第9話 デート
その晩。
郁斗は自宅マンションの自室で思索にふけっていた。
変態で変質者で郁斗のパンツの匂いに興奮する翠。
その翠にも女の子の部分があって、年頃の少女並みにデートがしたいという。
初めてのデートだと言っていた。
真剣に相手をしなくては失礼だという思いが生まれていた。
ふと……想像してしまう。
明日、翠はどんな格好をしてくるのだろうか。
翠ならば白いワンピースなんかがよく似合うと思う。
対照的な長い黒髪も生えるだろう。
別格の美少女だ。
その美少女と、明日デートするのだ。
郁斗も女の子と付き合ったことはない。
が人並みに興味もあるし、エロい動画や写真も嫌いではない。
パソコンに気に入った画像のフォルダもちゃんとある。
でも実際に女の子とデートするとなって、こんなにも落ち着かない気分になることは予想していなかった。
何を着ていけばよいのか。
どう翠をエスコートすればいいのか。
映画館? 昼食は?
嫌悪していたはずの変質者少女とのデートに、はやる気持ちを抑えられない自分に驚いていた。
思考が堂々巡りして、止まらない。
スマートフォンの待ち受け画面を翠の顔にされ。
筆記具も翠の物を押し付けられ。
知らず知らず、気付かないうちに翠に近づいていたのかもしれない。
確かに、以前ほどパンツのやり取りとかに抵抗はなくなっている。
慣れたというか、翠という少女が徐々にわかり始めて、変な先入観なく応対できていると感じる。
変態なのは困ったことで何とかしなくちゃならないんだが、それに対する侮蔑や嫌悪はもうなくなっていた。
翠を思っていたより嫌っていない自分を感じていた。
明日は早い。
平日の午前七時というのがちょっと気にかかるが、駅前の商業地区が起き出すまでカフェでお茶をしていればよいのだ。
郁斗は明日着る服とケータイアラームを確認してから、しばらくぶりの期待に満ちたりた気分で眠りについた。
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