ストーカー

夕方。ぐったりした4人が甘いはちみつ亭に集まっていた。


アーキル「くそう…。あのぼうず、しつけーな…」

ケニー「ぼうずって言ったのがミシアさんに聞こえるとまた煩いので、やめてください…」

コノハ「何があったの?」

アーキル「オレが剣の素振りをしてたらあいつが近づいてきてな、格闘の型の練習を始めやがった」

ケニー「型ですか…?」

アーキル「ああ、どうやらあいつはどっかの師匠に師事して、格闘士の鍛錬をしてたらしいな。アピールしてきやがった」


コノハ「私のところにも来たわ。森を眺めてたら、茂みからガサガサという音がして、何かと思ったらミシアちゃんが顔を出して。それで、仲間にしてくれって。

それからしばらく、行く先々で茂みがガサガサしていたわ…」


ルディア「私のところにも来ました。お散歩していたら、色々案内してくださって…。楽しかったですけど、事あるごとに仲間にしてと目をうるうるさせながら言われるので、断るのが大変でした…」


ケニー「僕のところには来ませんでした。一人だけ来ないというのも、なんというか、寂しいですね…」

アーキル「来ない方が、楽でいいじゃねぇか。まぁ、あちこちに顔を出してたみてえだから、時間が無かっただけじゃねぇか」

ケニー「そうですかね…。僕は嫌われているのかもしれません。昨日も回復士の話をしたとき、楽しそうではありませんでしたから」

ルディア「気のせいじゃありませんか?」

ケニー「どうでしょうか」


コノハ「それで、どうするの?」

ルディア「やっぱり、仲間にしてあげることは出来ないのですか?とても良い子だと思うのですが」

アーキル「部外者を仲間には出来ねえ」

コノハ「この分だと、明日も付きまとわれそうよね…。本当なら、ちゃんと説得して諦めてもらうべきなんでしょうけど」

アーキル「説明できるわけねえだろ」

ケニー「じゃあ、別の手段をとるのはどうでしょうか」

アーキル「…ほう?」



翌朝、アーキルはミシアに話しかけた。

アーキル「なあぼうず、まだパーティーに入れて欲しいか?」

ミシア「ぼうずじゃないよ!え、入れてくれるの?!」

アーキル「オレたちの試験に合格したらな」

ミシア「試験?やる!」

アーキル「即答かよ(苦笑)」

ルディア「なら、ミシアちゃん。私たち1人1人が課題を出します。全員の課題をクリアしたら、仲間として認めます」

ミシア「ほんと?やったー!ボク、頑張るよ!」

アーキル「その代わり、失敗したら諦めろよ」

ミシア「分かった!失敗しなければいいんでしょ」

アーキル「自信満々だな、お前。そういうところはすげーと思うわ」

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