第4話

「なら、何のようだ?」


僕にしては、強きだっと思う。

でも、正直信じがたい。


高校の頃、会話もしたことがないのに、いきなり声をかける事自体が、

そもそもおかしいと、考えなくてもわかる。


「とにかく、座って」

彼女の眼をみると、真剣だ。

どうやら、ただの冷やかしではないと、信じてみる事にした。


「私を信じたくないのなら、帰ってもいいわ。その代わり・・・」

「その代わり?」

「私の名前を、思い出してからにして・・・もちろん旧姓でいいから」


結婚しているということは、女性はお嫁にいけば苗字は変わる。

彼女は婿を取らず、お嫁に行ったようだ。


「君は、変わってないね、村上くん」

「悪かったな」

「まあ、そこが君のいいところなんだけどね」


彼女はお茶を口にした。


「さっきの続きなんだけど・・・」

「さっき、『君は女の子に人気があった』と言ったよね」

「まさか、仲をとりもちたいという、悪質な冗談は言わないよね」

「言わないよ。君は人気はあったけど、それは、恋愛対象としてではないから・・・」


それを言うために、誘ったのか?

やはり、関わるべきではなかった。


「君が、わたしの旦那にいじめを受けていたのは知っている」

「だろうな」

「当時は、私もそれを、楽しんでた。それは否定しない」


心の中で、今更と思ったが、口にはしなかった。


「でも、それは反省している。旦那も悔いている」


それは、ウソだな。

だが、悲しそうな表情をしている。


「保証人になれとか、肩代わりをしてくれとか、そんな事は言わないから、安心して」

先を越された・・


彼女は、エスパーか?


しばらくして、料理が運ばれてきた。

彼女と談笑している。


彼女の家族のお店ということは、彼女の親族か?


「詳しい話は、食べてからにしよう」

彼女に言われて、仕方なく口にした。


なかなか、美味い。




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