第12話 お風呂



 用意された風呂の扉を開くと、温かい湯気に包まれた。

 バスタブにお湯が張ってあって、タイル床には凹型のへこみの入った風呂椅子が置いてある。

 郁斗はもちろんそんな椅子を実際に目の当たりにしたことはなかった。が、怪しい大人のお店で使われる用具であることはネットの知識で知っていた。

 もう突っ込む気もせず、それに座る。

 しばらく待つ。

 ぎいと風呂の扉が開いて――

 翠が紺色のスクール水着姿で入ってきた。


 女性らしい滑らかな、それでいてエロさを感じさせる身体のライン。

 紺色の水着が、太ももから女性の部分を隠していて吸いつけられる。

 胸は水着の生地に抵抗するように形よく膨らんでいた。

 青色のブレザーと膝上のミニスカートという制服姿もとても似合っている翠だったが、その下には男を誘惑する蠱惑的な身体が隠されていたのだ。

 正直、身体だけならとても魅力的でいやらしい少女の身体だった。

 少し顔を横にして、


「どう? 私?」


 ちょっと恥ずかしいという顔色を見せてくる。


「今更恥ずかしがってどうすんだ?」


 郁斗は言ったが、翠の水着姿は男としてあらがい難い女の魅力を持っていた。


「恥ずかしいのは恥ずかしいのよ。でもいっぱい見て。あそことかあそことか」


「どっちなんだよっ!」


「いいから感想」


「……興奮は、する」


 翠が顔を前に戻して嬉しそうに笑った。


「うん。合格。私、脱ぐとすごかったんです」


 言ってから翠は残っていたもう一つの風呂椅子に座って、郁斗に背中を向けさせた。

 タオルにボディーソープを付けて、郁斗の背を洗い始める。


 気持ちはいい。

 というか、翠の手の感触、年頃の同じ年の女の子に洗われているのを思うと、興奮は抑えられない。


 頭の中で落ち着けと抑えてはいるが、身体は素直に反応してしまう。

 翠が手を動かしながら話しかけてきた。


「こうしていると……」


「こうしていると?」


「すごくドキドキしてきた。昨日の痴漢プレイから平常運転に戻るつもりでしたんだけど、逆効果だったかも」


 翠の息が少し荒くなっていた。


「郁斗もドキドキでしょ。いいのよ、私に襲いかかっても」


「しねーよっ! 変態は好みじゃないから理性で抑えるって」


「言いながら、身体は嫌がってないでしょ」


「仕方ねーだろ。生理反応だ」


「確かめてみたいんだけど」


「断る」


「ドキドキ」


「ドキドキじゃねーよっ! 俺も健康な男だからお前の様な変質者でも反応はするんだよっ!頭の中とかもうぐちゃぐちゃでどうしたらいいかわかんねーよっ!」


「欲望に素直になればいいのよ」


「俺は屈しないっ!」


「大丈夫。この椅子の穴をこう使えば……」


「やめろっ!」


 そんな会話をしながら。

 翠と郁斗のお風呂プレイ。

 わいわいとした時間が過ぎていった。




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