冬斗の告白②
部屋に戻り椅子に座った俺はメガネを外し両手で顔を包み天を仰ぐ。
あーあ、もう二度と今までの関係には戻れないな・・・せっかく今まで我慢してきたのに。
しょうがない。みすみす取られるよりはましか・・・にしても。
春斗の奴、何しでかしたんだ。
動揺して顔が真っ赤になっていた姿を思い出す。一体何を・・・まさかキ!?
自分の妄想に耐えきれなくて髪をぐしゃぐしゃに掻き毟った。ダメだそんなの、いくらなんでも早すぎだろ、まさかだとは思うけど。イライラした俺は机を叩き春斗に軽く殺意さえ覚えていた。
普段ありとあらゆる事に対しては冷静でいられる自信があるのに、いつの間にかアイツの事になると情緒不安定気味になってしまう。
自分が誰かの存在や言動にこんなに一喜一憂するなんて、これだから恋愛は嫌だ。
明日、何かが変わる。
もし付き合えたとして俺は彼氏として立派にやっていけるんだろうか・・・さっきは良く見て欲しくて無いなりになんとかワードを絞り込んで格好つけたが。
普段は言わないセリフを思い出し、身体全体が熱くなる。何て言い方しちまったんだ俺は。
いや、でも相手は春斗だし俺のやり過ぎぐらいが丁度いい対抗馬になるはずだ。
机に置いてあった参考書を見ながらつくづく思う。恋愛にも明確な答えがあったらどんなに楽か。それなら俺は絶対間違わないのに。
上手くいかなかったら勉強に集中しよう。いいじゃないか、良くも悪くも進展したんだから。
そんな風に自分を慰めてみたけれど結局は小手先に過ぎず、精神不安定のまま宣言通り眠れず朝を迎えることになった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます