第3話

「トンカツ定食でいいよね。後、ご飯お味噌汁キャベツは、お代わり自由だから」


彼女はテーブル席に置いてあった、タブレットに入力している。

僕の答えを聞く前に・・・


まあ、トンカツだったからいいのだが・・・


「最近は、タブレットで注文するんだね」

「うん。最先端でしょ?」

「でも、味気ない」

「それは、言わない約束」


そういや、トンカツにキャベツがつくようになったのは、

戦争が理由なんだよな・・・


「ねえ、ひとつ訊いていい?」

彼女が突然、尋ねてきた。


「何?」

「私の名前は?」


時が止まった。


そういや、何て名前だったっけ?

出てこない。

ていうか、他の生徒の名前も覚えてないや。


「クラスメイトだったでしょ?」

「そういう君は、僕の名前を覚えているの?」

「もちろん。だから声をかけたんだよ。村上秋夫くん」


正解だ。


「私の名前を答えてみて」

「少女A]

「もう成人しているから、少女じゃないよ」


悪戯っぽく笑う。


でも、この光景を誰かに、

特に、彼女の旦那に見られたらやばいな・・


敵対していたしな・・・


「私の旦那の事なら、心配しなくていいよ。今は反省しているから・・・」

「信用できない」

「まあ、その気持ちはわかるけどね」


いや、わからないだろう。


「ここ、私の店なんだよ。私の両親のね」

彼女の言葉に、僕は席をたった。


「どこ行くの?」

「帰る」


彼女は、僕の手を握ってとめた。


「ただ、ひやかしで、君を誘ったと思ってるの?」





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