愛を取り戻せ

 瞬間接着剤を詰め込んだポンプ型噴射器。

 左右の腰に代替カートリッジ。

 噴霧した薬剤が目に入らないようにゴーグルをつける。

 この装備を持って、俺たちはケルナイとの幾度もの戦いを勝ち抜いてきた。

 そしてとうとう、今日が最後の日だ。

 目の前には、ケルナイの最後の一軍が立て籠る岩の砦がそびえている。

 俺は鬨の声をあげた。

 「行け! 噴霧開始だ!」

 人々は前進し、砦の中に瞬間接着剤を噴射する。

 五感をやられて砦から飛び出してくるケルナイたち。人々はそれをまた狙い撃ちにしていく。空を飛ぶ羽を持つケルナイは地に落ち、火を噴くケルナイは口を接着されて呼吸ができず悶絶する。

 こうして、俺が異世界から持ち込んだたった一つの武器、瞬間接着剤によって異形の悪はすべて滅び、異界の平和は保たれたのである。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る