淡い想い出

勝利だギューちゃん

第1話

「ねえ。元気?」


町で、高校時代のクラスメイトだった女子と再会した。

あまり、話をした記憶はない。


でも、とても元気だったのを覚えている。

彼女の周りには、常に人であふれていた。

男女問わず友達が多かった。


彼女を嫌いな人は、いなかったと思う。

彼女が嫌いな人は、何人かいたが・・・


その中に僕もいた。

なので、今声をかけてきたのは、良く言えば社交辞令。

悪く言えば、暇つぶしだろうう。


「ああ、なんとか生きている」

適当にやり過ごそう。


「今、何しているの?」

「専門学生」

「何の?」

「アニメ」

「凄いね」


いや、凄くない。


そういう彼女は、何をしているんだ?

お腹を見る。


ああ・・・

おめでたか・・・


まあ、マタニティドレスときているので、わかったが・・・


「私、高校卒業と同時に、彼と結婚したんだ」

「そう・・・おめでとう・・・」


彼というのは、彼女と噂のあった不良のひとりだろう。

彼女は、僕向きではないのだ。


「その彼だんだけど・・・」


何が言いたい?

聞きたくもない。


軽く会釈して、その場を去った。

だが・・・


「ねえ。少しお話しない?」

「断る」

「おごるから」


渋々OKした。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る