剣聖の落陽



緩やかな風が湿気を纏い洞窟を通過する。

少し肌寒いくらいに感じるのは、自分の服装がいつもより軽く薄いからだろうか。

死神部隊と称されるI.P.E.一課のトレードマークである、濡羽色のマントが揺らめく。


洞窟と聞いていたのでもっと狭く暗い場所を想像していたのだが、横穴から出てしまえばその場所は不思議と明るく拓けていた。

とはいえこの場所はまだ大空洞、天使達の檻へ続く抜け穴の一部。


事前の作戦会議ミーティングでは十中八九、ターゲットは奥深い場所には居ないだろうと言われていた。

檻に深く潜ればそれだけNWKの汚染が色濃く、普通の人間では生きて戻ることは不可能。


今宵、地下大空洞を進むのは一色蓮とハルカ。

緊急かつ危険な任務だというのに、二人の装備はまるで私服のようだ。

特徴らしい特徴ははためく黒マントのみ。あとはいつものハーフマスク。制式鎧アーマーは身に着けていない。

武器も、使い慣れたパトリオットは携帯していなかった。勿論予備のマガジンさえも。



「もうイケんのか、常闇とこやみ

「……十分だろう。ハルはいいのか?」



蓮が芯部を闇色に染める剣を翳す。


フン、とマスクの中で鼻を鳴らした相棒。

いつでも準備は出来ている。こんな時でも言葉少なに、いつものやりとりで完結するほどには二人ともリラックスしていた。

あとはオペレーターの連絡待ち。


あまり待たずしてジッと接続のノイズが伝わる。



『ハロー!そっちは何チューブ?こちらはシンデレラチャンネル、お二人へ専用のシグナルで支援生配信でーす』



聞こえてきた明るいポップな声色に二人は思わず顔を見合わせる。

ハルがすっかり呆れた薄ら笑いを浮かべた顔で無線の向こうの昔馴染みに話しかけた。



「生配信って、いつもと同じだろうが」

『そんなことないよー、地下そっちと連携のラグとか事故がないように私も出張しに来てるんだから』




メディオ地区、最下層教会街区。

荘厳なゴシック建築の大教会前に、景観にそぐわぬ近代的な車両が何台か停められていた。

特注の大きさの積載コンテナを背負った、エンジンがかかったままのトラック。八人乗り貨物車が三台。

それぞれの車両がカラフルなケーブルで繋がれ、トラックのコンテナの上にはこれまた巨大なパラボラアンテナが大教会に向けられている。


そのコンテナの中に、灰田は居た。


空間いっぱいに詰め込んだ支援用の機械に囲まれて、それらが120%もれなく使えるようにエアコンをフル出力で稼働させた極寒の箱の中。

しっかりと防寒具を纏い、冷たい指にそっと息を吐く。

準備は万端だ。



「手筈通りに、参りましょう」



灰田の目には展開した沢山の青白いモニターが反射していた。






灰田の居るトラックの周りには、シオン率いるチームFが武装した状態で待機している。



「もう少し奥に連れて行けたらよかったんだがな」

「仕方ない。ここまで来られただけでも随分違う筈だ」

「それにしても居心地の良い場所ではありませんね。まるで別の國みたいです」



大型トラックを運転してきたゲイツが灰田のいる荷台、コンテナに目を向ける。

ここに来るまでの道中でも助手席に乗った彼女は無線で纏めたデータの共有に勤しんでいた。

ゲイツは出来る限りの助力してやりたいと思ってしまう程に、灰田の気概の鱗片を間近で見ている。

だが支援機材の搬入の許可が下りたのはここまでだった。


シオンがコンテナに乗った特注のパラボラを見る。

雷術師シグマが宣戦布告を行ってから三ヶ月、その間に外注を駆使して灰田が用意した機材のひとつだ。


少々辟易した声色で霧島が周囲を見渡す。

盾部隊チームFの全員が彼と同じモノを感じていた。

それもその筈。ここは天使教団が統括する場所。

教会街区では自分達が異分子だ。

四方八方から感じる監視の視線で息が詰まりそうな気さえする。


勢力を現状維持に努め、外と交流を持たない彼らにとって、今回の件は心から歓迎できる状況ではないだろう。

他企業に己らの秘密を強制的に暴かれる現状は耐え難い。



「作戦主要部ほど危険は多くない。だが万が一"天使"がここまで到達する可能性もある。灰田が心置きなく支援が出来るように、彼女を護衛する。それが引いてはシグマ討伐に繋がる」



ツーマンセルで車両を囲み、チームFは防衛線を作る。

無線を通してシオンが発破をかければ人数分の返事が返ってくる。


それぞれがそれぞれの仕事を。覚悟を、想いを、夜の空気に溶かす。






足場や岩壁の様子が変わる。

今まで進んできた部分は完全に自然の洞穴らしくゴツゴツと起伏が多かった。


洞窟らしい起伏は見られるが岩壁は削られ、幾分か人の手が加えられ整えられている。

第一予定地点に到達した。そして、人の気配と話し声が聞こえた。


向こうもこちらの気配に気づいたか、話し声が止む。

蓮もハルも必要以上の警戒をすることなくその姿を見せた。



「――小細工を仕掛けよう物なら即座に斬り捨ててくれようと思っていたが、正面から現れるとはな。歓迎しよう。我に挑む貴様らの無謀さを」



剣の柄から手を退けたシグマが悠然と振り向く。

カリンは身長ほどの岩に腰かけたまま、ニヤニヤと挑戦者である二人を見下ろしている。



「……剣聖シグマ、及び暁日のカリンと接敵。これより戦闘に移行する」

「へェ、本当に一課だったのかハルカ。お前が来たのは俺へのはなむけか?」



蓮が咽喉マイクに伝えれば、ハルに気づいたカリンが微弱な挑発を含ませた言葉を投げる。

フルネームで呼ばれることを嫌うハルだが、カリンを一瞥しただけで再びその意識はシグマに向けられた。


無視されたことが意外で、面白そうにカリンは眉を上げ成り行きを見守る。



抜き身で手にしていた剣を蓮は握り直す。

燻っていたもやが立ち込めシグマを囲む。それを合図にハルがナックルを手にして中へと足を踏み入れた。



「ほう、貴様が火輪の言っていた男か。この煙のような物は何だ?」

「触っても害はねェが、あんま吸わない方がいいぜ?アイツは後だ。仕事だっつってんだろ。――焦がせ、炎陽ォ!!」



ハルカの号令に呼応した炎陽えんようがその熱を広げる。

ナックル同士をぶつけて反応を加速させれば炎陽の熱気が靄を巻き上げ対流を起こし、二人を中心とした円形のフィールドを作り上げた。

さあ、と肩を柔らかく回して彼は嗤う。



「初めに俺とウォーミングアップの時間だ。ダンスは得意か?来なァ、ステップの基本を教えてやる」

「暑苦しい男よ。いいだろう、先ずは貴様だ」



人差し指と中指を揃えて向けるシグマとナックルを胸の前で握るハルが、戦闘を開始する。






剣を腰に添える蓮は、じっとハルとシグマの居る靄の塊を見つめる。

首に感じた殺気にその場から一歩下がれば、絶妙な死角から質量を孕んだ拳がすぐそばの岩を砕いた。

やはり、大人しくはしていてもらえないらしい。


岩に拳をめり込ませたカリンが蓮と目を合わせ嗤う。



「よォ、兄ちゃん。暇そうだな。俺と遊んでくれねェか?」

「……遠慮する。と言っても、聞き入れて貰えそうにないな」



絡んだ視線。蓮は距離を作るように携えていた剣を振り払い下がる。

カリンも見極めた剣の長さ分は後退するがすぐさま死神に拳鍔を振り翳し肉薄した。


岩陰に飛び込んで避けた蓮を満足そうな様子で追いながら観察する。



「ハルが言ってたぞ、勝ちてェ奴が居るってな。まさかまァ、燈る朧月ともるろうげつ様とは思わなかったが」



現れた時よりも僅かに黒く染みを広げている剣。

その黒色はシグマとハルを取り巻く靄と同じ色。

即ちこの男を倒せばあの靄は無くなるだろう。


だがそれは副産物。

ハルが勝てない、この男と戦ってみたい。

カリンは疼く拳を握り嬉々として振りかぶった。


薙ぎ払うように振るわれた一打が風切り音を奏でる。

この男もまだ到底本気ではないだろう。ただ歩を進める程度の速度で蓮との距離を詰めながら拳を振るい、蓮の出方を窺っている。

岩陰に隠れた蓮が無線を繋ぐ。



「優、この男の妨害がある限りシグマの討伐は不可能だ。何故捕縛に留める」

『國からの指令だからです。やむを得ない場合の反撃は許可しますが、殺害による無力化は許可できません』

「……知らない筈がない。隠された裏を読むのは誰よりも得意だろう」



それは、と優が言葉を詰まらせたタイミングで危険を感じ前方に身体を小さくし飛び込む。

砕かれた岩の破片が飛び散る、それらを腕で払えばニヤニヤと笑みを浮かべるカリンの姿があった。



「へー?俺の身柄はそういう扱いかい。まァ、オモテに出てくりゃツラも割れるか」

『とにかく時間を稼いでください。くれぐれも、蓮さんが消耗しないように』



蓮が再びカリンから距離を取る。

逃げるだけで一向に手を出してこない死神に、カリンは少し眉間にシワを寄せた。


蓮もハルも制式鎧アーマーを身に着けていない分、普段より防御は薄い。

まして先程から岩を砕いて回るその一撃は受ければ容易く骨諸共粉砕するであろう重撃。

基本的に攻撃は貰わないに限る。


ハルとシグマの居る靄に目を向ける。

内部が見える訳ではないが時折靄を貫通して射出される雷撃に相棒の身を案じる。


視界の端でカリンが振りかぶるのを見て咄嗟に剣を身体の前で構えた。

腰より下を狙った避けにくい弾道で拳鍔が飛来。

剣先で掬い弾く。呆れるほどの強肩から放たれた拳鍔を弾いただけで手先に痺れが伝わった。

これは下手な受け方をすれば常闇が折れるかもしれない。



「なァ仕掛けて来いよ。注意力散漫はよくないぜ。それともそんなにアッチが気になるか?」

「……反逆者シグマに加担したお前が、捕縛対象に留められる理由は何故だ?」

『蓮さん、だからそれは』



聞こえてくる彼女の声を無視してカリンを見据える。時間稼ぎも兼ねているが、彼女はどうしてもこの話題だけ避けたがる。

カリンは先程からオペレーターと押し問答をする蓮から何かを察したらしく、ニィと悪い顔で口端だけを吊り上げた。



「I.P.E.は、腕の良いオペレーターが居るんだったか?そいつが敢えて隠してんだろ」

「……答えろ」

「さしずめ、同じ穴のムジナってとこかい。どちらにせよ、テメェが知ってどうにかなる話じゃねェ。あんまイジメてやんなよ」



喋りながら一気に踏み込まれ、蓮もバックステップで一定の距離をとる。

その場で回転した蓮の斬り払いを拳鍔で弾きボディブローを繰り出す。ギリギリで躱して軸足を崩したその隙にまた安全な距離を確保する。

腹筋ですぐさま立ち直ったカリンが蓮に向かって、否、蓮のマイクの向こうにいる灰田に向かって言った。

"ひとつ貸しだ"と。


蓮は眉間を寄せたまま剣を構え、ハル達の居る方向に意識を割いた。






指を揃えてハルの身体を指したシグマ。

ハルはすぐに動けるよう腰を落とした体勢のままジッと彼の指先を見つめる。


帯電させていくシグマが構える指先でパチリと小さく電気が爆ぜた。

瞬間ハルが動き、弾道から身体を逸らし突貫する。地を穿った雷撃には目もくれず、シグマの一挙手一投足全てを視る。

それは彼が師匠と呼んだ男の教え。


それに加えハルは灰田が編集、計測、解析したデータを元に雷魔術への対応を叩き込んである。


元来、最も身近な絶縁体は空気だ。

空気に電気を通す為には、絶縁破壊が起こるほど高い電圧を掛けねばならず、イチから絶縁破壊を起こすほどの高電圧を作り出すのは容易ではない。

それがサイコやデミ・サイコであっても。

その予備動作さえ見逃さなければ、そこからはこの男ハルカの独壇場だった。



「ぐ……!?」

「ちっと固ェが、まあまあだな。もうちょいか」



踏み込んだハルの灼熱の拳が瞬間に二度、シグマの胴体に打ち込まれる。

無論、シグマは流体金属制御により身体の表面にて防御が張られていたが、ハルの拳打はそれらごと押し込みダメージを与える打撃武器。銃撃や切断武器とは性質が違う。

ましてシグマの金属鎧は熱には弱い。

ハルカの武器、存在はまさに、シグマキラー。


魔術を会得してから今までその身に受けたことのない想定外の衝撃にシグマは戸惑う。



「ッ成程、相性か。火輪カリンと手合いする際に記憶しておこう」

「まずは俺とダンスだって言ってんだろうが浮気野郎」



ロー、サイドと脚を振り回した二段の蹴りつけをシグマは宝刀の鞘で防ぎ、雷術を用いた金属杭の射出。太腿の外側に掠った杭に服と皮膚の表層を裂かれつつも柔らかくバク転で距離を取る。

離れたハルにすかさずシグマは照準を合わせるが放った雷撃が焦がしたのは彼のはためくマントの裾。



技の隙間で確実に距離を詰めてくる褐色肌の男に、古き記憶の中の好敵手カリンの面影を見る。

無意識に口端を引いたシグマはハルの仕掛ける攻撃に対し初めて避ける動作として足を踏み出した。


結果外す事になり打った拳を引き戻した体勢のハル、シグマの眼が殺気を帯びて彼のグレーの瞳を射抜いた。

袖で隠した指が電気の爆ぜる音を立てる。

見えねば避ける事も適うまい。


放電する瞬間、ハルは全身の力を抜いてぐにゃりと地面に伏した。

炸裂した雷撃はシグマの着物の袖を焼きハルが先程まで居た場所を寸分の狂いなく通過する。

ハルの払い上げた拳が雷撃を放ったばかりの手指を強襲した。



「殺気ダダ漏れ。生憎なァ、そういうセコいテクだけはピカイチ巧いヤツが身近に居るんだわ」

「貴様……!」



払われた手のダメージを抵抗せず弾かれることで衝撃をなるべく逃がし、後方に大きく跳躍。シグマはとうとう宝剣に手を掛ける。

着地した足裏に伝わる違和感にハッとして周囲に目を向ける。

前方、後方、側面などは相変わらず黒い靄が対流し、位置の把握が困難。だがいつの間にか天井は低くなり、足元には余分な起伏。

誘い込まれた、と判断するのにそう時間は掛からなかった。

褐色肌の男が目を細める。



「ウチに優秀なコンピューターが居てな?そいつのプロファイリング結果だと、アンタは嘘が嫌いで、真面目で思い込みが激しく、プライドが高いそうだ。確かにそうだなァ。小細工程度、返り討ちに出来る実力が自信に出てる」



だから姿を現す初手に何もしなかった。それが、自分たちが誠実な挑戦者だと思わせる第一印象の植え付け。

余分な行動はせず、ハルカの目標がシグマのみであることのアピール。

だからこそシグマはハルに質問し、その応答を信じ、十分な情報もない事に気づかず己のために作られたフィールドなのだと思い込んで、分断されても文句は言わなかった。

実際ハルカも聞かれたことに対しては嘘をついていない。



「さあ、アップは終わり。次の会場にご案内だ」

「何を……ッ!?」



ガクンと強く後ろに引っ張られる感覚。

靄を突き抜けて強制的に囲いから引きずり出されたシグマ。背に硬質な丸い壁が当たる。

それが何かを理解するより先にシグマの頭上から気配のない音声が聞こえ思わずそちらを見る。

安っぽいスピーカーが吊り下がっていた。



『いらっしゃいませ、Mr.シグマ。身体は温まりましたか?ここで一旦クールダウンの時間です。より良いパフォーマンスの為には、準備運動と休憩を上手にとりましょう』



若い女の楽し気な声色にシグマは不快そうな顔をした。

嵌められた、その事実を確信させる声色に。


シグマが磔にされたのは大きな鉄芯とコイルの内蔵された電磁石。直列繋ぎのバッテリーで強化されている。

灰田の計算した、シグマの発揮できる電荷移動の強さに勝るように組んだだけの、実に簡素な仕掛け。

戦闘予定地点に到達するもっと前に蓮とハルによって設置されたもの。

灰田が遠征してまで連携の事故を防ぎたかったのは、地下に置く事となる電磁石の操作の為が大半だ。



『そ・れ・と、次の会場にお進みになる前に……その重たそうな鎧はお預かりしますね』



ズル、と自分の意志と関係なく流体金属が電磁石に奪われる。

こうなってしまえば電力差で勝てないシグマにはもうどうする事も出来ない。合わせて先程から強電力のせいで生まれる機械熱もある。電磁石を壊したところで流体金属の回収はできまい。


ハルカの炎陽で火傷を負い、シグマは保持していた金属鎧と引き換えに解放される。



『お待たせしました。それでは次の』



灰田のスピーチを待たずしてシグマが半ば八つ当たり気味に安い作りのスピーカーを断つ。

初めから機材の回収はする気なんて無かったけども……とハルだけが骨伝導イヤホンから彼女の残念そうな声を聞いていた。



「お望み通りステージは整えてやったぞ。文句あるか、リーダー」

「ハル、優、………礼を言う」






ハルカと入れ替わりで、切先まで直黒ひたぐろに染まる剣を手にした蓮がシグマの前に立つ。

靄がふわりと払われ、二人を対面させた。

シグマは立ち替わった蓮を観察する。


見えにくい剣だとは思う。まるで影のように、そこに存在してもおかしくないと勝手に脳が判断してしまいそうな色。

照明が当たっているにも関わらず、その光をも吸い込む底なし沼ような黒色こくしょく

恐らく今までカリンが相手をしていただろうが、消耗している様子もない。自身と相性の悪い褐色肌の男ハルカと交代する程の真意は何だ?


ジッとシグマを静観する背の高い若造の目の色に、歴戦の中で培われた第六感が不思議と心をざわつかせる。

本命の雰囲気と並ならぬ覚悟のようなものを纏う男と対峙して、シグマの口角は自然と上がった。

この男なら己の渇望を満たし、応え、果たしてくれるのではないか。

この男なら、或いは。



「―――終わろうか」



終演の幕を引かんと、シグマは自らの剣を執る。



これまでにないほど胸が高鳴る。

だがこれまでで一番頭が冴え、落ち着いている。

蓮はそんな奇妙とも言える不思議な感覚を抱きながらシグマの行動を視ていた。


シグマが蓮を注視する。蓮も視られているのをその分だけ感じる。

自分とシグマ、二人の呼気だけしか聞こえない。

シグマの集中が伝わる。自然と蓮も彼を模倣するように一点に集中する。

時間の流れが緩やかになった世界で、蓮はシグマを倣い剣を振った。



互いの剣が互いの剣を弾いた衝突音が洞窟に大きく反響する。

シグマは己の抜刀術を弾かれたことに目を見張り驚愕を顕にした。

丁々発止と斬り結び、瞬きにも満たない短い単位の鍔迫り合いを重ねていく。


シグマが二歩と下がれば蓮が二歩と詰め、蓮が旋回するように踏み込めばシグマは対の場に踏み込み互いの立ち位置を入れ替える。

地の底で行われるやり取りは神楽の舞の如く。まばたきの時間さえ惜しい。


二人は斬撃による傷を増やしながら一つの世界に没頭していく。

致命傷だけを避けるように半身になった蓮は、鎖骨下から肩の肉までを斬らせてでもシグマの指使いを記憶する。

浅いと判断した斬撃には、表皮を斬らせてでもシグマの呼吸や筋肉の動きを視る。

半歩出て、捻り、常闇に動きを伝える。

斜め下向きに構えたシグマの宝刀と鍔迫り合う。



シグマが蓮を剣ごと押し込み五歩程の距離が出来る。

すぐさま蓮が構え直し踏み込んだその時、シグマと蓮の間に吹き飛ばされたハルカが割り込んでくる。



「……マジか」

「邪魔を、するな!!!」



最悪な場面に転がり込んでしまった事を察したハルがシグマの純然な怒気を孕む咆哮に当てられる。

狙いを定めたシグマが踏み込み、十八番の抜刀術をハルカに浴びせた。


神速の斬撃に身を裂かれたハルがその衝撃に吹き飛ばされる。



「……ッ常闇!!」

「逃がすか」



負傷したハルを担いだ蓮が常闇の靄に隠れる。


雷魔術で彼らが居た場所を撃ち抜くが、靄の晴れた頃そこにあったのはハルの流した夥しいおびただしい量の血痕だけだった。


首に手を置き申し訳なさそうな顔でカリンがシグマに近づく。



「悪ィ、邪魔した。お前今の本気だったよな?」

「俺が手加減などする訳がないだろう。……偏に、あの男の機転だ」



シグマが手にした刀で地面に落ちている何かを指す。

それはハルが帯刀していたカットラス。両断され、ただの金属片に成り下がったそれは既に武器としては使えないが、つまりあの一瞬で彼はカットラスを抜いた証拠に他ならない。


間違いなくその身を分かつ一閃の筈だった。

あの男ハルカが何もしなければ。



「片方虫の息だぞ、追うか?」

「構わん。此処で待てば再び彼奴は現れよう」



念のため全身の傷を確認しながら言った。既にハルカへの興味は失せているようだ。

代わりに先程までの剣戟の応酬を思い出し、血が沸き立つ感覚にシグマは嗤う。

あの無口な男は自身を真似ようとした。写そうとした、と言うべきか。

自身を射る黒き瞳を思い浮かべる。



「若造、よもやこの俺を踏み越えようとするなど……面白い」



含み笑いするシグマの珍しい横顔を、カリンは不思議そうに見ていた。







時は少し戻る。

事前に打ち合わせた仕事を終えたハルは、蓮と交代し最初にシグマ達と接敵した広間に再び足を踏み入れた。

そこには不貞腐れた様子で座るカリンの姿。



「随分ご機嫌ナナメじゃねェの。まァ大体理由は予想つくが」

「アイツ俺の事全然相手してくれねーの。挙句、煙に巻かれて逃げやがった」

「仕方ねェだろ、こちとら仕事しに来てんだぞ。テメェみたいな厄介なのに構ってられるかよ」



言ってからハルは考え直す。本当に仕事と言えるだろうか、と。

仕事にかこつけて、蓮は己の目的を叶える為にここに来ている。

アイツのよくないクセだ。普段大人しい顔をしているのに、ここぞとばかりにとんでもない規模のワガママを発動する。

蓮がやると言えば絶対に折れず、自分都合で周囲の人間を引きずって振り回す。

真っ先に巻き込まれる優や俺の気にもなってほしいものだが、結局こうして付き合ってしまうのはあの男が何かを持っているからなのだろうか。


岩から降りてきたカリンが着物の埃を払い、拳鍔を嵌める。

ゆっくりとハルの前まで歩いてその拳を引いたカリンが、ハルの寄りかかっている岩を殴った。

狙いが雑な拳に耳を潰されたら嫌なので少し首は傾けたが、結局飛び散った岩の破片に不快な思いをして眉を寄せる。



「……で、ハルは俺にムカついてんのか?腹立ててんのか?ずっと騙してたんだもんなァ、お前の事」

「ハッ、今更テメェの吐いた昔の嘘にキレるほどガキじゃねェ、よっ!!!」



至近距離で見下してくるカリンの顎を全力の素手で殴り倒す。

地面に転がったカリンが殴られた顎関節を音を立てて嵌め直し、俯いたまま嬉しそうに口端を上げた。


炎陽を拳に嵌めながら今度はハルがカリンを見下した。



「立ちやがれ。喧嘩すんぞコラ」

「イイねェ。負けて泣くんじゃねェぞ、ハル……!」



立ち上がり際に横振りした拳鍔がハルの脇腹に入る。くの字に折れた身体に追撃しようとフードと後ろ襟を掴めば、手を握られそのままタックルされた勢いで背負い投げられる。

背中を打ち顔を顰めたカリンの喉を狙ってハルの全体重を乗せた肘が降ってくる。


慌てて転がり避けて距離を取った。

ハルも立ち上がり自分の制限武器を打ち鳴らし、冷め始めている熱反応を無理矢理起こす。



「まだ終わってねェぞ。寝んな、起きろ炎陽」

「わざわざソレを制限武器に、ね。お前俺のこと大好きだな」

「寝言言ってんじゃねェ、全然カタチ違うだろうがよく見ろ老眼」



炎陽ナックルダスターの棘付の甲を見せつけるように即座に詰めた距離から左フック。避けられることを見越して織り交ぜたステップからサイドパンチ。

ダッキングでそれらを避けたカリンは振り向き分の遠心力を拳に乗せてハルの頬を殴るが、ハーフマスクが外れて飛んでいったくらいで思ったほどの有効打ではない。掠りはしたか。


血の味がするのは口の中を自分の犬歯で切ったのか。口端を腕で拭ったハル。

腹に膝蹴りをぶち込めば今度はカリンが身体を折る。頭部を叩けばダメージにはなるが避けられれば隙もデカい。堅実にその体勢で動きにくい骨盤に横から炎陽の高熱を打ち入れる。



「ガッ……!アッ、っちいな、イヤらしい攻撃してきやがって」

「テメェと誰かさんのせいだろ、ツラ貸せコラァ!」



脇腹を押さえたカリンの顔面に炎陽を振り翳す。

だが最速で構えられた迎撃の姿勢に、急ぎ拳を戻そうとするがこれは間に合わない。

手首を弾かれ胸に打ち込まれた拳鍔が体幹の骨を揺らす。

軋んだ骨の痛みに喘ぐハルカの胸倉を掴み投げる。

辛うじて地面に叩きつけられる前に空中で体勢を立て直し、左胸を押さえながら着地した。


瞬間、肉食獣に挟まれたかのような寒気に呼吸が止まる。

それでも右側はすぐに蓮だと分かった。

左は、不味い。


僅かに向けた顔と視線が、阿修羅と化したシグマを捉える。

咆哮と共に抜き放たれた居合に無駄と知りながら、帯刀していたカットラスを身体の前に構える。

カットラスが食い込んだ刀に破壊されるのを見てハルカはそっと瞼を伏せた。



「常闇!」

「逃がすか」



高密度の斬撃に裂かれ、絶叫もままならない身体を蓮に担がれる。

意識を手放したいのに担いで走る蓮の振動のせいでそれもままならない。



酷く意識が混濁する。寒い、いや暑いか?

ずっと自由落下しているような感覚に内臓が迫り上がる。


吐く前に揺れが止まった。下ろされたか。

視界が暗くて何も見えない。いつまで常闇の靄を纏ってるんだコイツは。

強く殴られて思わず目を薄く開けた。



「おま、殴………バカ……」

「殴られたくなかったら起きてろ。打つぞ」



手頃な岩場にもたれさせられていた。目を開ければ浮遊感や平衡感覚は戻るが代わりに重力が異常に重たくのしかかって感じる。


よく脊髄まで斬撃が届かなかったものだと蓮は感心する。ザックリと、綺麗とさえ思ってしまう切り口で腹が裂けている。

ここで傷を塞いでも帰ったら内臓を正位置に繋ぎ直す為に数週間病院に缶詰めだろう。

大部分がハルの血で汚れたマントで圧迫してもまだ血が止まる様子はない。


医療キットを傷口に構える蓮の手を制し、指先を擦り合わせて見せた。

一瞬何が言いたいのか考えて、首に掛けてある咽喉マイクをオフにしてやる。優に聞かせたくないのだろう、今更ながら。

蓮も自分のマイクをオフにして、傷口に刺した注射器から薬液を注入した。



「フッ゛、ヴ、ぐ……!!…ア……ッ、ち……鎮痛剤、入ってんのかホント、コレ……」

「入ってなければ俺の鼓膜がハルの叫び声で割れてる。……傷が大きすぎるな、10秒待ってもう一本使う」



傷口の急速な修復にハルが苦しげに呻いた。

彼のレッグポーチから取った医療キットを組んで待つ。流石に二本目で苦しむ事はなかったが、出血痕に目を細める。


呼吸が落ち着いたのを確認し蓮は再び剣を握った。



「出血が多過ぎる、ここに居ろ。………ハル、離せ」

「ンなボロボロな状態で行かせられっかよ。1分くらい待ちやがれ早漏」



蓮も致命傷こそないものの、シグマとの剣戟で受けた傷は多い。鎌鼬に遭ったような細かい傷に、少しズレれば大事な血管を損傷する傷もある。

増血剤を口に含んだハルが掴んだ蓮の服を引っ張りフラつきながら立ち上がる。

唇が土気色になる程キツい筈なのに、自分こそボロボロだと言うのに、頑なに食い下がる相棒に蓮はその手を振り払えなかった。



「……あと少し」



蓮は自分の手の平を見ながら先程の夢中になった時間を思い出す。

あと少しで、何かが掴めそうな気がする。






再び現れた気配にシグマとカリンは振り返った。

まさかあの傷からハルが復帰してくるとは。思わずカリンの吹いた口笛が洞窟に反響する。



「おいおい、案外その顔で朧月ろうげつくんはイジメっ子かァ?ここでそいつ連れてくるかよフツー」

「煩ェな。そのムカつく顔が殴り足りねんだよ」



ハルがカリンに飛び掛かり遠心力で拳を振るう。

腕で防ぎ止めたカリンが拮抗する腕を掴んで殴り返そうとすれば、ハルの口角が上がる。



「一対一だと思ったか?」



ハルの身体を死角にして現れた蓮がカリンを強襲する刺突の構え。

突き出す瞬間、ハルが蓮の服を掴み横に倒れる。二人は鋭い風切り音を聞いた。



「なれば、二対一とも思うまい?」



シグマが剣を鞘に収めながらカリンと並ぶ。

蓮がハルを起こし、双方睨み合う。


初めに動いたのは蓮とカリン。拳鍔が蓮の剣を弾き腹部への追撃を振るえばステップと共に躱され、カウンターの回転斬り。

割り込んだシグマが受け止めて膠着する。

殴り込もうとしたハルカはカリンの飛び回し蹴りを食らい転がるが、常闇の靄を味方に視界から消えた。

帯電する様子のないシグマが鎬を削りながら、すぐ鼻先に居る蓮にどこか嬉しそうな顔で問う。



「若造、俺と同じ"道"を辿るか……!」

「……違う」



押し弾かれ出来た距離を詰めながら蓮は割り込んできたカリンに三度と剣を防がれる。

自らマスクを剥がして捨てシグマに言った。



「――強く、なるだけだ」



蓮が得意とする技法で何も持たない方の手に注目させ、靄で隠した太刀筋でカリンの胸を斬り裂く。

今日初めて受けた刀傷にカリンが下がり、入れ替わりでシグマが前に出る。

靄から現れたハルが足を揃え、全身砲弾と化した蹴りでシグマの身体を吹き飛ばす。



シグマとカリンが、蓮とハルカが互いの名を呼ぶだけで連携出来るからこその怒涛の応酬。

それぞれが入れ替わり、ぶつかり合い、雷撃が弾ける激しく目まぐるしい戦闘が続く。



だがその激しすぎる展開に、既にギリギリだったハルカが限界を迎えた。

ふらついた彼の胴体にカリンが重い拳を打ち込み吐血する。

誰もが沈んだ、と思った瞬間。僅かに残る意識だけで伸ばされたハルの指がカリンの袂に引っ掛かる。

まさか抵抗されると思わなかったカリンも掛けられた力の向きに敢え無く体勢を崩す。

踏み込んだハルが食らわせたのは、頭突き。


そのまま倒れたハルと、クリティカルヒットを貰ったカリンが顔面を押さえながら蹲った。



シグマはカリンを一瞥し、残る蓮と向き合う。


ここにきて両者には余計な言葉のやりとりは無い。この場に至るまで散々重ね合わせた剣戟のみで会話など事足りる。


シグマが鞘に納めた剣を、蓮が腰に添えた剣を手に駆ける。

極限の集中を全身に巡らせて眼を見開き、シグマを視る。


余すことなく全身全霊をその一振りに、乗せた。



「――若造、まだ此れでは修得とは言えぬ。伸ばしてみせろ。……お前なりの形でな」



シグマの纏う着物の腰元に赤い染みが広がってゆく。

ズル、とシグマの身体が右足の太腿から滑り落ちる。彼の宝剣も折れ、その形を失った。

後方にあった岩も横一文字に蓮の太刀筋による爪痕を残している。


地に伏したシグマの元に近づく。



「何をしている、早く殺せ。今なら抵抗も出来ん」

「俺は、これからも強くなる。……ありがと、ッ!!?」



シグマの視界から蓮の身体が吹き飛んで消える。

担ぎ上げられる浮遊感、反転した視界に映る見覚えのある着物柄に、緩い首元から見えた太陽の刺青。

シグマはありったけの怒りを力の入らない拳に込めてその背を殴る。



「カリンッ!!!貴様、何のつもりだ!俺は負けたのだぞ。此処で、地の底で死す為に来たのだ!!まだ俺に生き恥を晒せと言うのか!?」

「はァ?こんだけ暴れりゃ十分だろオメー。やりてェ事思い出したんだよ、テメェはやること無くなってこれから暇だろ、付き合えや。おっと、朧月ろうげつ様よ、今回の賞状だ」

「……行く宛はあるのか」



先程のハルの頭突きで瞼を切り右目を瞑るカリンが、折れたシグマの剣を投げ寄越す。

蹴られた腹を押さえながらシグマを担ぐカリンに問う。

何処にでも、と彼は笑った。



二人はどこかへ行ってしまった。

蓮はいつの間にか色の戻っていた常闇を鞘に納め、シグマの折れた宝剣も括りつけようとした。

途端に気が抜けたか、脚に力が入らなくなり膝を着く。


身体が休息を求めているようだ。早く戻らねばなるまいとは思いつつ、回復のために蓮はそのまま少し瞼を落とす。




静かになった広間に、黒き狩人が顔を見せる。

激しい闘争の爪痕を眺め、小さな生命の灯火が二つ転がっているのを見つける。



「……まだ息はあるのか」



男は、身の丈ほどの大きさの大剣を背負い平然と歩いていた。

置き去りにされた人間の片脚、背の高い男が手にしている折れた剣と鞘。

こいつらが件の國からの依頼で流れ込んできた外部の企業の私兵の一部だろう。そしてシグマらを撃退してみせた。


今回、國から発令された任務により、我々天使教団はひた隠しにしていた天使達の檻の存在を明かさなくてはならなくなった。

これからも暫くは國や関係者からつつき回され面倒も続くのは想像に難くない。

ならばこの場所に入り込んだ鼠共を纏めて教団が処分してしまうのも手ではないか。


黒き狩人、魎月はその背の大剣に手をかけ、……止めた。

後から調査や捜索の為と称し、外部の人間に大勢入り込まれる方が不利益に思えたからだ。



「我が神は慈悲深くあらせられる。"求めよ、さらば与えられん"だ。地上へのチケットはご入用かい?」



魎月は軽々と蓮を担ぎハルを脇に抱え、縦穴を後にした。






バン!とコンテナが開いた音と共に小さな影が飛び出す。

何かあったのかとシオンが振り向けばゲイツが開いたコンテナの扉に顔をぶつけ尻餅をついていた。



「如月!竹ノ内!灰田が行った、止めてくれ!」

「えぇ!?」

「ちょ、ぶへっ」



防寒具に包まれた灰田が脱いだ上着を竹ノ内に投げつけるが敢え無く如月に止められる。

今にも泣きそうな顔の灰田が如月のプロテクターの上から胸を殴る。



「ふたりが!マイク切っちゃって、ずっと応えてくれないんです!中で倒れてるかもしれない!帰れなく、なってるかもしれない……迎えに、いかなきゃ、……うっ、ぷ」

「灰田、落ち着け。気温差でお前が先に倒れる。霧島!毛布持ってきてやれ」



シオンの指示で、吐き気に口元を押さえる灰田に霧島が薄手の毛布をかけて座らせる。

年齢の近い辻元が落ち着かせようと声をかけながら彼女の背を擦っていた。


ゲイツとシオンでこの後の動きを打ち合わせしていると、天使教団の信徒らしき男が大教会から出てくる。

よく知る二人を抱えて。



「地下に迷い子が転がっていたから拾ってきたが、受け取り先はこちらでよかったかな」

「……っ!!よかった、二人とも生きてる……」



真っ先に駆け寄った灰田が二人の呼吸を確認し、心から安堵する。

シオンや竹ノ内たちに蓮とハルの身体を渡し魎月は踵を返した。

再び大教会の内部へ戻ろうとすれば、門の前でぐっと左腕が引かれ振り返る。



「あの、……ありがとう!」

「どういたしまして」




シオンと如月が貨物車に乗り込み、灰田を含めた三人を急ぎ大病院へと運ぶ。

灰田は点滴だけで済んだが、蓮は精密検査と身体の随所を縫合処置。ハルも手術や精密検査が行われたもののその日のうちに意識は回復。

包帯に巻かれながら二人はしばらくの入院が決まるが、報告などに追われる。

彼女からマイクを切られてからずっと聞こえなくて心配したことに泣かれ素直に謝罪した。


それでも今こうして無事帰ってこられた事を、三人は喜び分かち合った。




不自由な男に自由を見せたかった男。

支え合いながら自身らの正しい道を共に歩む三人のお話。


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