第78話 人生の先達
朝食をご馳走になった後、クラウスさんの御屋敷を出て下宿へと戻りました。
アマンダさんに一泊した経緯を話すと、飲み過ぎだと怒られちゃいました。
部屋に戻り、よそ行きの服を脱いで、水浴びをしてから普段着に着替えました。
「ラインハルト……」
『なんですかな、ケント様』
「貴族の人達って、みんな、あんな風に覚悟を決めて生きてるのかな?」
『我々が生きていた頃にも、色々な貴族がおりましたが、貴族としての誇りを持って生きている者達は、あのような覚悟を決めておりましたな』
「そうなんだ……」
『ですが、全ての者という訳ではありませんぞ、中には貴族としての地位を笠に着るだけで、覚悟も思いやりの欠片も無い者もおりました』
ベアトリーチェには、治療の時に恥かしい思いをした腹いせに、僕をからかっているのだと思い込んでいました。
それが、あんな覚悟を決めて、その上、僕に好意を抱いてくれていたなんて、思ってもいませんでした。
街の利益のためには、愛する娘さえも利用するようなやり方に反発を覚えましたが、よく話を聞けば、覚悟が決まっていないのは自分の方だと思い知らされてしまいました。
『ケント様は、元の世界に戻れるとしたら、どうなさるおつもりですかな?』
「うん……こちらの世界に残ろうかと思い始めてる」
『元の世界には、ご家族もいらっしゃるのでは?』
「うん……一応ね……でも、あんまり仲は良くないんだ……」
『さようですか……』
父さんは大きな会社の重役で、愛人がいるらしくて、殆ど家には帰ってきません。
母さんは、ギャンブルと買い物依存症で、やっぱり殆ど家に居ません。
父方のお婆ちゃんが僕を育ててくれていましたが、昨年ガンで他界しました。
末期のガンで苦しむお婆ちゃんに元気になってもらいたいという気持ちと、苦しまずに安らかに逝ってほしいという複雑な思いをずっと抱えていました。
こちらの世界に召喚された時、居眠りをしながらお婆ちゃんの夢を見ていた気がします。
僕が癒しの光属性と、死を司る闇属性の両方を手に入れたのは、もしかしたらそのせいなのかもしれません。
「僕がヴォルザードに残るとしたら、委員長は選べないよね」
『一緒に残ってくれと言えば、よろしいのでは?』
「それは委員長に家族を捨てろって言うのと同じだし……」
『では、聖女殿と一緒に元の世界に戻られますか?』
「日本に戻ったら、魔術が使えるかどうかも分からないし、使えなかったら僕はただのポンコツで、委員長とは釣り合わなくなっちゃうよ。それに、ヴォルザードで僕は必要とされているから……」
『では、マノン嬢かベアトリーチェ嬢、もしくはお二人を選んでヴォルザードに残られますか?』
「うーん……」
そもそも、これまで女の子に見向きもされなかった僕が、逆に選ぶ立場に居るのが信じられないんだよね。
『ところでケント様、リーブル農園のディーノ殿を訪ねられるのでは……?』
「あっ、そうだった、忘れるところだったよ」
委員長達については改めて、ちゃんと考えましょう。
階段を下りて仕込み中のアマンダさんに声を掛けて、リーブル農園を訪ねるます。
途中で雌鶏亭に寄って、クッキーを手土産にしました。
僕がヴォルザードに来た頃、たわわに実っていたリーブルの木も、今は葉を落として冬を越す準備に入り、農園は何だか寂しげな雰囲気です。
農園には、ディーノさん、ブルーノさん親子が並んで木を見上げ、何やら印を付けているようです。
「ディーノさん、ブルーノさん、こんにちは」
「おぉぉ! ケント、ケントじゃないか、良く来た、良く来たなぁ」
声を掛けると、ディーノさんが満面の笑みで迎えてくれました。
「すっかりご無沙汰しちゃって、すみません、あの、これ皆さんで召し上がって下さい」
「なんじゃ、手土産なんて水臭い、手ぶらで来い、手ぶらで」
「いやぁ……皆さんには、お世話になりましたから……」
「何を言うか、世話になったのはワシらの方じゃ、さぁさぁ家でゆっくりしていけ」
「はい、ありがとうございます。でも、お仕事中じゃなかったのですか?」
「あぁ……これはな、剪定する枝に印を付けておったのじゃよ」
「剪定……ですか?」
「うむ、来年の収穫を占う大事な仕事じゃぞ」
リーブルの木は、冬場の休眠状態の時に剪定作業を行って、弱った枝や余分な枝を切り落とすのだそうです。
「余分な枝、弱った枝があると、日当たりや生育が悪くなるんじゃ」
「そうなんですか……」
と言ったものの、どれが余分な枝なのか、どれが弱った枝なのか、サッパリ見分けが付きません。
「ほっほっほっ、それは長年の経験と勘というものじゃ」
ディーノさんが胸を張って見せると、息子のブルーノさんはお手上げだと両手を掲げてみせました。
「えっ、ブルーノさんにも分からないんですか?」
「いや、全くとは言わんが……親父には敵わんな……」
苦笑いを浮かべるブルーノさんは、それでもどこか自慢げに見えます。
「一昨年ぐらいまでは、まだまだ全然じゃったが、だいぶ分かってきたようじゃ、そろそろ任せても大丈夫じゃろう」
嬉しそうな笑顔を浮かべるディーノさんですが、こちらは少し寂しげにも見えます。
僕としては、ディーノさんにも元気で好きな仕事をしてもらいたいと思うのですが、やっぱり年齢的に難しいのかもしれません。
ディーノさんに連れられて母屋を尋ねると、奥さんのマイヤさんも満面の笑みで出迎えてくれました。
「まぁまぁ、ケントじゃないの、良く来たわね。さぁ上がって、ゆっくりしていって」
「はい、おじゃまします」
ディーノさんの腰も、マイヤさんの膝も、あれ以来痛みは出ていないそうで、二人とも若返ったみたいだと話してくれました。
「ところでケントよ、今日はどうしたんじゃ、何か用でもあったのか?」
「あっ、はい、実は昨日の夜、クラウスさんの御屋敷に招待されて、リーブルの新酒を飲ませていただいたんです」
「ほうほう、そうじゃったのか、どうじゃ今年の新酒は良い出来じゃったろう」
「はい、とても美味しかったです。ただ……」
僕が言葉を切ると、ディーノさんは心配そうな表情を浮かべました。
「ただ、何じゃ、何かおかしかったか?」
「いえ、初めて飲んだので、例年と比べてどうなのかとか、違いが分からなくて申し訳なかったです」
「ほっほっほっ、そうかそうか、初めて飲んだのでは違いが分からないのは当然じゃな」
「はい、でも新酒が出来るのに少しだけでも役に立ったのかと思うと、ちょっとジーンとしちゃいました」
「少しどころじゃないぞ、今年の収穫から仕込みが順調に終わったのは、ケントのマッサージあったからだ。本当に感謝しとるぞ、ありがとうなケント」
「えっ、いや……はい、どういたしまして」
ニコニコと笑うディーノさんに、面と向かってお礼を言われちゃうと照れますよね。
クラウスさんの御屋敷で、三年物や五年物、十年物のリーブル酒も飲ませてもらったと話すと、お酒が置いてある蔵へとディーノさんが案内してくれました。
収穫作業をしていた時には、別の蔵にある大きな樽へと絞り汁を運び込んでいただけで、こちらの蔵は外から眺めただけでした。
酒蔵は、頑丈な石造りの半地下構造になっていて、通気用の窓が幾つかあるだけです。
クラウスさんから、お前が酒を守ったなんて言われましたけど、この頑丈さだとゴブリン程度じゃ入ってこられそうもないですよね。
頑丈な扉を開けて中へ入ると、ひんやりとした空気の中に、樽の木の香りが漂っています。
「ケント、戸を閉めてくれるかな……」
ディーノさんは、灯りの魔道具を点けると、ゆっくりと蔵の中を案内してくれました。
「手前にあるものが新しいもの、奥に行くほどに古い酒になる」
樽に仕込んだ年の焼き印が押されていて、整然と並べられています。
まるで外の世界とは切り離された洞窟にいるようです。
「ここは、外に比べると温度の変化が緩やかになるようにしてある。ここで酒を眠らせて、じっくりと熟成させるんじゃよ」
「やっぱり、その年によって出来の良し悪しがあるんですか?」
「そうじゃな、天候の不順な年は、やはりリーブルの出来も良くなかったりする。実が大きく育たなかったり、甘味が足りなかったり……」
「リーブルの出来がお酒にも影響するんですね」
「そうじゃ、今年はリーブルが良い出来じゃったからな、きっと良い酒になるぞ」
ディーノさんは、一つ一つの樽を慈しむように眺め、蔵の奥へと足を運んでいきます。
「でも、それだとリーブルが不作の年のお酒は売れ残ったりしちゃうんじゃ……」
「そう思うじゃろ? じゃがな、リーブルが不作だったから酒の出来も悪いとは限らんのじゃよ」
「そうなんですか?」
「うむ、リーブルの甘味が足りないと思った年の酒が、三年、四年と寝かせるうちに独特の味わいを持つ酒に育ったりするのじゃよ」
「それは、新酒を飲めば大体の予想は出来るものなんですかね?」
「そうじゃな、ある程度までじゃな。五年を超えて寝かせた結果どうなるのかは、ワシにも良くは分からん。ほれ、人だって五年も経てば変わるもんじゃろう」
「そう言われればそうですね」
「じゃが、芯の部分は変わらずに残っていたりする。人も酒も面白いものじゃな……」
酒蔵から戻ると、マイヤさんがリーブルのケーキを焼いていてくれました。
「ケント、マイヤのケーキは絶品じゃぞ」
「ほほほ、全部食べちゃっても良いから、遠慮せずに食べてね」
「はい、いただきます……んーっ! 美味しい……」
「どうじゃ、絶品じゃろ?」
「はい、すっごく美味しいです」
「そう、お口に合ったみたいで嬉しいわ」
マイヤさんのケーキには、刻んだドライリーブルと数種のナッツが混ぜ込まれていて、味、香り、歯触りと文句の付け所がありません。
「これ、リーブル酒の香りですよね、もう口の中にふわぁって広がって……幸せです」
「ほっほっほっ、そうじゃろ、そうじゃろ、それはな二十年もののリーブル酒の香りじゃ」
ディーノさんが、戸棚の瓶から小さなグラスに琥珀色の液体を注いで出してくれました。
5メートル以上は離れていたのに、グラスに注いだ途端に芳醇な香りが漂ってきました。
「ほれ、これは二十五年物じゃ、飲んでみろ」
「ありがとうございます」
ヤバいです。グラスを口元に近づけただけで幸せな気分に浸ってしまいます。
口に含むと、リーブル酒の風呂に浸かっているような錯覚に陥るほどです。
樽の木の香り、リーブルの香り、深い味わい、アルコールの度数も高いはずなのに、ツンと尖ったところは何処にもなくて、じわぁっと温もりが広がっていきます。
「ディーノさん、これは駄目です」
「何じゃと、ワシの自慢の酒じゃぞ!」
「こんな凄いお酒飲んじゃったら、他のお酒が飲めなくなっちゃいますよ」
「ほっほっほっ、そうじゃろ、そうじゃろ、ほっほっほっ……」
このまま飲み続けたら、昨晩の二の舞になってしまうので、そのまま飲むのはこれだけにして、あとはお茶にちょっとだけ垂らして楽しむ事にしました。
ケーキも、僕だけ楽しんで話だけしか聞かせなかったら、メイサちゃんに怒られそうなので、お土産に少し包んでもらうようにお願いしました。
「ねぇケント、あなた、さっきクラウス様の御屋敷に招待されたって言ってたけど……」
「あっ、えっと、実はですね……」
こちらの農園で働いていたのは、ヴォルザードに来たばかりの頃で、ディーノさん達にも商隊の生き残りだと説明したままです。
なので、召喚されて来た事や、光属性と闇属性の魔術が使える事、眷属のみんなが活躍してくれたので、夕食に招待された事などを話しました。
「この前の極大発生は大丈夫でしたか? 被害とかありませんでしたか?」
「おぉ、何の被害も無かったぞ、ノンビリ骨休めしているようじゃったわい」
「本当ね、今は城壁があるから助かるわ」
「えっ、今はって……昔は無かったんですか?」
マイヤさんの言葉が気になって訊ねると、頷きながら教えてくれました。
「そうよ、私がお嫁に来た頃には、まだこの辺りは城壁の外だったのよ」
「そうなんですか? それじゃ魔物が出る事もあったんですか?」
「そうね、森と違って見通しが利くから、気を付けていれば大丈夫だったけど、オークやオーガが来た事もあったのよ」
「えぇぇ……そんな危ない場所だったんですか」
「ホント……結婚した頃は、騙された……って思って、泣いて暮らしてたわ」
マイヤさんが笑顔で視線を向けると、ディーノさんは肩を竦めてバツの悪そうな顔をしています。
「リーブル農園は、忙しいのは収穫期の時だけとか、お酒やドライフルーツの販売で儲かるんだとか……広い農園でノンビリ暮らせるのかと思ったら、とんでもなかったのよ」
「そりゃあ仕方ないじゃろう、上手く言いくるめないと、こんな所に嫁に来てくれる
ディーノさんやマイヤさんが若い頃は、まだ農園は城壁の外にあり、魔物が大量発生した時などは、家の中で警報が解除されるのをじっと待っていたんだそうです。
言われてみれば、この母屋も頑丈な石作りですし、他の建物も新しい作業場を除けば同じような造りになっています。
「ゴブリンの群れが居なくなるまで、三週間も閉じこもって過ごした事もあったのよ」
「あの時は、ブルーノがまだ生まれたばかりの頃じゃったからなぁ……」
「本当、おむつが乾かなくて、どうしようかと毎日そればかり気にしてたわ」
二人ともニコニコとしながら話してくれていますが、当時は僕が想像も出来ないほどに大変だったと思います。
「あの……騙されたって思って、離婚しようとか思わなかったんですか?」
「そうねぇ……ここに来たばかりの頃は、そう思った事もあったわ。でもね、うちの人が本当に一生懸命に働いているのを見ているうちに、そうした思いは無くなったわ」
ディーノさんは、農園の仕事をしながら、城壁工事にも度々参加して、一日でも早く自分の家族が安心して暮らせるように、それこそ年末年始しか休まずに働いていたそうです。
「城壁の建設はのぉ、ヴォルザードの発展の象徴であり、民衆の安心の拠り所なんじゃ、家族の為にも街の為にも働くのは当たり前じゃろう」
ここでお世話になっている頃も、腰痛が癒えてからのディーノさんの働き振りには驚かされました。
僕のお爺ちゃんぐらいの歳なのに、力も強いし、何より長年培った経験の差に圧倒されました。
大きく厚く、ゴツゴツした木彫りのような手が、働き者の勲章のように見えます。
「それじゃあ、今は騙されて良かったのですかね?」
「ほほほほ、そうね、その通りね。あなた、私を騙してくれてありがとうございます」
「ほっほっほっ、騙したことを感謝される日が来るとはのぉ……いや、感謝するのはワシの方じゃ、マイヤありがとう」
ニコニコと笑みを交わす二人は、本当に仲の良いご夫婦に見えます。
二人の間の絆は、長い間共に苦労をして、共に思いやって来たからこそのものなのでしょう。
僕も将来、こんな風に誰かと笑い合えるのでしょうか。
その為には、誰かの思いを断らないといけないのでしょうか。
「ケント……ケント……」
「えっ、あっ、はい……」
「どうしたの、何か悩みがあるのかい?」
「えっ、いえ……その……はい……」
「こんな爺と婆では、役に立てるか分からんが、話してみたらどうじゃ?」
「えっと……はい……」
ちょっと気恥ずかしかったのですが、委員長、マノン、ベアトリーチェの事をリーゼンブルグからの救出作戦や指名依頼での治療の件も含めて、ディーノさん達に相談してみました。
「あぁ、ケント、頑張ったね……良く頑張ったね」
話し終えたら、席を立ったマイヤさんに抱きしめられちゃいました。
「うむうむ、さすがはケントじゃ、良くやったのぉ」
「ありがとうございます。でも、無我夢中で走って来ただけで、何て言うかフラフラしっぱなしで流されちゃっているというか……」
「そうね、女性の私から見ると、ちょっと浮気っぽいわね」
「男のワシから見ると、羨まし……」
「あなた!」
「おほん……いや、何でもない……」
うん、ヴォルザードには恐妻家が多いみたいですね。
「ケント……」
「ひゃい、な、何でしょう」
「それで、あなたは、どの子が一番好きなの?」
「えっと……三人とも凄く可愛いし、性格も良いし、僕に好意を持ってくれているし……」
「決められないのね?」
「はい……」
「ふぅ……しょうのない子ねぇ……」
「はい……ごめんなさい」
マイヤさんにも呆れられちゃったみたいですけど、仕方ないですよね。
「ケント、ランズヘルト共和国では多妻が認められているのは知っているかしら?」
「はい、それは聞きました」
「そう、じゃあ三人ともと結ばれるという選択肢があるのは分かっているのね」
「はい、一応……」
「では、どうして多妻が認められているのか分かる?」
「えっ、どうして……ですか?」
動物の場合は、強い個体の遺伝子を残すためとか聞いた事があるけど、人間の場合はお金のある人のステータスのため?
「元々は、戦や魔物の討伐で命を落とす人が多かったからなのよ」
「それって、男の人の割合が少なかったって事ですか?」
「そう、未亡人になったり、恋人を亡くした人を友人や知人が娶って生活を支えたのだけど、今は違うわよね」
ヴォルザードは最果ての街と呼ばれ、魔の森のすぐ近くだし、ダンジョンで命を落とす人も少なくないとは聞きます。
それでも極端に男性の割合が少ないようには見えませんし、冒険者以外の仕事で生活している人も数多くいます。
「だから、昔のように多妻が奨励される事は無くなったし、複数のパートナーを持つと相応の苦労をするようにはなるわ」
確かに普通の人であれば経済的にも負担は大きくなるでしょうし、何よりも周りからの僻み妬みは当然あるでしょうね。
実際に、ナザリオから手出しされていますし、同級生の男子の怨嗟の視線にも晒されてますからね。
「やっぱり誰か一人を選んだ方が良いのですかね?」
「そうねぇ……女性の立場からすれば、それが望ましいと思うけど……人を好きになるのは理屈ではないわよね」
「どうすれば……」
「自分の気持ちに正直でいること、相手に対して誠実でいること、嘘をつかない、隠し事をしない、これは最低限守らないと駄目ね」
これまでは、誰かとキスしたりハグしても、出来るだけ隠そうとしてきたけど、お互いの存在を知った後は、それでは駄目なんだよね。
うっ……でも、今朝の出来事を委員長とマノンに報告するのは……
「ケント……何か隠し事をしているのね?」
「えぇぇ……どうして分かっちゃうんですか。い、いえ違うんです、まだ報告する機会が無いと言うか……」
「はぁ……その隠し事をちゃんと報告すること、それから三人のうちの二人は話し合いをしたんでしょ。残りの一人も加えて、ちゃんと話をして、自分の今の気持ちを伝えなさい」
「はい……そうですね、そうします」
そうですよね、どんなに話しにくくても、キチンと包み隠さず話さなければ、委員長やマノンの気持ちには応えられないですもんね。
それに、ベアトリーチェの覚悟に応えるためにも、もっともっと真剣に考えて、僕の気持ちをしっかりと伝えなければいけないと改めて思いました。
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