第7話・・・感謝・・・


海夢は、家にも戻ると、

自分の部屋で、今日買った服を着るなり、

鏡でポージングをとり、キメ顔をしていた、


〔ふっふっふ〜、、、、どうかな〜〜〜!

   意外と、俺ってばイケメンだったりして、〕

       〈どや〜〜〜!〉

すると、


〔うわー、、ナルシストがいるよ、、!〕


海夢は焦って、すぐさまポージングをやめると、

顔を赤くして動揺を隠すように、



「ち、違うこれは、、、、その、、、、」


「いや〜、いいって、いいって、似合ってるよ、

とてもね、!」


部屋のドアから髪の毛を濡らして、

首にタオルをかけて、とても綺麗な姿をした

シャウラが海夢を見て苦笑していた、


「何だシャウラか、ノックぐらいしてくれよ、

びっくりしたな、」


「ごめん、ごめん、、ついつい!、、」


「ついついって、まぁいいや、

     俺に何か用でもあったのか、、?」


「べ、つ、に、! ドアの隙間から、

海夢が嬉しそうに服を着てたから、

私達が選んだ服気に入ってくれてたのかなって!」


海夢は改まったように答えた、


「俺さ、容姿とか気にした事ないんだ、

服とかも安いジャージを着てたし、、、、!

だからもちろん、彼女なんてできた事もない、、」


「そのジャージって言うのはよくわからないけど、

ちゃんとに、おしゃれしてれば、モテそうなんだけどなぁ、、、」

〔ミラやララもまんざらでも無さそうだし、、、〕



海夢は、てきとうに受け流した、

「はい、はい、わかった、わかった、、、

          俺そろそろ寝るから!」


〈ぷーーーーん、〉

「お、や、す、み、!」

シャウラは、むくれてトゲトゲしい言葉でそう言うと、海夢の部屋を出て行った、



「はい、はい、!  おやすみ、、、」



すると、海夢は部屋の電気を消して布団に入った、


〔それにしても、異世界に来てから今日が1番平和だったな、、、それに服も買ってもらって、

明日から仕事頑張らないと!〕


海夢はそう自分に語りかけて、目を瞑った、、


ーーーーーーーー翌朝ーーーーーーーーー


海夢は顔を洗って一階のキッチン場に行った、


「おはようございます、、、」


「あーー、おはよう!」


そこには、1時間前から起きて、野菜を切っているデルさんの姿があった、

〈トントントントントントン、、、、!〉



「デルさん、朝早いですねぇ、!」


「海夢も早いじゃないか、まったくうちの娘どもはまだ起きてこないよ、!」


「そ、そのようですね、」


海夢は、苦笑いをした、


そうキッチン場にはまだデルさんの姿しか無かった


「悪いんだけど、朝食取る前に、ここにある野菜だけ全部切っちゃいたいんだけど、手伝って貰ってもいいかい、?」


「もちろんです、!」


海夢が元気よく答えると、デルさんもニコニコしながら、海夢にカゴに入った大量の野菜を渡した、

すると、手慣れた手つきで野菜を切って行った、


「やるねぇ〜、海夢!」


「まぁ、料理は少しだけ作っていたので、」

照れながらそう言う、


「そうだったね、!

 このスピードだったらすぐ終わりそうだよ、!」


デルさんは、嬉しそうに言った


〔ずっと思ってたけど、異世界なのに食材は俺の住んでいた世界と同じなんだな、

だって〈ネギ、ピーマン、きゅうりに、トマト、〉

あれこれは日本では、見たことない野菜だなぁ、

なんだろう、、、?〕


そうすると、海夢は見たことのない、丸っこい物を手に取った、


「あの〜、デルさん!

これなんて言うんですか.?」


するとデルさんが、優しく答えた、


「それはねぇ、ピートンって言うだよ、

確かに珍しい野菜だけど名前ぐらいは、聞いたこと

あるだろ、?」


「いえ、僕のいた世界には、ありませんでした、」


「そっかあんたちがう世界から来たんだっけねぇ」


「い、一応、はい、そうです、!」


するとデルさんは、ピートンを手に取り皮を剥いで

薄くスライスすると、海夢に渡した、


「はい!、これ食べてみな、」


「あ、ありがとうございます、」


海夢は、デルさんから受け取ると匂いを嗅いだ、

〔う〜ん、、、匂いはあまりしないけど、、〕

       〈パク、、〉

口に入れた、その瞬間ものすごい酸味が口の中全体に広がった、

「スッパーーーーーーーー」


目が飛び出す勢いでそう言うと、

デルさんがヘラヘラと笑った、

 〈はははははははぁ、、、〉


「ピートンは、口の中に入れて噛むとものすごい酸味が広がるのよ、

よく料理の隠し味などで使われたりするけど、

そのまま食べる人初めてみたよ、」


デルさんは笑いながらそう言った、


「も〜、先に行ってくださいよ、マジで、味覚壊れるかと思いましたよ、!」


   〈グチュ グチュ グチュ、、、ペッ!〉

海夢はうがいをして口をタオルで拭いた、


「ごめん、ごめん、つい、ね、」


〔全くこの人は〜〜、〕


こうして2人は再び野菜を切り始めた、


ーーーーーーーーーー10分後ーーーーーーーーーー


           ↓



「よいしょっと、、! 

  デルさん、こっちはもう終わりましたよ、」


海夢はカゴに入っていた全ての野菜を切り終えると〈ふーっ、〉っと息をついた、


「私ももう直ぐ終わるから、

 部屋で休んでていいわよ、朝ごはん作ったらみんな呼ぶから、!」


「わかりましたぁ、

  それでは少しだけ休んできますねぇ、、!」


そう言うと海夢は、手を洗って2階の部屋に行った


〔それにしてもデルさん、大変だよなぁ、

あんな朝から、食材の仕込み作業を1人でして、

みんなの朝ご飯まで、

あの三つ子は起きてくる気配ないし、、、

そう考えると、俺も親に迷惑かけたなぁ、、、

母さん、父さん今頃何してんだろ、俺がいなくなって心配してるよなぁ、〕


海夢は異世界に来てから初めて、

自分が居なくなってからの

もと居た世界の事を考え出した、


「いゃ、大丈夫、俺1人居なくなった所で、

            心配する人なんて、、」


だが不思議と海夢の目から涙が溢れていた、

それは、何もしないで生きていた海夢を見捨てないでいてくれた両親のことだ、

今まで、自暴自棄で周りを見てこなかったが、

この世界に来て、デルさんと出会って、

自分の親に対する〔気持ち、感情が、〕

心の中から湧き上がって来たのだ、


〔大丈夫、大丈夫だ、

いつかまた会ったら、しっかりお礼をして、

親孝行でもしてあげよう、〕


そう言うと海夢は涙を拭って、笑顔になった、

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