第3話 庭園

本日の天気はどうやら曇りらしい。

シェルターの天井から見える曇り空がなんだかどんよりしてる。

こんな日は、少女は庭園かな?


このシェルターの設備のひとつ庭園(植物園)には、ありとあらゆる植物

果樹、樹木が植樹されている。


少女はこの庭園の管理やメンテナンスをしている。

本人曰く「庭園の守護者、ガーディアン」らしい。

ドヤ顔で言っていた。

また何かのマネなんだろう。


よくわからないけど楽しそうだった。


「おーい、少女?」

青々と茂った緑の庭園の入り口で声をかけてみた。

「はーい、ここだよー」

声はするけど姿は見えず……


「どこー、どこにいるの?」

「滝の近くー」


滝か、庭園の真ん中に小さな滝が配されている。

少女いわく施設を循環する水を利用したエコな滝らしいけど

仕組みはなんだかよくわからん。


「ここ、ここー」

滝の近くに少女はいた。

「いいよねー、水の落ちる音は。ちょっと涼しい感じするし」

マイナスイオン出てるよ。と、少女。

「少女は天気の悪い日はよくいるよね、庭園」

「うん、森林浴。緑のエネルギーをとりいれているの。」


少女のエネルギー源は無数にあるらしく、

太陽電池だったり食物摂取だったり、森林浴だったりする。


「緑のエネルギーってなんだ?」

「マイナスイオンとかかな?、何かいい感じのが効いてる気がする」


少女は、自分のエネルギー源についてわりといい加減だ。

前に聞いたことあるけど、詳しくは教えてくれなかった。

乙女の秘密らしい。

その割に何年も止まることなく動いているらしいから、案外

うまいこと折り合いがとれているんだろう。


「少年にもいいと思うよ。森林浴。マイナスイオン」


君も少しのんびりしていかないかね?と、少女。

今日は他にやることも無し、そうすることにした。


水の落ちる音と、森の香り、花の色。

少女とふたり、庭園でののんびりする。


「はー、気持ちいいねー」


目を細める少女。髪飾りの歯車がゆっくりぐるぐる回っている。

リラックスしているようだ。


「確かに気持ちいいなー」


思わずのんびりしてしまう。




ふと思う、外の世界にも

こんな庭園のような場所はあるのだろうかと。


自分は世界は滅びたとしか聞かされていない。


いつか外へ出て、そんな場所を探しにいけるだろうか。


その時は少女と一緒に。

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