第一話 獅子よ、目覚めよ

『第一次元天界に転生していただきます。ただし、生人界せいじんかいでの知識・経験・記憶の一部に、精神力を保有した状態での転生となります。貴方様の魂が入る肉体の種族は、鍛錬をすれば著しい成長が期待できる"鬼"となります。』


 確かに最近の死者の中で、私以上に鬼の適任者はいないかもな。記憶を持った状態なら尚更。

 次の次元で通じるかは別だが、癌で死ぬまで最新のトレーニングを取り入れて鍛えてた。前世での経験が、次の世界にも影響があるのか?どこに行こうが自分の出来ることをするだけだからあまり関係無い。


『わざわざここで丁寧に説明するということは、事情が有りそうですね。』


『ご明察。第一次元で乱世が続き、収束する目処もたっていないのです。このままでは次元自体が不安定となり、最悪消滅してしまいます。収束化させる軌道に乗せる為に選ばれたのが貴方様だったということです。』


 天国でも戦争ってあるのか。神々の争いなどなんか滑稽だな。


『もし消滅してしまったら?』


『第一次元天界は、天界と生人界を結ぶ関門のようなもの。そして(天界の)土台。天界人の約4割が住んでいます。第一次元の消滅は天界全体のかなりの痛手となります。』


『天界の次元は幾つありますか?』


『七つでございます。因みに生人界が一つ、地界が四つで全体では計12の階層となります。』


七分の一に全体の四割の人口?!w 確かにかなりの痛手だな。


『では、これを断ったら?』


『天界に入るか否かは、生人界での活動により"最上位天界人の意向"に関わらず決まります。転生後、運命と宿命はある程度きまっており、それを180°変えようとするのは容易ではありません。…』


私の個人的感情は関係ないってか。天国も実はあまり良いところでもなさそうだな


『…その代わりといっては何ですが、成功すれば天界の永住権が認められるとのことです。これは中位天界人以上でないと与えられないものです。』


『うーん。正直、貴方に色々言ってもしょうがないので受け入れます。最後にもう一つだけ教えて下さい。天界人のくらいってどうきまってますか?』


『先程、天界の階層は七つ有ると言いました。その上から順に4階層、最上位、上位、中位、低位。その下に第三・第ニ・第一次元が続いていきます。』


 ということはこの人もかなり選ばれた天界人なのか。私に波長を合わせてくれてるのかあまり凄さは感じないが。


『なるほど。ありがとうございました。私を転生して頂けますか?』


これから私の天界生活が始まるのだ。種族は鬼。異次元の強さを体感するのだ。


『では始めさせて頂きます。』


ギュイーン…キュイーン…キューン…クーン…


魂の波長が高次元に合っていく。

                 …続く

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