町へ‥‥

 と、とうとう長い山脈の山裾を抜ける時が来た。

 視界の向こう、広大な草原の真ん中に、かなりの量の家々のかたまりが見えた。

 もうこの時には、俺はじいさんとかなりハイレベルな会話を交わせるようになってきていた。

 「じいさん、あれが町?」

 「そうだ」

 「女いる?」

 「人間の半分は女だ」

 「やっぱりそうなんだ。俺、この世界男しかいないとかだったら本気で出家しようかと思ってたよ」

 「僧侶になるには徳がいる」

 「徳って俺なんか徳の塊だよ。じいさんのてつだいしてさ」

 「お前を助けたのは誰だと思っているのだ」

 「いやマジじいさんにはスーパー感謝してる」

 そんなことを言いながら、俺たちは町に入ったのであった。

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