朝食

それから、1階に集まって、朝ご飯だ。

普段は、ミシアとタニアの2人だけ。(ライラは夜が遅い分、昼前に起きてくる)

だが、今日は、冒険者の一行も一緒だ。


ミシア「おはようございまーす! ねえ、ボクを冒険隊パーティーに入れてよ~」

アーキル「それは昨日断っただろ。ダメだ」

ミシア「えーなんでさー」

アーキル「オレたちは、仲間を増やすためにここに来たんじゃねえ」

ミシア「えーケチー」


ルディア「そもそも、ミシアちゃんはここで働いてらっしゃるんですよね?お仕事はどうなさるんです?」

アーキル「そもそも働いてんのか、お前。昨日もここに入ったとき、暇そうにしてたじゃねぇか」

ミシア「掃除洗濯といった細かい作業はタニアの担当で、ボクの担当は筋力仕事と魔力仕事なんだってば。昨日、テレバンを映すのと露天風呂の加熱をやったでしょ。あと、寝る前に水を『浄化の壷』まで運んだよ。もぐもぐ」

タニア「はい、料理に使うお水は、お姉さまが浄化の壷に溜めてくださったものを使っているんです。はい、アーン」

アーキル「じゃあなおさらダメじゃねーか」

ミシア「確かにタニアとライラさんには迷惑をかけちゃうけど…、冒険者になりたいんだよぉ!もぐもぐ」

アーキル「うむ、それなら勝手になればいい。オレたち以外の冒険者とな」

ミシア「えー、やだー!冒険者は全然来ないし、お兄さんたち気に入ったんだ。お兄さんたちのパーティーに入れて欲しいんだよぉ!もぐもぐ」

ミシアが話している合間を縫って、タニアは左手で持ったスプーンでスープを掬い、あるいはパンを細かく千切り、ミシアの口に運んで食べさせている。


ケニー「あの、さっきからそれは、何をしてるんです?」

ミシア「何って、食べさせてもらってるんだけど」

アーキル「なんだそりゃ。面倒くさがりにも限度があんだろ」

タニア「いいんです。お姉さまは、ちょっと不器用なんです。だから、わたしがお世話しなきゃいけないんです」

アーキル「ふーん?だがな、そんなんじゃ冒険になんか出られないぞ。オレたちゃお前の世話係じゃないんだからな」

ミシア「大丈夫だよ、タニアがいるから手伝ってもらってるだけで、自分一人でも出来るから。見ててよ」

そう言って、ミシアは両手でパンを挟んで持ち、端からかじっていく。

次に、右手でスプーンの柄をわしづかみにし、スープを掬ってぷるぷると持ち上げ、そこに口を近付けて、飲み干す。

ミシア「ほら、出来たでしょ?」

アーキル「あぁ、それだけで日が暮れそうだけどな。それじゃ、オレたちはちょっと出かけてくるぜ。ご馳走さん」

ミシア「え?どこか行くの?」

ルディア「2~3日はゆっくりして、それから本格的に魔物狩りに行こうと思っています。だから、今日は村を散策させていただこうかと」

ミシア「えー。だったらボクが案内するよ」

アーキル「いいって。お前はゆっくり食ってろ」

そう言って、アーキルたちは出かけていった。

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