戦いの準備

 しかし懸念はあった。この世界に、瞬間接着剤を作るための化学化合物なんてあるのだろうか。

 と大賢人に聞いたら、「ある」ということだった。いや、「ある」というか、じいさんがおれの説明を聞いて「作った」というのが本当のところであるのだが。

 このじいさんは、文字は書けないのだが、実は本当に頭の中の演算能力がスーパーコンピューター並みにすごく、あんなボロを着ていていい人ではなかったのである。あのコレガ山の麓に野営していたのも、天体の満ち欠けから、あの辺に俺が転生してくるのを計算していたそうだ。もし地球に行ったらじいさんノーベル賞千回もらえるよ。

 ということで、人々が暮らす他の町にも伝令が走り、人間たち全員での瞬間接着剤の大量生産が始まった。

 これをケルナイたちに噴霧すれば、動きは取れなくなり絶命する。もしかしたら銃とかの作り方を俺が知っていればよかったのかもしれないが、話を聞くに、ケルナイは生命力が高く、ちょっとやそっとの攻撃では倒せないらしい。

それならば、体の自由を奪ってしまう攻撃方法が適しているわけである。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る