第2話 ラーメン

「らーめん食べたい!」


ある日の昼どき少女がそんなことを言い出した。


「らーめんってなんだ?」

「らーめんは、ほらあれだよ。メンがあってスープがあって……しなちくとかちゃーしゅーがのってる麺料理だよ。」

「麺料理かー、なんかうまそうだな。」

「美味しいよ?小池さんも大好き。」

「誰だよ小池さん。」

「あと小泉さんも好きだね。」

「だから誰なんだよ小泉さん。」


「ね、らーめん食べよらーめん!」

キラキラした目で見つめてくる少女。

おーけーおーけー。わかりましたよ。

じゃー、今日の昼飯はらーめんとやらにしてみるか。



「そんで、材料とかはどうするんだ?」

「食料庫、行けばきっと、あるんじゃない?」

そんなわけでふたりして食料庫に行くことにした。

このシェルターは結構広い。


いろんな設備が揃っていてすべてを使いこなせていないくらい。

食料庫もそのひとつで不思議な技術で

さまざまな食料が保存されている。


「んで、らーめんには何が必要なんだ?」

「んーと、いま思い出すからちょっと待ってね」


うんうん唸りだす少女

「先に図書室寄って本とかで調べた方が良かったんじゃないか?」

「それもいいんだけど……記憶からひねりだした方がなんとなく良くない?」

といつつ、こめかみに指をあてながらうんうん唸っている。


「ほら、わたしできるアンドロイドだし」

ポンコツじゃないよ?とのたまう少女。ポンコツじゃないかもしれないが、ぽんこつだなと思う時は正直ある。


「えーと、まずスープには丸鶏や豚骨などのガラに、香味野菜に節類、タレは醤油タレにしたいからチャーシューの煮汁を使って醤油ダレを作って……麺は細めの縮れ麺がいいかなー、あとトッピングにネギとシナチクとのり、そしてチャーシューで出来上がりかな。」

「おおう、なんだかすごそうだな……で、どれくらいで作れるんだ?」

「えーと今からスープ仕込んで、チャーシューとかいろいろ作ってたら……明日のお昼はくらいには出来上がりじゃないかな?」

「今日の昼飯には間に合わないじゃないか……」

「たはは、らーめんは仕込みに時間がかかるからねえ……その分おいしいのが出来ると思うよ?」

「まずは、目先の空腹をなんとかしようぜ?」

「それもそうだね……、わたしも今らーめんが食べたいんだった!」


再び、うんうん悩み始める少女。


食料庫を見渡してみる。

保存食のコーナーに目がいった。

「らーめんには保存食のものはないのかい?」

「あ、そうだインスタントラーメンがあるじゃん!」

「インスタントラーメン?」

「そー♪お湯かけて3分待つとらーめんが食べられるやつ!たぶんあると思うよ。」

探してくるー、と食料庫の奥へかけていく少女。


待つことしばし。


あったよーと、袋を2つ抱えて戻ってきた。

「チキンラーメン!やっぱこれだよね。」


そのインスタントラーメンを抱えてキッチンにやってきた。

お湯を沸かす。

インスタントラーメンを茹でる。

出来上がり。

あっと言う間に出来るじゃないか。



ずるずるーとうまそうにラーメンを啜る少女。

「美味しいねー、もう百福さんに感謝だよー」

「誰だよ。」

「らーめん業界の偉い人だよ。今わたしたちがこのらーめんを食べられるのも、この人のおかげだよ」

ふーん、と思いつつラーメンを啜る。

鶏の風味が効いててうまい。

「いつか、時間かかる方のらーめんも作りたいね!わたし天空落とし!とかやりたいし」

「なんだい、そのなんとか落としってのは」


そんな感じで今日の昼飯はラーメンをいただいた。


たしかにこれはハマりそうだ。

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