冬斗の告白
インターホンを覗くと今度は冬斗が立っていた。春斗の告白で動揺している今あまり誰かに会いたくは無かったけどとりあえずドアを開けた。
『・・・・・どうしたの?』
『ちょっと話がある。上がっていいか?』
『え・・・いいけど・・・。』
冬斗相手に嫌だと言えなくて渋々部屋に案内する。さっきあんな事があったのに。春斗に抱きしめられた感覚がフラッシュバックしてきて真っ直ぐ冬斗を見れずうつむいていた。
『わかりやすいな・・・。』
チラッと冬斗を見るとなんだか切なそうな、でもいつもの優しい目で私を見ていた。
『まあここに座れ。』
ポンポンとベッドに呼ばれたので少し間をあけて冬斗の隣に座った。
『春斗に告られたんだろ?』
『!?え、なんで知って・・・。』
『さっき春斗から宣言された。』
は、春斗、なんてことを・・・。
『どうすんの?付き合うのか?』
『いや、ちょっと混乱してて、まだよくわかんなくて・・・。』
『そっか・・・ごめんな、更に混乱させて。』
・・・???
『俺もお前の事が好きだ。』
・・・・・・・!?!?!?
『今言わなかったら後悔すると思ったから来ちゃった。春斗じゃなくて俺と付き合って欲しい。』
普段こんなに喋らないのに来ちゃったとか言う冬斗は可愛いなとか一瞬は思ったけど・・・さっきの今でありえない事が起こりすぎてさすがに夢でも見てるんじゃないかと足をつねってみる。
痛い。
冬斗が私を好き?いやいや、嘘でしょ?だってずっと好きだったのに、本当だとしたらいつから?
思考がオーバーヒートしている私に向かって冬斗は質問してきた。
『・・・春斗に告白以外で何かされた?』
ふいを突かれた質問で私は更に真っ赤になる。
『・・・いや・・・べ、別に・・・。』
冬斗は焦ってもじもじしている私をしばらく無言で眺めていた。
『返事、明日聞きにくるから。考えといて欲しい。』
『う、うん・・・。』
冬斗にも頭を撫でられた。優しくてあったかい手。
『・・・今夜は眠れないだろうな。』
意地悪そうにサラッと言いのける冬斗。
その理由の一つは冬斗なのに。
『気にするな。俺も同じだ。じゃーな。』
そう言うとニコッと笑って冬斗も帰っていった。
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