれば、上手く答える自信がありません。
「お前が、こちらの世界に来てから見た二十人以上の死者のうち、普段から親交のあった者は何人居た?」
「仲は良くはなかったけど、顔見知りだった人が二人居るぐらいです」
「繋がりが薄い者は、目の前で死なれればショックは受けるだろうが、それでも親しくしていた者とは違って、比較的容易に切り替えも出来るはずだ」
「そう言われれば、確かにそうですね」
「だがなケント。お前とは親しくなくても、そいつらにだって家族や友人、知人は必ず居るもんだ。そういう者から見れば、そいつの死は一大事なんだぞ」
「そうなんでしょうね」
言われている事は、その通りだと思うのですが、今ひとつピンと来ません。
「それだ、ケント。その、自分には関係ありませんよね……とでも言いたいような口調だ」
「えっ……?」
「親しい者を亡くした場合、人は大きな喪失感に囚われる。そして、周囲にも同調して欲しいと考えるものだ。そこへ自分は関係ない……と言わんばかりの言葉を聞かされれば、なんだこいつ……という反発心が湧いて来るものだ」
「それって、遺族の気持ちに寄り添えって事ですよね?」
「そうだ。何か思いあたる節がありそうだな」
確かに、船山が死んだ時には、遺体の痕跡を探しにまで行きましたが、三田の時には最初から諦めてしまっていた気がします。
高城さんに、どうして遺族の気持ちに寄り添えないんだと言われた時にも、反発心しか湧いてきませんでした。
まぁ、あれは高城さんのキャラも邪魔してたんでしょうけどね。
あの時の経緯を話してみると、ドノバンさんは何度か頷きながら聞き終えた後で、答えてくれました。
「そうだな、あまり賢い対応ではなかったな。ランクが上がって物事の中心的な役割を果たすようになると、色々と要求してくる者が増えてくる。当然、全員の要求を満たしてやれないし、現に、その遺留品探しも断わっているだろう」
「そうですね。だったら、対応としては間違ってなかったのでは?」
「いや、無用な対立をしたんじゃないのか。そもそも遺留品の件は、お前が判断出来る事じゃないのだから、聞いておきますが、希望が通るかどうかは分かりません……ぐらいの話をしておけば良かったんだ」
「でも、そんな余計な事を頼んでしまっては……」
「別に大丈夫だったじゃないか。お前は十分働いてるんだ、その手の面倒な判断はクラウスさんに丸投げしてしまえ。義理の父親になるんだ、遠慮せずに扱き使えば良いだろう」
そういって、ドノバンさんはニヤリと笑ってみせました。
うん、勉強になるよね。
「でも、相手に関心を持つと、亡くなった時には色々と考えてしまいそうだし、そうなると冷静でいられなくなりそうだし、何だかバランスが難しいですよね」
「バランスと言うよりも、切り替えだな」
「切り替えですか?」
「そうだ、少なくとも戦闘中には誰が死んでも動揺するな。上に立つものの動揺は、他の者まで危険に晒す。そして、身の安全が確保されたならば、死んでいった者達を悼む気持ちを忘れるな」
「なるほど……」
ドノバンさんの言葉には、経験で裏打ちされた重さが感じられます。
言われてみれば、グリフォンを討伐した喜びに浸りきってしまって、三田の家族や友人を思いやる気持ちに欠けていたのかもしれません。
「ケント、お前は、かなり歪な状態だ」
「歪……ですか?」
「そうだ、歪だ。能力値と経験値が釣り合っていない。圧倒的に経験不足だ」
「そう、ですね。確かに、持っている能力に見合うだけの経験は無いですね」
「俺は、ギルドという組織に属している以上、ギルドの決め事に従って行動しなければならん。だからこそ、お前をSランクに推挙したのだが……正直に言えば、Sランクになるには早すぎると思っている」
「でも、もうSランクになっちゃってますよね」
「そうだな。だが、まだSランクとしての指名依頼は来ていない。グリフォンの騒動もあって、マスター・レーゼがヴォルザードに留まっているという事情もあるが、それも直に無くなるだろう」
「レーゼさんがバッケンハイムに戻ったら、僕にも指名依頼が来るかもしれないって事ですか?」
「まあ、今すぐではないだろうが、来ないという保証も無い。だったら来た時に備えておく必要があるだろう」
正直、同級生の帰還も進めないといけませんし、リーゼンブルグのゴタゴタも解決してませんし、個人的にはセラフィマの輿入れやら家探しもあって、他の街からの依頼なんて考えている余裕はありませんね。
「お前の所属は、ヴォルザードになっているから、他の街からの指名依頼には領主の承諾が必要になる。だが、他の街のSランク冒険者に指名依頼を出すという事は、それなりの事情があるのだから、殆どの場合には承諾するしかないのが実情だ。依頼の内容は、俺の所にも知らされるから、何らかのアドバイスは出来るだろうが、大きな組織の中心になる事も考えておけ」
「えぇぇ……そんな事を急に言われても……」
「そうならないように、今言ってるのだろうが」
「そうですよねぇ……」
「まぁ、お前の場合には、ラインハルトが側に付いているのだから、判断に迷うなら助言を求めるようにしろ」
「あっ、そうですよね。ラインハルトは騎士団の分団長だったんですから、その手の事はお手のものですよね」
意識を向けると、影の中で話を聞いていたラインハルトが、念話で話し掛けて来ました。
『ぶははは、たしかに集団を動かす事には慣れていますが、だからと言って頼りきりでは困りますぞ』
『ま、まぁ、そこは頑張ってみるよ……』
あまり長居をすると、ドノバンさんのサービス残業が更に伸びそうなので、そろそろお暇する事にします。
カップに少し残っていたお茶を飲み干して、席を立ちました。
「どうも、ご馳走様でした。今後の事は、ゆっくり考えてみます」
「そうだな。だが、明日ぐらいは仕事の事は考えず、ゆっくりとしておけ」
「はい、そうさせていただきます。じゃあ、お休みなさい」
「あぁ、お休み……」
闇の盾を潜る時、チラッと振り向くと、ドノバンさんは腕組みしたまま見送ってくれていました。
クラウスさんは、ベアトリーチェと結婚すれば義理の父親になりますし、ドノバンさんも兄貴分というよりも、厳格な父親という感じです。
実の父親とは上手く行かなかった僕ですが、ヴォルザードでは良い父親に恵まれていますね。
さてさて、明日の休日は何をして過ごしましょうかね。
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