第71話 二つ名持ち
守備隊の宿舎を出てみると、ヴォルザードの街にはいつもの朝と変わらぬ風景が広がっていました。
この所は警報も頻繁に鳴っていましたし、今回は少々時間が長かったとは言っても街中には被害も無かったので、直ぐに日常生活に戻れたのでしょう。
下宿に戻る途中で、マルセルさんの店の再建現場へ通り掛かると、もうハーマンさん達が作業に掛かっていました。
驚いた事に、既に骨組みは8割ぐらい出来上がっているように見えます。
「おはようございます、ハーマンさん」
「おう、おはよう、ケント」
「凄いですねぇ、もうこんなに出来ちゃってるんですね」
「うちには腕の良い職人が揃ってるからな、まぁ、ざっとこんなもんだ」
ハーマンさんは現場で働く職人さん達を見ながら、少し自慢げに話してくれました。
作業の様子を見ていると、骨組みには釘とかは使っていないようです。
「ハーマンさん、骨組みは嵌め込みなんですか?」
「あぁそうだぜ、骨組みの基本となる長さは決まっていてな、そいつを組み合わせて作っていくんだ。周りの建物を見てみな、高さが揃ってるだろう」
「あっ、本当だ……高さに、幅もですか?」
「その通りだ。だから、骨格になる部分は、部材が一定だから現場では組むだけなんだよ」
「なるほど……」
例えるならば、組み立て式のスチールラックの建築版といった感じでしょうか。
一定の長さに切った木材の柱をジョイントで繋ぎ、柱や壁は土属性魔術を使って塗り固めるようです。
土属性の魔術を使えば一瞬で固まるのですから、鉄筋コンクリートよりも遥かに早く建てられるという訳ですね。
「凄いですねぇ、これは効率的ですね」
「そうだろ、まぁ内装の細かい部分とかは規格品だけじゃ無理だけどな」
きびきびとした動きの職人さんたちの働き振りをジックリと見ていたいと思いましたが、僕もやらなきゃいけない事があるんですよね。
ハーマンさんと分かれて、下宿へと戻りました。
アマンダさんの店では、いつものように営業するために仕込みが行われていて、良い匂いが漂っています。
「ただいま戻りました!」
厨房へ声を掛けると、アマンダさんとメリーヌさんが飛び出して来ました。
「あぁケント、無事に帰ってきたね、どこも怪我してないかい?」
「ケント、討伐に参加してたんだって、大丈夫だった?」
「はい、この通り、かすり傷一つありませんよ、大丈夫です」
「ありがとうよ、ケント、ヴォルザードを守ってくれて」
「いいえ、街を守ったのは、みんなの力があってこそで、僕だけの手柄じゃないですよ」
「そんな事言って、一人でサラマンダーを倒して来たんだろう?」
「えっ、どうしてそれを……」
「ムルトが教えてくれたんだよ」
「あぁ、なるほど……」
コボルトの仲間から情報が流れて来たのでしょうね。
「でもケント、一人でサラマンダーを倒しちゃうなんて、本当に凄いね」
「いや、メリーヌさん、今回はたまたまですよ、たまたま……」
「うーん……こんなに凄腕じゃあ、私もお嫁に貰ってもらおうかしら?」
「い、いや、それは困ると言いますか……」
「うふふふ、そうだよねぇ、ケントにはもう何人も候補が居るみたいだからねぇ……」
「いや、それは……その、まぁ……そうなんですが……」
それよりも、僕とメリーヌさんが結婚なんて事になったら、カルツさんに何て言ったら良いか分からなくなっちゃいますよ。
「ケント、お腹は空いてないかい?」
「はい、救出してきた同級生達と一緒に済ませて来ました」
「そうかい、それなら良いけど、食事はちゃんと食べないと駄目だからね」
「はい、お腹が空いている時には、ちゃんと言いますから、お願いしますね」
「あぁ、食事については任せておいで」
メイサちゃんは、いつも通りに授業があるらしく、もう登校したそうです。
無事な顔も見せたので、ギルドに向かうとしましょう。
街の中は、ほぼ平常通りの生活を取り戻したように見えましたが、やはり極大発生が終わったばかりとあって、ギルドの中は騒然とした雰囲気に包まれていました。
一晩中討伐に関わっていた冒険者も多かったせいか、ギルドに居る人の数はいつもよりも少ないのですが、あちこちで声高に語られているのは昨夜の話のようです。
良く考えてみると、僕も一度仮眠を取っただけで、救出作戦から極大発生の対応と働き詰めなんですよね。
それでも、あまり眠さを感じないのは、体が興奮状態にあるからなんでしょうね。
「おい、あれ……」
「あっ、魔物使い……」
「あいつが魔王だってよ……」
どこからか聞えた呟きは、あっと言う間にギルド中に広がっていって、周囲の視線が降り注いで来ました。
いやぁ……こういう時って、どうすれば良いんでしょうね。
とりあえずカウンターに行って、ドノバンさんが戻って来ているか聞いて、戻っていなかったら出直して来ましょう。
視線を意識し過ぎてギクシャクとカウンターに向かって歩きだしたのですが、直ぐに行く手を遮られました。
「おいチビ、お前、魔物使いとか呼ばれてるらしいな」
「はぁ、そうみたいですけど、僕が呼んでくれって頼んだ訳じゃないので、良くは分かりません」
誰だか知りませんけど、リドネルとギリクを足して2で割ったような感じの若い冒険者で、見た目では強そうには感じられませんね。
「けっ、お前みたいなチビが、二つ名なんか10年早ぇつーの」
「そう言われても、僕が名乗った訳でも、頼んだ訳でも無いので……」
「ふん、どうせ使役してる魔物が居なけりゃ何も出来ねぇんだろ? あんまりデカい面してんじゃねぇぞ」
「いや、デカい面って言われても……」
「はぁ? Fランクのくせに、ドノバンさんに取り入って、手柄立てさせて貰ってんだろ? 汚ぇ真似しやがってよ」
「いやぁ……取り入るって言うよりも、便利に使われてる感じなんですけどねぇ……」
「ホント、口の減らねぇチビだなぁ……ちょっと可愛がってやっから表に出ろ」
名前も知らない雑魚っぽい冒険者は、僕の返事も聞かずに訓練場の方へと歩いて行ってしまいます。
無視してカウンターに行ってしまおうかとも思ったのですが、余計な注目を浴びてしまっていますし、後々逃げたの何だのと言われるのも癪に障るので、訓練場へ行く事にしました。
移動を始めると、ギルドの中に居た人達もゾロゾロと訓練場へとついて来ます。
うーん……あんまり目立ちたくないんですど、もう無理なのかな。
てか、これ以上面倒を掛けられないようにした方が、良いのかもしれませんね。
「ミルト、ザーエ達を呼んで来ておいて」
「わふぅ、了解だよ、ご主人様」
先に出て行った雑魚っぽい冒険者は、訓練場の真ん中で首や肩を回して身体をほぐしています。
木剣とか防具とかは使わないのでしょうかね。
「おら、さっさと来いよ、ビビってんじゃねぇ……」
「はぁ……それで何をするんですか?」
「ははん、馬鹿め、訓練場でするのは訓練に決まってんだろう。冒険者の訓練だからな怪我は付き物だが、泣き言ぬかすんじゃねぇぞ」
「はぁ……」
わざとらしく指の関節をボキボキと鳴らしてみせてますが、劣化版のギリクって感じで全く怖くないんですよね。
訓練とか言っても、ただの喧嘩ですよね。
「準備はいいか、チビ。いくぜ、マナよ、マナよ、世を司りしマナよ、集え、集え、我が身に集いて駆け巡れ……」
雑魚っぽい冒険者が身体強化の詠唱を始めたので、周囲からはどよめきが起こりました。
まさか、魔術まで使うとは僕も思っていなかったのですが、かえって好都合です。
「巡れ、巡れ、マナよ駆け巡り、力となれ! うわっ、何だこりゃ!」
雑魚っぽい冒険者の首から下を包み込むようにして、闇の盾を展開しました。
「詠唱してましたから、魔術もありなんですよね? てか、僕は術士ですから駄目って言っても使いますけどね」
「て、手前、汚いぞ! 始める前から詠唱してやがったな!」
「いいえ、僕、詠唱しないんです」
「はぁ……?」
「ザーエ、出て来て……」
僕の横に新たに闇の盾を出して、そこからザーエ達を呼び出します。
「あっ、うぁぁぁ……」
「おぉぉ……例のリザードマンだぜ」
「マジで、あいつが魔物使いなんだ……」
「てか、詠唱無しで召喚しなかったか?」
身動きも侭ならない状態で五体のアンデッド・リザードマンに囲まれて、雑魚っぽい冒険者は歯の根も合わないほどに震えています。
「王よ、この汚らしい首を切り落せば良いのですか?」
「ザーエ、この程度に王から賜った武器を使うな」
「そうだ、引き千切れば済むだろう……」
「いや、指で弾けばもげるだろう……」
「いっそ握り潰してしまうか?」
別に頼んだ訳ではないのですが、僕の心境が伝わるのか、ザーエ達は牙を剥いて雑魚っぽい冒険者の頭の回りで相談を始めました。
「い、嫌だ……助けて、俺が悪かった、助けてくれ……」
「こう見えて結構忙しいんで、余計な面倒は掛けないでもらえますか?」
「わ、分かった、もう二度としないから助けて……」
先ほどまでの根拠の無い強気の態度は消え去り、泣きながら頼まれてしまえば仕方ないですよね。
「という事なんで……わざわざ来て貰ってありがとうね」
「いいえ、何時でも何なりとお申し付け下さい」
ザーエ達は、野次馬に見せ付けるように僕の前に整列し、ビシっと敬礼を決めてから闇の盾を通って戻って行きました。
「それは後で解除しますから、もう少しそこに居て下さい」
結局、名前も聞かなかった雑魚っぽい冒険者を訓練場に残して、ギルドの中へと戻ろうとすると、集まっていた野次馬の人垣が、ざぁっと割れて道が出来ました。
きょろきょろと見回すと、何だかみんな視線を逸らすんですよね。
ちょっとやり過ぎちゃいましたかね。
と思っていたら、人垣が割れた先に腕組みしたドノバンさんが姿を現しました。
「まったく、お前は何を遊んでるんだ……」
「うひぃ、すみません……何か絡まれちゃったもんで……」
「この程度の事でリザードマンまで呼び出すとは、鍛え方が足りん証拠だな」
「えぇぇ……鍛練は救出作戦が終わるまでじゃ……」
「言ったはずだぞ、鍛練に終わりなど無い。人間は一生学び、鍛え続けるものだと」
「確かに聞きましたけど……」
「ケント、お前には世話になってるからな……遠慮すんな」
「は、はい……」
おかしい、眷属も増えたし、同級生のみんなを救出し終えれば鍛練は終わると思ったのにぃぃぃ……。
「ほれ、サラマンダーの買い取りだろう? 俺も忙しいんだ、さっさとしろ……」
「はい……」
ドノバンさんに首根っこを掴まれて、訓練場の中央に逆戻りです。
さっきまで、ちょこっとだけ畏怖の眼差しで僕を見ていた野次馬の皆さんに、今度は苦笑いされちゃってますね。
あぁ、雑魚っぽいのは邪魔なんで、闇の盾を解除して退場願いましたよ。
「ほれ、あいつの横に並べろ……」
「はい、ザーエ、お願いできるかな?」
「勿論です、王よ」
闇の盾を大きく出して影の空間につなぐと、ザーエ達が昨晩倒した四頭のサラマンダーを次々に引き出して並べ始めました。
「おい、あれサラマンダーだろ、しかも二頭、いや、まだ居るのか……」
「ちょ……何だこれ、こんなの見たことねぇぞ」
「ヤベえ……魔物使い、ヤバ過ぎだろう……」
「てかよぉ……すんげぇ金額になんじゃねぇの?」
「ゴブリンの上位種の魔石もゴッソリ手に入れたって噂だぞ……」
そりゃあサラマンダーをゴロゴロ並べれば、注目はされますよね。
再びザーエ達が揃って敬礼すると、感嘆のどよめきが起こりました。
「よし、査定は後でやる。ちょっと付いて来い」
いやいや、首根っこ掴んでおいて、付いて来いもないと思うんですが……いえ、文句は無いですよ。
そのままカウンター裏の職員スペースに連行されたんですけど、この格好で『魔物使い』とか『魔王』って言われるのは、どうなんでしょうね。
職員の皆さんには見慣れた光景なのか、クスクス笑われちゃってます。
「ここに座って、ちょっと待ってろ」
ドノバンさんの執務机の脇に置かれた椅子に、ポイっと座らされました。
職員のお姉さんに僕を顎で示しながら、ドノバンさんは何か指示を与えています。
てか、ドノバンさんの机の上、書類が山になってるんですけど、これ全部目を通すんですかね。
指示を終えたドノバンさんは、魔道具の湯沸かし器でお湯を沸かし始めました。
「何だ、そんなに俺の書類を手伝いたいなら遠慮しなくていいぞ」
「と、と、とんでもない、丁重に辞退させていただきます」
「ふん、お前にやらせたら、余計に俺の仕事が増えそうだからな……」
ドノバンさんは、お湯が沸くのを待つ間にも高速で書類を捲ると、次々に決済のサインを入れていきます。
てか、ドノバンさんって、いつ休むんですかね。
書類の山を四分の一ほど片付けると、ドノバンさんは器用な手付きでお茶を淹れ始めました。
「昨夜はノンビリ茶を飲んでいる暇も無かったからな……ほれ……」
「あっ、ありがとうございます。うーん……いい香りですね」
「だろう……」
小さな子供なら泣き出しそうなドノバンさんの笑顔にも、だいぶ耐性が出来ましたよ。
「それで……僕に何か御用ですか?」
「まぁ、そう慌てるな……ゆっくり茶でも飲んでろ」
「はぁ……」
まぁ、ドノバンさんの淹れてくれるお茶は本当に美味しいので、断る理由も無いんですけどね。
なんだか腰を落ち着けてノンビリしちゃうと眠気が襲って来るんですよね。
うぅぅ……瞼が重いっす。
「ケント……」
「ひゃ、ひゃい……ね、寝てませんよ、起きてますよ」
「ふん、お前は働きすぎだ。俺の用事が済んだら、帰って寝ろ」
「はぁ……でもリーゼンブルグとの交渉の事も考えないといけませんし……」
「そんなトローンとした目をして何を言ってやがる、頭働いてねぇだろう」
「はぁ、まぁ……」
てか、ドノバンさん、お茶に眠り薬とか盛ってません?
などと思っていると、先ほど指示されていたお姉さんが戻って来ました。
「よし、ケント、ギルドのカードを出せ」
「えぇぇぇ……その机に座るのはちょっと……」
「馬鹿め、本気でそんな事を頼んだりしねぇから大人しくカードを出せ」
「はぁ……僕は今のままでも良いんですけど……」
「こんな短期間に、サラマンダーをゴロゴロ仕留めて来る奴がBランクでいられる訳ねぇだろう」
渋々カードを出すと、替わりに大きくAと刻まれたカードを渡されました。
「うーん……別に上がらなくても良いんですけどねぇ……」
「ふははは、こんなにAランクに上がるのを喜ばねぇ奴は見た事がねぇぞ」
「と言うか、ランクが上がって何か良い事あるんですか?」
「当たり前だ。Aランクでしか受けられない高額な依頼を受けられるし、どこの街のギルドに行っても優遇されるぞ」
「と言うか、僕がこのカードを持って行っても信じてもらえないような……」
「ふははは、そいつは否定出来んな」
いや、職員の皆さんまで一緒に笑うって、酷くないですか。
「と言うか、ケント、そいつは一時的な繋ぎだからな」
「へっ? 繋ぎですか……?」
「そうだ。今回の極大発生の報告書を上げれば、もう一ランクアップだ」
「えぇぇぇ……それって、Sランクって事ですか?」
「そうだ、悪いが実績を偽って報告書を作る事は出来ん。サラマンダーを単独で四頭も倒す腕前はAランクでも収まらんって事だ」
こっちの世界に来る前でしたら、Sランクの冒険者なんて妄想の中で憧れる存在でしたけど、実際には面倒事が増えるだけにしか思えないんだよね。
「えっと……Sランクの特典とかデメリットとかは?」
「ふふん、まぁ楽しみにしておけ」
「はぁ……分かりました」
「俺の用事は終わりだ、寄り道しないで、さっさと帰って寝ろよ」
「はーい……」
何だかドッと疲れた出た気がして、ドノバンさんの言う通りに下宿に戻って休む事にしました。
カウンターの中に居たオットーさんに挨拶して、さぁ帰ろうと思っていたら、ふわっと甘ったるい匂いが漂って来ました。
「ねぇ……君、魔物使いって呼ばれてるんでしょ?」
「ふぁ? えっ、えっと……そうみたいですけど……」
「昨日も活躍したんでしょ? お話聞かせてほしぃなぁ……」
「えっ? えぇぇ……?」
ぼーっと歩き始めたら、ぽっちゃりの領域をポーンと飛び出しちゃった、ビヤ樽のようなお姉さん2人に挟み込まれてしまいました。
甘ったるい香水の匂いは、化学兵器かと思ってしまいます。
「お話聞かせてくれるならぁ……お姉さん達も良いこと教えて、あ・げ・る……」
「ふぇぇ……えっと……」
「うふっ、可愛いぃ……大人の階段、上っちゃう?」
「えっと、えっと……」
色んなところにムチムチとした感触が当たって来るんですけど、それって胸じゃなくてお腹だよねぇ。
ヤバいです。パクっと食べられてしまいそうな気がします。
もう眠気なんか一気に吹き飛んで、背中が総毛立ってますよ。
「さぁ、行こっか?」
「うふっ……可愛がってあげるよぉ……」
「えっと、えっと……ちょ、ちょっとトイレに……お願いします」
「あらあら、しょうがないわねぇ……」
ビヤ樽みたいなお姉さん二人に連行されるようにして、トイレの前まで連れて行かれました。
「じゃあ、待ってるからねぇ……」
「うふっ、何なら手伝ってあげようか?」
「い、いえ、大丈夫です、ホント大丈夫ですから……」
何とかトイレに逃げ込んで、闇の盾を出して一気に影の世界へと逃げ込みました。
「うわっ、怖っ! 何あれ、無理無理、絶対無理!」
『ぶははは、ケント様、サラマンダーの時よりもピンチでしたな』
「もう笑い事じゃないよ、ラインハルト」
『ぶははは、ですがケント様、これからは富や名声を狙って色んな者が近付いて来ますぞ』
「はぁ……だから目立ちたくなかったのに……」
影の中から見ていたら、僕の戻りが遅いとみるやビヤ樽お姉さんはズカズカと男子トイレにも踏み入って来ました。
「ちっ、あのガキどこに行きやがった」
「あたいらの身体に溺れさせて、骨までしゃぶり尽くしてやろうと思ったのに」
うん、あれならオークの方が可愛く見えるよね。
「あぁ怖かったよぉ……もう、このまま下宿の部屋まで戻って寝ちゃうよ」
『そうですな、それが賢明でしょうな』
「ご主人様、うちも一緒に寝る」
「うちも、うちも、お腹撫でて」
「はいはい、帰ろうね……」
マルトとミルトと、留守番してるムルトも加えて、またギューっと挟まれて寝ましょうかね。
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