第46話 二度目の実戦
実戦が行われる朝、ラストック駐屯地の訓練場には、同級生達が整列させられていました。
実戦が行われるという情報を得てから駆けずり回り、今日のための準備を整え、今は訓練場の木陰から同級生達の様子を見守っています。
これからカミラの訓示と、実戦参加者の名前が読み上げられるようですが、同級生の中には薄ら笑いを浮かべている者が何人も見受けられます。
対する騎士達は、全員が長さ50センチぐらいの鞭を携えて、同級生達を睨み付けています。
訓練場にはピリピリとした空気が漂い、隷属の腕輪が無かったら、間違いなく乱闘に発展していたでしょう。
そんな張り詰めた空気の中で、同級生達を見下ろす台に上ったカミラは、どことなく精彩を欠いているように見えました。
これまで、カミラを見上げる同級生達の目には恐怖の色が浮かんでいましたが、今日はむしろ侮るような笑みを浮かべている者の方が多いぐらいです。
羞恥と憤りが混ざったような冴えない表情を浮かべていましたが、一度話し始めれば、やはりカミラはカミラでした。
「本日、魔の森で実戦形式の訓練を行う、参加者は五十名だ」
それまで薄ら笑いを浮かべていた同級生達の目が、驚愕で見開かれています。
全体の救出作戦が完了するまで、僕の存在をカミラ達に悟られる訳にはいかないので、実戦に関する情報は委員長止まりにしておいたからです。
「下らぬ噂を真に受けて、随分と増長しているらしいな。実戦がどれほどのものなのか、身を持ってその厳しさを味わうが良い!」
一部の女子は、パニックを起こして泣き出し、男子も誰が選ばれるのか戦々恐々といった様子です。
「静まれ! これから参加者の名前を読み上げる、呼ばれた者は速やかに前に出ろ!」
カミラに替わって台へと上がった騎士が声を張り上げると、同級生達は息を飲んで静まり返りました。
「シューイチ・タカヤマ!」
真っ先に、へなちょこ勇者の名前が読み上げられると、どよめきが起こりました。
重要視されているの鷹山が参加するならば大丈夫だという楽観的な意見と、鷹山が参加しなきゃいけないほど危険だという悲観論が入り混じっているようです。
フレッドとバステンが探りだした情報では、今回の実戦は綱紀粛正が目的で、参加者は全員生きて戻らせる予定のようです。
つまりは、少々危険な思いをさせて、怪我程度はさせてビビらせるが、死亡するような状況は作らない……というのがリーゼンブルグの考えのようです。
ですが、そんな事情は知る由も無いし、前回の実戦は5人全員が死亡という形になっているので、同級生達は全滅もあり得ると考えているようですね。
「大丈夫だ、僕がみんなを守るから、心配はいらないよ!」
へなちょこ勇者が宣言すると、女子から黄色い声が上がりました。
あんなに実戦参加を渋ってたくせに、出るとなったらこれかよ……ちょっとムカつきますね。
その後、残り49人の参加者が呼び出されて前に出ましたが、200分の50ですから4分の1が参加する計算になります。
この全員を救出出来れば、大きな前進だよね。
「ちょっと待って下さい、私も参加させて下さい!」
50人の中に名前の無かった委員長が、自ら手を上げて前へと出ようとしましたが、カミラが却下しました。
「駄目だ! 聖女、貴様はここに居残りだ」
「どうしてですか、なぜ参加させていただけないのですか?」
「決まっている、回復役が前線に出る事など有り得んからだ」
「そんな……私が一緒に行けば、怪我をしても直ぐに治療が……」
「前線は治療をする場ではない! それとも貴様には、何か攻撃の手段があると言うのか?」
「いえ、それは……」
「ふん、攻撃手段を持たぬ者が前線をうろつけば、それだけ仲間が危険に晒されるのだぞ、貴様は味方の足を引っ張りたいのか?」
ここまでカミラに言われてしまえば、委員長としても引き下がるしかありませんが、これ全部芝居なんですよねぇ。
参加を許可しないという情報は事前にキャッチし、委員長にも伝えてあります。
昨夜は、参加したいと拗ねる委員長を宥めるのが大変でした。
ぎゅっと抱きしめて、必ず迎えに来るから……なんて、どこかのへなちょこ勇者みたいな台詞まで口にしてしまって、今思い返しても顔が熱くなります。
えっ? チュってしたんだろうって? そ、それは秘密ですよ。
なので委員長は参加出来ないと分かっているのですが、逆に参加を公言しておきながら、抗議の声を上げなければ、かえって怪しまれますもんね。
『ケント様……聖女殿はなかなかの演技派ですな』
『うん、僕もそう思う』
もしかすると、こうした演技が委員長のストレス発散になってるのかもしれませんね。
選ばれた50人は、2台の馬車に乗り込んで、魔の森を目指します。
「鷹山も居るし、これだけの人数が居れば大丈夫だろ?」
「前回はオークの群れだっけ? また出ると思うか?」
「5、6人でフルボッコにすれば勝てんじゃねぇ?」
人数もさる事ながら、今回は5人で作るグループも、5グループで作る班の構成もリーゼンブルグが指定して来ました。
片方の班を率いる役目は、へなちょこ勇者の鷹山で、もう一方の班は、柔道部の近藤譲二が務めます。
近藤は、いわゆるイケメンではありませんし、寡黙なタイプなので女子受けは宜しくありませんが、責任感が強く、労を厭わないタイプなので騎士達の目にとまったのでしょう。
「ジョー、魔物が出たらどうすんだ?」
「なるべく術士が遠めから攻撃して、騎士タイプは術士を守る感じにしよう」
「弱らせてから、接近戦で一気に片を付けるって感じか?」
「いや、出来れば全部遠距離で終わらせない? 魔物の強さとか分からないし、俺らが想像しているより強かったらヤバいじゃん」
「それもそうか……じゃあ接近戦は最後の選択って感じ?」
「うん、そうだね」
近藤班は、あくまでも安全第一で動くようです。
一方のへなちょこ班は……
「大丈夫さ、魔物なんか僕の魔術の一撃で、ビビって逃げて行くよ」
うん、なんか思った通りの展開で、女子の殆どと男子の一部は、安心してるけど、男子の殆どと女子の一部は嫌そうな顔してますねぇ。
男子の殆どは、妬みやっかみの類いでしょうけど、女子の一部はそんなんで上手く行くのかという不安な思いのようです。
その女子の一部は、剣姫こと本宮さんと、同じく剣道部所属の相良さんのようです。
武道の世界に身を置いていたからこそ、危機感を感じているのかもしれませんね。
前回の実戦と同様に、魔の森の入口で馬車から降ろされ、ここから同級生達は徒歩、騎士たちは騎乗した状態で進むようです。
最初は、へなちょこ勇者率いる1斑が前を、近藤率いる2班が後に付いて進む体制をとりました。
同行する騎士は、全部で10名で、一応担当するグループが決まっているようです。
1班の陣形は、へなちょこ勇者が先頭を歩き、その後に女子が固まり、回りを野郎が固めています。
後に付く2班も、基本的には女子を中央で守る感じですが、男女問わず騎士タイプが周囲を固めているようです。
騎士達は、それぞれ担当するグループの後を進むようで、1班と2班の間に5人の騎士が、2班の後に残りの5人の騎士が騎乗した状態で進み始めました。
一行は、街道を30分ほど歩き、そこから右側の森へと踏み入って行きます。
このまま真っ直ぐ1時間ほど進み、そこで左向きに90度方向を変え、更に1時間進んだ所で左に方向転換し街道へと戻る予定のようです。
街道へと戻ったら、1班と2班が入れ替わり、2班が先頭で今度は街道左側の森を同じ様に歩いて元の場所まで戻るようです。
街道を進んでいた時は、ザワザワと私語を交わしていた者達も、森に入ってからは息さえも潜めています。
『ラインハルト、この辺りの魔物はどの程度なの?』
『そうですな、前回のようなオークの群れはむしろ例外、殆どがゴブリンかコボルト程度でしょう』
『1班25人ならば、対処出来る程度なのかな?』
『余程大きな群れにでも当たらない限りは大丈夫でしょう、この辺りならば、せいぜい15、6匹程度の群れでしょうから、問題ありますまい』
僕は、その半分の7匹の群れに食われかけたけど、25人が2班も居れば大丈夫だよね。
そして森に踏み入ってから30分ほど経った時、へなちょこ勇者の鷹山が右手を上げて行軍を止めました。
木立の向こうに固まっている、毛むくじゃらの姿があります。
『ケント様……コボルト、数は18……』
偵察したフレッドから報告からして、平均的なコボルトの群れのようです。
コボルトは狼男を4頭身にした感じで、遠目だとコミカルにも見えますが、近くで見れば爪や牙が鋭く、血走った目も気味が悪い完全な魔物です。
今回は、たまたま同級生達が風下にいたらしく、コボルトはまだ気付いていない様子ですね。
「みんなは、ここで待機して……」
鷹山は5歩ほど前に進むと、声高らかに詠唱を始めました。
「マナよ、マナよ、世を司りしマナよ、集え、集え、我が手に集いて火となれ、踊れ、踊れ、火よ舞い踊り、火球となれ!」
いやいや、そんなにデカい声出したら気付かれるどころじゃないよね。
コボルトは一斉に顔を上げて、鷹山へと視線を向けます。
「うりゃぁぁぁぁぁ!」
それでも、鷹山の放った火球がコボルトの群れを直撃し、数匹のコボルトが火達磨になりながら吹き飛びました。
「ギャウゥゥゥン!」
「やったか?」
火球が炸裂し土煙が朦々と舞い、風に乗ってこちら側へと流れてきます。
鷹山が魔術を放った姿勢のまま土煙の向こう側を透かして見ていたら、土煙を突き抜けるようにして生き残ったコボルトが襲い掛かってきました。
「ガァウァァァ!」
コボルトは、魔物の中では雑魚扱いされていますが、それでも2本足で立てば1メートル以上の大きさがあり、4つ足での疾走はかなりの速度です。
つまり危険度は、大型犬に襲われる以上です。
全速力で突っ走ってきたコボルトの迫力に圧倒されて、鷹山は立ち竦んでいます。
「やぁぁぁぁぁ!」
牙を剥くコボルトと鷹山の間に割って入ったのは、本山さんと相良さんでした。
本宮さんの剣先がコボルとの首筋を斬り裂き、相良さんの一撃は、もう一匹の胴を深々と斬り割りました。
「騎士は剣を抜いて応戦、術士は詠唱して! まだ来るわよ!」
尻餅を付いて座り込んだ鷹山の代わりに、本宮さんが指示を飛ばし、浮き足立ちかけた1班も落ち着きを取り戻しました。
仲間をやられた怒りに燃えてコボルトたちは次々に襲い掛かってきますが、2班からの援護射撃もあり1班は優位に戦闘を進めています。
「必ず複数で迎撃して、動かなくなっても不用意に近付かないで。 近付くならキッチリ止めを刺してからよ!」
鷹山は震える足で立ち上がったものの、詠唱の声が震えて発動に失敗しています。
てか、頭抱えてビビってる場合じゃないだろう。
辺りには濃密な血の臭いと、たんぱく質の焼け焦げた臭いが漂い、一気に森の空気が戦場に変わりました。
リーゼンブルグの騎士は、馬上で弓を構えて、一応援護の体勢は整えていますが、余程のピンチにならない限り、手出しはしないようです。
実質的な戦闘時間は、15分少々で終わり、数人の軽症者を出したものの、同級生達はコボルトの討伐をやり遂げました。
鷹山に突き刺さる視線が絶対零度の冷たさですね。
「死体を集めて、さっさと魔石を取り出せ、早くしろ!」
討伐をやり遂げた同級生達が、気を緩めようとする前に、騎士が指示を出して引き締めを図ります。
魔石の回収作業は、1班2班合同で行うようで、同級生達全員がコボルとの死体の回りに集まり始めました。
では、そろそろ救出作戦を始める事にしましょうかね。
騎士達は一箇所に集まり、馬の上から魔石の回収作業を進める同級生達を見下ろしています。
その視線の先、同級生達の20メートルほど先の地面から、フレッドがヌルリと表に出ました。
「おい、何だあのスケルトンは?」
「黒いスケルトンだと……特異個体か?」
「あいつ、何をする気だ?」
フレッドは天に向かって供物を捧げるように、両腕を腰の辺りから頭上高くへと差し上げました。
同じ動きを三回繰り返したら、今度は天から何かを受け取るように、ゆっくりと両手を下ろして来ると、手にした何かを両手の平で圧縮し始めます。
フレッドは、両手の中で圧縮を終えた何かを右の腰へと引き付けると、暫しのタメの後で騎士達に向かって突き出しました。
その動きを見て、同級生達はざわめき、騎士は警戒の声を上げました。
「何だ、気をつけろ! 何のつもりだ……?」
「分からん……いや、何だこの眠気は……」
「くそっ……何かの呪い……か……?」
勿論、呪いなんかじゃなくて、フレッドが両手を突き出したタイミングで、僕とラインハルト、バステンの三人で騎士達の胃袋に眠り薬を放り込んだのです。
今日の救出作戦のために、昨日ミューエルさんの師匠の店に行き、前回の丸薬3粒分の丸薬を作ってもらいました。
これなら1粒ずつ放り込めば良いので簡単です。
フレッドには、影に沈んで戻ってもらいました。
「くそっ……だ、めだ……」
「おいっ……俺も……」
騎士達は次々に眠り込み、馬から転落する者が相次ぎました。
その一方で、全く異常を感じていない同級生達は、突然の事態に動揺を隠せません。
「ねぇ、どうなってるの?」
「おい、騎士ども全員眠り込んでるみたいだぞ」
「てか、さっきのスケルトンの動きって『破魔弾』じゃねぇの?」
「でも、ビームは出てねぇぞ」
実は、フレッドの動きは、有名なヒーローアニメのキャラの動きなんです。
「でもこれって、逃げるチャンスじゃねぇの?」
「馬鹿、どこに逃げるのよ……」
騎士達が完全に眠り込んだのを確認して、影の世界から表へと出ました。
「みんな、お待たせ! 助けに来たよ!」
同級生達の視線が一斉に僕に向けられました。
うんうん、待たせてゴメンね、ここからは僕らのターンだよ。
「これから、森の向こう、ヴォルザードに逃げるよ、森の向こうは別の国だから安心してね。 それと、さっきの黒いスケルトンを含めて、3体のスケルトンが護衛に付くけど油断はしないでね。 色々と聞きたい事もあるだろうけど、とりあえず騎士達が起きる前に移動するよ」
ポンポンと手を叩きながら移動を促しましたが、みんな狐に化かされような顔をしていて今いち反応が悪いですね。
「貴方、国分君だったよね? 騎士を眠らせたのは貴方なの?」
「そうだけど、詳しい話は後にして、今は移動を……へぶぅ!」
ツカツカと近付いてきた本宮さんに、いきなりビンタを食らいました。
「何でよ、何でもっと早く助けに来てくれなかったのよ!」
「えっ、えぇぇ……?」
「そうよ、こんな事が出来るなら、もっと早く助けてくれれば良かったのに……」
「えっ……いや、でも……」
相良さんにも詰め寄られ、他のみんなからも不満の声が上がりました。
「何が、お待たせだよ……遅すぎだよ」
「そうだよ、一体何人死んだと思ってんだ」
「何モタモタしてたのよ!」
「こんな事が出来るなら、もっと早く助けに来れただろう!」
歓迎されるどころか、目を怒らせた同級生達に取り囲まれちゃいました。
みんなの中から鷹山がしゃしゃり出てきて、僕の襟首を掴んで締め上げました。
「お前のせいで、新田も古田も、小林さんも桜井さんも、八木も船山も、みんな死んじまったんだぞ!」
「そうよ、ともちゃんや、あっちゃんは戻って来ないのよ! 何とか言いなさいよ!」
本宮さんにも掴み掛かられちゃいましたよ。
「ちょ、待ってよ……新旧コンビと凸凹シスターズ、それとガセメガネの5人は、救出して、ヴォルザードでピンピンしてるよ」
「えっ……?」
僕の襟首を掴んだまま、鷹山と本宮さんは顔を見合わせています。
てか、離してくれませんかね。
「5人は死んだように偽装して、ヴォルザードに連れて行って、むこうで待ってるんだけど……」
「あっ……えっと……ご、ごめんなさい!」
「鷹山、いい加減に離してよ」
「うっ、あぁ……すまん……」
さっきまで僕を取り囲んで責め立てていた他のみんなも、バツの悪い表情を浮かべていますね。
まぁ、色々とストレスの溜まる環境に居たから仕方無いのかもしれないけど、ちょっと酷いよね。
「今回、みんなは謎のスケルトンに連れ去られたという形にして姿を消すからね、さぁ、移動するよ、騎士達が起きたら計画が台無しになるから急いで」
前回、八木達5人を連れ去った時には、偽装工作をしましたが、50人ともなると着替えの用意も出来ませんし、さすがに死体が一つも無い状況では誤魔化せないので、蒸発したようにして連れて行く事にしました。
50人が歩けば、当然足跡が残るので、一旦、元来た道を引き返し、街道を使ってヴォルザードを目指します。
眠り込んだ騎士は、馬と一緒に一箇所に纏めて、フレッドが監視兼護衛しておきます。
50人は、先ほどの隊列を維持して進み、街道に出た後の足跡の消去はバステンが担当します。
護衛はラインハルトだけになってしまいますが、今回は人数も多いので、大丈夫でしょう。
街道に出てヴォルザードを目指して歩きながら、一人ずつ隷属の腕輪を外しました。
「うぉぉ、俺は自由だ!」
「やったーっ、開放されたよ!」
「これで奴らに復讐出来るぞ!」
「てか、これから戻って、奴らぶち殺せば良くねぇ?」
まぁ、自由になれば当然そう思うんだろうね。
「駄目だよ、まだ他のみんなが人質になってるんだから、下手に戻れば奴隷に逆戻りかもよ」
「うっ……でもよぉ、これだけの人数が居れば……」
「そもそも、跳ね橋渡れないんじゃないの?」
「あぁ……そうか……」
魔の森とラストックを隔てる川に架けられた跳ね橋は、騎士達が通行する時以外は上げられた状態になっています。
騎士の姿が無く、同級生達だけで合図をしても、橋を降ろしてもらえるかは微妙です。
「他のみんなの救出も考えているから、とにかくヴォルザードまで行って、キッチリ作戦立ててから行こうよ」
「分かった……そうしよう」
ラストックで抑圧されてきたから同級生たちは、どことなく殺気立っている気がします。
今のままで救出作戦に参加させると、無闇に血が流れ、命が失われる事態になりそうな気がします。
ヴォルザードで御者の訓練をしながら、まともな生活をさせて、精神状態を安定させた方が良さそうですね。
『うーん……散財止む無しなのかなぁ……』
『ケント様、ギガウルフの代金も振り込まれておるでしょうし、財政的には大丈夫では?』
『うん、そうなんだけどね、働きもせずに散財していたら、ヴォルザードの人達から反感買わないかと思って』
『なるほど、ですが、商品を買って貰う側にとっては良いカモだと思いますぞ』
『そうか、そういう見方もあるのか……うーん……支給額だけ減らせば良いのかな?』
『それよりもケント様、少々雲行きが……』
まだ夕闇が迫るには早い時間ですが、厚い雲が広がり始め、辺りは薄暗さを増しているようです。
救出作戦の先行きにも、暗雲が広がっているように感じました。
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