(闇)鍋パーティ!
~招待状
〇月△日 18:00より
タロス邸にて冬季恒例 鍋パーティが開催されり
参加資格は、材料を各自ひとつ以上持参すること
当日を楽しみにしている
タロス「なんだこれは」
灰田「招待状だよ?」
タロス「さも恒例行事のような書き方をしているが、そのような行事はこれまでしたことがない。それに、会場として勝手に設定されていることにも遺憾を覚える。あと、招待するとすればそれは私の役目であって貴公に勝手にこうも……」
灰田「うんうん、タロスさんも楽しみなんだね!ちなみにもうみんなに出しちゃったから、準備よろしく!じゃあ私も材料買ってくるから!」
タロス「待て、せめて他に誰を招待したかを……もう居らん。ええいままよ!」
▼タロス、大鍋などを用意する
ビルドラゴン「ワタクシが来ましたぞ!よっこいしょ、お邪魔いたします」
タロス「一番手から予期せぬ人物の到来に戸惑っている。まあ、上がるといい」
ビルドラ「皆で楽しくお鍋を囲めると聞きましてな!こちら、ささやかながらわたくしの用意した材料であります」
タロス「ほう、わざわざすり下ろして持ってきたか。ふむ、これなら出汁の味を損ねることなく煮込めそ……」
ビルドラ「待つのです!!!」
タロス「なんだ藪から棒に」
ビルドラ「それは、各人の手元に添えるものです。いわゆる、味変というやつですな!」
タロス「あー、成程。あいわかった、そのように」
▼ビルドラゴン 参戦 持参素材:大根おろし
ベナトル「こんばんはー」
タロス「いらっしゃい。貴公が参加するとは」
ベナトル「招待状をいただいたので。他にどなたが来るんですか?」
タロス「残念ながら私にも皆目見当がつかぬ。……で、その肩に担いだそれは何だ」
ベナトル「私が持ってきた材料です」
タロス「鍋の、だな?」
ベナトル「鍋の、です」
タロス「惣菜ではなく」
ベナトル「はい。おかずではなく」
タロス「……入る、かな……」
▼ベナトル 来訪 持参素材:丸鶏(ローストチキン用)
蓮「お邪魔します」
タロス「よく来たな。二人は一緒ではないのか」
蓮「まだ来てないなら、そのうち来る。……疲れてるのか?」
タロス「む、顔に出ていたか。いや何、近い未来を憂いていたに過ぎん。案ずるな」
蓮「そうか。これ、使ってほしい材料。渡しておく」
タロス「……貴公は、よく分かっているな!私はこの勢いのまま高難易度の素材が集まった暁にはどうしてくれようかと!」
蓮「ど、どうした急に。高難易度の素材……?」
▼蓮 登場 持参素材:春菊
シオン「来たぞー今日の宴会会場はここか!」
霧島「あ、安心してください材料とは別で自分たちの飲む分のお酒は持ってきてますし」
タロス「殊勝な心掛けだ。では、参加資格を頂戴いたす」
シオン「二人いるからな、二つ持ってきたぞ。使ってくれ」
霧島「手が足りなければ手伝いましょうか?」
タロス「構わんよ。もう、何が来ようと全て入れて蓋をし受け入れようと決めた」
シオン「じゃあ俺たちは先に宴会始めてることにするか!」
霧島「タロスさんの雰囲気、私と似た匂いを感じた……」
▼シオン、霧島 参列 持参素材:しいたけ、鴨肉
灰田「やっほーみんな揃った?」
タロス「いやそれは貴公にしか分からん。何人か来てはいるが」
灰田「ええと、……まだもうちょっと来るよ!はいこれ」
タロス「ほう、貴公にしては随分無難な食材を選んできたな」
灰田「食べたいもの持ってきただけだけど」
タロス「よい。それでよいのだ。食事とは本来そういう姿であるものよ」
灰田「じゃあ後はよろしくー」
▼灰田 推参 持参素材:白身魚の切り身
タロス「まだあと少し、とは一体何人にこのふざけた招待状を出したのか……」
零次「ちっすちっすうぇいっす!」
タロス「残念ながら今日貴公を構っている暇はないのだ。帰れ」
零次「酷い!!そんなこと言わんでくださいよ!ちゃんと招待されてますって!!」
タロス「うわ本当だ、なんでこんな輩まで」
零次「シンプル傷つく反応っすよ。バッチリ材料持ってきましたから!何どぞ敷居を跨がせてください!!」
タロス「むう……、これなら許そう。貴公までゲテモノを持参したとあらば本当に追い返すところだった」
▼零次 到来 持参素材:カニ
ハル「タロス腹減ったー」
タロス「あいおかえr、危ない……うっかり母性が発動して迎えるところだった……」
ハル「あれ、まだ出来てねェのか。もう食える頃に行こうと思ってきたのに」
タロス「誰が来るのか分からず、まして何を持ってくるかも分からないのに始められる訳が無かろう」
ハル「へー、食い物だったら何でもよくね?鍋ってそういうもんだろ?」
タロス「煮込む順番というものがあるのだ。あと、鍋にも定番の食材というものがある。貴公が認知している形式のその料理は闇鍋というものだ」
ハル「ふうん、定番じゃないのかあれ」
タロス「で、貴公は何を持ってきた?」
ハル「これやるよ、締めで使いな」
タロス「……気が利くような、利いていないような。皆のコメントが楽しみだよ全く」
▼ハル 参上 持参素材:パスタ(乾麺)
无大人「ご機嫌麗しゅう、タロス隊長殿」
タロス「大人殿まで参られるとは、本日一番の意外な来客よ」
无大人「せっかくご招待いただいたので、不参加というのは無粋と思いましてね」
タロス「多忙の身であろうに。今夜が骨休めに当たればよいが」
无大人「今日のことはどうか内密に。材料も勿論持参しましたから、ご自由にお使いなさい」
タロス「……くうっ!予想と期待を裏切らないこの献上品の数々!」
无大人「ちなみに、私が最後の筈です。今宵は素敵な晩餐を期待していますよ」
▼无大人 列席 持参素材:熊の手、フカヒレ、干しアワビ、ツバメの巣、冬虫夏草、カレー粉
▼鍋パ 満を持して開催!
タロス「さて、そろそろ食べ頃か」
霧島「みなさん、そろそろ出来上がりみたいですよ」
蓮「……こんな大きな鍋初めてみた。特注か」
ベナトル「あのはみ出てる赤いのなんですか?」
ビルドラ「あれは海産物のカニではないでしょうか。ご開帳が楽しみですな」
灰田「タロスさん早く食べようよ、開けて開けて!」
タロス「あまり勿体ぶるのもいかんな。では……」
▼鍋 オープン!
ハル「カニははみ出てたから分かったけど、真ん中の肉塊なんだあれ」
シオン「ありゃ丸鶏だな。しっかり丸ごと」
零次「切り分けてから煮ようとは思わなかったんすか?」
タロス「解体は容易いが丸鶏の意味がなくなると思ったものでな」
无大人「しいたけや春菊……定番具材がとても宜しい、肉や魚のいいお出汁も出てそうですね」
霧島「ちらほらちょっと信じられない具材も見えるんですが……」
ハル「え、これ何鍋?カレーみたいな匂いすんだけど」
ビルドラ「香辛料とは古来より食欲を掻き立てる神秘の調味料にござい。皆で囲む鍋というのはやはりよいものですな!」
タロス「貴公に鼻は無いだろう。ほれ皆、取り分けるから席に着け」
▼取り分け完了
▼いただきます!
ベナトル「白菜入ってる。普通にうれしいですね」
タロス「定番すぎて誰も持ってこないと思ってな、私が勝手に入れておいた」
灰田「んー、なんか複雑で滋味深い味がする気がするんだけど、カレーのパンチ強くてよくわかんない!でも美味しいね!」
シオン「このツルツルしたやつ、女子は嬉しいんじゃないか?肌に良いらしいぞツバメの巣とフカヒレ」
零次「この手みたいなやつなんの手??食べていいやつです??」
无大人「熊の手です。食べられますよ」
ハル「んまかったぞそれ、さっき食った」
霧島「ハルさん、超高級食材ですよ。今食べてるアワビもそうですけど」
蓮「タロス、ハサミ」
タロス「はいはいカニは割っておいてやるから他から食べておけ」
灰田「タロスさんお肉とってー」
タロス「何肉だ、鶏、鴨、熊と色々あるぞ」
ハル「タロスが食う分なくなるかもしれないから俺の皿の具材分けてやるよ」
タロス「ハル、好き嫌いしないでしいたけも食べなさい。人の皿に寄越すな」
零次「(タロスさんママ……)」
ベナトル「(タロスさんママ……)」
ビルドラ「(ママさん隊長殿……)」
シオン「いやーあんたとこうして酒が飲める日がくるとはな!」
无大人「私も隊長さんと共に食事ができて嬉しいですよ、お世話になっております」
シオン「よせやい!こんな席だ、今日は無礼講といこうじゃねえか」
霧島「それ隊長から言うセリフじゃな、わあああちょっと!勝手に人のグラスに酒注がないでくださいよいつの間にウイスキー飲み始めたんですかさっきまで日本酒だったでしょう!?」
ハル「お、有名なアレ見れるんじゃねーの今日」
蓮「……何が?」
ハル「"黒"霧島。いや"赤"霧島かもな」
タロス「先に伝えておくが厠は廊下に出て左、突き当りだ」
零次「カニの脚をこっちの向きで持って、こうして叩くと……ほら!スゴイでしょこの方法!」
ビルドラ「はぁぁ!身が飛び出した!これはスゴイ、食べるのがより一層楽しくなりますな!」
灰田「零次すごいじゃんもっと見せてよそれ、身が出たやつ食べてあげる」
ベナトル「ナチュラルに労力ゼロでカニにありつく灰田さんも凄いと思うんですけど……」
蓮「相変わらず仲が良いんだか悪いんだかわからないな」
ビルドラ「大根おろしと合わせて啜るおつゆがしみいりますなぁ」
タロス「一時はどうなることかと思ったが、この奇異な材料の組み合わせでも鍋としての形にはなるものだな」
零次「タロスさんカニ!カニどうっすか!ファインプレーだったっすよね!?」
タロス「その喧しさがなければな」
ビルドラ「ここいらで今年のワタクシの芸術作品を発表いたしましょう。行きますよ……ハイッ!」
蓮「……コンパクトでも眩しい」
シオン「賑やかだなぁ、小規模エレクトリカルパレードってやつか」
ベナトル「電飾が光ってるのはわかりますけど、装甲部分も発光してるような?」
ハル「どこにスピーカーついてるんだ?あ、あった」
ビルドラ「ミュージックチェンジも可能ですよ。ご希望はありますかな?」
灰田「じゃあ天城越え」
霧島「ここにきて演歌をリクエストするセンスはどこから湧くんですか」
无大人「その昔、政治批判を歌に託した演説歌を略して演歌と呼んだそうです。今では大衆化され自由なものになっていますね」
霧島「れぇんさん~聞いてくださいよ隊長がねぇ~?」
蓮「……霧島が壊れた」
ハル「廊下の寒いとこ転がしとけば酔いも醒めるだろ」
シオン「おっ、今日は白霧島か?」
灰田「いやぁこれ茜霧島になりそうな予感だよ」
シオン「それなら構わんさ。……金にさえ、ならなければ」
ベナトル「(霧島さんシリーズちょっと気になる……)」
零次「具材もいい具合に減ってきたっすね!やっぱ締めはうどんっすか?」
ベナトル「カレー風味ですしお米でもよさそうじゃないですか?きっと美味しいですよ」
タロス「ああ、唯一締め用にと持ってきてくれた具材があるからそれを入れよう。少し茹るまで待て」
灰田「タロスさんなんでパスタ持ってるの?え、入れるの?入れ、ちゃった……え?パスタ?」
ビルドラ「どなたですか!パスタなんてモノを持ってきたのは」
ハル「俺だけど。……何でみんなそんな目で見るワケ??丸鶏とかしいたけ持ってきたやつにそんな目で見られたくないんだが」
シオン「しいたけは無難な食材だろう」
ベナトル「美味しかったじゃないですか丸鶏。食べるところも多くて」
蓮「……誰も冬虫夏草やカレー粉に言及はしないのか」
无大人「まあまあ、その辺でよしましょう。味を損ねるような素材ではありませんし案外スープパスタのようになるかもしれませんよ」
灰田「そう言われれば、確かに……」
タロス「食べてからのお楽しみというやつだな。火力が高いからもうすぐ茹るぞ、食べたい分だけ取るといい。液跳ねに気をつけなさい」
零次「じゃあ締めのパスタ、いっただっきまーす!アチッ」
ベナトル「気を付けてくださいって言われてるでしょう。では私も」
ビルドラ「チュルチュル、んむ。塩気とパスタの食感がよいですな」
シオン「食べやすくていいなこれ。おーい、霧島も酔い覚ましに少し食え。……ダメか」
ハル「なんだよお前ら文句言う割に食うじゃん、結局」
蓮「案外普通に食べられる。可もなく不可もなく」
灰田「おいしいよ。ハルさん元気出して」
▼ごちそうさまでした
▼これにて鍋パ、お開きです!
シオン「ベナトル、霧島運ぶの手伝ってくれ」
ベナトル「分かりました。では、お邪魔しました」
零次「また宜しくでっすうぇいっす!」
无大人「それでは皆さま、失礼いたします」
ビルドラ「ごちそうさまでした~それではっ」
ハル「食った食った。面白かったな」
タロス「まあ、悪くはなかったな」
灰田「また持ち寄り食事会やりたいね、次は何しようか」
蓮「……バーベキュー、とか」
ハル「イイねそれ」
タロス「(……ジビエ祭りになりそうな予感がする)」
▼ありがとうございました!
▼また次回、お楽しみに!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます