第2話
彼女のなじみの店があるらしい。
店に行くまでの間、彼女はいろいろと訊いてくる、
僕は、相槌しか打っていない。
その笑顔は、とても優しい。
(高校の事は、僕にその笑顔を見せた事はなかったな)
心の中で思う。
もしかしたら、あらての詐欺か?
そのような事が、頭をよぎる。
「彼女出来た?」
さすがにカチンとくる。
「いると思う?」
「君は、魅力的なのに」
「社交辞令はいらない」
「違うよ。君は本当に、女の子に人気あったよ」
それは僕が、無害だからだろう。
女の子が男の子に優しくするのは、その男が好きか、もしくは無害か・・・
そのふたつしかない。
友達どまりでいる場合も、後者になるのだ。
妊婦と同じ年頃の男子が並んで歩けば、怪しまれる。
でも、そのような事はないようだ。
彼女は、有名だったからな・・・
「ここだよ。」
彼女に連れられてきたお店は、トンカツ亭。
全国にチェーン店を構えるお店だ。
「妊婦さんが、いいの?」
「うん。栄養つけないと・・・さっ、入って」
「馴染みなの?」
「うん。私のおごりだから、入って」
彼女の後から入っている。
お昼時もあり、混雑しているが、店員と話をしている。
すぐに、話はついたようだ。
「じゃあ、こっちだよ。」
「席、あるの?」
「うん。顔パス」
奥へ通される。
そこには、予約席があり、そこに彼女は腰を下ろす。
「じゃあ、君はそっちね」
「いいの?」
「うん。私が予約しておいたから」
「でも、旦那さんか、友達だろう?」
「そうだよ。だから君に声をかけたの」
身代りですか・・・
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます